素組みでガンプラ! 【基礎】初心者必見のキレイなスミ入れ方法 後編

更新日:2016年12月28日 11:58

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超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。

 

今回も前回に続き、「スミ入れ」についてお届けします。(⇒前編はコチラ

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▲HGガンダムVer.G30th

 

▲黒

014グレー

▲グレー

015茶色

▲茶

 ここでは、スミ入れの色について考えていきましょう。まずは写真をご覧ください。上から黒・グレー・茶でそれぞれスミ入れをしたものです。ガンダムのように基本色が白の場合、どんな色でスミ入れしても間違いではありません。アニメーションの画面を見ると、このようなディテールは主線(おもせん)で描かれているため、劇中通りのイメージで再現するなら黒を使うといいです。一方、グレーでスミ入れすると、黒よりもマイルドなイメージになり、柔らかな印象になります。一歩進めて茶でスミ入れをした場合、砂や土のイメージが強くなり、使用環境や汚し塗装の雰囲気まで加わってきます。他の成形色やその機体が使用される場所など、模型の完成イメージを持って、スミ入れの色を選びましょう。

 

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 ガンダムの胴体は青・赤・黄とカラフルな色で構成されています。これらのディテールをすべて同じ色でスミ入れするのではなく、それぞれ色を変えたほうがより好印象になります。たとえば、青→紺、赤→茶、黄→オレンジといった同系色で一段濃い色を用いてスミ入れすると、色のなじみがよく華やかな印象を与えることができます。

 

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3 これはビームライフルとそれを持つ手首です。「HGUCガンダム」の場合、緑がかったグレーで成形されており、関節や武器などのグレーに対しても、濃いグレー・茶・黒など、どんな色でスミ入れしても問題ありません。特に茶系を使用すると、金属の錆びのような印象を加えることができます。つまり黒やグレーはスタンダードな色選び、茶系はウェザリング要素も加味した色選びといえるでしょう。ここでは、武器としてより引き締まったメカニカルな印象を加えるため、黒でスミ入れしています。

 

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『宇宙戦艦ヤマト2199』劇場版 ラフプロット案

4 さて、最後にスミ入れの概念とパターンを考えていきたいと思います。まずは一般的なスミ入れです。線状の溝(スジ彫り)に対して、スミを入れる基本パターンです。これは主にパネルラインなどを表現するために施されたモールドです。溝が細いので、溝の“底面”全体に塗料が溜まり、スジ彫りをくっきり見せることができます。

 

019『宇宙戦艦ヤマト2199』劇場版 ラフプロット案

 次は平面の上に凸状のモールドが施されている箇所を強調する方法。増加装甲や別のパーツが表面に取り付けられた表現で用いられるモールドです。この平面から一段高くなったモールドの立ちあがり部分の“キワ”(これを“逆エッジ”といいます)に流して、別パーツ間を強調するスミ入れです。

 

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『宇宙戦艦ヤマト2199』劇場版 ラフプロット案

6 今度は凹モードのスミ入れついて説明しましょう。凹モールドは平面より、一段落ちた彫刻表現(これを“段落ちモールド”といいます)にスミを流して、同じくディテールを強調する方法です。ここで注意するのは、モールドの“底面”すべてを塗りつぶすのではなく、外周部にのみスミを残すことです。

 

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シールドの中央部分をご覧ください。凹部分すべてが塗りつぶされていないことを確認できますか。ヒジやヒザ、足首などの“マルイチモールド”なども同じ方法でスミ入れするといいでしょう。

 

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『宇宙戦艦ヤマト2199』劇場版 ラフプロット案

7 最後は同じ凹モールドの“底面”すべてを塗りつぶすパターンです。ガンダム頭部の穴など、完全に塗りつぶして強烈なアクセントを付けたい時に行います。先ほどの“マルイチモールド”の底面などもこのように塗りつぶすのもいいと思います。すべては自分の好みで決めましょう。

 

ただし、このようなスミ入れは希釈した塗料では色がのりにくいので、通常よりも濃い塗料で行うことをオススメします。

 

■完成写真

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■まとめ
スミ入れとは、模型的にディテールを誇張するための技法です。必ず施さなければいけない塗装法ではなく、理論派モデラーの中には、「スミ入れは嘘なので行わない!」という人もいます。しかし、雑誌の作例や商品の完成見本、コンテストのエントリー作品でスミ入れしないと「ひとつの工程を行っていない」とリテイクや減点の対象になるほど、一般的で不可欠な技法になっているのも事実です。大切なのは「自分はどんな完成品に魅力やリアリティーを感じるか」を考えて、それに必要な技法を選ぶかだと思います。

 

 

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(C)創通・サンライズ

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