『キャプテン・アース』デザインの現場 高倉武史(その1)

更新日:2014年7月23日 13:10
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『キャプテン・アース』に深く関わるデザイナーの皆さんに本作品をデザインという視点から語っていただく「デザインの現場」。第2回はGlobe種子島基地やペガサス号、そして機動列車など、本作の舞台を演出するメカ美術を担当した高倉武史氏でお贈りします。作品全体のイメージを決定づける美術に関わるデザインを担当した氏ならではの想いの数々を紹介。

 

インタビュー:電撃ホビーマガジン編集部(2014/5/30)

※インタビューで語られる画稿は電撃ホビーマガジン2014年8月号に掲載されています。

 

<PROFILE>

コヤマシゲト(こやましげと)
デザイナー。1975年/東京都出身。04年、OVA『トップをねらえ2!』に参加したのをきっかけに、多数のアニメ作品にかかわる。五十嵐卓哉監督作品では前作『STAR DRIVER 輝きのタクト』のサイバディデザインに引き続き、『キャプテン・アース』ではエンジンシリーズデザイン・メインデザインワークスを担当する。

 

高倉武史(たかくら・たけし)
メカニックデザイナー。1968年/北海道出身。デザイナー、荒牧伸志氏の薫陶を受けアニ メ業界に入る。『ジーンシャフト』での仕事を転機に、メカ美術のエキスパートとして勇躍。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』をはじめ、多数の作品に関わる実力派。『キャプテン・ アース』では種子島基地など、地球でのGlobeのメカ美術デザインを担当する。

 

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『きっかけはアニメが好きだったことです』

 

―まずはデザイナーになったきっかけを教えてください。

 

高倉武史(以下、高倉):きっかけは、アニメが好きだったことです。子供の頃にアニメが好きで、それを模写して、同人誌とかを作ったりして……その先でデザイナーになれるものならなってみたいと考えていたら、幸運にもなれた、というところです。

 

―どういったきっかけで業界に?

 

高倉:『キャプテン・アース』でもメカデザイナーとして関わってらっしゃる荒牧伸志さんが、学生の時の同人誌を見てくれて、「手伝いをしてみないか」と声をかけてくれたんです。僕はその時すでに学校を卒業して普通の会社に就職していたのですが、やっぱり絵を描きたいな、と思って(笑)。それで会社を辞めてアニメ業界に入りました。

 

コヤマシゲト(以下、コヤマ):ちなみに、その同人誌はどんな同人誌だったんですか?

 

高倉:メカ系ですね。ただ当時、同人誌を作っていたサークルの代表が、「漫画が基本」という方針だったので、ジャンルとしては創作漫画でした。創作漫画の中にSFメカが登場する、という感じで。内容もストーリー漫画がメイン。ただ、メカが好きなので、漫画を描いていてもメカが出てくると、そのデザインばかりをやり込んじゃって、ストーリーが全然進まないんですよ。

 

コヤマ:やっぱりその時からメカに重点が置かれていたんですね。

 

高倉:そうですね。キャラで女の子を描くのはもちろん楽しいんですけど、話を進めるコマよりもメカの方が面白くて。例えば、漫画だと爆発とかをちゃんと描かないといけないのですが、それを描いてると、「なんか、面白くない……」と(笑)。

 

コヤマ:完全にデザイナー気質ですね(笑)。アニメーターさんだったら、爆発とかはすごく楽しみながら描くと思いますよ。

 

高倉:ですよね。「ああ、漫画は向いてないな」と描きながら思いました(笑)。同人誌サークルの代表が「漫画を描け!」という方針だったので、僕もしょうがなくとは言わないけど、漫画を描くことを自分に課していました。漫画を描くことが勉強なんだ、という思いで描いていたんです。ただ、同人誌にはデザイン紹介のページなどもあったんで、そこで色々とオリジナルのデザインを発表できていたのは、今のメカ同人誌の人達と同じ感覚ですね。

 

―今回の『キャプテン・アース』に参加された経緯を教えてください。

 

高倉:業界に入った時と同じで、荒牧さんから声をかけていただきましたが、荒牧さんから誘われて参加した作品は多いです。最近では『宇宙戦艦ヤマト2199』があります。

 

コヤマ:荒牧さんは五十嵐監督の前々作と前作の『ソウルイーター』『STAR DRIVER 輝きのタクト』でも多くの美術設定を手掛けられていまして、今回の『キャプテン・アース』でも宇宙基地である天海道や無人軌道インパクターなどGlobe関連の多くの設定を手掛けてくださっているのですが、今回、企画段階で種子島にもGlobeの基地があって、ロケットを打ち上げて……という設定があったので、メカ美術だけでも相当な量があり、比重が他のデザイナーよりも重くなりそうだと予想されたんです。その上、荒牧さんはデザインだけでなく監督もなさるようなお忙しい方なので、とてもここまでの仕事量は頼めそうにないと……それで、美術としてメカをデザインできる人って誰かいませんか、という話を荒牧さんにしたら、高倉さんの名前が挙がったんです。僕としては『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』で高倉さんとお仕事をご一緒させて頂いていたので、「あの高倉さんですか……!?」と盛り上がってしまって(笑)。「可能なんですか!?」って、荒牧さんに聞いたら「ちょっと話を付けてみる」と仰って、声をかけてくださったんです! そこから、本格的に高倉さんが参加してくれることになりまして。これはもう、ものすごい助っ人が『キャプテン・アース』に来たぞ、と。

 

高倉:荒牧さんに依頼されたらもう断れないです(笑)。もちろん、コヤマさんからのオファーでも僕は引き受けさせてもらいますよ。

 

コヤマ:いやいやいやいや(笑)。

 

高倉:そうして、召喚されたという(笑)。

 

―画稿を拝見させていただくと、クオリティはもちろん、物量がものすごいですね。

 

コヤマ:しかも幅が広いですから。100点くらいあります。

 

高倉:これは謙遜でもなんでもなく、自分では点数が足らないと思っています。本当はこれの3倍くらい描いてやっと義理が果たせるので、もう本当に申し訳ない気分で。それくらいの点数を描いている人が業界にはたくさんいらっしゃるので。でも、100という数字を聞けて、良かったです。ちょっとだけ免罪符をもらったかなという気になりました。

 

―『キャプテン・アース』のお仕事について具体的な内容をお聞かせください。

 

高倉:メカ美術ですね。Globeのある種子島基地の画稿が一番多いと思います。

 

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コヤマ:最初は、脚本の榎戸(洋司)さん、五十嵐監督、大藪プロデューサー、僕という少数のみで種子島に取材に行ったんですけど、その時に、これを描いてもらうんだったら高倉さんにも取材に行ってもらわないと、と強く感じまして。念願かなって2回目に一緒に行っていただきました。

 

高倉:Globe基地全景を描いた時は、まだ種子島に行っていないんです。色んな資料を集めて、デザインを起こして、場所ごとのリアルな機能を理解して。そうして理解していくと、細かいところがもっと知りたくなったんだけど、写真で見てもどういうものか分からない。その時にちょうど2回目(の取材)に行くというので、「じゃあ行きます!」と。不思議なもので、1回描いているので、行くと構造がすぐ理解できるんですよね(笑)。資料というのは世に出回っているものは古かったりするので、実際の風景とは微妙に違ってたりするんです。僕の頭の中で駐車場だった場所が、別の施設になっていたりとか。取材で本物を見てそれがすごく理解できた。

 

コヤマ:一般の人よりもはるかに全然詳しくなっていたと(笑)。

 

高倉:当時は詳しかったんですが、いまもう全部忘れました(笑)。

 

コヤマ:Globe種子島基地の司令塔は、宇宙開発機構(JAXA)の広報向けにロケットの打ち上げなどを撮影するプレス用の施設がベースなんですよね。

 

高倉:これを基地にしよう、ということで始まりましたね。

 

コヤマ:地球防衛組織の基地ということで、ちょっと近未来なものにしつつ、Globeという組織のテクノロジーとか、デザインラインみたいなものを設定する作業を高倉さんにしてもらいました。Globe種子島基地は直線と曲線が入り交じりつつ、なおかつ宇宙科学的な香りがある。だけど、人類が作れるレベルの技術で、最新のものが投入されている、みたいな設定ですね。

 

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(7月7日につづく 1/4)

 

<関連情報>

キャプテン・アース公式サイト

その1:『きっかけはアニメが好きだったことです』

その2:『Globeは研究室、マクベスは軍事施設、といった違いが出せるように考えています』

その3:『昔は飛ばない飛行機を描くと業界で怒られてましたからね』

その4:『誰が描いても同じように見えるシンプルでカッコ良いものを考えるようにしています』

 

(C)BONES/キャプテン・アース製作委員会・MBS

 

 


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