初代のプラモ制覇!!電ホビ版第4回――近代スミ入れ ~10墨十色~
久し振りに本編登場の奥の院。
今回ここではエナメル塗料から脱却したスミ入れを紹介しよう。
これまで紹介した、毛細管現象を利用したエナメル塗料によるスミ入れは、スジ彫りや顕著なマイナスエッジがあることが前提の技法。
ではそういった物がない場合にスミを入れたいときはどうする?
段落ち1ヶ所だけササッと塗りたい場合はどうする?
●スミ入れの9 ~ミリペンによるスミ入れ~
段差が少ない、スジ彫りが存在しない、等の場合、早い話がこちらから線を画いてしまえばよいのだ。こういった緩やかな段差しか存在しないディテールの場合、スジ彫り的に段差を強化するのは結構しんどいし、ともすると目立ちすぎて逆効果になってしまう場合もある。
しかし無視してしまっては有るのか無いのかも定まらずイライラすることになりかねない。
奥の院的10墨十色の9、ミリペンによるスミ入れ効果をとくとご覧あれ。
あまりの手軽さに、プロは皆こぞって使用するペンによるスミ入れ。
水性のミリペンであれば何でも構わず、色もそこそこ揃っており、ペン先も0.05など極細の物が簡単に手に入る。
その手軽さを動画で見ていただこう。
<超手軽さこそが身上>
ほとんど拭取りの要らないペンによるスミ入れでは、軽く指で触るだけで必要部分のみにスミ入れを施すことができる。
●スミ入れの10 ~シャープペンによるスミ入れ~
水性のミリペンでイケるなら他の筆記具も使えるのではないか?
その通りである。実はシャープペンも非常に有効なのだ。ただし、一般文具用では必ずしも最適ではなく、まず芯硬度が2B以下推奨。芯が硬いと塗膜を削ってしまう場合があるのだ。
次に芯径は0.3ミリ以下推奨。芯は斜めに研いで使うのが基本なのだが、それでも一般向け0.5ではさすがに太い。
これまたプロモデラー大好き、シャープペンによるガンメタでカッコいい10墨十色の10、これぞシャープペンによるスミ入れ!
<目立ちすぎない奥ゆかしさ>
最大の特徴は顔料が固体であること。まったく滲まないので、見た目は髪の毛より遙かに細い線が描ける。また粉体なので指で消せるし、少々ぼかすこともできる。
ここまで鍛錬してくれた諸君には特別に11番目の秘奥義、スジ彫りを兼ねたスミ入れをコッソリ紹介しよう。
スジ彫りを彫るのと同様、というよりシャープペンなのでマスキングテープで充分なのだが、ガイドを貼ったら、いきなりシャープペンで描けばいいのだ。
<スジ彫りさえも兼ねるスミ入れ>
色が濃すぎたり目立ちすぎたりしないシャープペンならではの技。ぼかさない限り極細の線であることも役立っている。マスキングテープで済むところもお手軽だ。
正直、たとえば写真上でこれがシャープペンの描画と気付くものはまずいない。
もちろん失敗すれば濡らした綿棒で完全に消せるので何の心配も要らない。
塗装が完了した後で「何かここが寂しい……」といった時、一瞬で一見スジ彫りに格好良くスミが入ったように見えるディテールが追加できる。
コツは、これだけではさすがにバレるので(笑)実際のスジ彫りと合わせて使うこと。
これは門外不出の秘奥義、決して門下以外に漏らしてはならない。
著者:鋭之介・初代・日野
月刊電撃ホビーマガジン誌 初代ガンプラ王。プロモデラー原型師。各模型誌で活躍中!
(C)創通・サンライズ
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