謎のロボット集団との出会い――『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』(前編)五十嵐浩司のお蔵出し第5回

更新日:2016年9月30日 20:16

このコラムは、アニメーション研究家・五十嵐浩司が30年以上にわたって集めてきた、オモチャやプラモデル、そのほかキャラクターグッズについて書いていくという連載です。

 

※バックナンバーも併せてご覧ください。

 


 

 

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主にロボットや怪獣が暴れる番組を愛する自分にとって、出会いにはいくつかのパターンが存在します。テレビの番組宣伝や雑誌、新聞……。中にはオモチャ屋さんの店頭が初めての遭遇だった時もありました。そんなオモチャ屋パターンで、ひときわ印象に深いのは『トランスフォーマー』でした。

 

極めて正確にいえば、『トランスフォーマー』との出会いはオモチャ屋が最初ではありません。まだアメリカだけで放送されていた頃、アニメ雑誌の海外レポートで『TRANSFORMERS』のタイトルくらいは見かけていたと思います。とはいえ、頭の片隅にある情報は忘れがちになる運命でもあるわけで……。
高校生の頃、学校から自宅がけっこう離れていたこともあり、帰宅コースにはショッピングセンターや本屋、模型店、玩具店、古書店などが点在していました。自分は帰り際にそれらをウォッチングすることを日々の楽しみにしていたのです。『トランスフォーマー』との出会いも、学校帰りのショッピングセンターでした。

 

『トランスフォーマー』が日本に上陸した1985年は、1983年に最盛期を迎えたはずのロボットアニメが急激に本数を減らした頃でした。特に模型カテゴリーへの影響は大きく、バンダイと日東科学以外のメーカーは手を引いています。当時放送されていたロボットアニメは『機動戦士Zガンダム』『星銃士ビスマルク』『超獣機神ダンクーガ』で、秋から『蒼き流星SPTレイズナー』『忍者戦士飛影』が始まる頃でした。特撮物の『電撃戦隊チェンジマン』のチェンジロボ、『巨獣特捜ジャスピオン』のダイレオンも加わり、オモチャ屋さんの売り場には、かろうじてロボットが主役という印象が感じられます。そのような顔ぶれに加わったのが『トランスフォーマー』なのです。

 

▲パンフレットの表面。4ページで24体ものトランスフォーマーを紹介している。各メンバーの役割も書かれており、玩具カタログであると同時に、キャラクター紹介も兼ねられている。これらが同時にオモチャ屋に並んだ光景は圧巻だった。

 

オモチャ屋さんの棚を丸ごと占拠した、『トランスフォーマー』と記されたパッケージ群……大小合わせて20種類はあったでしょうか。その統一されたパッケージデザインが醸し出すインパクトは絶大なものがありました。しかし、自分が初めて手にしたトランスフォーマーは玩具ではなくパンフレットでした。まずは猛烈なほどに、謎のロボット集団の正体を知りたい気持ちにかられたのです。かくして、売り場に山積みされていた四つ折りのパンフレットを手にしました。

 

帰宅してパンフレットに目を通した時、さらなる驚きがありました。善悪に分かれて戦うロボット生命体というバックボーン、善側と悪側を同格のヒーローとして描いていること、さらにロボットには必ず役職があるという個性付け……。それまで見たロボットアニメにはなかったものでした。強いていえば『機動戦士ガンダム モビルスーツ・バリエーション』が連邦軍とジオン軍を同格に描いたり、各モビルスーツの機能を明確に打ち出している点において近いような気もします。しかし、『トランスフォーマー』はアニメーションであり、主人公はモビルスーツのパイロットではなく、ロボットそのものでした。このロボットたちがどんな活躍をするのか……ぜひ見たい!! 心からそう思えました。しかし、ここは民放テレビ局がわずか二つ(1985年当時)の青森県。放送されるかどうか知るよしもありませんでした。

 

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▲裏面では1985年秋までに発売されるメンバーを紹介している。敵側のデストロン軍団に合体兵士や三段変形ロボなど、オモチャとして注目度の高そうなアイテムが集まっていることに注目したい。

 

パンフレットを手にしてから一つの季節が過ぎた頃、新聞のテレビ欄で『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』が放送されることを知りました。キー局から3カ月遅れです。当時は『Zガンダム』『ビスマルク』が一カ月遅れ、『ダンクーガ』『レイズナー』は未放送という有様なので、まだ見られるだけ全然ありがたい状況でした。しかし、時間帯は土曜あさ7時。最後まで見たら学校に遅刻することは確実です。ビデオレコーダーにすべてを託し、それでも第1話を途中まで見てから学校へ行きました。

 

当日、学校でアニメ好きの級友と『トランスフォーマー』の話になりました。彼は自分よりも学校が近いので第1話は最後まで見ています。まずは一言。「カメラのロボット、あれは何なんだ!」

 

――光学情報兵リフレクターはトランスフォームすると、他のロボットの手のひらに載るカメラになるのです。普段は、他のロボットとそれほど変わらない大きさなのですが――。

 

『トランスフォーマー』は玩具だけでなく、アニメにも日本のロボットアニメにはない世界がありました。荒唐無稽と言ってしまえばたやすいのですが、物語はアメリカ風味のドラマとして突き詰められているから素直に面白い。周りは『Zガンダム』派が大半でしたが、自分は『トランスフォーマー』も楽しく見ていました。

 

次回予告

次回の「五十嵐浩司のお蔵出し」はトランスフォーマー後編ということで、自分が初めて買ったトランスフォーマーのオモチャについてお話したいと思います。お楽しみに!!

 

プロフィール

いがらし・こうじ。1968年、青森県生まれ。1992年よりフリー編集者およびルポライターとして活動中。主なジャンルはアニメーション、特撮、トイやプラモデルのホビー関連。2015年には、アニメーション研究家として「メカニックデザイナー大河原邦男展」の監修を担当している。近作は『スーパー戦隊Walker』『アクティヴレイド -機動強襲室第八係-』『機動武闘伝Gガンダム』(BD解説書)の編集など。

 

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