【モンティ・パイソン新作映画!】『ミラクル・ニール!』メンバーも勢揃い!
「モンティ・パイソン」の新作映画と聞いて、「おおっ」と期待感が盛り上がった方、そこそこお歳がいってらっしゃる方でしょう。それはともかく、本作は存命のモンティ・パイソンメンバーオールキャストの、正統モンティ・パイソン映画ということです。テーマは「宇宙人による地球侵略」。素敵です! どんな宇宙人がいかに侵略するのか? フツーの映画には飽きた、という向きはぜひご覧ください!
※一部解説にネタバレを含んでます。
ストーリー
冴えない教師のニールは、作家を夢見て愛犬デニスとアパートで独り暮らし。階下の美人キャサリンに恋心を寄せながらも、気の利いたセリフのひとつも言えない。学校では校長から小言を言われ続け、生徒たちからはバカにされるようなヘタレ男だった。
一方、宇宙の果てでは進化の頂点を謳歌する宇宙人たちが、地球の運命を協議していた。結論は簡単についた。地球滅亡。ただし、ひとつのチャンスが地球人に与えられた。無作為に選択したひとりの人間に全知全能の力を与え、その使い方で人類の知性を判断するのだ。そうして選ばれたのは……、ニールだった!!
ニールが右手を一振りするだけで、何もかもが彼の思い通りになってしまった。荒れた担任クラスは教室ごと隕石で壊滅。校長はニールに優しくなり、デニスのウンチは自分でトイレに向かう。ようやく事態の重大さに気が付いたニールは、生徒たちを生き返らせるために、英国全土の死人を蘇らせてしまったり、同僚のレイが片思いしている女教師を彼の崇拝者にしたりと、試行錯誤で“神”の“能力”に親しんでいった。さらに、キャサリンが自分を好きになるように右手を振ったのだが……。
解説
監督はモンティ・パイソンのテリー・ジョーンズ。しかも、宇宙人役でモンティ・パイソンのメンバーが全員集合!! そう、本作は『人生狂騒曲(1983)』からすると、実に32年振りの完全無欠なモンティ・パイソン映画なのだ(もちろん、故人のグレアム・チャップマンは除く)! というか、これはもはや故グレアムの代わりに当代随一の英国コメディ俳優サイモン・ペッグをメンバーに迎えたようなもの。この事実だけでも、絶対に観ておくべき映画だということが断言できるわけ。
観ておくべきということでは、本作が2014年に亡くなったロビン・ウィリアムズの遺作のひとつでもある点も押さえておきたい。ニールの愛犬デニスの声の出演だけど、それだけじゃないぞ。テリー・ジョーンズ監督ともあろう人が、そんなもったいない使い方で終わらせるわけはないのだ。エンドクレジットが始まっても、絶対に席を立ってはいけないぞ。
一般的な観賞として注目なのは、ヒロインのケイト“アンダー・ワールド”ベッキンセール。今回は戦わない。アクションなし! で、全然スタイリッシュでもないのだ。主人公ニールが妄想的に恋焦がれる階下の女性キャサリンは、そんなニールの気持ちがわかっている上で、ちょっとしたイタズラ心で一夜を許してしまうようなイマドキ女子。同じように勘違いさせてしまったマッチョ系(身体も頭も)ストーカーからも狙われているのだが……。
という細かい点はさておき、結局の見どころはモンティ・パイソンなところ。メンバーたちは、地球破壊の相談をしている異形の宇宙人たち。なぜだか、壊す対象の惑星語をしゃべらなければならないというキマリがあるという設定なので、ちゃんと英語でしゃべってくれるのだが、この掛け合いがまさにパイソン映画。もし、パイソン映画を観たことがないというなら、本作を観た後でも、ぜひとも観た方がいいぞ。ただし、けっこうブラックな味わいなので、ハリウッド式能天気コメディを期待しないように!!
“間違って”クラスを全滅させてしまったニール。こういうブラックな味わいが英国コメディらしいところ。つまり伝統的パイソン映画らしい部分。この後、生徒たちを生き返らせるために、“間違って”英国中をゾンビで溢れかえらせてしまう……。
故ロビン・ウィリアムズが声をアテたニールの愛犬デニス。言葉だけではなく、“知性”も与えてしまったせいで、ラストではトンデモナイ活躍をすることになるのだ。
あの戦士セリーンとは同一人物に見えないかもしれないけど、これが本作唯一のヒロイン、キャサリンを演じたケイト・ベッキンセール。最初はニールのことは、良い人みたいだけど、ちょっとキモイかも!? な扱いだったけど、次第に……という感じの役どころなのだ。
キャサリンのストーカー、グラントを演じるのはロブ・リグル。『帰ってきたMr.ダマーMAX』や『ハング・オーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』などにも出演している、『サタデー・ナイト・ライブ』出身のコメディアン。海兵経験もあってガタイが大きいから、本作のような軍人役も多いようだ。
サイモン・ペッグ主演だけど、ほかのペッグ主演作と雰囲気が違うのが、こういうサイケというか、いろんな意味で無茶苦茶なところ。ほかのペッグ作品でよくあるような、いわゆる“オタク”風味ではないのだ。特に、クライマックスあたりで登場する“ピンクの警官”なんかは、実にパイソン映画らしさの代表だろう。
DATA
- 監督:テリー・ジョーンズ/出演:サイモン・ペッグ、ケイト・ベッキンセール、ロビン・ウィリアムズ、モンティ・パイソン(テリー・ギリアム、ジョン・クリーズ、エリック・アイドル、マイケル・ペイリン、テリー・ジョーンズ)、他
- 配給:シンカ
- 上映時間:85分
- 公開中
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