継衛改二の話題も。コトブキヤ『シドニアの騎士』開発者インタビュー!

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電撃ホビーマガジン7月号にて発表となった、コトブキヤのプラモデル「継衛改二」。アニメ化前より『シドニアの騎士』関連のアイテム展開を行ってきたコトブキヤの、待望の新アイテムとなります。今回ご紹介するのは現在監修中の原型ですが、継衛改二の、その攻撃的なシルエットが見事に再現されているのがわかります。

 

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電撃ホビーウェブでは、そんなコトブキヤの『シドニアの騎士』企画担当である野内秀彦氏と 、原型製作の桑村祐一氏のお二人にインタビュー。最初の「継衛」のキットの誕生から、「継衛改二」まで、貴重なお話をおうかがいしました。

 

■野内秀彦氏…コトブキヤの『シドニアの騎士』関連アイテムの企画担当。

■桑村祐一氏…コトブキヤの原型師。「継衛」の原型を担当。

 

 

■『シドニアの騎士』アイテムを始めたきっかけ
編集部: コトブキヤでは『シドニアの騎士』がアニメ化される以前より、キット化を進行していましたよね。御社で『シドニアの騎士』アイテムを製作しようとしたきっかけとは何だったのでしょうか?

 

野内: もともと自分達が弐瓶先生のファンだった、というのが一番大きいですね(笑)。ちょうど当時は社内の原型師にそれぞれ「作りたいアイテム」を聞いて、ラインナップを決めていた時期でして。そのときに桑村の方からも同じような提案があったんです。

 

桑村: 当時、『BLAME!』か『シドニアの騎士』をやりたいと、アピールした記憶があります。 元々、僕は高校生のころに友人から勧められて『BLAME!』を読み始めたんですが、弐瓶先生の作品は世界観が魅力的だったんです。どんなに科学技術が発達していても長くは栄えない、滅びる予感しかない、どこか不安定で脆く儚い、そういう風に感じられて、そこに惹かれていました。

 

編集部:そこだけ聞くと結構破滅願望ありそうに聞こえますね(笑)

 

桑村: (笑)。でも、逆に『シドニアの騎士』だと、播種船シドニアはその滅亡を回避するために旅をしているわけで、そこが新鮮で、また魅力的に感じられます。

 

 

野内: も、連載が始まった『シドニアの騎士』を読んで、模型メーカーとしてアイテムを出せるんじゃないか、そして、多くの人に受け入れてもらえるのではないか、と思いましたね。そういう意味では『シドニアの騎士』との出会いそのものが、弐瓶先生の作品を立体化する大きなきっかけだったのかもしれませんね。

 

 

■「一七式衛人 白月改 継衛」について

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▲「一七式衛人 白月改 継衛」。1/100スケールプラスチックキット。価格:5,800円(税抜)、2013年7月発売。

 

編集部: そうして完成したのが最初の原作版「継衛」のキットですよね。本アイテムを開発したときの思い出を教えてください。

 

桑村:凄く思い出深いアイテムですね。 初めに野内と二人で先生の仕事場にお邪魔させていただいて、継衛のデザインについて、いろいろと質問させていただきました。そして、設定画が欲しい、というお願いをしましたね。
野内: まだアニメの話もなかったころでしたから、細かな設定画というものがほとんどなくて、資料は弐瓶先生が作画用に自作した継衛と、後はコミック内の描写しか手がかりがなかったんです。

 

桑村: そのお願いをするときに、立体化する際には、作画の手間や時間的な制約で、誌面でも描写しきれていない、でもデザイン上は存在するディテールを可能な限り盛り込みたい、と、お話をさせていただきました。

その後、設定画をいただいたのですが、部位ごとにディテールの密度に差があったんですね。これはなんだろう、と思って弐瓶先生におうかがいしたところ、装甲材などは極力一体成形されていて、それなのに劇中で肩などに色々とディテールが描き込まれているのは、損傷したところに継ぎ接ぎしたものだというお答えを頂戴いたしました。なるほどと思いましたね。他にも、装甲材もは実はマーキング以外は未塗装だから色ハゲというのは起こらないなど、模型表現にも活かせそうな設定をたくさん教えていただけて。ここでプラモデルを開発することで作品世界をより広げていくお手伝いができるかもしれない、というのがこの時の感触でした。

 

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▲原作版キット開発当時、弐瓶氏が描いた継衛の六面図。

 

編集部: その後、実際に原型に取り掛かられて、苦労したポイントなどありましたか?

 

桑村: 実際に製作に取り掛かってみると、各部位のボリュームの置き方が思った以上に独特で、アウトラインをまとめるのに苦労しましたね。五体だけでなく背部のブースターのボリュームからも影響を受けるところで、ちょうど良いバランスを探ってずっと悩んでいました。でも、弐瓶先生からお借りしたスクラッチの継衛が凄く参考になって。特に、背面のブースターの形状やサイズは先生の継衛を採寸して製作したものなので、かなりそっくりになっています。

 

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▲弐瓶氏によるスクラッチ継衛(左)と、製品版「継衛」。

 

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▲ブースターの大きさやカビザシの長さなど、スクラッチ版と原作版の共通点は多い。

 

野内: なんだかんだで、結局、先生の継衛は半年以上お預かりすることになったんですよね(笑)。凄く開発の参考になりました。先生からもかなり熱心に監修をいただけたおかげで、本キットも好評をいただくことができました。

 

編集部:その後、アニメ版の継衛が発売されましたよね。

 

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▲「一七式衛人 白月改 継衛 Animation Ver.」。1/100スケールプラスチックキット。価格:6,800円(税抜)。2014年10月発売。

 

野内: アニメ版は、原作版キットのカビザシや腕部の高速振動ブレードといった武装の形状をアニメ版準拠の形状に変更したものです。本体も、キット発売後に判明したヒザ関節の構造など、一部形状を修整していますね。

 

編集部: しかし、付属した全長1メートル20センチを超える、超高速弾体加速装置は話題になりましたね。

 

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▲「アニメ版」の目玉となる超高速弾体加速装置。5本の延長砲身を連結することで、ご覧の通りの超ビッグサイズとなる。

 

野内: 弾体加速装置は、原作版を製作していたころから、弐瓶先生からぜひやって欲しい頼まれていたものですね(笑)。ようやく立体化することができました。

 

桑村: あの延長砲身は、もういっそ、バカらしく見えるところまでやらないとダメだろうなと思って、割りきってやりましたね(笑)。おかげさまでイベントの展示などで、大きな話題になりました。

 

野内: でも『第九惑星戦役』でもガンガン活躍している武器ですので、やっぱり作ってよかったなと思います(笑)。

 

■「継衛改二」について

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▲「一七式衛人 白月改 継衛 改二」。1/100スケールプラスチックキット。発売日・価格未定。 ※写真は監修中の原型です。実際の商品とは異なる場合があります。

 

編集部: そして、5月発売の電撃ホビーマガジン7月号では「継衛改二」のキットが発表になりましたね。

 

野内: アニメ『シドニアの騎士 第九惑星戦役』のEDにも登場する「継衛改二」ですが、本キットはアニメ版のCGモデルの立体化ではなく、アニメ用に起こされた弐瓶先生の手による継衛改二のデザイン画を基に、原型を製作しました。コトブキヤはアニメ化決定前から『シドニアの騎士』アイテムを展開しているということもありまして、今でも弐瓶先生に直接監修していただいていますし、そういう意味では、本アイテムは原作版「継衛改二」ということになりますね。

 

桑村: デザイン画を初めて見せていただいた時の僕の感想は、継衛と比べて攻撃的なイメージ、というものでした。弐瓶先生からは、「継衛」と「継衛改二」の各部のディテールや形状の変化がどういった意図で盛り込まれたものなのか、というお話をうかがえました。原型を実際に作るうえでもかなり参考になりました。

 

編集部: このキットですが、完全新作……という理解でよろしいでしょうか?

 

桑村: はい。全体的なアウトラインは継衛とわりと近しいのですが、人工カビ刃や各部のハードポイントなど、結構細部は異なりますからね。関節部分やポリキャップ、手首は「継衛」と共通ですが、実質的に完全新規といってしまっていいと思います。でも、そのおかげで「継衛」からギミック部分やディテール、形状を細かく改修できました。例えば腰の後ろから伸びる羽は「継衛」ではボールジョイントでの接続だったのが、「改二」では軸接続になっています。これは弐瓶先生から「作画の時に触っていると抜けやすい」というご意見をいただいたので変更した部分です(笑)。また、この「改二」では、弐瓶先生に許可をいただき、足首に関節を増やして、立ちポーズがより安定するように改修しました。こういうのは、流用部分が少なかったからこそやれた部分だと思います。

 

編集部: 本作でもかなり弐瓶先生の監修は徹底されているんですね。

 

桑村: 装甲の裏側などの部分は、アニメ用に起こされた画稿では分からないことが多いので、こちらである程度造形した後、弐瓶先生に確認していただいています。やはり、立体としては密度感が必要になってきますから。これは、模型とCGが必要とする情報の方向性の差で、それを弐瓶先生に埋めていただいている、という感じでしょうか。

 

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編集部: 今回、プラモデル版「継衛改二」にはオリジナルの武装「東亜重工製二式複合人工カビ刀」が付属しますね。

 

桑村: これは、打ち合わせの際に出た、「継衛」のキットに弊社のM.S.G.シリーズの武器を持たせることができる……という世間話から生まれたアイデアだそうです。そのとき持っていっていたのは、M.S.Gウェポンユニットの「日本刀」だったんですが、それが「継衛」に凄く似合うんですよね、という話で。その日はそのままお別れしたのですが、その次にお会いしたら、なんと専用刀の設定画ができていました(笑)

 

野内: 劇中でも、衛人の操縦士が帯刀したりしますし、衛人が刀を持っていてもある意味自然といいますか。ただ、元々は、模型専用のデザインではなく、もっと広い用途を想定して用意された設定だったようですが、いろいろあって弊社のプラモデルオリジナルの武装になっています。

あと、弐瓶先生のアイデアといえば、今回の「継衛改二」では、成形色がグロス(ツヤあり)の白で成形される予定です。弐瓶先生から聞いたお話だと、改二の装甲材である、超構造体はツヤがある素材なんだそうです。人工カビや関節などのパーツとは異なる質感になりますので、組み立てるだけでも充分設定に近い仕上がりになりますよ。

 

編集部: それは楽しみですね! では、最後にファンの方へのメッセージをお願いします。

 

野内: いちファンとして、アニメも楽しく拝見しています。ますます面白くなる『シドニアの騎士』、ぜひ弊社のプラモデルもいっしょに、よろしくお願いします!

 

桑村: プラモデルに触れて、よりアニメを楽しんでいただけるかと思います。「改二」以外にも「二零式衛人 劫衛」や色々と製作したいアイテムもありますので……皆様の応援、よろしくお願いします!

 

編集部: 本日は貴重なお話をありがとうございました!

 

<関連情報>

コトブキヤ公式サイト

http://www.kotobukiya.co.jp/

 

「シドニアの騎士」公式サイト

http://www.knightsofsidonia.com

 

 

(C)弐瓶勉/講談社

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