「IV号戦車D型 プチあんこうチーム付き限定版です!」(プラッツ)を作る<その1>
11月21日に劇場版が上映される『ガールズ&パンツァー』。そんな本作に登場する登場全戦車のプラモデル化プロジェクトが進行中など、ホビー的にもまだまだ盛り上がっています。そんな中、プラッツより登場した「IV号戦車D型 プチあんこうチーム付き限定版です!」を製作していきます。
製作するのは、電撃ホビーマガジンでも数々の『ガルパン』作例を担当してきた柳生圭太(ランペイジ)氏! 第1回目は、途中まで素組みを進めて、リニューアルされた「IV号戦車D型」のレビューをお届け。
■モデラー:柳生圭太…
原型師・プロモデラー。
ランペイジ(http://www.rampage-g.com/)の代表として数々のアイテムを世に送り出している。
■今回のお題:
「IV号戦車D型 プチあんこうチーム付き限定版です!」
以前同社より発売された「IV号戦車D型 あんこうチームVer.(以下、旧版)」をリニューアルしたアイテム。プラッツによって90%以上のパーツが新設計となっています。これにより、旧版と較べてパーツ数が1/4以下となり、普段AFVキットを組み立てたことがないユーザーにとっても、組み立てやすくなっています。限定版にはPVC製の「プチあんこうチーム」フィギュア(ピットロード製)が付属します。
詳細な製品情報はこちら(⇒プラッツサイト内商品情報ページ)をご覧ください。
■さっそく製作です!
編集部: 本日はよろしくお願いします。さて、まずはプラッツのリニューアル版IV号戦車D型の感想を頂戴したいと思いますが。
柳生: 先日、テストショットをいただきましたので、とりあえず塗装や工作的に問題がないところまで組み立てました。で、まずこれだけはいっておきたいですね。
これは良いものです!(笑)
編集部: いきなり結論が!?
柳生: 旧版と比較すると、パーツの一体化を進めることで、総パーツ数は凄く少なくなっていますし、とても組み立てやすくなっているんですよ。ある程度模型に慣れている人であれば、週末があれば普通に塗装まで終わるんじゃないかなぁ。
編集部: 今回のリニューアルにあたって、再設計したパーツが90%以上になっているとのことですからね。パーツ数は旧版の1/4以下だとか。
柳生: 現在のドラゴンモデルズの金型技術の向上もあって、全体的に見た場合の完成度はかなり高くなっています。そして、劇中仕様の再現度という点でも、完成度はかなり上がっています。これをそのまま完成させても十分『ガルパン』仕様として納得できる仕上がりですよ。
編集部: 旧版のときは、履帯の形式が違ったりしましたからね。たしか、OVA『これが本当のアンツィオ戦です!』のときに柳生さんに旧版を作っていただいた時にはかなり手を加えていた覚えが……。
柳生: あれは徹底して劇中版を再現した作例ですね。そのため、起動輪なんかは完全にスクラッチになりました。今回は大丈夫そうで安心です。
編集部: 今回はあの作例ほどガッツリと改修しなくても大丈夫と聞いて安心しました。
柳生: そうですね。今回はキットの素性を活かしつつ、細部のディテールアップや組み立て時のポイントを中心に、「劇中仕様」のIV号戦車に近づけていきたいと思います。リニューアル版はたしかに完成度は上がっていますが、それでも注意すべき部分はありますから。
■工作のポイントです!
編集部: それでは、具体的に製作時に気をつけるべきポイントとはどこでしょうか。
柳生: おおまかに分けて「模型製作上の注意点」と「劇中仕様を再現する上での注意点」に分かれます。まずは模型製作上の注意点から確認していきましょう。
柳生: 旧版とリニューアル版を並べてみると、一部ディテールが甘くなっている箇所があるんですよ。特に顕著なのは砲塔部分ですね。よく見てみると、砲塔上面の手すりや、4箇所の砲塔吊り下げ用のフックのディテールがやや甘くなっているのがわかります。
編集部: 砲塔上部のパーツ(A23)は、 クラッペを始めとする側面のディテールごと一体成型されていますからね。金型的にはどうしてもこうなってしまう部分はあるでしょうね。
柳生: そこは承知の上で、手軽に作れるようパーツ数を減らした設計にしてあるんだと思います。モデラー側にこだわりのあるなら、こういった部分をキッチリとディテールアップすることで一味違う感じが出せますし、ここは、製作側のレベルによって取り組み方が変わる部分ですね。
編集部: 難しい工作ではありませんし、これまでディテールアップ工作をしたことがない、という方の初挑戦にも丁度いいかもしれませんね。まだ製作していない旧版をお持ちであれば思い切ってパーツを流用もできそうですし。
柳生: こういう部分はしっかりと作りこんでいきたいですね。
あとは組立説明書的に順番を少し変えたほうが良い部分もありますね。例えば、車体後部ですが……
柳生: 赤矢印で示したパーツ(A16、A17)に関しては、説明書では先に取り付けるよう指示されていますが、排気管を取り付けるときに、同時に取り付けたほうが楽だと思います。また青矢印で示したパーツ(A26)は、取り付け後にパーツをカットする指定ですが、ここは先にカットしてから取り付けた方がトラブルがないかと思います。こういった「ちょっと手順を変えた方がいい」ところは結構沢山あります。
編集部: AFVのキットに慣れていれば、なんとなく判る部分でもありますが、あまりAFVキットを作ったことがない、という場合は、しっかりと仮組みをするのが良いと思いかもしれませんね。
柳生: あとは、サスペンション(C11,C12)や転輪も、後で取り付けた方がいいですね。
編集部: 転輪はともかく、サスもですか? 車体色と同じなので先に取り付けて一緒に塗装したほうが楽そうに思えますが。
柳生: 塗装面ではそうなんですけど。戦車模型って、完成したときに履帯や転輪がキチンとまっすぐになっていないと格好悪いし、重量感も出ないじゃないですか。なので、後で全部まとめてまっすぐ接地するよう調整したいんです。なので、まだこの段階では取り付けません。
編集部: 確かに履帯も転輪も重量物ですから、あんまりガタガタとしていると一気に「模型っぽく」なってしまうかもしれませんね。
◆
編集部: 「劇中仕様を再現する上での注意点」については?
柳生: 自分の作例では恒例の工作なのですが、砲塔上面ボルトの数を始めとした、ディテールの再現を追求しようかと思っています。
柳生: また、今回のリニューアル版では、何故か車体前面の予備履帯のセンターガイドに穴が開いていないので、ここは履帯ラックの再現と一緒に、ぜひ手を加えてあげたいですね。あとはフロントフェンダー内側のバネのディテールを削り落とすなど、細かな部分を中心に手をつけていきます。
柳生: 工作はだいたいこんな感じですね。さらに細かく見ていけば アンテナケースの取り付け金具、転輪の刻印や予備履帯のホルダーの再現、後部ワイヤー掛けの位置、ライトの支柱の形状とか……色々あります。自分なりにどこまで再現するか決めてから製作に入ると完成に到達しやすいです。
まぁ、実は他にも重要な問題があるんですけどね。
編集部: と、いいますと……?
柳生: せっかく付属するので、フィギュアを載せたいな、と思っているんですが、これが上手く載らなくて……。もちろん、接着してしまえば良いのかもしれないんですけど、でも、できればハッチは閉められるようにもしたいんですよね……。
編集部: ああー……。なるほど。
柳生: 中にフィギュアを立たせるための台とか、作ったほうがいいのかもしれませんね。ちょっと次回までに何か方法を考えたいと思います。
◆
というわけで始まりました「IV号戦車D型 プチあんこうチーム付き限定版です!」レビュー。第2回目は9月中の更新を目指して現在作業中です! お楽しみに!
<DATA>
IV号戦車D型 プチあんこうチーム付き限定版です!
■1/35スケールプラスチックキット
■発売中
■価格:7,400円(税抜)
■発売元:プラッツ
<関連項目>
『ガールズ&パンツァー』公式サイト
プラッツ
(C) GIRLS und PANZER Projekt