推しメンは30年前からバンブル――『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』(後編)五十嵐浩司のお蔵出し第6回

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このコラムは、アニメーション研究家・五十嵐浩司が30年以上にわたって集めてきた、オモチャやプラモデル、そのほかキャラクターグッズについて書いていくという連載です。

 

※バックナンバーも併せてご覧ください。

 


 

 

eyecatchある時、巡回コースのオモチャ屋で「トランスフォーマーお買い上げの方にコレクションシートをプレゼント!」という告知を見かけました。要するに商品用のパッケージイラストを使用した下敷きですが、1985年度のキャラクターをほとんど網羅していて、とても魅力を感じました。ならば、この機会に前から欲しかったやつを買うか……!! と決意して、棚を見回しましたが、目当ての物は置いていません。そのアイテムとは情報員バンブルです。自分はカッコよく戦うキャラクターよりも、決して強くはないけど優しいバンブル君が好きでした。

 

そうこうするうちに、見つからないとなおさら欲しくなってしまうイケナイ性分が発動し、青森市内のオモチャ屋さんを探しました。でも、戦闘員クリフや攻撃員ゴングはあってもなぜかバンブルはいない。今から思えば、出番が多くてしかも安価(標準小売価格500円)なので、バンブルは真っ先に売れたアイテムだったのかもしれません。しばらくすると、パッケージングがサック箱からブリスタパックに変わり、バンブルは再び店頭に並びました。自分はやっとバンブルを買ってコレクションシートをもらって帰りました。これが自分の『トランスフォーマー』初オモチャです。先ほど『トランスフォーマー』が善悪同格という話を書きましたが、さらにその群れに大小色んなサイズのロボットがいたのも独自の魅力だったと思います。でなければ、普通に総司令官コンボイを買っていたでしょうから……。ただ、オモチャとアニメでバンブルの顔がまったく違う造形なのは気になっていました。

 

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▲コレクションシート。1985年秋頃までに発売されたメンバーで構成されている。商品用のパッケージイラストを用いており、キャラクター図鑑として機能していた。

 

アニメの放送もそろそろ1クールが終わる頃、青森は真冬でした。雪の積もる中、自分は模型店の特価品コーナーでオモチャを買いました。商品名は「ミクロマン ガンロボ ワルサーP38アンクルセット」。値段もさることながら、『0011ナポレオン・ソロ』のアタッシュケースを模したパッケージデザインに惹かれたのです。さっそく取り出すと、実はこれが『トランスフォーマー』の破壊大帝メガトロンであることに気付きました。中のカタログを見ると、バンブルもクリフもサウンドウェーブもいるじゃないか……!! そこで自分は『トランスフォーマー』が、元々『ミクロマン』や『ダイアクロン』の後期アイテムを流用したものであることを知るのです。そして、ずっと疑問だった、オモチャとアニメのバンブルの顔が全然違う理由もおぼろげながら理解できました。
あれから幾星霜、今ではバンブルはハリウッドスターのバンブルビーとして映画『トランスフォーマー』に欠かせないキャラクターになりました。かつて初代バンブルにシンパシーを感じた自分としては、身近な友人が成功したようにも感じるのです。

 

プロフィール

いがらし・こうじ。1968年、青森県生まれ。1992年よりフリー編集者およびルポライターとして活動中。主なジャンルはアニメーション、特撮、トイやプラモデルのホビー関連。2015年には、アニメーション研究家として「メカニックデザイナー大河原邦男展」の監修を担当している。近作は『スーパー戦隊Walker』『アクティヴレイド -機動強襲室第八係-』『機動武闘伝Gガンダム』(BD解説書)の編集など。

 

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