タカラトミーの『ダイアクロン』シリーズに「DA-50 ワルダロス<ギガンター>」が参戦!玩具デザイナー・高谷元基さんインタビュー!!
タカラトミーの“大人の男玩”『ダイアクロン』シリーズに、宿敵・ワルダー軍団の大型メカ「DA-50 ワルダロス<ギガンター>」が登場!
すべてのダイアクロン隊員の敵となる存在、「DA-50 ワルダロス<ギガンター>」。その商品開発の中心人物であるタカラトミーの玩具デザイナー・高谷元基さんに、本商品の開発経緯と『ダイアクロン』シリーズの今後の展開ついてお訊きしました。
――いよいよワルダー軍団の大型アイテム、ワルダロス<ギガンター>の予約が始まりました。まずはダイアクロンの敵となるワルダー軍団の商品導入時のお話からお聞かせください。
高谷:ダイアクロンラインもあっと言う間に継続4年目に入り、味方側と敵側のアイテムを平行展開して行くという過去のオリジナルSFラインから続く伝統的な商品展開方法である、「V.S構造展開」ができるラインにまで育って来ましたが、実はここに至るまで色々ありました。
味方側と敵側の平行展開は簡単に導入できるものではなく、損益視点から敵側アイテムの発売決定については慎重な判断が必要となります。ダイアクロンは、メディア展開での認知という、最も強力な商品購買動機に頼れない玩具オリジナルラインですのでハードルはさらに高いものでした。
ワルダー側の導入については、ライン活性化のために必須ですので、なんとか実現の方法はないものかと、割と初期の段階から思案を重ねていました。、敵側アイテム第1弾である<ワルダースーツ>は考え抜いた結果、投資やラインナップ数を絞らなければならないという制約を逆手に取って、同じアイテムを複数揃えて行くとプレイバリューがどんどん拡大して行くというコンセプトで低投資でも販売数を伸ばせる可能性のある商品構造を思いつき、昨年導入に至れた訳です。サイズ的に単体ではパワードスーツシリーズの敵役として想定し4つの形態に可変、さらに同アイテム同士の連結拡大機構で様々な形態の敵キャラになるという、数を出せない分をバリューで補う方式のアイテムですね。おかげさまで想定を上回る実績となり、敵側アイテムのニーズが実証できましたので、拡張アイテムとして同時に構想していた第2弾のワルダレイダーもGOが掛かり、敵側アイテムの本格的な商品展開が実現した訳です。
――その流れで「ワルダロス<ギガンター>」を企画するまでの経緯をお聞かせください。
高谷:V.S構造で展開をする際に留意したいポイントは味方側の戦力と敵の戦力のパワーバランスです。やはり襲い来る敵は圧倒的に手強くないとカタルシスがありませんので“常に敵側が優勢”という構図である方が、燃えますよね。ストーリーや世界観設定上では盛りまっくっていくらでも敵を強くする事はできますが、今回のダイアクロンラインではイメージだけに終わらせず、実際に玩具で遊ぶ上でもそのパワーバランスをできる限り体現させて行きたいと思っています。
既に発売済みのワルダースーツとワルダレイダーにも、一応その要素が組み込まれていて、それなりの数を連結するとバトルスV2クラスと同等、さらに連結させて行くと構造的にはビッグパワードGVを超えるボリュームのある巨大な敵アイテムの構築ができる構造にはなっています。ただこれは、いくら大人向けラインとは言え、実際にそれを再現するまで複数買い集めるのは当然の事ながら現実的ではありませんので、巨大な敵の体現という面では”本当は無限に合体ができるんだけれど・・”と言ったイメージに頼らざるを得ないアイテムでした。、恐らく皆さんが今現在お手持ちのダイアクロンアイテムのパワーバランスは圧倒的にダイアクロン側が優勢ですよね。
次の敵アイテムの企画はそれを踏まえ、またイメージ半分だった無限合体の反省も踏まえた上で検討を行いました。その結果、V.S構造展開が軌道に乗り始めたこのタイミングで、皆さんが保有されているダイアクロンアイテムのパワーバランスを一気にワルダー優勢状態に逆転させてしまう様な破壊力を持った超弩級の敵アイテムを導入する事によって、今までとは別次元のプレイパターンの提案ができるのではないか、という考えに至りこの、ワルダロス<ギガンター>を企画した次第です。このアイテムの登場で、”保有戦力を駆使して強大な敵をいかに倒すか?”というエキサイティングなバトルシチュエーション遊びが、イメージだけではなく、リアルに体感できる事になります。
ワルダロス<ギガンター>は単なる大型変形合体玩具ではなくバトルフィールド型のプレイセットという意味合いも持たせたアイテムとして開発しています。プレイセット的な要素は殆どのダイアクロンアイテムに多かれ少なかれ組み込んでいますので、敵側と言えワルダロス<ギガンター>も極めてダイアクロンらしいアイテムになっています。と言う事で、是非ともこの機会にワルダロス<ギガンター>を召喚し、皆さんが配備されているダイアクロン部隊を恐怖のドン底に落し入れてみてはいかがでしょうか。
――「ワルダロス<ギガンター>」の商品開発上のポイントをお聞かせください。
高谷:まずは「シリーズ最大級である事」ですね。先程もお話しましたが、強大な敵である事を体現できるレベルのサイズとボリュームがある事を最優先にしています。既存発売アイテムの中ではビッグパワードGVシリーズが最大ですのでそれを超える全高を最初に設定して各部のボリュームを決めました。金型投資上の制約もありますので極力投資を抑えつつもボリュームが出せるユニット構成になっています。
次に「機構はシンプルである事」ですね。何らかの変形合体機構は組み込む予定でしたので、その際このサイズと重量を踏まえた遊び易さが重要になってきます。このボリューム故にいくらでも複雑な機構を組み込む事ができてしまうのですが、その結果、遊びづらくストレスの溜まる機構に陥る事に繋がりますので、それは避けて極力シンプルな構造にすべきという事です。
機構的な所では既存発売アイテムの20ミリジョイントのユニットとの連動も重要なポイントですね。ワルダロス<ギガンター>は基本的に巨獣型から人型に可変する戦闘兵器なのですが、その本質は巨大なワルダレイダーの集合体であるとも言えます。ワルダースーツやワルダレイダー同様にユニットの結合や分離による可変強化遊びができますので<ギガンター>1機あればパワードスーツクラスからビッグパワードGVクラスまで対応した複数の外観・サイズ・ボリュームの異なる敵役バリエーションを創り出す事ができます。先程お話したように敵側アイテムは頻繁に新アイテムが出しにくいという制約がありますので、極力バリューを詰め込んで飽きのこない、時間大強盗的なアイテムとして遊べる仕様になっています。
また外観的な部分では「カッコいい敵メカである事」を意識して開発しています。単なるヤラレメカでは無くボスキャラ的な威厳を持たせる事、重量感を強調できるプロポーションである事、関節可動の表現力はヒロイックなポージングが取れる自由度を持たせる事、などなど色々ありますが、特に頭部のデザインは非常に悩んだ部分で、結果的に全体の機構ブロック開発期間の1/5はこの頭部デザインの検討に費やしています。
ちなみに<ギガンター>の後頭部はこんな感じになっています。
――それでは、各メカの紹介をお願いします。
■ブルヘッド(Aメカ)2足歩行の角獣型メカで合体時には上半身を構成するマシンです。龍型メカの<ホーンラルバ>、左右2機の昆虫型メカ<アントヘッド>、蛇腹型メカ<サーベルヘッド>という4つのメカに分離可能です。<アントヘッド(=ギガンターの腕部)>の全長とトライダッシャーの全高はほぼ同じです。デカいです。
■ポッドバンカー(Bメカ)は戦艦状の飛行形態から2足歩行型の機動マシンに可変します。ポッドバンカーの直立状態は、ほぼダイアバトルスV2と同じくらいの全高になります。本当にデカいです。合体時の全重量を支える下半身を構成する部分ですので、複雑な機構は組み込まず、強度重視のガッシリした土台としての機能に徹する事を優先しています。下半身を安定させる事で合体する上半身ユニットの変形を非常に楽にできる様にしています。
■ブルヘッドとポッドバンカーが合体して巨獣になる<ギガンター>の第一形態です。これを見て、”メカ恐竜だ!”と言われる方が多いのですが、これは「メカ怪獣」です。巨大な角・前傾姿勢・ボリュームのある四肢・長い尻尾という定番要素でスタンダードな純日本産の怪獣型スタイルを表現しています。
――なぜ、怪獣型のメカを?
高谷:手強い敵、と言えばやはり“大怪獣”というストレートな発想からです。しかも銀河の果てからやって来て、鋼鉄の鎧を纏ったスゴい奴ですよ。巨大怪獣・宇宙怪獣・ロボット怪獣・合体怪獣、等、ウルトラ級の肩書きを多々持ってますので、かなり手強い敵のはずです。現在交戦中のワルダー軍団は侵略した様々な惑星から奪い取ったテクノロジーで作られた武器やメカで攻撃していますので、この怪獣型マシンもその流れの産物かと思います。
ダイアクロンメカの大半は人型戦闘マシンですので対する敵役は、同じ様な外観で同じ様なシステムの敵よりも、異文明で異なるテクノロジーを持った異形の敵とした方が、VS遊びをする際に多種多様なイマジネーションを反映させて遊べるので楽しいのではないでしょうか。
■巨獣形態から変形して完成するワルダロス<ギガンター>の第二形態にして最強形態、人型戦闘兵器状態です。ワルダーメカ初の人型メカですね。実はワルダロス<ギガンター>はワルダースーツが進化を重ねて人型となり巨大化したかの様な構造になっています。良く見ていただくと、胸にポッドユニットが収納・左右脚部が連結・テイルユニットとサーベルヘッド・アーム部とアントヘッドの脚部の収納方法、等、ワルダロス<ギガンター>とワルダースーツの構成要素がリンクしています。
本体の変形は物凄くシンプルな差し替え無しの一体変形です。エジェクトした尻尾はサーベル状の武器になり背中に懸架も可能です。ダイアクロンラインでは必要最小限の工程で最大限の変化が出る様な変形機構を目指しています。
前面に配置された7個のクリアブルーのポッドの内、2つはハンターポッドと呼ばれているキャプチャーポッドです。フィギュアのキャプチャー遊びは、海外玩具のプレイセットでは定番のギミックですね。ぜひともダイナミックなシチュエーションで遊んでみてください。
――恒例のモール限定版のワルダロス<ギガンター>の発売予定は?
高谷:さすがにシリーズ中最⾼額のアイテムですので、直近の販売計画には、モール限定も⼀般発売も含め、⾊変え版のワルダロス<ギガンター>は現在は着手しておりません。発売するとしても、先の話になるのではないでしょうか。
――最後にファンへのメッセージをお願いします。
高谷:ワンフェスでの展示・ホームページのトップ画像・プロモ映像プロモーションをご覧になった方は、既に感じ取っていただけたかと思いますが、ワルダロス<ギガンター>のプロモーションビジュアルのテーマは「強大な敵を目前にした絶望感」です。、TVシリーズ等で良くある、前後編のエピソードで、回避不能な絶体絶命の状況に陥った所でストップモーションになる前編のラストカットのイメージですね。もちろんこれはワルダロス<ギガンター>の絶対的な強さと強烈なインパクトを印象付けるための演出で、あのままダイアクロン隊が全滅して終了、という訳ではありません。
ここから先の展開は皆さんが其々お持ちのイマジネーションを駆使した攻略作戦と、その指令を待つダイアクロンのメカニック達の活躍に委ねさせていただきたいと思います。
ワルダロス<ギガンター>は確かに手強い敵なのですが決して難攻不落な敵ではありません。各部が20ミリジョイントで連結された機体故に、半壊状態モードや、爆発四散モード、などなど、豪快なやられっぷりまで立派に表現してくれる“敵役玩具の鏡”といえるアイテムです。全力でワルダロス<ギガンター>を撃破し、勝利を勝ち取っていただきたい所です。
ということで、ワルダロス<ギガンター>以降も続々と新アイテムが控えています。宇宙海兵隊初のPSでは無い人型戦闘マシン、第3世代型パワードシステムシリーズ、第4のトライヴァース機、などなどダイアクロンの戦力アップ群に加え、ワルダー軍団側もなにやら不穏な動きがある模様です。
そう言えば、来年はダイアクロンの発売開始から丁度40年を迎える年の様ですね。……ご期待ください。
――ありがとうございました。
●PROFILE
高谷元基(たかや・もとき)
株式会社タカラトミー、玩具デザイナー。
主な参加作品:『電脳警察サイバーコップ』『トランスフォーマーZ』『機甲警察メタルジャック』『電光超人グリッドマン』『B’TX』、ハイターゲット向けの商品として注目された1/6スケールのアクションドール『Cool Girl』など、数多くの商品企画や開発に携わっている。現在はダイアクロンのシリーズを担当。ユーザーのアンケートやリクエストにも目を通しつつ、再始動した『ダイアクロン』シリーズの商品開発に情熱を注ぐ日々を送っている。
DATA
DA-50 ワルダロス<ギガンター>
- 対象年齢15歳以上
- 発売元:タカラトミー
- 価格:38,000円(税別)
- 2020年3月下旬発売予定
(C)TOMY