オモチャがテレビそっくりに――「仮面ライダー 光る回る電動変身ベルト」五十嵐浩司のお蔵出し 第1回
はじめに
電撃ホビーウェブをごらんのみなさん、初めまして。五十嵐浩司と申します。このたび、「五十嵐浩司のお蔵出し」というコラムを連載することになりました。よろしくお願いします。30年以上に渡って集めてきた、オモチャやプラモデル、そのほかキャラクターグッズについて書いていこうと思います。
とはいえ「あんた誰?」という方も多いと思いますから、まずは自己紹介を兼ねて、自分のオモチャ初体験を語って行きましょう。
自分は1968年、青森県に生まれ育ちました。記憶を遡って最初に浮かんでくるオモチャはポピーの「仮面ライダー 光る回る電動変身ベルト」(1972年発売)です。諸事情で実家を出てアパート暮らしをしていた、北国の短い夏の頃だったと思います。
その頃、『ウルトラQ』の再放送を見て、「バルンガ」と「ガラモンの逆襲」のラスト・シーンが怖くて震え上がっていました。
その記憶を頼りに新聞を調査したところ、青森放送が『ウルトラQ』を再放送したのは1972年ということがわかりました。なので、ほとんど発売から間を置かずに手に入れたことになります。
当時は変身ベルトを巻き、三輪車に乗って仮面ライダーになりきっていましたが、タイフーンの“重たさ”が一番印象に残りました。腰に巻いた時に思ったのは、「本物の変身ベルトってこんなに重いんだなー」ということです。確かにタイフーンの外側は金属製だし、中にはモーターやら電池が入っていますから、重いのは当たり前ですね。パッケージにも堂々と「このベルトはライダーに変身する時に使われている物と同じです」と書かれていました。
しかし、それだけではありません。立体で造形されていて、かつテレビと同じ機能を備えている――つまりこのオモチャは、外見も中身もテレビに出ている変身ベルトを忠実にすることがテーマとなっています。ゆえにその重さから、自分はテレビに出てくる変身ベルトを想像できたわけです。ポピーの変身ベルトを“本物”として感じられたのは、このような理由からでした。
改めて日本のキャラクター玩具史を俯瞰すると、メーカーの“テレビに近づけたい”という意志に技術が追いついたのが1970年代からという感触があります。このリアル嗜好とでも表すべき取り組みは、やがて「超合金」「ガンプラ」を生み出すことになります。間違いなく、「仮面ライダー 光る回る電動変身ベルト」はその急先鋒と見て間違いないでしょう。
そんなわけで、コレクションアイテムとともに、当時のおもちゃシーンと自分史を振り返る「おもしろくってためになる」連載にしたいと思ってます。よろしくお願いします~!!
プロフィール
いがらし・こうじ。1968年、青森県生まれ。1992年よりフリー編集者およびルポライターとして活動中。主なジャンルはアニメーション、特撮、トイやプラモデルのホビー関連。2015年には、アニメーション研究家として「メカニックデザイナー大河原邦男展」の監修を担当している。近作は『スーパー戦隊Walker』『アクティヴレイド -機動強襲室第八係-』(BD解説書)の編集など。