セメントを使って造形する3Dプリンターを大林組が開発!ロボットアームで建築・土木部材を自動製造!【動画あり】

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大林組は、特殊なセメント系材料を用いて、型枠を使わずに建築物や土木構造物の部材を自動製造できる3Dプリンターを開発しました。

 

▲セメント系材料を用いた3Dプリンター。

 

セメント系材料の利用には多くの課題があった3Dプリンター

近年、石膏(せっこう)や樹脂などをインクとしてさまざまな物を積層造形する、3Dプリンターの利用が広がっていますが、建設業界では建築物の模型製作などに使われる程度で、実際の建築物や土木構造物を対象とするまでには至っていません。

 

一般的に建築物や土木構造物にはコンクリートをはじめ多くのセメント系材料を用いますが、これらは十分な強度に達するまでに一定の時間を要します。そのため、所定の形状と寸法を保つための型枠が必要となるなど、3Dプリンターの利用には多くの課題がありました。

 

 

 

型枠を使わずにさまざまな形状の部材を正確に自動製造!

大林組が開発した3Dプリンターは、ロボットアームからインクを吐出し積層造形することで、建築物や土木構造物の部材を自動で製造します。インクは、デンカ社が開発した特殊なセメント系材料で、建築物や土木構造物に必要な強度と耐久性を持ち、また吐出直後でも形状が崩れることなく維持される性質があることから、型枠を使わずに部材を製造することができます。これまでセメント系材料で製造する場合に非常に多くの時間と労力を要した、「曲面」や「中空」などさまざまな形状の部材を自動で製造することが可能になったそうです。

 

▲アーチ状のブリッジ。

 

同社は、実際にこの3Dプリンターを使って中空の曲面形状のモルタルブロックを複製製造する実験を行い、これらを組み合わせたアーチ状のブリッジを製作することに成功。モルタルブロックを製造する様子をぜひ動画でご覧ください!

 

●アーチ状ブリッジの自動製造動画

 

 

将来の実用化を目指し研究開発中!

今後大林組は、強度や耐久性を兼ね備えたさまざまな形状の構造物を製造できるよう改良を重ね、将来の実用化を目指したいとしています。

 

▲アーチ状ブリッジの設置状況。

 

新たな技術や素材の登場によって、さまざまな分野での活用が期待されている3Dプリンターから、今後も目が離せませんね。

 

 

セメント系材料を用いた3Dプリンターの特長

●型枠を使用せずにさまざまな形状の部材を製造

使用するセメント系材料にはチキソトロピー性(※1)があることから、型枠を必要としません。材料の吐出直後でも、形状が崩れることなく下層と一体化して短時間で固まります。そのため、型枠の組み立てや解体に多くの時間と労力がかかるさまざまな形状の部材を、型枠を使わずに容易に製造できます。今後、3Dプリンターの特長を活かし、バイオミメティクス(※2)による軽くて強い骨のような構造物や形態最適化(※3)に基づく構造物の製造への応用が検討されています。

 

●オフラインティーチングにより自動で正確に材料を積層

7軸のロボットアームの先端に材料を吐出するノズルが取り付けられています。ノズルはオフラインティーチング(※4)により、一定の速度で所定の経路を正確に移動するように制御されていることから、自動で正確に材料を積層造形することができます。今回の実験では、中空のある幅500ミリ×奥行250ミリ×高さ500ミリのモルタルブロックを、約15分で製造しました。

※1:チキソトロピー性…圧力をかけられた状態では流動性があり、圧力から解放されると粘性が生じ、その後固くなり形状が維持される性質。今回の3Dプリンターに用いるセメント系材料は、圧力がかかる吐出口までは流動性を保ち、吐出されると短時間で固まります。
※2:バイオミメティクス…軽量で丈夫な骨の構造を構造物などに応用するなど、生物の構造を模倣した設計方法。
※3:形態最適化…荷重条件に対して最適な形態を解析する手法。
※4:オフラインティーチング…ロボットへの動作の教示(ティーチング)を、実機で行わずに作業プログラムを入力したコンピュータなどで行う手法。作業内容がモデル化されている場合、実機で教示を行うよりも作業の正確性の面で有利。

 

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