70年代の爆発的「アメフトブーム」が生んだ謎玩具「カレッジエース」とは何か!?【連載:懐かし玩具アーカイブス】

更新日:2016年8月18日 20:18

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文・写真●初見健一/編集●ジマ丸(電撃ホビーウェブ編集部)

大ブームを起こしたアイテムから知られざる駄玩具まで、かつて昭和っ子たちを夢中にさせた「懐かし玩具」を、昭和キッズカルチャーをこよなく愛するレトロ系ライターが紹介する連載企画。今回のテーマは、「超合金」と「アメフト」の2大ブームに乗って発売されたものの黙殺され、意味不明な「謎玩具」として歴史の闇に葬り去られたクローバーの「カレッジエース」だ!

 

 

30年越しの「謎」

これまでの「懐かし玩具アーカイブス」では、同世代であれば一定の共感を得られるであろうヒット商品ばかりを扱ってきたが、今回はその対極に位置する「知られざる“迷品”」を取りあげてみたい。

 

売れなかったどころか、そもそも誰も覚えていないと言っても過言ではない商品なのだが、筆者自身はこの玩具に対しては長らく強烈な愛着と執着を抱き続けてきた。

 

筆者は現在、昭和レトロ系ライターなんぞという非生産的かつ完全に後ろ向きな仕事を生業にしているが、「なんでもやたらと懐かしがる」というダメ人間特有の傾向は中学生の頃からあった。

 

当時もよく園児~小学生時代に親しんだお菓子やオモチャの話で同類のダメ人間たちと盛り上がっていたが、あるときに「超合金」の話になった。筆者は小学生時代に大好きだった「合金玩具」を思い出して、「そういえばさ、変なアメフト選手の金属人形があったよね?」と話題をふったのだ。

 

しかし、たいていのネタには「あった、あった!」と身を乗り出してくるダメ人間仲間たちが全員「は? そんなの知らないよ」などとのたまい、シラケた顔をしやがったのである。

 

01本体

▲変なアメフト選手の金属人形……。

 

言っておくが、その「変なアメフト選手の金属人形」はローカルな駄玩具などではない。当時は商品名もメーカー名も思い出せなかったが、地元駅前のオモチャ屋でもちゃんと大々的に売られていたし、渋谷のデパートの玩具売場には発売時に専用コーナーができていた。

 

だが、いくら筆者が「知らないはずはないだろ!」とアツく説明を繰り返しても、ダメ人間どもはまったく無反応。誰一人覚えていないのである。

 

以来、高校、大学、そして社会人になってからも、同世代の「回顧癖」のあるダメ人間に出会うたびに「変なアメフト選手の金属人形」について聞いてまわった。しかし、返答は決まって「知らん」なのである。

 

90年代後半、ようやく普及し始めたインターネットでも、まっさきにこの案件について調べたことは言うまでもない(我ながらしつこい)。さまざまな検索語を駆使したが、その当時はネット上にも情報は皆無だった。

 

この「謎玩具」の正体がようやく判明したのは、それからさらに数年後、「ヤフオク」が活況を呈し、膨大なレトロ玩具が出品されるようになってからだ。出品商品リストのなかに、ついに見つけたのである!

 

その姿を30年ぶりに目にして、「うわっ、これだっ!」と思った瞬間、背中に鳥肌が立って、なぜか不覚にも泣きそうになったことを覚えている……。

 

02箱表▲「カレッジエース」外箱。発売はおそらく1976年ごろだと思われる。

 

「変なアメフト選手の金属人形」の正式商品名は、「N合金 カレッジエース」。メーカーは『機動戦士ガンダム』のダイカストモデルで知られるクローバーだ。やはりれっきとしたメジャーメーカーの商品だったのである。

 

……あまりに前置きが長くなってしまったが、もう少しつきあっていただきたい。
この「謎玩具」が製造された背景と、どうして「知られざる“迷品”」になってしまうほどに売れなかったのか?という事情を今に伝えるには、70年代のキッズカルチャーにおける2つの巨大なブームについて触れておかなければならない。

 

03箱裏▲外箱裏面。なんともボンヤリとした感じの商品説明。「N合金」「ナウなコレクションモデル」といったフレーズが怪しげ。

 

 

「超合金」の衝撃!

「超合金」。これについては同世代にはもはや説明不要だろう。1974年にポピーから発売されたダイカスト(亜鉛合金)製の(主に)ロボットフィギュアのシリーズであリ、男児玩具の世界に一種の「革命」をもたらした商品である。

 

「超合金」が当時の子どもたちに与えた衝撃の大きさは、現在の若い人にはちょっとピンとこないかも知れない。というか、衝撃をモロに受けた世代であっても、「超合金」と最初に出会ったときの驚きはいまひとつ言語化しにくい。

 

04超合金広告1▲歴代「超合金」を紹介している懐古調のポピーの広告(1980年のもの)。

 

従来、アニメや特撮のヒーローのフィギュアは、ロボットであろうと変身ヒーローであろうと、基本的にはソフビ製が主流だった。

 

それを除けば、組み立て式のプラモデルのキットか、73年に発売されて人気を博したポリプロピレン製の大型フィギュア「ジャンボマシンダー」シリーズ(ポピー)、そしてタカラが展開していた着せ替え式のアクションフィギュア「変身サイボーグ1号」などが例外的に存在するだけだったのだ。

 

そんな時代に、人気のロボットキャラをズッシリと重たい金属で再現したのが「超合金」シリーズだ。

 

このアイデア自体は、それほど斬新なものとは言えないかも知れない。ロボットは本来金属製ということになっているわけで、「だったら金属製のフィギュアにして商品化してみよう」という企画が出るのは当然のことである。また、ダイカスト製のミニカーははるか昔から男児玩具の定番であり、同じ素材をロボットフィギュアに応用するという発想は、それほど突飛なものではない。

 

だが、「超合金」シリーズ第1号商品である「マジンガーZ」をオモチャ屋店頭などで初めて目にした当時の子どもたちは、誰しも「うわっ! き、き、金属だーっ!」と驚愕したのである(実は、これ以前にもダイカスト製のフュギュアは一部に存在していたらしいが、大半の子どもたちは認知していなかった)。

 

筆者も10歳のころ、某駅ビル内のオモチャ屋で発売直後の「超合金マジンガーZ」と初対面したが、そのときの驚きはいまだに覚えている。

 

変な言い方だが、アニメのなかで金属製と設定されているロボットが、あろうことか本当に金属で再現されてしまっていることに、なんだか目眩のようなものを覚えてクラクラしてしまった。仮想世界の物体がそのまま現実の側にはみ出して来てしまったような衝撃があり、「うれしい!」とか「欲しいっ!」とかいう以前に、この現実はまだちょっと受け止めきれない……みたいな奇妙な戸惑いに襲われたのである。

 

大袈裟な言い方をすれば、映画『リング』のラストで「貞子」がブラウン管から這い出してくるように、本物の「マジンガーZ」がテレビから抜け出してきたような錯覚に襲われたのだ。

 

今からすれば「そんなアホな」という感じだが、フニャフニャのソフビ製の「マジンガーZ」を手にしながら、「これは金属なんだ! 硬いんだ! 重いんだ!」と無意識に脳内で「物質変換」しながら遊んでいた当時の子どもたちは、多かれ少なかれ「超合金」にそうした未知の衝撃を覚えたはずである。

 

05超合金広告2▲1976年、学年誌などに掲載されたポピーの「超合金」広告。この年、一押し商品となっているのは「ダンガードA」だった。

 

実際の「超合金マジンガーZ」は造形的には本物っぽさは皆無で、フォルムは不格好、可動する関節はほんのわずか、お腹にはデカデカと「マジンガーZ」というシールが貼ってあるし、腕をちょっと触るとすぐに「ロケットパンチ」が誤射されてしまう……というシロモノだったが、とにかく「金属製である」という一点突破で、「伝説的」とも呼べるエポックメイキングな傑作玩具となったのである。

 

当然、記録的な大ヒット商品となり、各社もこぞって類似の商品を出しまくった。もちろん「超合金」という言葉はポピーのブランドなので使用できず、「○○合金」もしくは単に「合金」といったフレーズを冠したさまざまな商品が当時の玩具市場にあふれたのだ。

 

 

なぜか語られない「NFLブーム」

もうひとつ、「カレッジエース」を語る際には抑えておかなければならない重要なブームがある。不思議なことに、このブームは70年代なかばから後半にかけてキッズカルチャーを席巻するほどに影響力の大きなものであったにもかかわらず、今ではほとんど語られることがない。それが「NFLブーム」だ。

 

「NFL」とは「ナショナルフットボールリーグ」の略称で、つまりはアメリカンフットボールのブームである。

 

これはスポーツとしてのアメフトが流行したということではない。
主にファッションと雑貨市場における流行であり、あくまで「NFLグッズ」、つまりアメフトリーグの各チームロゴを配した文具、雑貨、アパレル商品などが、小学生から若者世代にかけて、男女を問わずに流行したのである。

 

80年代の「陸(おか)サーファー」みたいなもので、当時、筆者を含めて、このブームに乗っかって全身を「NFL」関連のアパレル商品でキメていた男の子や女の子たちは、ほとんどがアメフトのルールすら知らなかったと思う。

 

06リルプロ_▲当時の「NFL」の公式キャラクターだった「リルプロ」。ブームを象徴するキャラで、これをプリントした文具や雑貨、ソフビ人形なども人気を博した。

 

ブームの最初のきっかけとなったのは、フィンガー5の74年のヒット曲「恋のアメリカン・フットボール」。アメフトスタイルで歌って踊る彼らの姿に、多くのティーンエイジャーたちが「なんかアメリカっぽくてカッチョいい!」と反応した。

 

もちろん本国アメリカでもアメフト人気は全盛期で、当時の青春映画には若者たちがチームロゴの入ったトレーナーをさりげなく着ていたり、部屋に「NFL」関連のポスターを飾っていたりする光景がよく見られた。そうしたアメリカ文化からの直接の影響もあったのだろう。

 

07フィンガー5▲フィンガー5ベスト盤のジャケより。「恋のアメリカン・フットボール」で彼らが披露したアメフトスタイルの衣装。今見るとどうかと思うが、当時はこれがカッコよかったのだ!

 

子ども文化において、「NFLブーム」はまず文房具市場でブレイクした。マルマンなどの文具メーカーが「NFL」と契約し、オフィシャルなロゴ入りグッズを出しまくったのである。筆箱、下敷き、消しゴムなどなど、当時の子どもたちのランドセルの中身は「NFLグッズ」だらけとなった。

 

なかでも大ヒットを記録したのが「グルービーケース」。これは70年代なかばから流行しはじめた厚紙製の箱型ブリーフケースで、70年代のナマイキな小学生たちは「アメリカのハイスクールっぽくてイケてる!」ということで、ランドセルの代わりにこれを小脇に抱えて登校するようになる。

 

当初はミドリというメーカーが出していたジーンズ柄のもの、サンリオの「スヌーピー」などのデザインが「オシャレ」とされていたが、マルマンがアメフトチームのロゴ入り「グルービーケース」を発売すると爆発的に大ヒットし、定番中の定番となった。

 

08グルービーケース01▲流行のきっかけをつくったミドリ製の初期ジーンズ柄「グルービーケース」。これが登場したことで、多くの小学生がランドセルを捨てたのである。

 

このブームの影響は次第にファッション全般、雑貨、玩具などに波及していったが、アニメや特撮ドラマにまで多大な影響を与えていった。
74年の『がんばれ!!ロボコン』に登場する「ロボワル」は、いち早くアメフトスタイルを取り入れたロボットとして人気を博す。
75年に放映が開始された『秘密戦隊ゴレンジャー』も、当初はサッカーをモチーフにした必殺技を使っていたが、翌76年のテコ入れでアメフトスタイルに変更された。

 

 

09NFLヨーヨー_▲「NFL」系の玩具といえば、最王手は「スライム」などを販売していたツクダオリジナルだ。このツクダ製の公式ロゴ入りヨーヨーもコレクションアイテムの定番。

 

ブーム全盛期の76年には、登場人物の少年少女がアメフトスタイルで登場するロボットアニメ『ゴワッパー5ゴーダム』の放映が開始され、やはり同年、「アメフト系巨大ロボットもの」の決定版とされる(?)『UFO戦士ダイアポロン』も登場。孤児院でアメフトチームを結成している少年少女たちが、アメフト選手型の巨大ロボットとともに悪と戦う……という非常に無理のある設定の作品だった。

 

ことほどさように、当時の子ども文化を担う大人たちが「なんでもいいからアメフトっぽくしとけ!」と考えるほどに、「NFLブーム」は70年代の一時期を彩る強烈なムーブメントだったのである。

 

 

「カレッジエース」の暴挙と敗因

さて、ようやく本題である!

 

売れなかった無名玩具を語るために、これだけの文字量を費やす必要が果たして本当にあるのだろうか?……という気もしてきたが、それはともかくとして、クローバーの「カレッジエース」は、上記2つの巨大なブーム、つまり「超合金ブーム」と「NFLブーム」の両方に「同時便乗」してやろうという企画から誕生した商品である。

 

10箱&本体_▲目のつけどころとアイデアは確かによかったと思うのだが……。

 

「超合金」が大ヒットしている。同時にアメフトが大流行している。では、アメフト選手の人形を「超合金」化してしまおう。2つのブームの相互作用でとんでもない大大ヒット商品が生まれるはずだ!……という暴挙のような発想が根底にあったことは間違いない。

歴史を「もしも」で考察することは無意味であるとされるが、もしも「カレッジエース」が「NFL」のチームロゴを配した金属製フィギュアだったとしたら、おそらく大ヒット……とまでは言わないが、少なくとも多くの70年代っ子たちの記憶に残る傑作玩具になり得ていたと思う。

 

少なくとも当時の筆者は眼の色を変えてシリーズを集めようとしただろうし、周囲の男児たちも同様だったはずだ。

 

11NCAAライセンス▲「カレッジエース」の箱には、しっかりと「Under NCAA License」と表示されている。いわゆるパチモノなどではないのだ。

 

なぜ、「カレッジエース」は黙殺され、今となっては誰も知らない「謎玩具」として闇に葬り去られたのか?

 

答えはいたって単純である。「カレッジエース」はその名の通り、プロリーグである「NFL」ではなく、全米「カレッジフットボールリーグ」をモチーフにしていたからだ。

 

12リーグ表示▲シリーズは実在するカレッジリーグをモチーフにしており、それぞれのリーグで本体のカラーリングが異なる。

 

カレッジフットボール……?

 

つまり、アメリカの大学生たちによるフットボールチームなのである。
なんだ、そりゃ? 誰も知らないよ、そんなの!

 

そうなのだ。

 

大流行していたのは、フットボールそのものではない。あくまで「NFL」の各チームのロゴのカッコよさ、そのファッション性に我々はシビレていただけなのだ。
グッズが売れまくっていたのは、ピッツバーグ・スティーラーズやマイアミ・ドルフィンズなど、人気チームのカッコいいロゴがそこにプリントされていたからこそなのである。

わかりやすく言えばこうだ。

 

70年代のプロ野球ブームのときには、多くの子どもたちがジャイアンツやタイガースのロゴ入り野球帽を自慢気にかぶっていた。
あのときに「野球が流行っているらしいから」ということで、業者が高校野球グッズを子ども向けに発売したら売れただろうか? 「早稲田実業」とか「PL学園」のマーク入り帽子が子どもたちの間で大ヒット商品になるだろうか?
なるわきゃねーだろっ!

 

13リーフレット▲商品に同封されていたカレッジフットボールに関する解説リーフレット。各大学のロゴがズラリと掲載されているのだが……だから誰も知らないって、こんなの!

 

驚くべきに、クローバーはちゃんと「NCAA」(全米大学体育協会)のライセンスを取得し、各カレッジリーグのロゴ使用に関して、正式な契約を結んでいる。「カレッジエース」だけでなく、玩具や雑貨などの分野でも大学リーグのロゴ入り商品の展開を仕掛けていた。

 

当然のことながら、それらは完全に子どもたちからガン無視されて終わったが、なぜ大人気の「NFL」ではなく、わざわざ誰も知らない大学リーグなんぞのライセンスを取得したのだろう?

 

今となっては実情は謎だが、おそらく理由は2つしかない。企画段階でアメフトブームの実態を完全に誤解しており、「アメフト関連ならなんでも売れる!」と考えていたか、もしくは「NCAA」の方が「NFL」よりもライセンス契約料がやすかったから……というミもフタもない理由のどちらか。あるいは、その両方だ。

 

14クローバー広告▲当時のクローバーが展開したアメフト関連の商品カタログ。ヘルメットからボールまで手広く手がけていたのである!

 

かくして「カレッジエース」は、単にフットボールの格好をした見知らぬアンちゃんの金属人形……という、まったく意味不明の「謎玩具」として、売り上げも残せず、大半の子どもたちの記憶にも残らぬまま、玩具史の闇に消えていった。

 

15カレッジエース顔▲ヘルメットを脱がした状態の「カレッジエース」。明らかにミクロマンを意識したデザインだが……ガッカリ感がハンパない!

 

大ヒット商品となる可能性にあと一歩のところまで近づきながら、なぜかみすみすそれを逃してしまう。このあたり、クローバーらしいと言えなくもない。

 

同社は79年以降、『機動戦士ガンダム』のスポンサーとして名を知られることになり、ダイカストモデルの「ガンダム」シリーズを一手に販売した。そればかりか、筆頭スポンサーとして作品自体の設定などにもあれこれと口を出していた恐ろしい会社なのだ。本来は80年代初頭の凄まじい「ガンダム」ブームの中心にいてもおかしくない、いや、いなければおかしいメーカーなのである。

 

が、クローバーの「ガンダム」関連玩具は造形などがかなりアレで、ブームを支えたマニアの層には評判が悪く、バンダイの「ガンプラ」のような社会現象を起こすことはまったくできなかった。

 

そして83年、あっさりと倒産してしまう……。

 

16クローバーロゴ▲在りし日のクローバーのロゴ。『機動戦士ガンダム』だけでなく、『無敵超人ザンボット3』『無敵鋼人ダイターン3』『戦闘メカ ザブングル』など、日本サンライズ製作のロボットアニメの合金玩具を一手に手がけていたのだが……。

 

しかし、なぜか筆者はこの「カレッジエース」に、当時から奇妙な愛着を覚えていた。その謎めいた感じや、全身の力が抜けてしまうような造形のユルさ、企画した大人たちの「ま、こんなもんでいいだろ」みたいな勘違いやツメの甘さ、いい加減さも含めて、なにかしら言うに言われぬ魅力が確かにあると思う。

 

「誰の記憶にも残らなかった」などと書いたが、筆者同様、「カレッジエース」をしつこく覚えている、というか、忘れたくても忘れられないまま大人になってしまった元70年代っ子は、少数ながらも必ず存在するはずだ。

 

17本体2▲腕の関節部分にスプリングが仕込んであり、ボールを投げることができるというギミックが付加されている……ということになっているが、設計が甘くていまいち機能しない!

 

18本体3▲足の部分の造形に問題があり、バランスが非常に悪いため、台座にセットしないと自立しない!

 

思い出話にまったく花が咲かないほどのマイナー玩具は、一部の人たちには「僕だけのオモチャ」という特別な記憶となってしつこく残り続けるものだ。
もちろん、そんな記憶にはまったくもって意味はないが、それでも40年の時を経過しても消えない思い出を誰かに残したという点で、「カレッジエース」の存在にも意味はあったのだと思いたい。いや、ないかな、やっぱり(笑)。

 

19シール19-2シール解説▲付属するシール。非常に大雑把なデザインで用途も不明。解説には「あなたのお好みに合わせてお貼り下さい」などと投げやりなことが書いてある!

 

【予告】次回は「昆虫採集セット」!
次回のテーマは「禁断の昭和レトロ玩具、昆虫採集セット」です。60年代から子どもたちに親しまれましたが、80年代後半に市場から姿を消しました。いったい何があったのか? その実態と「危険な魅力」をご紹介!

※次回は8月中旬公開予定

 

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●筆者:初見健一
1967年、東京都渋谷区生まれ。出版社勤務を経てフリーライターに。
主に1960~1980年代の玩具やお菓子、キッズカルチャーなどの話題を専門に執筆を続ける昭和レトロ系ライター。主な著書に『まだある。』シリーズ(大空出版)、『ぼくらの昭和オカルト大百科』(大空出版)、『昭和ちびっこ未来画報』『昭和ちびっこ怪奇画報』(青幻舎)などがある。

 

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