高橋良輔を支えた師・手塚治虫の言葉とは?「アニメ監督で・・・いいのかな?」まえがき全文公開!サイン会&トークショーも開催!

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電撃ホビーマガジンの連載「高橋良輔 メカとの付合い」を書籍化した書籍「アニメ監督で・・・いいのかな?」。『ダグラム』『ボトムズ』を生んだアニメ監督・高橋良輔氏が、45年間で携わってきた作品たちについて語り尽くす本書は、2月の発売以来、業界内外から高い評価をいただいています。そこで今回は、本書の「まえがき」を全文公開。気になる本編は、ぜひ本書を手にとって楽しんでくださいね!

 

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なお3月23日には、東京・御茶ノ水にて、出渕裕氏を招いてのトーク&サイン会も開催されます。詳細は下記をご確認を!

 

 

まえがき

「アニメ監督で・・・いいのかな?」
って、誰に聞いてるの? なんとも自信なげなタイトルである。
まあ、誰に聞くって、誰に聞くってもんでもないでしょう。あえていえば自分自身への問い掛けである。
この世に生きていれば、
「え~っと、肩書は? 何にしましょう?」
と聞かれることが多々ある。それに対してあたしら即答できたことがない。
「ええ~っと、ええ~っと」
口ごもることしきりである。そうすると見かねてか面倒くさいのかはわからないが同席の誰かが、
「監督でしょうが。アニメ監督です」
と代わりに答えてくれる。あたしらの答えは甚だあいまいで、
「ええ、まあ、ムニャムニャムニャムニャ…」
まあ煮え切らないことおびただしい。振り返るともうこの業界に半世紀である。改めて自身に、
「アニメ監督で本当にいいの?」
とちょっとキツメに問い直す。
「ん~まあ~」
「ん、まあ、じゃなく、ちゃんと言葉にして!」
「はい。アニメ監督です」
と、いきさつ上なった。まだいきさつ上だなんて…でもまあ気持ち汲んでください。つまり、もっぱらにそのことを成すことによって収入を得ることが専門の職業だとすると、あたしらはアニメ監督ですといい切るのに忸怩たる思いが残るのである。あたしらが思う専門家というのは、

 

一にそのことを成す技術・技法が、つまりはスキルが確立している。
二にもっぱらにそのことによって主な収入を得る。
三に以上二つのことによってそのことへの取り組みにいつも心砕いている。

 

というようなイメージがあるのだ。
で、自身に一も二も三も問いかけてみるが、どうも心もとない、いずれも力強く頷けない。
かつて我が師である手塚治虫が笑いながらいったことがある。
「私にとって漫画は本妻で、アニメは性悪だけど魅力的な二号さんという位置づけです」
まあズバリですね、迷うところがない。傍らにいてその通り、うまいことをいうなあ、と感心したことがあります。
手塚にとって漫画が本業である事は誰から見ても疑いようのないことで、
「はい。漫画家です」
の言葉に本人も疑いを持たず、誰も疑義の入れようがない。
しかしながら振り返って自分のこととなると、私の古い業界での知人から、
「リョウちゃん。あのダグラムだとかボトムズだとか、本当に監督しているの? 名前だけ貸してない?」
と冗談でない口調で聞かれたことがある。この事を、
「失礼な!」
と怒れないところがあるのだ。古い知り合いであればあるほどこの傾向が強い。確かにそう思われるところがあたしらにはあるのである。技術を磨かず、なんで収入を得ているかわからず、執着と野心を見せない、フーラフラ男に監督なんて務まるのか、と考えるのは自然の理であり無理もない。だから、
「まあやってるんだけれどね、ムニャムニャ」
と適当に言葉を濁すことになる。だがまあ少ないが監督とクレジットされた作品がないわけではないのでイベントなどで、
「ご紹介は、監督でいいですね」
といわれると、ええまあと頷いてしまう。ホントにもーぅである。
で、本書の内容であるが、そんなあたしらがドタバタジタバタと監督を務めた毎日をダラダラ綴ったもので、お読みいただければわかるのですが、試行錯誤の顛末、偶然の幸運、思考の空回りやらが書き散らされている。ただ改めて、やはり充実した月日であったなと思う。それはやはり“つくる”という毎日であったからだろう。
かつて我が師・手塚治虫が入社1年足らずの右も左もわからぬあたしらに向かって、
「あんたもつくりてなんですから!」
と一再ならず容赦ないの言葉を投げつけてくれた、あの公平さ、あの優しさ、あの厳しさに支えられたのは間違いない。
「あたしらもつくりてなんだ」
その思いで、そのお陰で、ここまでやって来れたと思っている。
しかしなんだなあ“つくりて”という言葉にはこだわりがあるが、いろいろなことを手あたり次第やって来たあたしらにとって表稼業が、
『アニメ監督』で本当にいいのかなぁ……。

 

高橋良輔

 

 

DATA

アニメ監督で・・・いいのかな?
ダグラム、ボトムズから読み解くメカとの付き合い方

  • 判型:四六判
  • 336ページ
  • 著者:高橋良輔
  • 監修・協力:サンライズ
  • 発行:KADOKAWA
  • 定価:2,200円(税別)
  • 発売中

 

 

サイン会&トークショーも開催!

「アニメ監督で・・・いいのかな?」の刊行を記念し、2019年3月23日(土)15:00より、東京・お茶の水のブックカフェ「エスパス・ビブリオ」にて、高橋良輔監督のトーク&サイン会が開催されます。特別ゲストに出渕裕氏を交え、親交が深い両氏の間柄ならではの逸話がたっぷり披露されます。

 

イベント概要

高橋良輔監督トーク&サイン会

  • 日時:2019年3月23日(土)15:00~16:30(14:30開場)
  • 会場:エスパス・ビブリオ
    東京都千代田区神田駿河台1-7-10 YK駿河台ビルB1
  • ゲスト:出渕裕
  • 進行:濱田高志
  • 参加費:2,000円(当日精算)
  • 予約:電話またはメールにて受付。70名様になり次第、締切り。
    【電話予約】03-6821-5703(火~土11:30-20:00/日・月・祝休)
    【メール予約】info@espacebiblio.superstudio.co.jp
    件名「3/23高橋良輔氏トーク希望」と記入のうえ、名前・電話番号・参加人数を送信してください。追って返信メールで予約完了のお知らせが届きます。

※サイン会への参加は同店で単行本を購入した方に限ります。予約時に事前注文が可能です。

 

 

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(C)サンライズ


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