ジョディ・フォスターが手掛ける極上社会派娯楽映画『マネーモンスター』

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ジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツが競演。それに加えて監督がジョディ・フォスターということで、映画ファン注目の話題作です。TV番組放送中に暴漢が乱入して番組をジャック! 司会者を人質にその模様を中継させるというショッキングな内容。

 

普通のサスペンス映画として充分見どころのある展開が期待できますが、本作ではそこにさらにヒネリを効かせてます。株や投資という問題が扱われるので、一見カタめと思わせて……。かなり楽しめる仕上がりのようで、必見です!

※一部解説にネタバレを含んでます。

 

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ストーリー

財テク番組『マネーモンスター』は、パーソナリティのリー・ゲイツの巧みな話術や株価予想、視聴者への的確なアドバイスなどで人気を博していた。その日も、いつもどおり得意のダンスから始まった『マネーモンスター』だが、ちょっとしたトラブルに見舞われた。先日の番組内でイチオシにした新規上場株のアイビス・キャピタルが暴落。8億ドルに上る損失を出してしまったのだ。

 

リーは、アイビスのCEOウォルトと生放送でコンタクトすべく、広報担当者と中継をつなぐ。その頃、毎度暴走気味のリーをコントロールすべく、プロデューサー兼ディレクターのパティは、必死になってリーに台本通り進行するよう要求していた。

 

ところが、突然生放送中のスタジオに銃声が鳴り響き、ひとりの男がリーに拳銃を突きつけた。そして、放送をし続けるように要求しながら、リーに“爆弾ベルト”を巻きつけてしまう。

 

男の素性はカイル・バドウェル。リーがイチオシにしたアイビス株に全財産をつぎ込んでしまい、すべてを失ったと訴えるのだった。そして、失った6万ドルではなく、損失額8億ドルすべてを要求してきた。

 

カイルの目的は、奇妙なアイビスの株価暴落のカラクリそのものを世間にしらしめることだったのだ……。

 

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解説

最近は、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』や『スポットライト 世紀のスクープ』など社会派ドラマが大人気。特に『マネーショート~』は、本作同様に経済テーマで大ヒットしたことも記憶に新しい。さらに本作でメガホンを取ったのは、『リトルマン・テイト』や『それでも、愛してる』などのヒューマンドラマで定評の高いジョディ―・フォスター。もちろん、ジョディといえばハリウッド随一の大女優のひとり。

 

経済がテーマの社会派ドラマをヒューマンドラマが得意なジョディが撮ったわけだから、と思うかもしれないけど、この映画は実にハリウッドらしいエンタテインメント作品なのだ。

 

まず主演がハリウッドを代表する“大スター”のジョージ・クルーニー。近作の『ヘイル、シーザー!』でも、ハリウッド黄金期の大スターぶりをほぼ地のまま演じて大好評だった彼が、本作では大人気番組のパーソナリティを熱演。軽妙なトークだけではなく、番組冒頭にはダンスしまくるという無軌道司会者をこれまた優雅に演じている。

 

さらにジュリア“プリティ・ウーマン”ロバーツがそんな暴走パーソナリティのコントロールに四苦八苦する敏腕プロデューサー、パティ・フェンを演じる。クルーニーとは『オーシャンズ11&12』以来の共演だ。長年に渡って“若手女優”のひとりだったけど、最近では『白雪姫と鏡の女王』で悪役女王を演じ、近作『シークレット・アイズ』でも堂々たる存在感を魅せるなど、ここにきてようやく大女優の風格も出てきた。

 

要するに配役的にも、この映画はただの社会派ドラマではないということなのだ。

 

あえて言うと、コメディ映画に限りなく近い社会派映画だろうか。

見どころは、財テクや企業犯罪云々というより、キャラそれぞれの個性やセリフと彼らの絶妙な会話。なにしろ主人公が人気番組のパーソナリティだから、基本しゃべるのが商売。クルーニーも役の上もあって、とにかくよくしゃべる。一方、番組に乱入した“爆弾男”のカイルは、いろんな意味で不器用でしゃべるのも苦手な人物。 この2人が物語の進行につれて、まるでコンビのようになっていくのだ。もちろん、基本設定では「立てこもり犯と被害者」。しかし、広いスタジオでふたりきりの状態、カイルの言い分にもジャーナリスト的な興味がわいたリーは、やがて“立てこもり”を主導していくようにさえなってしまうのだ。

 

もちろん、本作はエンタテインメントなサスペンス映画でもあるので、当然のように“悪役”が登場する。それが暴落株のアイビスのCEO。じつはここが『マネーショート~』みたいな経済系の社会派とはまったく違うところでもある。

あくまでも数字を相手にする他の作品とは違い、ここでの“敵”は人間。そこにヒューマンドラマの名手ジョディ―の力が発揮されているのだ。

 

さて、ハリウッドでは珍しいことだが、この作品には“俳優じゃない”人が結構たくさん出演している。もちろん、エキストラでもない。それはスタジオにいる番組スタッフたち。ジョディ監督としては、プロフェッショナルな仕事ぶりをするスタッフを描きたかったらしい。俳優に番組スタッフの“役”をやらせても、いまいちプロらしさが出ないと思ったのだろう。本作に登場するカメラマン、音響マン、編集マンなどはほとんどが実際のテレビ番組の製作スタッフなのだそうだ。

 

劇中で、乱入してきたカイルにマイクを付けたりするシーンもあるが、いちいち手際が良かったりするのは、こういうわけなのだ。

 

しかも、生中継される“現場の映像”は、このスタッフたちによる映像をそのまま使用しているため、通常の劇場映画よりもたくさんのカメラで撮影している。 同じシーンでも撮影しているカメラによって、雰囲気が変わるあたりも、この作品の大きな見どころなのだ。

 

04同じ番組を作り上げる2人だが、どうにも火と油の関係。プロデューサーの意向を無視するリーは、自分のセンスこそが番組を盛り上げていると自負している。しかし、事件が進むに連れ、彼らの関係にも大きな変化が訪れることに……。

 

05番組ジャックにやってきたカイル。拳銃片手にリーを脅し、全財産を失った責任がどこにあるのか突き止めようとする。しかし、最初は怖そうなカイルなのだが、警察が居所を突き止めた奥さんに悪口雑言を浴びせられて泣きそうになる。本作最大の見せ場は、そのしーンかもしれない!?

 

06アイビス・キャピタルCEOのウォルトと広報担当重役のダイアン。『マネーモンスター』のリーとパティの関係も変化していくが、この問題の企業のCEOと広報担当の関係も大変化を遂げることになろうとは……。ところで、このウォルトCEOのYoutubeマッド動画が、ものすごい視聴数を叩き出すことになるのだが、果たして何が起こった!?

 

07もはやリーが人質というより、カイルを拉致して練り歩く感じになったクライマックス。 この緊迫した状況の裏でもパティたち番組スタッフは、アイビスへの取材を着々と進めていく。この“同時中継”がじつにサスペンスなのだ。

 

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DATA

マネーモンスター

  • 監督:ジョディ・フォスター/脚本・原案:アラン・ディ・フィオーレ、ジム・カウフ/出演:ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツ、ジャック・オコンネル、ドミニク・ウェスト、カトリーナ・バルフ、ほか
  • 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
  • 上映時間:99分
  • 6月10日より全国ロードショー

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