【あと4日!!!】『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』劇場上映直前!羽原信義監督スペシャルインタビュー!

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取材・文●小林徹也/編集●電撃ホビー編集部

2017年2月25日より、第一章の劇場上映がいよいよ開始される注目作『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』。それに先駆けて2月6日には完成披露上映会が開催され、新旧幅広い層のファンが集まり、その新作を熱狂をもって迎えました。ここではその上映会直前の羽原信義監督にシリーズ開始に向けた意気込みをうかがいました。

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「当初の自分の想定は遥かに超えています」

 

羽原信義(はばら・のぶよし)

XEBEC取締役。メカニックデザイン、キャラクターデザイン、演出、絵コンテ、原画、監督、企画と幅広く活動するマルチクリエイター。1983年よりアニメ業界の第一線で活躍し続け、近年の代表作は劇場版『ブレイクブレイド』、『蒼穹のファフナー』シリーズなど。前作『宇宙戦艦ヤマト2199』にも第九話・第十九話の絵コンテ・演出として参加している。

 

上映会直前の率直な想いとは

――いよいよ本日(2月6日)、第一章がファンの方々に初めて上映されるわけですが、今の率直なお気持ちは?

羽原:いやぁ、昨日からドキドキしっ放しです。なにせ期待をしてくださっている皆さんが一堂に集まってらっしゃるわけですから。どういう風に受け取っていただけるかは不安でもあり、楽しみでもあります。

 

――昔からの『ヤマト』ファンの方々はもちろんですが、声優さんのファンという若い女性の方もいらっしゃってますね。

羽原:嬉しいですね。キャラクターの表現はすごく大事に作っていて、例えば古代と島の距離感や、ちょっとした仕草など、画面の中でも気を付けているつもりなので、その辺は喜んでいただけるのではないかなと。新たなキャラクターであるキーマンとの緊張感ある関係なども注目していただきたいです。

 

――ちなみに関係者への試写会は少し前にあったそうですが、そこでの反応はいかがでしたか?

羽原:僕は一番前の一番端の席で反応を見ていたんですけど、皆さんに集中して見ていただいて、終わった後はお陰様で温かい拍手をいただきました。その時はすごくホッとしたのを覚えていますね。

 

『宇宙戦艦ヤマト』に直撃だった思春期

――監督は一連の旧作シリーズはどのようにご覧になっていたのでしょうか?

羽原:テレビシリーズ第一作『宇宙戦艦ヤマト』の放送が11歳の頃なんですが、僕は本当に最初からハマってまして。当時はまだ「アニメ」という言葉すら一般的ではなく、「テレビまんが」と呼ばれていた時代です。小学校5年生ぐらいになるとみんなもうアニメなんか見なくなるような時代でしたから、周囲に「まだ見てんの?」なんて言われながらガッツリ見てました。

 

――しかし、それから大人世代も巻き込んだ一大『ヤマト』ブームが巻き起こり、監督はそのまさにまっただ中で思春期を過ごされたと。

羽原:そうですね。『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(以下『さらば』)が15歳、中三ではありますが心は中二でした(笑)。

 

――それはさぞかし深く胸に刻み込まれたことでしょう(汗)。

羽原:僕、多分今見ても泣きます(笑)。それくらい好きですね。最初のテレビシリーズと『さらば』は僕の中では旧作シリーズの中でも別格ですね。

 

懐かしくも新しい、そして直球の『ヤマト』を

――その別格の思い入れがある作品をご自身が監督されるというのはどういうお気持ちだったのでしょう?

羽原:いやぁそうですねぇ……決まった時はまずは「マジかよ!?」って感じでしたね。昔の自分の元にタイムスリップして「お前、将来『ヤマト』の監督するよ」って言っても絶対信じないと思います(笑)。やっぱり好きな分だけ思い入れは強くて、その気持ちをとにかくフィルムに焼き付けたいと思って臨みました。

 

――監督は前作『2199』にも各話スタッフとして参加されていたわけですが、それが今回監督に起用されたのはどういう経緯だったのでしょう?

羽原:最初に続編を作るという話を聞いた時は自分に話がくるとはまったく思っていませんでした。確かまだ福井晴敏さんの参加が決まる前で、「脚本に誰かいい人はいませんか?」という話だったんです。それで友人の岡秀樹さんを僕から原作元に推薦したんですよ。岡さんは主に特撮など実写作品の監督をされている方なんですけど、僕も気心が知れていて、『ヤマト』にも熱い想いを持っている方なんです。その後いつの間にかお誘いを受け僕が入っていったみたいな(笑)。

 

――きっと岡氏を推薦する監督の言葉の端々に『ヤマト』愛が溢れていたんでしょうね(笑)。

羽原:そうかもしれません(笑)。それでその時はそれこそ「マジで!?」と驚きました。でもそこで尻込みするよりは、お話をいただいたからには全力で挑もうと。

 

――ではその思い入れある作品に対し、どのようなビジョンで臨まれたのでしょうか?

羽原:最初は『2199』に近い作りで、なるべく元となる『さらば』と『宇宙戦艦ヤマト2』の良いところを再現していこうと思っていたんです。でも『2199』を引き継いでいる時点で同じものにはなりようがないわけじゃないですか。そのあたりについて思案していた頃に福井さんが書かれた企画書を拝見して、「こういう切り口があるんだ!」と驚くと同時に納得がいったんです。まずそこに書かれていたタイトルからしてビックリでしたからね。

 

――『宇宙戦艦ヤマト2202』と現代風に洗練された感じでいくのかと思いきや……。

羽原:それに加えて『愛の戦士たち』ですからね。「こんなド直球を今の時代に言うんだ!」みたいな。そこに込められた気概を含めて、ぜひこの方向でいかせていただきたいと思いました。

 

――とは言っても当初の「良いところを再現する」という方向性も実にうまく生かされていますね。

羽原:そうですね。意図的にそのまま再現したシーンもあります。南部康雄が英雄の丘でアンドロメダに向かって「バッキャロー!」と叫ぶシーンなんかは、旧作とはいろいろなものの立ち位置が異なっているのに、ちゃんと旧作と行きつくところが一緒になっていたりして、うまく表現できたと思っています。そんな風に今後も新しいストーリーの中にも「まんまの!」というシーンが出てきますから楽しみにしていてください。

 

――その南部のシーンに代表されるように、『2199』で加わった新しい設定の扱いが絶妙だったのが印象的でした。

羽原:『2199』から引き継いだ設定をどう扱うかについては、福井さんや岡さん、副監督の小林誠さんたちからいろいろとご提案いただいた結果、それらを組み込むことで逆に旧作のいろいろな視点が整理されていった感覚は確かにありましたね。

 

――絵作りの面でも旧作を踏襲されている場面は多く見られますね。

羽原:そうですね。アングルひとつとっても『ヤマト』らしい見せ方ってあると思いますし、また『ヤマト』が一番かっこ良く見えるタイミングってあるんですよ。早すぎてもダメで遅すぎてもダメという微妙なところが。そこはすごく気を付けてます。

 

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▲戦闘機のCGモデルは設定通りの形のものの他に、微妙に機首が傾いたモデルなども用意され、旧作の迫力あるパースがついた絵作りが再現できるように工夫されている。まさにこれぞ思い入れと最新技術の融合!

 

『ヤマト』の元に熱い「クルー」が集結!

――スタッフの皆さんの間での『ヤマト』観のすり合わせも順調ということですね。

羽原:その辺はもう! あと絵コンテにする段階で若干バランスを取って調整しながら、『ヤマト』独特のテンポ感というのをキープしています。

 

――皆さん『ヤマト』には思い入れがあるでしょうから、さぞかし熱い話し合いになるのでしょうね。

羽原:そう! すごく熱い意見が各話の演出さんとかからもいっぱい出てくるんですよ。それに対して僕は監督として「いや、ここはこうだ!」って突っぱねるよりは、「あ、それいいね!」「これもいいね!」と良い意見を掬い上げる係です。

 

――前作『2199』の時は羽原監督はそういう意見を……。

羽原:言う側でした(笑)。「これやりたいっす!」って好きなことを言ってれば良かったので、今思えば楽な立場でした(笑)。

 

――監督は『宇宙戦艦ヤマト 復活編 ディレクターズカット版』にも参加されていますね。

羽原:そうですね。あの時に湖川友謙さんと一緒にお仕事できたのは大きかったです。そのつながりもあって、今回の第一章ではガトランティス陣営の原画はほぼ湖川さんにやっていただけたりとか。

 

――大帝ズォーダーのアップで冒頭から問答無用の本物感が味わえました!

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▲大帝ズォーダーを下から見上げる元祖湖川アングル! 往年のファンにはこれだけで感涙もの。

 

――副監督の小林誠さんも『復活編』でご一緒されていましたね。

羽原:小林さんはその時から八面六臂の活躍をされてました。『宇宙戦艦ヤマト 復活編』で小林さんが撮影までやってるカットがいくつもあるんですよ。コスモパルサーの表面にキラッと光が流れたりとか、そういう効果を撮影時に小林さんが独自に加えたりしていて、それですごくクオリティが上がってたりするんです。普通の理屈からは導き出せない正解をパッと提示できちゃうんです。あの人は言ってみれば一種の「天才」ですからね。

 

――今回も小林誠さんの発案という「装甲突入型ゼルグート」には驚きました。

羽原:あれも初めて見るのに確かに『ヤマト』の手触りなんですよねぇ。スケッチを見せてもらった時は本当にビックリしました。

 

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▲小林誠氏発案の「装甲突入型ゼルグート」。火焔直撃砲への防御策がまさかの「板」! その突き抜け方は『ヤマト』らしいセンス・オブ・ワンダーに溢れている。

 

――女性キャラクターのバランスも絶妙でした。古臭くもなく、かと言って「萌え」に寄り過ぎもせず……。

羽原:非常に難しくデリケートな部分ですが、今回はその世界にきちんと生きている人間として描こうとしていますので、現実にあり得ない感じの萌え表現というのは避けています。そういう意味ではもしかしたらもの足りないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、『ヤマト』はそういうものだと思って観ていただけければ……。

 

――い、いや、『ヤマト』を好きな皆さんは、「美少女に萌える」よりはどちらかと言えば「戦艦に燃える」人たちだと思うので、その点はそこまで心配されなくても大丈夫かと……(汗)。

羽原:あ、それでしたら戦艦は山ほど出てきますから、そこはご安心ください。第一話から出し惜しみなしです!

 

――確かに第一話から艦隊戦はかなりのボリュームで驚きでしたが、アクションの間もドラマとしての情報量も満載で息つく間もないほどで。しかしこの密度が七章分続くのは大変そうですが……。

羽原:ほんっと死にそうですよ(笑)。アングルひとつ選ぶのも本当に大変で、考えても考えても考え尽くしたということはない作品ですから。それでもスタッフ全員の力のお陰で、当初の自分の想定を遥かに超えたフィルムに仕上がったと思います。

 

――それではこれから見るファンの方々に一言お願いします。

羽原:『2199』をご覧になっていた方はおわかりかと思いますが、劇場の大画面と音響で見る迫力というのはやっぱ良いんですよね! 特に第一章では艦隊戦がいきなり結構なボリュームであるので、いい音と大画面で見て楽しんでいただきたいですね。

 

――ありがとうございました!

 

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DATA

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第一章(全七章)

  • 上映日:2017年2月25日(土)全国15館にて2週間限定劇場上映
  • スタッフ:製作総指揮:西﨑彰司/原作:西﨑義展/監督:羽原信義/シリーズ構成:福井晴敏/副監督:小林 誠/キャラクターデザイン:結城信輝/ゲストキャラクター・プロップデザイン:山岡信一/メカニカルデザイン:玉盛順一朗・石津泰志/美術監督:谷岡善王/色彩設計:福谷直樹/撮影監督:堀野大輔/編集:小野寺絵美/音楽:宮川彬良/音響監督:吉田知弘/音響効果:西村睦弘/オリジナルサウンドエフェクト:柏原 満/CGディレクター:木村太一/アニメーション制作:XEBEC/製作:宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会
  • 前売券発売中
  • 価格:1,200円(税込)
  • 仕様:第一章前売券+『さらヤマ』オマージュポスター(B2サイズ)
  • 販売場所:上映劇場・ヤマトクルー

※特典ポスターはなくなり次第終了となります。終了後は前売券のみでの販売となります。
※特典ポスターは前売券1枚につき、1つとなります。

 

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 1

Blu-ray特別限定版(初回限定生産盤)

  • 上映劇場にて2017年2月25日(土)より先行発売
  • バンダイビジュアルクラブ(BVC)&プレミアムバンダイ支店にて2017年3月4日(土)より先行発売
  • 価格:9,259円(税別)
  • 【2話収録】収録分数:74分(本編50分+映像特典24分)
  • 特別限定版特典:第一話絵コンテ集(新規描き下ろし表紙[結城信輝])、第一話シナリオ集
  • 特典:特製記録集
  • 映像特典:ノンテロップオープニング、ノンテロップエンディング、宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 製作発表会、宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 特報 第一弾、宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 特報 第二弾、第一章 嚆矢篇 劇場予告編 第一弾、第一章 嚆矢篇 劇場予告編 第二弾
  • 音声特典:第一話オーディオコメンタリー[出演:小野大輔・福井晴敏・羽原信義]、第二話オーディオコメンタリー[出演:岡秀樹・福井晴敏・羽原信義]

 

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 1

  • 2017年3月24日発売
  • 価格:Blu-ray:7,800円(税別)、DVD:6,800円(税別)

 

関連情報

 

(C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

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