『私の傷は死んでも消さない』の主人公・山猫を島﨑信長さんが演じるとしたら?

フェチズムを刺激するストーリーで多くのファンを魅了し、2013年にはアニメ化もされた人気漫画『断裁分離のクライムエッジ』。その作者である緋鍵龍彦さんの最新作『私の傷は死んでも消さない』が、2019年8月より月刊コミックアライブにて好評連載中です。また、単行本1巻がいよいよ本日2020年2月21日に発売されました。

 

1回目、2回目に続く漫画家の緋鍵龍彦さんと声優・島﨑信長さんの対談企画第3回目は、最新作『私の傷は死んでも消さない』の魅力を紐解いていきます。

 

●過去の対談記事はこちら!

>>対談第1回「声優・島﨑信長さん×漫画家・緋鍵龍彦さんスペシャル対談!ゲームをきっかけに意気投合!?」
>>対談第2回「中二病はやり切るからカッコいい——島﨑信長さんが語る『断裁分離のクライムエッジ』の魅力」

 

『私の傷は死んでも消さない』の魅力に迫る

——最新作『私の傷は死んでも消さない』のお話を伺っていこうと思います。

緋鍵龍彦さん(以下、敬称略):読んでいただけましたか?

 

島﨑信長さん(以下、敬称略):もちろんです! まだ3話の段階なので展開としても読めないところだらけですが、前作『クライムエッジ』のことを考えると、いろいろ想像してしまいますよね。あと緋鍵さんは傷とか見ちゃいけないもの、コンプレックスとかが好きなんだろうなと(笑)。

 

緋鍵:負い目のある人間が、それを克服していくのが好きです。

 

島﨑:いまのところ主人公の山猫くんと、傷を負っている女の子の野鼠さん、豆柴ちゃんはいい感じの距離感を保っているじゃないですか。でも、どうとでも転べますよね。野鼠さんも精神的に安定しているように見えますけど、(小声で)この先どうなるのか……。

▲軒下山猫。本作の主人公。ある事故で野鼠に怪我を負わせてしまい、「責任を取る」と約束している。

 

▲家入野鼠。山猫の幼なじみの大学生。彼をからかう様な言動を見せるが……。

 

▲楢井豆柴。山猫のもう1人の幼なじみ。実は彼女も山猫が起こした事件の現場に居合わせ、傷を負っていることが発覚する。

 

緋鍵:現実的には、ねえ。顔に傷を負っているというのは、男女問わずかなり重いものですからね。

 

島﨑:これは伏線かなと想像しつつ、「これからどうなるの?」って思いしかない!

 

緋鍵:作者としては、思惑通りの反応です。読者が気になるように作っているし、これからもそういう内容にしていきたいですよね。

 

島﨑:現在はラブコメ的な展開ですが、タイトルにもある“死んでも”というところにいつか到達するんでしょうね。

 

緋鍵:タイトルは悩んで、担当編集にアイデアを出してもらいました。設定の段階でもともとハーレムものにしようという話だったんですが、出来上がったものが傷を持つ女の子たちの話だったので編集さんに「やっぱり直球じゃなかった」と言われました。傷という言葉が入らない案もあったのですが、それはないだろうと今の形に。

 

島﨑:重い設定ですよ。

 

緋鍵:僕は普通に思い浮かんだものをただ描いたつもりだったんですが、重かったですね。

 

 

——結末はどのレベルまで考えているんですか?

緋鍵:今回は自分自身も楽しみながら描こうと思っているので、キャラクターたちを見ながら「この子たちは何を考えているんだろうな?」と考えつつ、物語の流れのなかで決めていこうと思っています。

 

島﨑:読んでて思ったんですけど、山猫くんは小太郎に近いキャラですよね。顔の系統もですし、性格は小太郎の方がクールでサバサバしていますけど。

 

緋鍵:まったく意図してなかったんですが、気がついたら似てました(笑)。幼なじみがいて、武道もやっていて。高校生になった小太郎感があると、見直して思いました。

 

 

島﨑:だから対談に僕が呼ばれたのかなと思いましたからね(笑)。小太郎のifストーリーのようにも感じられて、嬉しかったです。意識せずとも脈づいていたというか、日常で描けなかった小太郎がこっちにも出てきてくれたのかなと。

 

緋鍵:島﨑さんは本当に小太郎を愛してくださっていて、ありがたいです。

 

島﨑:いえいえ(笑)。前作に比べると、直接的な描写も多いですね。山猫くんの照れ方もラッキースケベ的なものじゃなくて、「だらしない」と言いながら薄着に内心ドキドキしている感じがリアル。

 

緋鍵:今回はわかりやすく、そしてリアルっぽくしています。

 

 

島﨑:ちなみにみんな名前が動物にちなんでいますけど、意味はあるんですか?

 

緋鍵:かわいらしく、まとまりがあった方がいいかなと。

 

島﨑:これから野鼠派か、豆柴派かに分かれそうですよね。

 

緋鍵:作者的には、分かれてくれるといいなと思ってますよ。

 

島﨑:でも、第三の女の子が出てくるんでしょう? これから、どんな動物の名を持つ子が出てくるんだろうと読者としては思ってしまいます(笑)。

 

緋鍵:どうかな~。でも、設定の段階でハーレムものでしたからね。

 

島﨑:出てくるんでしょうね。あの事故があった場所に、何人の個性が強い美少女がいたんだよと(笑)。もしかしたら、男の子もいたかもしれませんね。

 

緋鍵:なるほど(笑)。

 

 

島﨑:見ていた大人もいるわけだし、絡ませようと思えばいくらでも登場人物が増えていきますよね。ここから、山猫くんは大変でしょうね。

 

緋鍵:山猫が頑張る話にはなると思います。

 

島﨑:今のところ、そばにいる野鼠さんと豆柴ちゃんは山猫くんを責める方向ではなく執着してくれていますけど、怒っている人がいてもおかしくないじゃないですか。

 

緋鍵:彼と親しくない人など、立場が変われば、ふざけるなと思う人もいますよね。

 

島﨑:野鼠さんと豆柴ちゃんも緊迫感のある状況になりかけたけど、野鼠さんの大人の対応で平和が保たれました。でも一歩反応が違ったら、大変なことになるわけで……。

 

緋鍵:作品の方向性が変わってましたね。どろどろにしようと思えば、いくらでもできてしまう。

 

島﨑:急にそうなることはなくても、ゆっくりとそうなっていくのかなと思っています。登場人物たちが、みんないい子なのが好きですね。

 

 

——主人公の山猫は、女性陣から迫られていても紳士ですよね。

島﨑:マジメですよね。でも、だからこそ苦しむんだろうな。

 

緋鍵:そこが割り切れる小太郎と違うところですね。

 

島﨑:小太郎は俯瞰型ですもんね。彼の方が若いのに、清濁併せ呑む感じがあります。

 

緋鍵:環境がよかったのかな? あと山猫は大きなことをやらかしていますからね、それを考えるとしょうがない気もします。

 

島﨑:善人が苦しんでいる方が、人は惹かれますしね。

 

緋鍵:今、かなりSっ気のあることを言いましたよ(笑)。

 

島﨑:でも、人間ってそういう傾向ありますよね(笑)。

 

緋鍵:確かに。あと人間って、内心でいろいろ思っていても表面は普通に生活できるものですからね。いい人や普通の人でも、そのなかでどう考えているかはわからないものです。

 

島﨑:あとになって、そうだったのかということもありますね。本作でも、さらって言ってたけど、あとで読み返したら「この言葉ヤバイ!」とかありそう。

 

 

島﨑さんが山猫を演じるとしたら……!

——島﨑さんが山猫を演じるとしたら、どんなところを大事にしたいですか?

島﨑:彼はまっすぐなところがいいですよね。だからこそ悩んでしまうし、責任を取るという言葉も出てきます。山猫のピュアなところや芯を大事にできれば、あとは掛け合いを通してその場で表現していきたいですね。僕は芯さえしっかり分かっていれば、それ以外の部分はゆるい方がいいと考えています。人間ドラマを演じるときはブレや矛盾があっていいと思っていて、決めきってしまってはおもしろくないなと。

 

緋鍵:揺らぎがないと、人間ぽくないですよね。

 

島﨑:二次元寄りのキャラになると解釈違いとかキャラぶれと思われてしまいがちですが、リアルに寄せて描いていると違和感がないですよね。意外なことを言ったり、5秒前と真逆なことを言ってしまったり。「復讐はだめだ」って言っていたのに「復讐しないともうだめだ」となるような人間臭いキャラクターが好きだし、そういう人間ドラマを見せられるように演じたいです。

 

緋鍵:僕も、そういう人物や物語の方が好きですね。

 

島﨑:これから連載が進めば、さらに山猫くんの根っこや考え方が見えてくると思います。もしも演じさせていただけるなら、相手の役者さんとの掛け合いで役を作っていけたら最高です。

 

緋鍵:山猫だけではなく、ヒロインとの関係性のお話でもありますからね。

 

島﨑:そうなんですよ。関係性で話し方や距離感が変わるのが僕はすごく好きだし、そもそも人間て、そういう部分が必ずあるじゃないですか。だから山猫と野鼠だったり、山猫と豆柴だったり、その場その場の空気で芝居が生まれていくと思います。僕じゃなくほかの役者さんでも、その感じを見るのが楽しみです。

 

 

緋鍵:序盤だけでも、関係性がかなり変わっていますからね。山猫にとって最初は野鼠さんが特別で、豆柴は仲がいいだけの女の子だった。それが豆柴の秘密を知ったことで関係性が大きく変わりましたし、今後も変化していくという。

 

島﨑:自然と距離感が変わっていくのがいいですよね。今は女の子たちが積極的なので山猫が受け身気味ですが、後輩が出てきたらリードするのかとか、それが逆転したらどうなるのかとか、興味深いですよね。また、グイグイ来る野鼠さんとの関係が、逆転してもおもしろい。いろいろなギャップの可能性を秘めた関係性って、いいですよね。名前的にも、猫とネズミですから。

 

——最後に、対談されていかがでしたか?

緋鍵:連載初期なのにもかかわらず、島﨑さんはとても深く読み込んでくださって。

 

島﨑:いえいえ、感想を話しただけですよ。

 

緋鍵:いろいろと考えながら読んでいただいて嬉しいです。自分として、「読者にこういう風に伝わっていたらいいな」と思っていた部分に反応していただけたので、そこもよかったなと思いました。

 

島﨑:本当にしっかりドラマになっていて、気持ちを追いやすかったです。

 

緋鍵:前作のファンタジーとは違って、地に足がついたお話になっていると思います。

 

島﨑:前作は過程は理解できても、アクセルとブレーキが極端で(笑)。常人は、そこまで行けない。今回は、今のところそこまで極端な結論に行ってる人はいなそうですね。でも物語が始まる前からかなりの時間が積み重なっていると思うので、いろいろこじらせているとは思いますけど。

 

緋鍵:こういう風に行こうという構想がある部分、ない部分、自分としても楽しみつつ描いているところです。ご期待に添えるものになるといいなと思っています。

 

島﨑:ちなみに、略称ってあるんですか?

 

緋鍵:まだなんですよ。ほしいんですけど。

 

島﨑:こういうのは公式でつけるよりも、ファンのみなさんが呼びやすいようにしてもらうのがいいですしね。今日はお話ができて楽しかったです。ありがとうございました。

 

緋鍵:ありがとうございました。

 

 

『私の傷は死んでも消さない』連載&単行本情報

月刊コミックアライブ(毎月27日発売)での連載を基軸にしつつ、ComicWalker、ニコニコ静画でも月2回配信中です。

 

また、単行本1巻が2月21日に発売されました。胸元の傷跡を見せた豆柴のイラストが目印です!

(C)Tatsuhiko Hikagi

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