ミキシングビルドの強硬偵察型ザクにネイビーカラーをイメージしたクシャトリヤなど、電撃ガンプラアカデミー2019年11月、12月投稿編
2019年11月、12月に投稿された作品から、電撃ホビーウェブがピックアップした作品を紹介。前回から選定に時間がかかってしまい申し訳ありません。今回は秋の夜長に作られた力作揃い! 全投稿作品はワンダースクールにて公開中です! 今月選ばれた10作品は以下のとおりです!
>>電撃ホビーウェブ presents 電撃ガンプラアカデミー
電撃ホビーウェブのピックアップの10作品
2019年11月投稿編
HGUCの中でも初期のキットと言うだけでなく、ザクという機体はあまりにも個人の好みが分かれるアイテムなので、製作を始める前にどのスタイリングで製作するか? という明確なビジョンが必要な機体です。ご本人が求めるスタイルに拘りと愛着を持っているのが作品から伝わってきます。形状だけでなく、ザクのグリーンも好みが分かれるのですがボディのダークグリーン・手足のライトグリーンのバランスもよく、丁寧なウエザリングも相まってとても好感のもてる仕上がりになっていると思います。
一見オリジン版ザクと、旧MSVのミキシングビルドと思われがちですが、E型ザクを完成させる為には、安易なミキシングビルドでは不可能です。バックパックや頭部などは何とか流用できますが(とはいっても大きさの調整はかなり困難です)、他に関してはミキシングと言う手法ではここまでのバランスをとることはできません。各ブロックを丁寧に形状変更していった結果がこの作品だと思います。デザイン的にもオリジン版としての整合性も保たれていて素晴らしいです。頭が下がる思いの力作だと思います!
丁寧なタイガーパターンの迷彩が目を引く作品です。塗装技術もですがアイディアが秀逸だと思います。モビルスーツと言うとAFVなどからアイディアをトランスレートする事が多いのですが、航空機から塗装アイディアを転用したのはナイスだと思います。機体選択もマラサイという点がキャラクター的にもタイガー迷彩に似合っていると思います。下地のイエローにオレンジのグラデーションを入れた事も大正解だと思います。お見事な仕上がりの作品です!
RGキットと言うのはとにかくパーツ分割が多く、このような塗装を施すには最も不向きなシリーズだと言えます。特にキャンディ塗装の場合、色味・濃さ・塗膜の均一化などを各パーツを組み上げた際に、バラバラにならないように一つずつのパーツの塗装具合を整えるのは至難の業と言えるでしょう。これほどまでに美しく統一感のある輝きを持たせるためには、丁寧かつ確実な塗装技術が必要です。ニッシーヨッシーさんはこのような技術をお持ちな事が写真からもよくわかります。大変美しく好感のもてる作品です。
カラーリングセンスが大変素晴らしいと思います。ブルーのスプリッタ迷彩2色も、とても上品なパステル調でまとめられていますし、ホワイト部も若干寒色系ホワイト……かなり明るめのライトグレーかもしれませんが、この色も迷彩色のブルーと非常にマッチしている色選びだと思います。各部に追加されたディテールも蛇足になりがちなのですが、カラーリングを邪魔しない程度に押さえられていて、適度にポイントを絞った追加工作がとてもいいと思います。差し色の赤・黄色の色選びもとてもいいと思います。
2019年12月投稿編
ここからは12月に投稿いただいた作品になります。
作品名:EFSF.RB-79-001(F.SEIEI【VSK】さん)
細部までとても丁寧に工作と塗装が行われており好感が持てる作品です。MGボールのフレーム・内部メカの構造を十二分に活かしたディテールアップと塗装を行っていると思います。細部をこれだけ細かく丁寧に塗り分けることは、塗装技術もさることながら、ご本人の美意識や缶製品に対する妥協点の高さを感じます。加えて撮影時にもかなり気を遣っている事が写真からも伝わってきます。文句なしですばらしい作品だと思います。
作品名:旧キットMSVドム-トロピカルテストタイプ(@館長さん)
以前から筆塗りにこだわりご投稿いただいている@館長さんですが、今回はこれまでの作品とは違い迷彩塗装を施されています。各迷彩色のタッチや発光部の塗装にも絵心が感じられ好感が持てます。旧キットの改造ポイントも適切で、MSVキットが本来持つ素性の良さを、各関節のバランス調整などををメインに最小限の改修で、最大限に引き出していると思います。
一見するとストレート組に見えてしまいますが、上半身を中心にこだわりのある改修をしている事がわかります。足首もこの部分に手を入れる事で設置性が増し、より重厚感のある“素立ち”を取らせる事が出来るので、大変的を射た改造と言えると思います。グラデーションも丁寧ですが、近年はオーバーコートでツヤを整えるのが通例のようになっていますが、本来色ごとにツヤ感は異なっているのが普通で、その各色が本来持っている“ツヤ”をそのまま活かしている点に好感が持を持ちました。
HGUCの中でも最も初期の製品のため、現在のHGスタンダードな構造・スタイリングとはかなり異なるザクⅢのキットですが、ここまで近代的に改修するのは大変だったと思います。可動範囲も狭いので、このような決めポーズを取らせる為には、各部の修正だけでなく、全体的なバランスも考慮し全身に手を入れて行かなければなりません。カラーリングもザクⅢという、他のザクとは異なる色味も見事にまとめられていると思います。
作品名:KSHATRIYA US NAVY COLOR CUSTOM Ver.(Zenmatrixさん)
大量にご投稿いただいたZenmatrixさんですが、投稿量が大変多いだけでなく、作品のクオリティも大変高いので、どの作品を選ぶべきか大変悩みました。その中でももっとも初期にご投稿くださり、カラーリング・ディテールアップ共に特に素晴らしく、見ごたえもあるクシャトリヤを選ばせていただきました。どの作品にも個性と独自の展示方法が光ります。どのくらいの期間で製作されたのかはわかりませんが、これだけ作りこんだ作品を大量製作するモチベーションはすごいと思います。
電撃ホビーウェブの総評
今月もたくさんの力作をご投稿くださりありがとうございました。
期間が開く形になってしまいましたが、投稿期間を通じた印象として、常連投稿者さんは、さらなる個性の変化が伺え、現状に満足してしまうのではなく、日々新たな技術を取り入れ、工夫されているのだと、それぞれの作品から感じられます。今回は、Zenmatrixさんはあまりにも大量に投稿いただき、本当にどれを選ぶべきか悩みました。本来なら2~3作品選出されていてもおかしくないレベルなのですが、あえて1作品にしぼりこませていただきました。本来このように同時期に大量に投稿されると、それぞれの作品へ票がバラけてしまうので、コンテストとしてみるとあまり得策とは言えないかもしれないですが、これだけの作品を、素組みではなく一気に投稿できたのは半年くらい作りためていたのではないかと推測します。初登場ながら、今後も台風の目になる投稿者さんだと思います。
投稿作品全体の印象としては、写真の撮影方法が皆さん上手になっていると思います。近年は外で自然の空やバックを映り込ませるのが流行っていますが、これはアングルも難しいので撮影技術(ライティングも含め)が向上しているのだと思います。加えてポージングも皆さん上手になってきていると思います。アクションポーズをとらせても加重移動や、一点透視のパースペクティブを意識されている方も多く、模型の見せ方(逆に言うと“どこをどう見せたいか?”)がはっきりしており、そういった点での技術が向上しているのだと思います。
そして、ガンプラアカデミーですが、次回2020年1月投稿分から審査員に、ガンプラビルダーズワールドカップ 2014年・2015・2018年日本大会ファイナリスト、2016日本大会準優勝パンクブーブーの佐藤哲夫さんをはじめ、吉本プラモデル部の方々に加わっていただきます。どういった作品の選出、選評が飛び出すのか!?
たくさんのご投稿をお待ちしております!
電撃ガンプラアカデミーへの応募はワンダースクールにて受け付けています。
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