『キャプテン・アース』デザインの現場 高倉武史(その2)

更新日:2014年7月23日 13:08
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1-A

 

『Globeは研究室、マクベスは軍事施設、といった違いが出せるように考えています』

 

インタビュー:電撃ホビーマガジン編集部(2014/5/30)
※インタビューで語られる画稿は電撃ホビーマガジン2014年8月号に掲載されています。

 

―高倉さんはオーダーを受けた上で、気をつけたところはありますか。

 

高倉:五十嵐監督は空や海、緑といった自然にメカが浸食されている感じ、というイメージを抱いていたので、それを具現化していきました。監督は「海と山と空とメカ」というテーマをずっと言われていたんです。

 

コヤマ:五十嵐監督も高倉さんも、実際に取材に行かれているので、地形や場所を把握して、その上で基地や建物を最新鋭に改造していくという風にデザインされていきましたよね。男の子が架空の秘密基地を作っていくようなロマンのある作業でしたが、大変だったとは思います。五十嵐監督にも「Globe基地は建てられたのが新しいけれど、嵐テッペイのいた施設はそれよりも古い」みたいなビジョンがあったので、そういった建設の時期による外側の見え方の違いみたいなものも表現してもらってます。

 

高倉:最終的には美術さんが経年変化の汚しを入れてくれたりしています。

 

コヤマ:Globeの施設なんかも実際の種子島の施設の写真と見比べてもらうと、高倉さんが描かれたことで、ちょっとテクノロジーが上がっていることが分かってもらえると思います。

 

―男の子の心をくすぐる部分ですね。

 

コヤマ:そうですね。リアルで説得力のある部分ですね。今作においてはアースエンジンというものがとびっきりのウソなわけですが、打ち上げる段階から「これはウソっぱちだ」と思われてはいけない。作品の構造的には宇宙に行けば行くほどウソになっていくわけだから、地上にいる時には説得力が欲しかったんです。そこで高倉さんに「兄貴、お願いします!」と(笑)。ロケットだとか、射場とか基地施設とか。そういうところの説得力を全て担ってもらった感じです。

 

高倉:いやいやいや(笑)。

 

コヤマ:なので、僕は安心してロボットに角を生やしたりできるわけです(笑)。

 

1-C 2-10

 

 

―メカ美術ということで他人のデザインしたメカとの絡みに苦労した部分はありますか?

 

高倉:他の人がデザインしたものに合わせる苦労はないですね。コヤマさんのアースエンジンやオーディナリーにしてもリアルに引き立てることを目的にこちらもデザインしているので。プラモデルに例えるなら、プラモデルをリアルに引き立てるベースとかアクセサリーという感じで考えていましたので、無理はなかったです。

 

―マシングッドフェローなどの登場メカについて、その役割やアクションを理解された上で設備のデザインをされたのでしょうか?

 

高倉:そこに関しては設定をいただいていますので、リアルであると同時に、それが引き立つようにしています。

 

コヤマ:Globeとマクベスの施設は技術的に似ているんだけど、デザインのラインは変えてもらいました。

 

高倉:五十嵐監督の意向で、Globeは研究室、マクベスは軍事施設、といった違いが出せるように考えています。こういった陣営を表現する舞台装置を描くような仕事が僕への依頼としては多いんです。ガジェットによっては、巨大なサイズだったりもしますが。

 

2-08 2-07

 

 

―画稿を拝見していると、今回の作品で評価されている合体シーンを担うペガサス号や発射台のギミックも考えられていますね。

 

高倉:ペガサス号は現代のロケットと同じようなシークエンスで発射される前提だったので、実在のままにならざるを得なかったんです。でも、宇宙に行くとコヤマさんのすごいスーパーロボットが待っているので、その間をどう繋ぐかが考えどころでした。ペガサス号は本体のロケットが普通の形なので、周辺のメカは未来的にした方が良いかな、という意図で射場や発射台を少し未来っぽいデザインとしました。ここもリアルにしちゃうと実在のものと変わりがなくなってしまう、というのもありますし。

 

コヤマ:発射台のラフ画稿が上がった時、僕はもう「これのミニチュアが欲しい!」と思いました。もちろん、可動してシャッターの開くヤツ(笑)。普通の射場は開閉ギミックなどは当然無くて、設置してあるロケットが飛んでいくだけなんですけど、高倉さんのデザインされた射場は、いわゆるワンダバ感覚といいますか、そういう五十嵐監督がやりたかったであろう美術的な部分を高倉さんには理解してもらって、こういったギミックを考えてもらっています。

 

2-01 2-02

 

 

高倉:ペガサス号も未来的だからといってデザインを狙い過ぎると個人的に怒られそうな人がたくさんいるので、実在のロケットとあまり変えませんでした。デザイナーの仲間にはロケットファンも多いので、その人たちから突っ込まれないように真摯な形にしています(笑)。

 

―そのような制約があるんですね。

 

高倉:これはそれだけではなくて、許される範囲でフィクショナルな形状を狙うという自分の縛り(ルール)でもあるんです。例えばロケットというのはまったくムダのない機械でデザイン的にはシンプルなんです。そうでなければ宇宙に行けない。でもそういったリアルにこだわり過ぎてしまうとエンターテイメントとして面白味のないデザインになるので、どこかでちょっと外さなきゃいけない。けど、外し過ぎると「おかしいだろ!」という突っ込みを受ける。ペガサス号ではロケットの先端に輸送するものを入れて軌道上でそれを切り離す、という今のロケットと同じ機能を考えつつ、胴体は見栄えがするように中ほどで絞っています。実際は絞る意味は何もないんですけどね(笑)。ただこのあえて絞る、というのが「外す」行為なんです。アニメ的にアレンジする、とも言いますが。

 

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コヤマ:でも、高倉さんのはアニメ的なラインでありながらも、航空宇宙工学を踏まえたデザインであるというか。しかもきちんと戦闘機とかではなく、スペースシャトルなどが持っているラインになっているんですよ。

 

高倉:そのさじ加減はすごく気にしながらデザインしています。

 

(7月14日につづく 2/4)

 

<関連情報>

キャプテン・アース公式サイト

その1:『きっかけはアニメが好きだったことです』

その2:『Globeは研究室、マクベスは軍事施設、といった違いが出せるように考えています』

その3:『昔は飛ばない飛行機を描くと業界で怒られてましたからね』

その4:『誰が描いても同じように見えるシンプルでカッコ良いものを考えるようにしています』

 

(C)BONES/キャプテン・アース製作委員会・MBS

 


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