『10 クローバーフィールド・レーン』あのバケモノたちの正体?様々な謎が明らかになる??

タイトルの通り、本作はあの『クローバーフィールド/HAKAISHA』との関連が色々といわれていますが、続編なのか? といわれれば、どうも単純にそうではないようです。予告編を見ても密室ドラマ的な展開を思わせる映像に意味深なコピー。映像も緊張感を煽る手持ちカメラ主体のものではありません。しかし、そこには製作者の狡猾な狙いが隠されている、とか? この手のジャンル物の中でも一線を画す、志の高い作品になっているみたいですよ。

※一部解説にネタバレを含んでます。

 

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ストーリー

ハイウェイで車を走らせていたミシェルは、突然の衝撃に気を失ってしまった……。

 

気が付くと、怪我の手当てはされているものの、まったく見知らぬ部屋で拘束されていた。部屋の主ハワードは、事故現場に偶然通りかかったので、自宅のシェルターに連れ帰ったのだという。

 

手当てに感謝はするものの、なぜ拘束されているのかをハワードに問いただすと、このシェルターから出さないためというだけで、他の答えを引き出せない。ハワードに対する不信感は増すばかりだが、足が不自由なままではなんの抵抗もできない。

 

このシェルターには、ハワードの他にもエメットという若者の同居者がいた。彼は自らシェルターにやってきたのだと言う。

 

奇妙な3人の共同生活が始まった。それでも、なんとかして脱出しようと思うミシェルは、隙を見てハワードの合いカギを奪取し、地上に通じるドアまでたどり着く。ちょうどその時、ドアの向こうに助けを求める女性が現れる。それを見たミシェルは、なんらかの毒ガスに冒されている風貌の彼女に恐怖し、外に出る機会を逃してしまった。

 

一体何が外の世界で起こっているのか、そして、ハワードの目的は何か!? ミシェルは表面上はハワードとのシェルターでの生活を受け入れたように見せつつ、エメットとともにある計画を実行しようとしていた……。

 

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解説

2008年の話題作『クローバーフィールド/HAKAISHA』の続編……? な作品だ。怪獣映画を“POV(Point of view)”で製作するという離れ業をやってのけた前作だが、本作はごく普通に客観視点の劇映画。

 

しかし、怪獣映画でありながら逃げ惑う人間を追い続けた異色の作品だった前作同様に、本作は怪獣映画でありながら閉鎖空間での疑心暗鬼な人間関係に焦点を当てた映画になっている。ある意味、どちらもテーマであるはずの“怪獣”は背景でしかないのかもしれない。

 

そんなわけで、本作もほとんど“怪獣”は出てこない。「奴らはあらゆるフォームでやってくる」的なキャッチコピーだが、それが何を意味しているのかは、とりあえず置いておいて、という感じなのだ。

 

舞台はとあるシェルターの中。登場人物は基本3人。まるで舞台劇のような状況で話は進む。ヒロインのミシェルは、いうなればごく普通の若い女性。謎のシェルターの主ハワードは、一見優しげだがどこか大きな心の闇を抱えていそうな男。自らシェルターに避難してきたエメットも、どこにでもいるような若者でしかない。

 

異常なのはハワードが決して外に出ることを許可しないこと。果たして外では何が起こっているのか? もちろん、前作を観たことがある人は、あの事件が関係していると思うだろう。しかし、そんなことはどうでもいいことで、外の世界の異常は、実は本作にとっては大した問題ではない。重要なのは、今、この場で何が起こっているのかということ。つまりミシェルの身に起こった異常な監禁生活なのだ。

 

さて、ここでハワードを演じるジョン・グッドマンの存在がとにかく大きい。見た目はもちろんだが、重要なのは彼が演じるハワードがどんな人物かということ。ガタイのデカイいかにもアメリカンなオヤジで、けっこう繊細で優しいところもあるが、ミシェルが外に出ようと考えるだけで激怒したりする不安定さがある。彼が、本当は良い人なのか悪い人なのか、これが最も大きなポイントかもしれない。

 

そして演じるジョン・グッドマンといえば、名前通りに“良い人”役で定評がある俳優でもあり、なんといっても『モンスターズ・インク』シリーズでの主人公サリーの声が印象深い名優だ。つまり、本作でもハワードが怪しいと思うんだけど、本当は良い人かも……!? と思ってしまう。

 

つまりこの映画は、怪獣映画というよりも、監禁テーマのサイコ・サスペンスとして観た方がしっくりくる作品だ。もし、『クローバーフィールド/HAKAISHA』と世界観がつながっているとしても、“それどころじゃなかった”人々の記録なのかもしない。

 

そして、真実が明かされると同時に襲いくる“奴ら”!! どんな“フォーム”でやってくるのかは、実際観てのお楽しみだ。

 

ところで、本作のクライマックスには相当グロいシーンが用意されている。半端なスプラッター・ホラーでは太刀打ちできないくらいの衝撃的な描写なので、苦手な人はそこだけは覚悟して観るように!

 

 

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一家団欒風な食卓風景だが、地下にあるシェルターでも時おり地上の爆音が鳴り響くのが感じられる。なんらかの異常事態が外の世界に起こっているのは確かのようなのだが……。ちなみに、このシェルターはハワードが自力で創り上げたお手製で、原爆投下にも耐えることが可能らしい。数年間分の食糧と水が貯えられた完全防備、無敵のシェルターなのだ。実際、アメリカではこのようなシェルターを作って世界滅亡に備える“ドゥームズデイ・プレッパーズ”という人々が実際にいるということも押さえておこう。

 

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自ら怪しげなシェルターにやってきたというエメットの存在が、ハワードの言う“外は危険”という発言に真実味を与える。このエメットを演じるジョン・ギャラガー・Jr.はTVドラマやブロードウェイを中心に活躍する若手俳優。ミシェルを演じたメアリー・エリザベス・ウィンステッドは“ジョン・マクレーンの娘ルーシー”で有名だが、『ファイナル・デッドコースター』『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』『遊星からの物体X ファーストコンタクト』などなど、本誌読者にはとってもお馴染みの女優さん。今回もタンクトップにジーンズで頑張っています!!

 

05

ずっとこのシェルターの内部だけが舞台で物語は続くので、果たして前作の舞台ニューヨークと関係があるのか、どうなのかも不明。ちなみに“10 Cloverfield Lane”という、まるで“住所”みたいなタイトルだが、この謎もラストには明かされるぞ。

 

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DATA

10 クローバーフィールド・レーン

  • 監督:ダン・トラクテンバーグ/製作:J・J・エイブラムス、ほか/原案・脚本:ジョシュ・キャンベル、マット・ストゥーケン、ほか/出演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジョン・グッドマン、ジョン・ギャラガー・Jr、ほか
  • 配給:東和ピクチャーズ
  • 上映時間:104分
  • 6月17日より全国ロードショー

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