『聖戦士ダンバイン』「ヴェルビン」のキットまもなく予約受付終了!原型師・毒島氏からコメント到着!
現在、好評予約受付中のウェーブのレジンキット「ヴェルビン」。1/48スケールの『聖戦士ダンバイン』シリーズの第1弾アイテムとしてはあまりにも野心的なセレクトに、2015年夏のキャラホビで発表された際には多くの模型ファンの話題をさらいました。
(関連記事はこちら⇒みんな気になるウェーブの「今後のラインナップ」についてキーマン二人にインタビュー!)
そんな本アイテムの魅力を撮り下ろし写真と共に改めてご紹介すると共に、毒島孝牧(ブスジマックス)氏からのコメントをお届けしていきます!
――まずは、毒島さんが考える『聖戦士ダンバイン』という作品、そこに登場するオーラバトラーの魅力について教えてください。
毒島氏:
まず、第一印象で昆虫と怪獣がモチーフだということが、直感的に分かるデザインが魅力の一つだと思います。少なくとも当時の私の目にはそう映りました。そしてその昆虫と怪獣というものは、ほぼ無条件に男の子が大好きな要素です。それがそのまま大好きなロボットになっているわけですから、それがその魅力に直結しているのだと思います。
その後、放送を観ながら、また設定などを書籍で追いかけることによって、オーラ・バトラーが恐獣(※)の筋肉繊維や甲殻そのものを加工して製造されているということを知ります。生き物を兵器に用いるということは、これまた男の子の大好きなサイボーグを想起させますし、また死骸を目的のために運用するというのもフラケンシュタインモンスターのような、ある種背徳的な部分もその魅力を補強している要素だと思います。
(※恐獣…『聖戦士ダンバイン』の舞台となるバイストン・ウェルに生息する生物。オーラ・バトラーの装甲や内部構造の素材となる。)
また、画期的な設定として、搭乗者そのものの生体エネルギーであるオーラ力(ちから)で性能に差が出る、というものがあります。それまでのロボットアニメでは根性や気合で危機を乗り越えるという演出が多かったという認識でしたが、『ダンバイン』ではそこに新しいエネルギーの概念を設定に落とし込んでいましたので、より説得力があったように思います。
当時、小学生高学年の私は斜に構えてひねくれていた年頃でしたので、少しでも引っかかるところがあれば子供だましだと決めつけ冷めていました。そんな中、根性と気合というものをオーラ力という画期的な設定で、オーラバトラーが強くなる理由を自然にみせてくれましたので納得して視聴できました。そういったものが混然一体となりまして、私の中でオーラバトラーの魅力として成り立っております。
――今回製作された「ヴェルビン」について思い入れを教えてください。
毒島:
『ダンバイン』の放送が終わり、新たに『重戦機エルガイム』『機動戦士Zガンダム』……と毎年番組が切り替わる中、「B-CLUB(※)」で『オーラファンタズム』という出渕 裕氏の連載がありました。そこに掲載される氏のデザイン画はとても魅力的で、毎回楽しみにしておりました。当時、その絵に刺激を受けたであろうレジンキットメーカーがこぞってオーラバトラーのキットをリリースしていたと記憶しております(当時の私には高嶺の花でした……)。
(※B-CLUB……’80~’90年代にかけて、バンダイから発行されていた模型情報誌)
そんな流れの中でも際立っていたのがこの「ヴェルビン」でした。その存在意義などは、散々語られておりますのでここでは割愛しますが、それも相まってか、とにかく『オーラファンタズム』のオーラバトラーの中では別格の存在でした。いつかはヴェルビンの造形物を手に取ってみたいという意識がそのころからあったのだと思います。しかしメーカーからは目立った製品化はされることはなく(一部でレジンキット化はされていましたが、入手困難でした)、そのまま一部のファンを残して徐々にブーム(?)は去り、十数年経つのです。
―― そんな中「ヴェルビン」を製作することになったきっかけ、経緯について教えてください。
毒島:
2000年代初頭、私は模型イベントに仲間とディーラーとして参加し始めていましたが、その頃は主に創作系のガレージキットを持ち込んでおりました。そんな中、『ダンバイン』関連のアイテムを作ることができるイベントも始まり、その後数年間参加し続け、色んなオーラバトラーを製作していきました。
その中で、様々な方々と交流を持つことができまして、ウェーブの永見さんともそこで知り合うことができました。永見さんとはいっしょにお仕事をしながら、いろんなお話をする中で「いつかはヴェルビン」が合言葉的な締めの言葉となっていったと記憶しております。
しかし漠然とした希望は持ちつつも、心の片隅ではそんな日は来ないんじゃないかな…、と思っておりました。まさか、でしたので。その「まさか」が今回現実となりまして、先日完成させることができました。作った本人が一番驚いております……こんな機会をいただき本当に感謝しております。
――そんな「ヴェルビン」を製作される際に、気をつけたポイントについて教えて下さい
毒島氏:
出渕 裕氏の設定画になるべく近づくよう、そしてファンが抱くイメージを変えないように気を付けたつもりです。また、パーツのエッジや凹凸に意思を感じられるよう、一つ一つ形状の検討に時間をかけました。そして全体的に一つの流れが感じられるよう気を付けながら製作していきました。
また、完全に色分けをするパーツ分割でしたので、ストレスなくびしっとパーツがはまるよう最大限に頑張ったつもりです。
―― ウェーブと毒島氏のアイテムといえば、2009年~2010年に発表された『機甲界ガリアン 鉄の紋章』の「邪神兵」「マーダル専用人馬兵 」が模型ファンの間では未だに語り草となっています。
当時はいわゆる手作業による原型製作だったということですが、今回のヴェルビンはデジタル造形とのこと。生物的な造形を行う際におけるデジタル原型の利点について教えていただければと思います。
毒島:
生物的な造形に限らずですが、手作業に比べてデジタル造形の利点として、
1、やり直しや修正が容易(作り直しという概念がない
2、左右対称やパーツのコピーにストレスがない
3、芯材などを用意して丈夫に作る必要がない(重力に縛られない)
などが挙げられます。1や2はよく言われることですが、それ以上に私が恩恵を感じられたのは「3」の芯材が要らない、ということです。
「邪神兵」はトップヘビーな上半身とそれを支える蛇のような下半身のせいで、芯を作りながら全体的なバランスを取る作業がまずは大変でした。これは本当にストレスフルなことでして、ある部分を作ると他の部分が崩壊するというループに耐えなければなりませんでした。
最終的に丈夫な原型を作るため、最初の芯はなるべく丈夫に作るようにしなくてはなりません。私はこの作業が表面処理の次に、本当に大嫌いな作業でしたので、その作業から解放されるデジタル造形は私にとって本当に福音でした。細かい角や指状のパーツにも芯はいりません。途中で壊れる心配もありません。
またパーツとパーツを繋ぐダボに、金属線で軸打ちをするための穴のガイドも高精度で施すことができました。そのガイドに直接ドリルを入れることによって、位置合わせと補強が簡単にできます。
――それでは最後にユーザーの皆さんへのメッセージをお願いします。
毒島:
おかげさまで21世紀の今日、ヴェルビンを世に出すことができました。幸運なことに次のオーラバトラーの製作のご依頼もいただきまして、本当に嬉しく、また感謝しております。このシリーズができるだけ長く続きますよう応援していただけると幸いです。最大限頑張るつもりですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(個人的にはオーラファンタズムの最終生産型ビアレスを作りたい……)。
―― 本日はありがとうございました。
毒島氏による長年のこだわりが込められた「ヴェルビン」は、ウェーブの通販サイトビージェイにて予約受け付け中! 予約締め切りは6月27日23時59分までとなっています。受注生産なので、この機会を逃すと入手困難になりますので、この機会をお見逃しなく。
また、ウェーブプレミアムニュース! 10では、この「ヴェルビン」をビルバイン風に塗装した作例が紹介されています。こちらもぜひ確認してくださいね。
DATA
『聖戦士ダンバイン』ヴェルビン
- レジン製未塗装組み立てキット
- 1/48スケール
- サイズ:全高約24センチ
- 原型製作:毒島孝牧(ブスジマックス)
- 2016年8月発売予定
- 価格:59,800円(税別)
- 発売元:ウェーブ
関連情報
(C)創通・サンライズ