素組みでガンプラ! 【基礎】初心者必見のキレイなスミ入れ方法 前編
超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。
今回は、プラモデル製作において大切な工程である「スミ入れ」の方法をお届けします。初心者の方も実践できるように説明するので、ぜひ使い方をマスターしてください!
▲HGガンダムVer.G30th
1 今回は「HGガンダムVer.G30th」を用いて、スミ入れについて考えていきたいと思います。スミ入れとは、スジ彫りなどプラモデルの表面に刻み込まれている様々なモールドに塗料を流し込むことによって、これらのモールドを強調し、より鮮明に見せるための技法です。実物の車のドアやデスクの引き出しなど、別の部品が取り付けられている箇所には溝状の線が存在し、部品同士が隣接する箇所が“影”となって黒く見えています。しかし、模型でこの部分を再現する場合、充分な影が発生せず、いまひとつ別部品であるように見えません。そこで、この溝状の彫刻部分に塗料を流し込み、人工的に影を作り出すために「スミ入れ」という技法を用いるのです。
2 通常のプラモデル製作の場合、基本塗装に「油性アクリル塗料(通称:ラッカー塗料)」を使うため、別系統の塗料でスミ入れを行います。ポピュラーなものがエナメル系塗料です。しかし基本塗装を行わず、プラモデルの成形色を活用する“パチ組み”の場合、どんな塗料でスミ入れをしても問題ありません。今回紹介するのは、GSIクレオスから発売されている「ガンダムマーカー流し込みスミ入れペン」です。
※余談ですが“素組み”とは「無改造の塗装完成品」のことを指します。これと区別するために「塗装を行わずパチパチと組んで完成させる製作方法」のことを、いつの間にか“パチ組み”と呼ぶようになりました。そこでここでも“パチ組み”と呼称することにします。
3 スミ入れとは薄く希釈しサラサラな状態の塗料を、毛細管現象を利用してスジ彫りなどに流し込む技法です。今回使用した「ガンダムマーカー流し込みスミ入れペン」は、最適な濃度に希釈した塗料が入っており、スジ彫りの上にペンを押しつけると、塗料がスジ彫りに流れ込んでいきます。薄く希釈されているので、一度ペンを押しつけただけで、直線であればジワジワと3センチくらい塗料が流れていきます。慌てずにペンを押しつけたまま塗料が流れていくのを待ちましょう。
4 始点から終点まで1方向に流すだけでなく、押しつけたポイントから2方向・3方向に塗料が流れる場合もあります。スジ彫りの形状に合わせて、ペンを押しあてていきましょう。スジ彫りが途中で枝分かれしている場合などは、そのぶん塗料の流れが弱くなるので、さらに別の箇所にペンを押しあててスミ入れをしていきます。しかし、ペンを押しあてるポイントが少ない方が、この後の作業はラクになるので、効率的に塗料が流れる場所を見極めながらペンをあてていきましょう。これに関しては経験値で判断していくのが有効なので、たくさん模型を作って塗料の流れ方を研究してくださいね。
5 写真のようにはみ出してしまった場合、拭き取れば問題ありません。「ガンダムマーカー流し込みスミ入れペン」に使用されている塗料は、プラスチック消しゴムで消すことができます。スジ彫りと直角方向に消しゴムを動かして消していきましょう。スジ彫りと同じ方向に消しゴムを動かすと、スジ彫りの中の塗料まで消えてしまうことがあるので注意してください。消しゴムの先端などを使い、はみ出した部分をピンポイントで消していくのがよいです。
6 別の方法として、スポンジヤスリや目の細かい紙ヤスリ(1500~2000番程度)を使って、はみ出し部分を削るのもいいでしょう。“削る”作業と“磨く”作業は、使用するヤスリや研磨剤の細かさで呼び名が変わるだけなので、細かい番手のヤスリで仕上げれば、はみ出し部分を取るだけでなく、模型の表面を磨くことにもなるので一石二鳥になります。
7 もうひとつ有効な手段として、コンパウンドを使ってはみ出し部分を取ることもできます。この場合も目の細かい仕上げ用のコンパウンドを使用。スポンジヤスリ・紙ヤスリ・コンパウンドといった材料を使うことは、基本塗装を行っていない“パチ組み”だからこそ可能な方法です。様々な材料を利用して美しいスミ入れを目指してください。
次回の後編では、スミ入れの色について触れたいと思います。2015年3月12日に更新予定なので、お楽しみに!!
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