富士見書房ドラゴンブック新作『ガーデンオーダー』『アマデウス』を発表!風雲急を告げるTRPG新作リリースラッシュに注目

更新日:2019年3月25日 16:46

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去る8月6日に行われた、富士見書房ドラゴンブック編集部による新作TRPG発表会。「創立30周年目のチャレンジ」「節目にふさわしい新しい世界観とシステムを搭載したTRPG」を標榜した新作タイトル2種に加え、2016年以降に富士見書房ドラゴンブック編集部が力を入れていくTRPGの開発計画が明らかになりました。

 

本発表会は報道関係者以外に多数の一般ユーザーが招かれていたのも大きな特徴です。緊張感はあるものの終始アットホームな雰囲気で進んだこの発表会、まずは期待の新作2点を紹介していきましょう!

 

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▲会場には印刷所から届いたばかりの最新作に加え、ノベルティとして作られたTRPGのプレイを助けるサプライも大量に展示。

 

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▲表示された瞬間、「色がビビッドですね!」と久保田氏も唸ったメインビジュアル。イラストレーションはニリツ氏。

 

まず最初に発表になったのは、『ガーデンオーダー』。”オーダー”と呼ばれる異能者たちが”ネフィリム”と呼ばれる人類の敵と戦う、現代を舞台にしたTRPGです。開発者は『アリアンロッド2E』などで辣腕を振るう、久保田悠羅氏。システムは視覚的にわかりやすい、10面ダイスふたつを使ったパーセンテージロールによるシンプルなルールを採用しています。
『クトゥルフ神話TRPG』(KADOKAWA刊)などでも採用されているシステムで、「(クトゥルフ神話TRPGがヒットしている)いまなら親しみやすいだろう」とは久保田氏の弁。ハードな世界観ながらメインビジュアルは爽やかにまとめられており、『ダブルクロス』などのヘビーな物語とは異なる、元気に戦うTRPGに仕上がっているとのこと。

 

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『ガーデンオーダー』の世界では、第二次世界大戦中に人類の天敵”ネフィリム”が出現。その対応に追われ、第二次世界大戦は霧消。人類は存亡の危機に立たされます。ですが、これに呼応するように2万人にひとりと呼ばれる非常に低い確率で、”オーダー”と呼ばれる特殊能力者たちが顕現します。主人公たちはこのオーダーとなり、”GARDEN”=”Genelic Ability Resorce Department of Eliminated Nephilim”と呼ばれるネフィリム討伐組織に所属し、その”特性能力”で彼らを駆逐していきます。冷戦時代の偽史ものを思わせるハードな設定は、世界をまたにかけた一大キャンペーンも楽しめそうですね。

 

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本作を象徴する独自性の強いシステムが、”バディスタイル”。アニメや刑事ドラマのコンビ物のように、プレイヤーはふたり一組となって”バディ”を設定することでさまざまな数値上の恩恵だけでなく、バディのキャラクターが登場しているシーンに割り込んで登場しやすくなったり、身を呈してかばうなどの、専用のドラマティックな演出がシステムとして盛り込まれています。これと対応して”ソロスタイル”も選択が可能。

 

こちらは単独での行動を重視するキャラクター向けのスタイルとなっており、支援役やバイプレイヤーにうってつけ。ソロだからこその強さはバディが設定されたキャラクターとはまた別の魅力があります。キャラクターの性格や設定に合わせてスタイルを選択、差別化していく楽しみがあり、バディとソロでプレイ感覚が異なるためさまざまなセッション、複数回のプレイにも耐えうるデザインとなっています。

 

このほかにも、さまざまなアクションやビジュアルを産み出す”特性能力”、主人公の通り名として設定される”コールサイン”、疲労、軽傷、重傷、致命傷、死亡の5段階に分かれ数字処理だけでなく、演出までが盛り込まれたダメージチャートシステムなどなど、斬新ながらも親しみやすい内容となっています。

 

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さらにルールブックにはリプレイの旗手、菊池たけし氏によるリプレイも同時収録されることが発表! こちらも”プレイヤー視点によるリプレイ”とのことで、読み味もすこし変わったものになりそう。『ガーデンオーダー』を知るためにも嬉しいサプライですね。

 

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JGC(ジャパンゲームコンベンション)にて、本作『ガーデンオーダー』のセッションを製品版ルールで遊べるイベントが開催されます。また、物販ルームでも2時間前後で当日参加可能なプレイ体験会を開催。こちらも要チェックです。

 

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実は武術の達人でもあるという久保田悠羅氏。最後に久保田氏のコメントを紹介します。

「まずはゲーム自体を遊んで頂いて、収録のリプレイを読んでいただければどういうゲームかというのも分かる形になっています。いままでのF.E.A.R.のゲームとはひと味違うゲームに仕上がっているので、そこも楽しみにしていただければと思います」

 

さて、次なる新作は”神話創世RPG”と銘打たれた『アマデウス』。

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現代を舞台にしながらも、テーマは”神”とのことで、よりファンタジックで豪快な設定となっています。現出する”神話災害”に、プレイヤーは神の力を受け継ぐ”アマデウス”となって立ち向かいます。実在する世界各地のさまざまな神話をモチーフに、”予言”システムやランクで表示される能力値、場に溜まっていく”インガ”システム……などなど、かなり個性的なTRPGになっています。開発は『艦これRPG(原作:「艦これ」運営鎮守府)』『シノビガミ』などの代表作を持つ冒険企画局の河嶋陶一朗氏。

 

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▲それぞれ神々のゼウスとヘラ。イラストレーターはPALOW氏。河嶋氏のたっての希望による起用とのことです。

 

『アマデウス』の世界は、神話の世界が顕現しつつある現代。”神話災害”と呼ばれる、神話を源としたディザスターに対して神に愛されしもの、”アマデウス”となった主人公がこの鎮圧に向います。アマデウスたちには、彼らにだけ見える、彼らにだけ聞こえる、彼らを愛している神々がいます。神々は幻ではなく、彼らに力を与えたり、あるいは災害として厄をもたらす存在でもあります。神の強大な力と彼らの予言に振り回されながら、東奔西走するキャラクターたちの物語がポイントになりそうですね。

 

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いわゆるTRPGでいう職業、クラスにあたるのが、この『アマデウス』での神々。ルールブックには4神話30柱の神々が、独自のビジュアルで収録されています。敵は“クロノス”率いるタイタン神群と配下の怪物たち。
今回収録されているのは、ギリシャ神話、日本神話やエジプト神話などとなります。特殊なシステムとして、セッションの流れを決める”予言”という要素があります。予言には「世界を滅ぼす」「世界を護る」「きみはこうなる」などの命令や展開が記されており、この予言の達成、あるいは予言への抵抗がゲームの肝となります。氏の作品である『シノビガミ』や『インセイン』の秘密ルールに近いものですが、今回はその内容が”伏せられている”のがポイント。進行に合わせて、セッションの命題や展開が明らかになっていく……なんて、考えるだけでワクワクしますね。

 

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また、判定に際しては特殊なダイスも紹介。(通常の6面ダイスでも遊べるシステムのようです)
判定に使われなかったダイスが”インガ”として場に溜まっていき、この溜まった”インガ”によって後半はより派手な、より壮大なアクションが行えるようになるとのこと。セッション後半になればなるほど場が暖まり、ストーリーの進行に合わせて戦闘もより盛り上がるシステムを目指したひとつの解答とのこと。

 

また、この”インガ”はキャラクターメイキングの方針にも関わっており、”ダイスを多く振るキャラクター=インガを多く溜められるキャラクター”は場やストーリーに干渉しやすく、”ダイスをあまり振らないキャラクター=インガに関わりにくいキャラクター”は場に流されず、よりプロ志向のタイプになるとのこと。このほかにもSからCのランクで表示される能力値など、触ってみたくなる仕掛けが満載でした。

 

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『アマデウス』もJGCにてプレミアム体験会が開催予定。さらに物販ルームやKADOKAWAブースでスターターブックが
なんと無料配布されます。こちらはwebでも同日配信されるとのこと。『アマデウス』にいちはやく触れるチャンスです。

 

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“インガ”のダイスを手に力説する河嶋氏。最後に河嶋陶一朗氏のコメントを紹介いたします。
「神話の”イメージソースをみんなで持ち寄って作り上げる”というのはTRPGにも近い成立過程です。今回は世界設定についてもシステムについても完全な新作で、無難にまとまらない、新しいことに挑戦しています。厨二力やジュブナイルといったキーワードで、いままでのRPGにない展開を楽しんでいただければ。9月の前半にwebなどでスターターブックを配布予定ですので、ぜひ遊んだご意見も聞かせていただいて、皆さんと一緒にゲームを作っていきたい。ご協力をよろしくお願いいいたします」

 

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最後にドラゴンブック編集部、副編集細野氏のコメントを紹介します。
「ニコニコ動画をはじめとする、『クトゥルフ神話TRPG』などのリプレイ動画の隆盛で、動画を通じてリプレイを知るプレイヤーが増えています。どんどん新しい層がTRPGを知って,楽しんでいる状況が産まれつつあります。これは25年ほどまえに、日本でもっとも売れた国産TRPG『ソード・ワールド』が世に出た状況に少し似ています。

 

かつて、『ソード・ワールド』を楽しんだユーザーの皆さんが、別のゲームを求めて多数のTRPGが発売されていく、という状況がありました。同じように、いま『クトゥルフ神話TRPG』を楽しんでいる人たちが違うアイテムを楽しみたくなるというニーズが、必ずや起きる。その受け皿として、たくさんの新作を用意しています。

 

今回紹介した2作品以外にも、TRPG界の雄、グループSNEが完全新作TRPGが企画進行中です。また、F.E.A.R.、冒険企画局、それ以外のクリエイターとも鋭意開発が進んでいます。2016年1月から8月までに、さらに4つの新作を発表したい。独創的、個性的なシステムを開発していきますので、今後も富士見書房ドラゴンブックにご注目ください」

 

TRPGのリソースが、史上かつてないほどに集中している、トップブランド、富士見書房ドラゴンブック編集部。
そのリソースを活かした今後の展開、ひいてはTRPG全体の動向に注目が集まっています。

 

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▲一足お先にプレイ体験会を楽しませていただきました。

 

本発表会ののち、『ガーデンオーダー』体験会にも参加させていただきました。作成済みのキャラクターの”ライフパス”と呼ばれる過去や因縁、出来事をダイスで決定し、コールサインや設定、特性能力のみをメイキング。シナリオはクライマックス部分の戦闘のみを楽しむというスタイルでしたが、これが驚くほどに面白く完成されていました。ランダム性のあるシンプルなボードゲームの感覚で楽しめるので、時間のないプレイヤーにもおすすめです。ダメージの際に用意されたチャートが「全身に火傷を負う」「銃弾が貫通する」などの演出も込みで設計されているため、このダイアログでグッと戦闘が盛り上がります。アクション映画のクライマックスをサッと楽しむようにまずはこれを楽しんで、ここから気に入ったキャラクターでシナリオやキャンペーンを展開するのもよさそうですね。
また、行動の成功には”クリティカル”と”成功”、“失敗”と“ファンブル”の4段階が用意されているのもポイントです。”クリティカル”は、”成功確率の20パーセント”で発生する、いわゆる大成功でこの2段階の成功システムが、成功確率が100パーセントを超えた能力判定にもダイスを振るときの緊張感を産んでいます。複数シナリオに及ぶ物語を重ねて、成長したキャラクターでも適度なテンションで戦闘に臨める、素敵なシステムになっています。

 

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▲NPCやネフィリムにもイラストが用意されており、視覚からも進行を助けます。

 

バックグラウンドの設定も少しだけ。複数のNPCがルールブックには紹介されているようですが、今回登場したのはコールサイン”パースエイダー”を名乗る、メガネをかけた”ガーデン”の重要人物。彼らの持つ設定や、物語はルールブックやリプレイでこれから明らかになるのでしょう。こちらも楽しみに待ちたいところです。

 

“手軽に楽しめる”、”拡張性が高い”、”パーセンテージ性による視覚的なわかりやすさ””演出をサポートする多数のシステム”……などなど、魅力に溢れたシステムになっている『ガーデンオーダー』。ちょっとライトで先進的な内容ながら、パーセンテージの判定も手伝って、どこか昔のTRPGのような手触りもあります。新規の方にもベテランの方にもオススメできる内容になっていました。もし興味を持たれたら、ぜひ手に取ってみていただきたい一品です。

 

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<DATA>

『ガーデンオーダー』
2015年9月19日発売
B6版ルールブック(リプレイ同梱)
予価:1600円(税別)
著:久保田悠羅/F.E.A.R.
カバーイラスト:ニリツ

 

『神話創世RPGアマデウス』
2015年12月20日発売
B6版ルールブック(リプレイ同梱)
予価:1600円(税別)
著:河嶋陶一朗/冒険企画局
カバーイラスト:PALOW

 

<関連情報>
富士見書房ドラゴンブック公式サイト
http://www.fujimishobo.co.jp/gameinfo/dragonbook.php

JGC2015公式ウェブサイト
http://www.arclight.co.jp/jgc/

 

 

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