声優・島﨑信長さん×漫画家・緋鍵龍彦さんスペシャル対談!ゲームをきっかけに意気投合!?
フェチズムを刺激するストーリーで多くのファンを魅了し、2013年にはアニメ化もされた人気漫画『断裁分離のクライムエッジ』。その作者である緋鍵龍彦さんの最新作『私の傷は死んでも消さない』が、2019年8月より月刊コミックアライブにて好評連載中です。
『私の傷は死んでも消さない』の主人公・軒下山猫には、ある事故が原因で「責任を取る」と誓っている幼なじみのお姉さん・家入野鼠がいます。しかしもう一人の幼なじみ・楢井豆柴のある告白によって、彼らの関係が大きく動き出し……。
タイトルにもある“傷”をキーワードに、通常のラブコメとはひと味違うエッジの効いた物語が展開しています。今回、作者の緋鍵龍彦さんと、エンターテイメントに造詣が深く緋鍵さんとも親交がある声優の島﨑信長さんの対談が実現! お2人のお話を通して緋鍵さん独自の想像性や、作品の魅力に迫っていきます。
2人が仲良くなったきっかけは?
——お2人は親交があると伺ったのですが、2013年に放送されたアニメ『断裁分離のクライムエッジ』に島﨑さんが出演されたのがきっかけでしょうか?
島﨑信長さん(以下、敬称略):そうですね。もともとの知り合いで、アニメの収録で運命的な再会をしたなんてお話ができたらよかったんですけど(笑)。
緋鍵龍彦さん(以下、敬称略):何かのイベントで、実は会っていて、とかね(笑)。
●『断裁分離のクライムエッジ』
女性の髪を見ると切りたくなる衝動を持つ主人公・灰村桐は、偶然立ち寄った洋館で美しい黒髪を持つ少女・武者小路祝と出会う。彼女の髪はどんなことをしても切れない呪いがかけられていたが、桐がお守りとして持ち歩いているはさみを使うとなぜか切ることができ……。
この出来事がきっかけで彼らは、殺人鬼が使っていた道具“殺害遺品(キリンググッズ)”を巡る殺人ゲームに巻き込まれていく。
島﨑:僕が主人公の親友である鳴門小太郎役を演じ、収録でお会いしたのが始まりです。主人公の親友というものは活躍するか、しないかのどちらかですが……彼はしない方で(笑)。
緋鍵:当時島﨑さんに「もっと小太郎に出番ください」と言われて、「すみません……」と返したのを覚えています(笑)。今回島﨑さんと対談するにあたって読み返したんですが、僕のイメージしていたよりもかなり出番が少なかったなと改めて……。
島﨑:そんなこと言ったんですね、僕(笑)。原作がそうなんだから、仕方がなかったのに。でも小太郎は質実剛健で、居合も得意で、いい要素がたくさんあるんですよ。
緋鍵:脇役ではありましたが、そうなんですよね。
島﨑:活躍できる素質を持っていて、もっとできる男なのにって演じていて思ったんです。
緋鍵:物語が進むなかで主人公たちの非日常がメインになってしまって、小太郎たちと過ごす日常側の描写が少なくなりましたからね。
島﨑:小太郎はそこで非日常に足を突っ込まないで、日常側に居続けたのがよかったんじゃないですかね。
緋鍵:そんな少ないシーンから小太郎のイメージをくみ取って演技してくださったのも、ありがとうございます。
島﨑:小太郎は一生懸命やらせていただきましたし、記憶にも残っているキャラです。もっとやってみたかったという気持ちも込みで(笑)。でも、惜しかった、もっとやりたかったって、作品やキャラが好きだから思える前向きな感想ですよね。
緋鍵:島﨑さんを思い出すたびに「すみません……」と思いつつ、そう言ってもらえるのが嬉しかったです。
——緋鍵さんから見て、島﨑さんの印象はいかがでしたか?
緋鍵:オーディションの審査に僕も参加していたんですが、島﨑さんは入ってくるときも深々と礼をしていて、とてもハキハキしていたので礼儀正しい爽やかな人だなと思いました。
島﨑:今よりもさらに新人の頃なので、僕自身も緊張していた部分があったのかもしれません。今ならもう少しリラックスして、ナチュラルにできると思うんですが。僕も、大人になりました(笑)。でも印象に残っているというお話を聞くと、初心に戻ってピシっと行動するのもアリかもしれないですね。
緋鍵:「何があったの?」って言われるんじゃないですか(笑)。
島﨑:「気合入っているね!」と言われるのか、もともとのイメージとそんなに変わりなくて何も言われないのか。今度やってみようかな(笑)。
——島﨑さんから見た緋鍵さんはいかがですか? 漫画家というイメージ通りでしょうか、それとも普通と違う部分を感じたところは?
島﨑:何をもって普通とするかは難しいところですが、変わり者なところはありますね(笑)。ただ、これは緋鍵さんに限ったことではなく、演者もそうですが、クリエイティブな方って独特の世界観があって変わっている部分がありますよね。それを表に出すか、出さないかという部分はもちろんあると思いますけど。だから、何を漫画家の普通とするかは難しいですよね。
緋鍵:ちょっとした哲学になりそう。
島﨑:でも実際にお会いして、フェチ感とかうまく隠せている方だなと思いました。
緋鍵:よかったです(笑)。
島﨑:現代社会にしっかり溶け込んでいるからこそ、その奥にあるフェチやパッションが色濃く作品に出ているのかなと。
緋鍵:そこは、しっかり出せるように頑張っています。
——最初から打ち解けられたんでしょうか? それとも、探り探りに?
緋鍵:最初に話したのは、1話の収録のときですね。そのあと懇親会で一緒にご飯にいって、その時に話しました。
島﨑:どんなこと話しましたっけ?
緋鍵:共通の話題になるゲームの話題を。そのときは『ルセッティア〜アイテム屋さんのはじめ方〜』で盛り上がったんですよね。
島﨑:懐かしい!!
●『ルセッティア〜アイテム屋さんのはじめ方〜』
同人サークル“EasyGemeStation”制作のパソコン向け同人ゲームソフト。主人公のルセッティアとなって店を経営するシミュレーションと、彼女が雇った冒険者を操作してダンジョンを探索するアクションロールプレイングの2つの要素を楽しむことができる。現在はSteamでも配信中。
——同人ゲームとは、まさかの話題ですね。
緋鍵:ゲームがお好きだという話は知っていたのですがジャンルなどは知らなかったので、メジャー作品から入って、探り探りそこまでたどり着きました。僕のなかで声優さんは雲の向こうの人間だったので、同じ作品の話題で盛り上がって心の障壁が取れましたね(笑)。
島﨑:いやいや、雲の上って(笑)。声優はコンテンツが好きでその職業に就いた人も多いですから。でも今にして思うと『ルセッティア』って、緋鍵さんのフェチに反応する部分ありますよね?
緋鍵:本当に? 確かに好きだけど、今まで思ったことなかった……。
島﨑:僕の偏見かもしれませんが、緋鍵さんぽいです。まず、不幸のどん底から始まるんですよ。天蓋孤独で借金を背負った女の子が、お店をなくさない&自分の幸せのために道具屋を盛り立てるぞというところから話が始まります。そのフェチズムが、とても緋鍵さんぽい。
緋鍵:そう言われると、否定はできない(笑)。
次回の第2回では、出会いのきっかけになった『断裁分離のクライムエッジ』の魅力を掘り下げていきます。
>>島﨑信長×緋鍵龍彦スペシャル対談第2回「中二病はやり切るからカッコいい——島﨑信長さんが語る『断裁分離のクライムエッジ』の魅力」
『私の傷は死んでも消さない』連載情報
月刊コミックアライブ(毎月27日発売)での連載を基軸にしつつ、ComicWalker、ニコニコ静画でも月2回配信中です。
(C)Tatsuhiko Hikagi
(C)緋鍵龍彦・メディアファクトリー/断裁分離のクライムエッジ製作委員会