『COP CAR コップ・カー』ゲヴィン・ベーコンVSお子様2人組。ケヴィンの苦戦ぶりが見ものな異色の追跡劇

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ケヴィン・ベーコンといえば『フットルース』は遠い昔の懐かしい青春の思い出、という感じに、クセのある役柄を演じさせればレイ・リオッタと並ぶスリラー作品には欠かせない役者さんになっちゃってます(まともな役もしっかりやってますが)。そのケヴィンがまたまた魅せてくれるのが本作です。タイトルの通り警察車をめぐり、最初はお子様2人の冒険譚と思いきや、とんでもない展開に!? 悪人もツライよ、という一端もうかがえて泣かせます? ゲヴィンの活躍にぜひご期待ください!

※一部解説にネタバレを含んでます。

 

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ストーリー

10歳になるトラヴィスとハリソンは、家出ごっこの真っ最中。2人で実は意味も良くわからないような下品な単語を言い合いながら、いつもより遠くまで歩くだけの少年期ならではのプチ家出だった。やがて空き地にたどり着いた2人は、そこに止めてあるパトカーに喜色満面になる。乗り捨てられたようにあたりには誰もいない。それをいいことに車のキーを発見すると、TVゲームで運転の心得のあるトラヴィスは、エンジンをかけて走り出してしまう。

 

トラヴィスの運転するパトカーを目撃したベヴは、市民の義務として警察に届けるが信用してもらえない。
一方、その後でパトカーの元にやってきたのは保安官ミッチーだった。ミッチーはある目的のためにその場所を離れていたのだ。その目的の重要なブツはまだパトカーのトランクに残ったままだった。しかも、それがもし公になれば身の破滅となってしまう。ミッチーは警察無線を駆使して、消えたパトカーの行方を探し求めるのだが……。

 

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解説

ふつうに映画紹介記事を見ると、遊びで盗んだパトカーのトランクにとんでもないモノが隠されていて、持ち主の保安官に追い詰められる的な、ジュブナイル系のスリラーっぽい感じで紹介されているだろう。それはそれで正解なのだが、やはり本作の主役はケヴィン・ベーコン! ハリウッドの話題作の共演者をたどると必ず行きつく男ケヴィン。そう本作の主人公は、けっして子役の2人ではなく、ケヴィンなのだ。

 

冒頭、確かに2人の悪ガキがパトカーを盗み出してしまう過程はていねいに描かれ、観ている者をドキドキさせるようになっている。そのまま彼らの行動を描き続ければ、イタズラから始まったスリラー仕立ての1本が完成しただろう。
だが、本作では途中から視点が一気にケヴィン、つまり保安官ミッチーに向けられる。詳しくは描かれないが、なにやら悪いことをしている「悪徳警官」ミッチーが、その悪行が隠されたパトカーを盗まれてしまい、焦りながらもじっくりと追い詰めていく様子を描いていくのだ。
とりあえず、パトカーがない。かなりの田舎が舞台なので、最初の大問題が発生。車がない!! ミッチーはとにかく走る! まずは自宅に向かってダッシュ! 一刻の猶予もない。この時点では誰に盗まれたかも(盗まれたのかどうかさえも)わからない。ひたすら走って、走って、上着を脱いでランニングシャツ姿で走るケヴィン。実にカッコ悪い。

 

たいていのスリラーやホラーなら、こういう場合はいきなり“被害者”の前に現れたり、気が付くと追いかけられていたりという感じのはず。しかし、本作では“加害者”側の努力が丁てねいに描かれている。『13金』でいうなら、ジェイソンが次の標的の“被害者”を決定して、所在を確認し、忍び足しながらその場所に近づいて、そっと床下に潜り、気付かれないようにベッドの下まで移動して……な感じの描かれ方になっている。

 

追いかけられる少年たちの描写もそこそこに、保安官ミッチーが、どうやってパトカーの現在地を割り出して罠にはめつつ、同僚たちには自分のアリバイを確保して、という過程が克明に描いてある。

警察無線から、盗まれたパトカーの目撃情報に喰い付きながらも、自分の車のことだと知られないように誤魔化したりするミッチーに、うっかりエールを送ってしまいたくなるほどだ。

 

さて、そうはいってもやっぱり、この映画は10歳の子供たちの成長譚でもある。物語が動くのは彼らがトランクを開けてしまってから。汗だくで情報収集するケヴィンも良かったが、本性を現してサイコになり切るケヴィンも良いではないか! なのだが、ここが巧くできている。少年VS悪徳保安官という構図に、トランクの積荷が絡んできて事態は少しだけ複雑化。はっきり言って、観ている方としては誰を応援すべきか悩むくらいだ。ひとつだけはっきりしているのは、最初にトラヴィスたちを目撃したお節介オバちゃんのベヴ。彼女がたどる運命だけは、たぶん万人が拍手喝采だろう。

 

04手前がハリソン役のヘイズ・ウェルフォード君で、運転しているのがトラヴィス役のジェームズ・フリードソン=ジャクソン君。ヘイズ君は幼少時からいろんな短編やTVで活躍。『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』にも出演。ジェームズ君は本作がデビュー作で、その後舞台やTVドラマでも活躍中だ。

 

05保安官ミッチーの悪そうな笑顔。脚本に惚れ込んだケヴィンは、製作総指揮まで兼ねての堂々たる主演だ。口ヒゲがいかにも田舎町の保安官な風情を醸し出していて、実にナイスなメイクなのだ。

 

06お節介オバさんベヴ役のカムリン・マンハイム。『ザ・プラクティス/ボストン弁護士ファイル』のエレノア弁護人役でエミー賞やゴールデングローブ賞の受賞経験あり。主にTVドラマで活躍する個性派の女優さん。本作では、少々自分よがりな正義感を振りかざす迷惑この上ない中年オバサンを好演。その末路は、ある意味本作の見どころのひとつだろう。

 

07“トランクの中の男”でクレジットされているシェー・ウィガム。そう、トランクの中には、このおじさんがいるのだ。顔の傷が痛々しい感じで、たぶん、保安官ミッチーの“被害者”なんだろうけど、彼の暴走が話をややこしくするのだ。

 

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DATA

  • 監督・原案・脚本・製作:ジョン・ワッツ/製作総指揮:ケヴィン・ベーコン/出演:ケヴィン・ベーコン、ジェーズ・フリードソン=ジャクソン、ヘイズ・ウェルフォード、カムリン・マンハイム、シェー・ウィガム、他
  • 配給:コピアポア・フィルム
  • 上映時間:88分
  • 公開中

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関連情報

 

(C) Cop Car LLC 2015

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