『魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸』神志那弘志監督特別インタビュー!LINEオープンチャットで視聴者の皆さんからいただいた質問にお応えいただきました!

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4月より配信の始まったWebアニメ『魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸』。人気シリーズ『魔神英雄伝ワタル』(以下、『ワタル』)の20年以上ぶりの続編にして、すでに評判も高いこのタイトル。今回はその監督を務める神志那弘志氏にインタビュー! 編集部からの質問だけでなく、今回はLINEオープンチャットで募集した皆さんの質問を神志那監督にぶつけてまいりました。それではさっそく、ご覧ください!

 

 


神志那弘志(こうじな・ひろし)
アニメクリエイター集団スタジオ・ライブの代表。『Dr.スランプ アラレちゃん』の動画でデビュー。監督作品に『HUNTER×HUNTER』『魔人探偵脳噛ネウロ』など。『ワタル』シリーズには作画スタッフとして参加しており、今回の「魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸」で監督を務める。

 

 

――長寿で人気もある『ワタル』シリーズですが、放映当時の作品への印象はどんなものでしたか。

神志那弘志監督(以下、神志那監督):当時はもう普通に社会人で、仕事としてやってました。人気の作品でしたけど、ファン目線で自分自身が作品にハマることはなかったんです。でも、子供たちにも人気があるし、当時はワタルが好きでアニメーターを目指した子も多くて、『ワタル』を見て、スタジオ・ライブに入社してきたりして。作品を通じてアニメーターという職業を知って、業界に入ってきた人も大勢いるので、いろいろな人たちに影響を与えた作品でした。

 

――監督自身はいち社会人として作品に接していたんですね。
神志那監督:ただ、(現場も)面白かったですよ。当時、僕は作画だったのですが、動かすことに対する面白さといいますか。キャラクターにせよ魔神にせよ、リアル路線ではなかったので、仕事としてすごく楽しめました。人が乗ってはいるけれど、龍神丸がしゃべったり、戦神丸が呼んでも来なかったり(笑)。メカもキャラクターの一部である、メカとして割り切らず、キャラクターが立っている、というのは非常に面白かった。

 

 

――それでは、皆さんからいただいた質問を交えつつお話を伺っていきたいと思います。

 

「今回のお仕事を受けたときのご感想はいかがでしたか?(質問:めぐみんごさん)」

 

神志那監督:最初は「僕でいいのかな?」と。監督作品は何本かやっていますが、『ワタル』のときは作画が専門でした。作画の依頼はあるとしても、監督の依頼があるとは思わなかったので(笑)、とても驚きました。「まさか僕に来るとは」という感じでしたね。一度お断りしたんですが、サンライズさんも「ぜひ」ということでしたので、二度断る理由もなく、お引き受けしました。

 

――監督にとっても非常にプレッシャーのある作品だったんでしょうか。
神志那監督:そういうことです。僕の師匠である芦田豊雄(※1)がキャラクターデザインをやっていますし、広井王子(※2)さん原作だったり、井内秀治(※3)さん監督だったり……皆さんが創ったビッグタイトルなので。それでも、僕に2度お願いされるというのは「やらない手はないぞ」と気持ちを切り替えてお受けしました。

(※1)芦田豊雄……『ワタル』のキャラクターデザインを務めた。代表作に『ワタル』『魔動王グランゾート』、『銀河漂流バイファム』などのキャラクターデザイン。スタジオ・ライブ元会長。2011年逝去されている。
(※2)広井王子……『ワタル』や『魔動王グランゾート』で原作を務めたクリエイター。代表作に『サクラ大戦』シリーズなど。
(※3)井内秀治……『ワタル』の監督を務めた。代表作に『魔動王グランゾート』『ママは小学4年生』監督など。2016年逝去されている。

 

 

▲「超」から20年を超えての復活となった「ワタル」。このタイトルを継ぐ神志那監督にはやはりプレッシャーがあったとのこと。

「先のスタッフから「七魂の龍神丸」を継ぐにあたって、どんなところを心がけたり、気をつけましたか(ニッシーさん)」

 

神志那監督:『ワタル』のキャッチフレーズは「オモシロカッコいい」なんですけど、カッコいいことはある意味、いくらでもカッコつけられるんですけど、おもしろいというのはすごくハードルが高いんですね。ユーモアやギャグをどう持っていくか、それぞれのキャラクターをどう面白く動かすのか、というのは映像としてはものすごく難しい部分です。でも、それが『ワタル』の売りでもあって、「オモシロ」の部分をいかに面白くできるか、というのがこの作品で気をつけているところですね。

 

――面白さの部分はシバラクやヒミコが担ってくれているところもあります。
神志那監督:シバラクはまだ出てきていませんが、ヒミコの使い方や、いろんなキャラクターをどういうポジションに当てはめて面白く活かしていくか、というのはポイントになってきます。これは僕のいいところか悪いところかわからないんですけど、シナリオという文字やテキストの段階ではぜんぜん映像ができないんですよ。コンテを描いているとキャラクターがしゃべって動いて、映像を思い付くんです。それでキャラクターが動くと、すごく面白くなったりするんですね。

▲1話で少し出てきたシバラク。コメディリリーフとしては馴染み深いキャラクターで、彼を見るとホッとする方も多いのでは。

――キャラクターが動く、というのは例えば1話ではどんなシーンでしょう。
神志那監督:例えば、第1話で逆さ創界山をワタルが思い出すときにヒミコのチョココロネから連想したり、そのあとワタルの頭上に金タライが落ちてきたり……といったシーンです。これらのシーンはシナリオにはなくて、コンテで追加しました。水の入ったタライを単に出すのも面白くないので、タライを頭の上に落とす……とかは、ドリフ世代の私には本当にポンと出てくる映像なんですよね。そういう「オモシロカッコいい」の「オモシロ」は、常に自分で考えている部分です。

 

 

――今回はネット配信ですが、“ならでは”のつくり方はあるのでしょうか。
神志那監督:フォーマットといって、テレビシリーズでは何分何秒とか、キッチリ納めなければなりません。これが大変なんですよ。そこを気にしないでいいというのがネット配信ではありがたく、15分以内なりのテンポ感で作っています。AパートBパートではなく、1本のなかでのテンポ感。オチることなくガンガン進んで終わっていくんです。例えば電車に乗っているあいだに見れてしまうのが、いまの時代。配信にはあっているんでしょう。ネット配信という媒体ならではの構成です。

 

 

――2話では邪虎丸の戦闘と、ワタルの活躍がスピード感ありつつ重層的に描かれていました。
神志那監督:一番困ったのはワタルが龍神丸に乗れないところなんです。龍神丸のかけらを探すのは、今回の一番難しいところで、同時に一番見せたいところでもあって。乗れないときにワタルは何をするのか? というのは面白い部分です。その結果がそれぞれの龍神丸のかけらと、これからの物語につながっていきます。やはり新しい7体の龍神丸を魅せていくというのは大事なポイントなので、バトルを毎回どう入れるかというのは構成上も工夫しています。

▲テンポよく進行して挟まれるバトルシーン。令和に描写される魔神たちのアクションと、ワタルの活躍は大きな見どころです。

 

 

「7体の龍神丸がでてきますが、その中で特に好きなのはどれですか?」(ひろPさん)

 

神志那監督:デザイン的には聖龍丸が意外と好きですね。スリット越しに目が見えるというのもなかなか良いじゃないですか。しかも聖龍のかたちにチェンジする。僕は昔、『勇者ライディーン』が好きで(笑)、ゴッドバードにすごい惚れていましたので、形態が変わるのは好きですね。

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「7才の息子から質問です。龍神丸はなんで強いんですか?(はみがぴぴさん)」

 

神志那監督:それは、ワタルが乗っているからですよ。
――おお、なるほど!
神志那監督:救世主ありきの龍神丸なので。とうぜん龍神丸も強いんですけど、そこにワタルが乗るというのが一番重要で。龍神丸はワタル以外は誰も乗っていないですからね。救世主が唯一乗れる魔神だから、ということですね。

 

 

「ドバズダーはドアクダー、ドワルダーと違ってなんでわるくないのでしょう?(うさぎんさん)」

 

神志那監督:いろんな人々のネガティブな部分の集合体として(バズるというかたちで)生まれたのがドバズダーです。いままでのドアクダー、ドワルダーと違って世界征服のような目的を持った悪ではないんですね。なので、単純に悪という名前にはちょっとしづらいな、と。確固たる悪ではない感じです。名前はいろんな候補が出たんですけど、いちばん語感が良かったというのもあって。

 

――ここは『ワタル』らしい、時事ネタの空気も感じるところですね。
神志那監督:そうですね、時代的なのもあります。2話でもwi-fiを使ったり、というのも時代がなせる話になっていますよね。

 

 

「神志那さんにとって、いつまでも大好きな作品はありますか?(のんびさん)」

 

神志那監督:僕はやっぱり最初の『宇宙戦艦ヤマト』です。小学生のときなので、世代ですね。それからファースト『機動戦士ガンダム』ですね、高校生でした。そこを走り抜けてきたので、いまアニメ界で中心に立たれている方の多くと同世代だと思います。『ヤマト』を観て、『ガンダム』に……子供向けじゃないところや、ストーリーにハマっていったんですね。

 

――アニメという表現自体が大きく成長していくタイミングでもありました。
神志那監督:そうですね、そのアニメの成長にあわせて自分も思春期を迎えていったので。同じ世代の方がハマった作品にはだいたいハマっています。

 

――その『ヤマト』で芦田豊雄さんのお仕事を観られて、師事されたんでしょうか?
神志那監督:まさにそのとおりです。『ヤマト』では師匠の芦田が描く主人公、古代進が大好きだったので。「(絵が)いいな!」と思うと毎回クレジットに芦田豊雄と書いてあって(笑)。カッコいい、可愛い古代はこの人が描いているんだ、というのを意識し出しました。そのアニメーターの個性に惹かれたのも、芦田豊雄の門を叩いたきっかけですね。

 

 

「芦田おぢさまにすごく褒められたり、すごく怒られてとんでもないことになったとか、エピソードがありましたら教えてください(ミライさん)」

 

神志那監督:まず、うちの師匠は怒ることをしないですよね、褒めて伸ばすタイプなので……。「スタジオ・ライブは、ぜったいほかのアニメーターより上手いんだから」って自負してましたし(笑)。「絶対嘘だよな、そんなわけない」って思いつつも、やっぱり勇気づけられるんですよね。『ワタル』のときもメインは芦田さんがデザインしていたんですけど、各話ゲストキャラであるとか作画監督はみんなにやらせたりして、チャンスをいっぱいくれて、その中で学ばせてもらいました。つねにファン目線を忘れない人で、どうやったら見てる人が喜んでくれるか、受けてくれるかというのを常に考えていました。それはいまだに僕のなかに常にあります。常に見る人のことを考えて、自己満足にならない、ということです。

 

 

「監督の中で、印象深い回はどれですか? また、監督の好きなキャラクターを教えてください(ワタルがすきです!さん)」

 

神志那監督:セレクションに上げた『魔神英雄伝ワタル』の39話「虎王は宿命のライバル!」です。今回選んだのは虎王とワタルの立ち位置が、お互いにとってお互いが敵だった、という衝撃的な事実がはっきりわかる回。僕は関わっていなかったんですけど、作画もスタジオ・ライブだったし、ヒミコの登場の仕方や温泉の入り方もいろんな意味で印象深いですね。

▲後半戦に向けていよいよ戦いが加速していく回でもあり、登場人物の心情の変化も見どころとなる名エピソードだ。

 

 

 

――好きなキャラクターは誰になるでしょうか?
神志那監督:難しいですが、やっぱりヒミコでしょうか。『ワタル』だけでなく、全アニメ作品のキャラクターのなかで最強のヒロインだと思っているので。いつも笑っていられて、なんだかんだ強くて。屈託のない、何の裏もない女の子。それだけにストーリー上扱いづらいところもあるキャラクターなんですけどね……。

▲天真爛漫で存在感のあるヒミコ。本作でも欠かせないキャラクターとして活躍する。『2』ではしっとりしたエピソードもありましたね。

 

 

 

「オープニングに新曲を……というお話は全然なかったのでしょうか?(ながねぎたまこさん)」

 

神志那監督:新曲にしよう、とか『STEP』をほかの人に歌っていただこう、とかいろいろなアイデアがあったんです。でも、令和になってワタルがようやく帰ってくる、「お帰りなさい」感はやっぱり『STEP』で、a・chi-a・chiさんですよね、と収まりました。オープニングで最初に虹が出てきてワタルが降りてくるシーンをそのまんまにしたのも、「あれ、変わってないの?」と思わせたかったからなんです(笑)。

 

 

 

「クラマや海火子など、これからどんなキャラクターが登場するでしょうか?(雛姫さん、はるかさん、りゅうさん(沖縄)さんほか)」

 

神志那監督:これは難しい質問ですね(笑)。ネタバレになってしまうので何も答えられませんが、いろいろ想像して待っていてください!

 

 

――最後に視聴者の皆様にメッセージをいただけますか。
神志那監督:今回久々に何十年ぶりに映像化します。その間ずっと皆さんがなさってた活動や作られた本がぼくらのところに届きました。やっぱり根強いファンってすごいなと思うと同時に、大切にしていただいて感謝の言葉しかなくて。だからこそ今回、こうやって映像化となったわけです。ファンの方にお話を聞く機会もあるんですが、そのなかでも「子供と一緒に見ているんです」という声が、じつは一番うれしかったりするんです。これからも親子で応援していただければ、この先にまた何かあるかもしれません。『七魂の龍神丸』を最後まで応援していただいて、声をぜひ聞かせていただければな、と思います。

 

――ありがとうございました!

昨今の事情で休止していた配信の再開も決定し、2020年6月19日(金)21時からはついに待望の第3話が配信される『魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸』。第3話の先行カットにはついに龍蒼丸の姿もあり、展開にますます目が離せません。これからも電ホビでは最新情報をお届けしていきますので、本編ともどもどうぞお見逃しなく! また、LINE Open Chatでご質問、ご感想を頂いた皆様、本当にありがとうございました!

 

DATA

魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸

  • 配信チャンネル:YouTube BANDAI SPIRITS公式チャンネルにて配信

 

【メインキャスト】

  • 戦部ワタル:田中真弓
  • 虎王:伊倉一恵
  • 忍部ヒミコ:林原めぐみ
  • 剣部シバラク:西村知道
  • 龍神丸:玄田哲章

 

【メインスタッフ】

  • 監督:神志那弘志(スタジオ・ライブ)
  • シリーズ構成:永井真吾
  • キャラクターデザイン:牧内ももこ(スタジオ・ライブ)
  • メカニックデザイン:新谷学(アストレイズ)
  • 美術監督:池田繁美・丸山由紀子(アトリエムサ)
  • 音響監督:藤野貞義
  • 撮影監督:長田雄一郎(旭プロダクション)
  • 企画協力:BANDAI SPIRITS
  • 制作:サンライズ

 

(C)サンライズ・R

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