素組みでガンプラ!リューターを使った鋳造表現【前編】

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超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。

 

今回は「HGUC 1/144 RMS-099B シュツルム・ディアス」を使用して、実際に模型表面に鋳造表現を施す方法を紹介します。

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戦車模型で鋳造表現を行う場合、ラッカーパテを使用するのが一般的でしたが、今回はハンディリューターを使用して、成形色を活かした鋳造モールドを彫ってみたいと思います。なお、以前ドムトローペンを使って塗装で簡単な鋳造風表現(スポンジによる鋳造表現・前編スポンジによる鋳造表現・後編参照)も紹介しているので、こちらもぜひご覧ください。

 

1 5 6ここで使用するのは、浦和工業から発売されている「マイクログラインダーHD10」。このリューターは単三乾電池2本で動くので、電源コードなどがなく取り回しやすいリューターです。小型・軽量ながら回転数も10,000rpmと、プラモデルの加工には最適の回転数です。むしろ回転数がこれ以上だと、ビットの摩擦熱でプラスチックが溶けてしまいます。軸ブレがほとんどなく、価格も2,000円前後で大変コストパフォーマンスの高いリューターです。

 

使用するビットは、切削用の「砲弾型超硬カッター」と「タマゴ型超硬カッター」。それぞれに切削痕の形、大きさが違います。この2種類を使用して、キットの表面に鋳造モールドを刻んでいきます。

 

●砲弾型超硬カッター

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●タマゴ型超硬カッター

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シュツルム・ディアスは、アニメの設定的にも、模型の開発においてもリック・ディアスの発展型モビルスーツです。リック・ディアスはHGシリーズの中でもかなり初期のキットなので、スネの裏側や肩・前腕の側面に合わせ目が目立ちます。成形色を活かしたフィニッシュの場合、この合わせ目はかなり悩む部分ですが、今回の加工を行うとほとんど目立たなくなります。

 

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まずは大型のビットで表面にモールディングしていきます。リューターを軽く持ち、ビットの回転力によりキット表面でリューターをバウンドさせるように削っていきます。このくらいの軽さでキットにリューターを当てたまま上下(左右)に動かせば、ランダムに凸凹したモールドが刻まれます。

 

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ワンブロック一気に作業を行い、削り残した部分(キットの平らなままの部分)があれば、小型のビットで削り残し部分をチョンチョンとタッチするように削っていきます。

 

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背部のランダムバインダーに鋳造表現を施した状態。表面は全体的にモールディングしてます。

 

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裏面に関しては、部位によって鋳造モールドを入れていません。これは“一体成形”されている部分と“後付けのメカニズム”の部分で差をつけるためです。動力パイプのモールドに鋳造モールドが入っていたら台なしになってしまいます。鋳造成形は戦車の砲塔など1パーツで構成される部分がこの方法で作られているので、この辺りの構造を考えながら作業すると楽しく、完成品にも説得力が生まれるでしょう。

 

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こちらは先ほど説明した合わせ目部分のアップです。鋳造モールドが入ったことで先ほどよりは合わせ目がわかりにくくなっていますが、まだ見えています。このあとの作業を進めることで、さらに見えなくなっていきます。

 

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このリューターを使ったモールディング作業は、コツを覚えるとあっという間に全身に鋳造表現を施すことができます。不要パーツなどを使って練習し、きれいな鋳造モールドが刻めるように練習してから本番に臨んでください。

 

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表面のモールディング作業が終わったら、全体にウォッシングをして凹んだ部分に暗い色を入れていきます。使用したのは、GSIクレオスのMr.ウエザリングカラー・WC02「グランドブラウン」。好みによってはWC03「ステインブラウン」や両方を混合した色でウォッシングしても良いでしょう。

 

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こちらは、ウォッシングが終了した状態。表面に施した鋳造モールドの凹んだ部分に塗料が入ったため、凸凹モールドが強調されています。このままでは黒すぎるので調整していきますが、塗った直後に拭き取るとせっかくのウォッシングがほとんど消えてしまいます。今回施したモールドはスジ彫りのようにシャープで、深いモールドとは違うからです。

 

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3時間ほど放置したあと、ティッシュで凸部分やエッジ部分の塗料と落としていきます。通常のスミ入れやウォッシングの拭き取りと違うのは、ティッシュにうすめ液(シンナー)を含ませていない点です。うすめ液を使用すると、やはり塗料が落ちすぎてしまうので、塗料が半がわきのときにカラ拭きで調整していきましょう。

 

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カラ拭きが終了して塗料が乾燥した状態。先ほどは清潔感が全くない印象でしたが、色味がかなり整っています。加えてエッジ部分などは成形色が現れて、コントラストが強調されています。

 

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この状態でいったん組み立ててみましょう。鋳造モールドとウォッシングの効果で重厚感が増した印象になりました。

 

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リックディアスの脚部設定には旧ソ連戦車のように、鋳造成形の湯口痕や装甲表面のザラザラとした質感も描き込まれているので、今回はこのようなアレンジにしてみました。

 

次回は、さらにこの鋳造モールドを強調する作業を進めていきます。

 

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