『貞子vs伽椰子』日本の誇る2大ホラーキャラ夢の競演!
もはや説明不要な有名国産ホラーキャラクターによる超絶バトル。去年2015年の4月頃にはエイプリルフールネタから実現した企画などといわれていましたが、ついに公開です! 「vsモノ」も多数ありますが、これはもうある意味で正統派「vsモノ」を超えた新たなステージへ突入? オリジナルシリーズはいずれもオドロオドロしいコワさですが、バトル要素を取り入れたことでいかなるエンターテインメント作品に仕上がっているのか、ぜひ劇場でお確かめください!
※一部解説にネタバレを含んでます。
ストーリー
女子大生の有里は、親友の夏美からVHSビデオのダビングを頼まれ、とあるリサイクルショップでVHSプレイヤーを購入。ところが中には一本の古びたテープが入っていた。
遊び心でそのテープを再生する有里。しかし、映像を観てしまったのは夏美だった。そして、それが本物の「呪いのビデオ」だと悟った瞬間、夏美のスマホに電話が掛かってきた。
不安が隠せない有里たちは、プレイヤーを買ったリサイクルショップに行く。そして、そこで夏美の前にビデオを観てしまった店員が、その2日後に自殺したことを知る……。
一方、両親の都合で引っ越ししてきた女子高生の鈴花は、新居の前にある古びた家が気になって仕方ない。転校先のクラスメイトから、そこが“呪いの家”だと聞く。ある日、その家の前で小学生4人が集まっているのを目撃するが、その後、このあたりで小学生が集団で家出したという事件を知ることになった。家と事件の関わりが気になり、ますます鈴花は“家”に惹かれていく……。
「呪いのビデオ」を確信した有里たちは、呪いから逃れる情報を求め、大学で都市伝説を研究している森繁教授に会いに行く。教授もビデオを観て、本物の「呪いのビデオ」だと太鼓判を押す。そして、「貞子」の呪いを解くために、知り合いの強力な霊能力者のもとへ行くのだが……。
解説
まず注意してほしいのが、本作を創ったのが『リング』シリーズ中田秀夫監督でも、『呪怨』シリーズの清水崇監督でもないということ。メガホンを取ったのは『ノロイ』や『口裂け女』の白石晃士監督。ドキュメンタリー風というか、“実録”タッチで定評のあるジャパニーズホラーの旗手のひとり。そこが逆にうまく作用した作品といえるだろう。
本作に登場するのは、貞子と伽椰子という2人のビッグネームを“戦わせる”わけだから、どちらかをヒイキはできない。しかも、『リング』『呪怨』はもとより、ホラーを知り尽くしている人材が必要。こうなると白石監督以外には無理だったのかもしれない。
そんなことで、本作は実に巧妙に創られている。2つのエピソードが並行して語られるあたりは、『呪怨』風味だが、そこで最初に語られるのは『リング』の続き的なエピソード。なにげない日常に徐々に入り込んでくる非日常……。
ホラーの常套句には違いないんだけど、これは2大“恐怖の呪い”の対決。何かに似ているなと思ったら、これはまさに「怪獣映画」の文法。
そう、2大バケモノの対決。つまり2大怪獣“貞子VS伽椰子”大決戦なのだ。
その発想で本作を鑑賞すると、実にスッキリする。
たいていの怪獣は、まず出現の予兆がある。地震とか飛行機や船などが消息を絶つなど。そして、いよいよ正体が明らかになって、次の被害が想定されるような事態になる。
ホラーも同様に予兆があって、とりあえず犠牲者が発生するが、主人公はまだ知らなかったりする。その後、ついに呪いが主人公の身に降りかかり、助かるために手段を講じようとジタバタするわけだ。
ここまでなら、まぁ、取り立ててホラーと怪獣モノの構成が一緒かどうかは気にする必要もない。しかし、本作はまったく別のホラーキャラを戦わせようというのが主旨になる。
後半になって登場する「経蔵さん」という男とその“相棒”の珠緒は、これまでの『リング』シリーズにも『呪怨』シリーズにもそぐわないコミック風味なキャラ。だけど、簡単な呪いなら九字を切っただけで解いてしまうほど強力な能力者だったりもする。
そんな経蔵たちでも、貞子と伽椰子の呪いは解けないほど超強力なもの。
そこで経蔵が思い付いたのが、両者を戦わせること。つまりコジラにキングギドラをぶつけるという作戦と一緒ということだ。
貞子と伽椰子を相打ちで消滅させる作戦や、それが失敗したら次の作戦、といろいろ画策する経蔵が、もし「レインボー作戦だ!」とでも作戦名を叫んでくれれば、まさに『ガメラ』シリーズの展開なのに……と思ったのは筆者だけではあるまい。
そして、ついに迎える2大巨頭の直接対決!! もちろん、この映画の一番の見どころだ。 果たして貞子の呪いか、それとも伽椰子&俊雄の呪いが勝つのか……!?
彼女らのガチバトルは、一進一退の手に汗握る超展開!! これぞJホラー映画史に残る名バトルシーンとなるだろう!!
さて、そうは言っても、本作はまさしく日本を代表する、しかもハリウッドリメイクまでされた、もっとも有名なJホラーのシリーズ最新作。しかも、恐怖演出では、オリジナルの監督たちよりも、ある意味定評のある白石監督の作品。 怖くないわけはないので、そこは覚悟を持って観に行ってほしい。
山本美月が演じる有里と佐津川愛美が演じる夏美。偶然、呪いのビデオを見つけてしまったがために、日本最強の呪いと対決することになってしまう。山本美月ちゃんは、持ち前の無表情がキュートでまさに適役。友達想いで優しく、しかも意志が強いという、いかにもなヒロインキャラ。一方、夏美はあくまでも現代女子大生。自分だけがこんな呪いに掛かったこと自体を呪う勢いの女の子。
鈴花を演じるのは玉城ティナちゃん。沖縄生まれのカリスマモデル兼女優。近作は『オオカミ少女と黒王子』。伽椰子の呪いに憑りつかれ、風前の灯火だったところを、有里たち「対貞子チーム」と出会う。彼女との出会いは、経蔵さんの計画にとっても大きなポイントになるはずだったのだが……。
経蔵さんと珠緒。常盤経蔵というのが本名。力もあるけど、報酬もものすごく高いことで有名な能力者らしい。この若さで、経験豊富な霊能力者たちからも頼りにされる存在。相棒の珠緒ちゃんは盲目で口の悪い女の子。見えない目で、見えないモノを見ることができる。
DATA
貞子vs伽椰子
- 監督・脚本:白石晃士/主題歌:聖飢魔Ⅱ/出演:山本美月、玉城ティナ、佐津川愛美、田中美里、甲本雅裕、安藤政信、菊地麻衣、ほか
- 配給:KADOKAWA
- 上映時間:99分
- 6月18日より全国ロードショー
関連情報
(C) 2016「貞子vs伽椰子」製作委員会