『宇宙戦艦ヤマト2199』玉盛順一朗氏インタビュー!
電撃ホビーマガジン編集部では、『宇宙戦艦ヤマト2199』で地球側のメカデザインを担当している玉盛順一朗氏にインタビューを行いました。
劇場版『星巡る方舟』では、キ8型試作宙艇(以下、キ8型)やコスモリバースVer.のヤマトなどを担当されています。
今回はその見どころを語っていただきましたので、ぜひご覧ください!
メカデザイナー 玉盛順一朗氏インタビュー!
<PROFILE>
玉盛順一朗
メカニックデザイナー。米軍統治下の沖縄に生まれる。工業デザイナーを経て、現在メカデザイン・コンセプトデザインの分野で活動中。『宇宙戦艦ヤマト2199』では、主に地球側のメカデザインを担当している。
インタビュー:電撃ホビーマガジン編集部(2014/11/16)
※インタビューで語られる画稿は電撃ホビーマガジン2015年2月号に掲載されています。
キ8型試作宙艇
旧作では空を飛び、水上を滑走し、水中を潜行するなど、万能メカとして登場します。玉盛氏いわく、そのリアリティを表現するのに苦労したとのこと。
―キ8型の注目ポイントは?
玉盛順一朗(以下、玉盛):キ8型はギミック満載で楽しいメカなので、非常に玩具やプラモデル向きですね(笑)。劇中では惑星に上陸する時が見もので……ヤマトから切り離されて、空を滑空して海に着水しつつ、沼地から上陸するという、一連の流れを見て欲しいですね。あとは、飛行時や陸上時で形態が変わるところですね。不整地走破性能を発揮するために六輪駆動で車輪が特徴的な形をしているんですけど、この車輪の幅も可変するんですよ。色んな環境下で使えるように。
陸上時
搭乗者5人とアナライザーが乗り込めるよう、旧作を踏襲しつつ座席配置が調整されています。側面の分析員による外部観測が容易に行えるようなコクピットになっています。
この独特な車輪の形状が、あらゆる環境下での走行を可能としています。
宇宙戦艦ヤマト2199 コスモリバースVer.
―コスモリバースVer.のヤマトについて
玉盛:3Dの方を少しディテールアップして、喫水線の目盛りをいくつか追加したり、砲塔の旋回半径など、各種マーキング類を追加しました。細かいところでは、主砲の砲身の先端が若干ラッパ状になってるんですよ。あとは爆雷投射機が今回劇場版で活躍することになって、細部の表現が加わりました。オレンジ色のフタが付いてるのが特徴です。
劇場版で大活躍した爆雷投射機。劇中では、波動砲を封印したなか、危機的な状況をどう切り抜けるかが見どころとなっています。
旧作を踏襲した小さめのハッチ(耐圧性を高めるため)の寸法ではキ8型が入らないため、格納の仕方が工夫されています。翼を畳み、90度倒した状態で格納庫の中に移動し、またそこで水平に戻すようにして格納します。発進する際はその逆で、クレーンで下に降ろして、水平にしてから発進します。
―他に裏話などあれば
玉盛:キ8型は探索「艇」ということで、船なんですよ。コスモシーガルなどは航空機的な感じでデザインしてたんですけど、それらとは違ったルールで、その違いを出すという所を工夫しました。例えば、スラスター部分とか。個人的には、船だからロケットアンカーとかも付けたかったんですけどね(笑)。デザイン上は、様々なミッションに対応するために、船体の各部分を換装できるという形に……例えばフロートになってたり、潜水機能を強化したり、飛行機能を強化したり、目的に応じて色々な活躍ができるという仮定で考えていました。それ以外ですと、ヤマトの艦体を補修する時の作業ユニットですね。『2199』本編の第7話で登場してたんですが、劇場版ではより細かくデザインを描いています。
―最後に劇場版の制作を通しての感想など
玉盛:『宇宙戦艦ヤマト2199』本編が各方面で評価されて盛り上がってくれた、次につながった、ということが素直に嬉しかったです。全体の見どころとしては、コレまで以上に一味違う戦闘シーンの迫力ですね。あと、ロケットアンカーがまた活躍するという朗報です。好きなので(笑)。
(11月16日 Production I.G会議室にて)
<関連情報>
(C)2012 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会
(C)西﨑義展/2014 宇宙戦艦ヤマト2199 製作委員会