鍋奉行の「玩具道」――第4回・ミニプラ パワーアニマルシリーズ(3)~600円で完成!「ガオハンター」の実質値下げマジック~

更新日:2022年5月2日 06:49

予想通り、昨年末も大掃除できませんでした……どうも、エンタメライターの鍋奉行です!

自宅は天井まで玩具が積み上がり、通路が狭くてピラミッドの中みたいです。どこから手を付ければ良いのかすら分かりませんし、一人暮らしで誰も来ないので例年通り問題ナシということにします。片付かなくても、死なないから大丈夫!

 

 
ということで今回は、『百獣戦隊ガオレンジャー』放映当時の食玩組み立てキット「ミニプラ パワーアニマルシリーズ」より、第3弾「ミニプラ ガオハンター」をご紹介しましょう!

ちなみに、劇中のガオハンターは当初悪のロボとして登場し、後に正式に精霊王への仲間入りを果たしました。そのため、DX玩具版のパッケージは発売時期によって「悪役版」と「善玉版」の2種が存在しますが、今回ご紹介するミニプラ版のパッケージデザインも2種存在します。パワーアニマルは3体いるのに、商品ラインナップはなぜか全2種だからです……!

※文中の金額表記は、発売当時の税抜価格です。

 

DATA

ミニプラ ガオハンター

  • 種類:全2種(ガオウルフ&ガオハンマーヘッド、ガオリゲーター)
  • 価格:各300円(税別・当時)
  • 2001年7月発売

 


▲当時の商品パッケージ。前弾までと比較すると箱が一回り大きくなり(約160×950×40ミリから、約170×120×54ミリへサイズアップ)、中身のボリュームも増えた。裏面では、善悪2種のガオハンターが紹介されている。

 

値上げされたのに、お買い得感はなぜか大幅アップ!?

さて、前回と上記の商品データからお分かりいただけると思いますが、「ミニプラ パワーアニマルシリーズ」は本アイテムから値段が変更されることになりました。しかも1個200円だったものが300円ですから、一気に1.5倍です。単価自体は低いものの、冷静に考えるとなかなかの大幅値上げですね。

そもそも食玩は、子供がスーパーで親におねだりするような商品ですから、低価格でなければ売れないとされてきました。そのため、当時は500円を越えるような食玩は(年末年始向けの詰め合わせセットのような特殊な例を除いて)ほぼ存在しませんでしたし、そもそも500円以上の食玩を扱う店自体ほとんどありませんでした。そのような状況での「1個300円」という価格設定は、当時の食玩としてはちょっと強気の高額設定だったと思われますが、これに関しては「それでも値上げせざるを得ない事情が色々とあったのだろうなあ……」と想像するしかありません。ミニプラシリーズはこれ以前から一貫して国内工場で生産されていたので、その辺りも含めて価格の見直しがどうしても必要な時期だったのかも知れません。

ともかく本アイテムは1個300円という新価格で発売されることになりましたが、驚いたのはその内容です。これまでの「ミニプラ パワーアニマルシリーズ」であれば間違いなく別々に売られていたはずのガオウルフとガオハンマーヘッドが1箱に収められ、現在であれば2~3分割にされそうな大型パワーアニマル・ガオリゲーターまで、1箱でまとめられているではありませんか!!

これはロボ単位で考えると、凄まじい価格破壊でした。「ミニプラ ガオキング」ではロボを完成させるのに200円×5=1000円必要(これでもお買い得感アリ)だったのに、本アイテムでは何と300円×2=600円で済むのです! 一見すると値上げなのに、実質的には値下げだった……この不思議な状況に、当時の僕は心底驚きました。そして商品を実際に手にして、そのカラクリをようやく理解したのです。

 

▲左からガオリゲーター、ガオウルフ、ガオハンマーヘッド。


▲ガオハンマーヘッドの頭部には、10ミリ程度ではあるが伸縮ギミックを内蔵。またガオウルフの口には、クレセントブーメラン(ガオウルフの尾)を咥えさせることができる。なおガオリゲーターはほぼ無可動だが、巨大な口はしっかりと開閉する。

 

2体で400円だったものを300円に収めた工夫

ガオウルフとガオハンマーヘッドは、基本的には(DX玩具と同様)ガオタイガーとガオシャークのリデコアイテムとなっており、さらにパーツ数を減らすために脚部関節など一部が省略されていました。「本来なら2体で400円だったものを300円に収める」という難題は、一部流用することでサイズもキープしつつ、さらに細かい部分に調整を施すことで見事にクリアしていたのです。

ただし完全新規造型のガオリゲーターに関しては、このやり方は通用しません。当然サイズは(他のパワーアニマルと比較するとイメージ的には)小さくなっていますが、それでもDX玩具と同等のギミックを有している辺りは、スタッフの努力の賜物でしょう。「価格は上がってしまうけど、満足度はさらに上げてやる!」という、作り手の覚悟が伝わってきます。要するに、「価格は上げたけど、お買い得感はさらに高めました。ただし、ガオリゲーターはちょっと小さくなりました」ということですね。個人的には「ガオリゲーターは2箱に分けて、もっと大きくしても良かったのでは?」とも思いましたが、ここはより難易度の高い「ガオリゲーターを300円に収める」への挑戦を評価すべきでしょう。

ガオリゲーターの前足や尾の裏側など、目立たない部分は相変わらず大胆に肉抜きされていますが、全体的なプロポーションは非常に良好。造型的にも丁寧に作られており、パワーアニマル単体でも見どころの多いアイテムになっております。


▲合体時の全高は約155ミリで、ガオキングと比較するとやや小さめ。可動箇所は肩と肘が軸回転し、首が僅かに横回転するのみ。股関節や膝は変形の都合で横方向へは開くが、前後方向へは可動しない。

 

DX玩具ではできなかったポーズを再現可能

合体したガオハンターは、頭部を変形させることでガオハンターイビルとガオハンタージャスティスの両方を再現可能。ガオリゲーターの尾とガオハンマーヘッドの尾を繋ぎ合わせたリゲーターブレードは、手に持つだけでなく背負わせることもできるなど、劇中の様々な姿を再現することができます。またガオリゲーターの頭部は、合体時には一旦取り外して胸部に取り付ける仕様ですが、その恩恵でDX玩具ではできなかった「天地震撼ビーストハリケーン」発射ポーズを再現できるのも、当時のファンには嬉しいポイントだったと思います。


▲必殺技「天地震撼ビーストハリケーン」を再現。太もも部分は変形ギミックの都合もあって、横から見ると板のように薄い造型となっている。ただし、DX玩具の売りでもあった「ハの字立ち」は、(変形ギミックの恩恵もあって)本アイテムから再現できるようになった。

 
ということで、今回は値上げという苦渋の選択をしながらも、見事にそれまでと同等のプレイバリューを獲得した「ミニプラ ガオハンター」をご紹介しました。現在の目で見れば物足りない箇所もありますが、価格という厳しい枠に対抗するため極限まで無駄を省き、必要な部分にのみ注力するモノ作りへの取り組みが、非常によく分かるアイテムになっていると思います。

さて、次回はいよいよ「ミニプラ パワーアニマルシリーズ」最終アイテムとその魅力をお伝えしたいと思いますので、お楽しみに!

【第5回に続く】 ※2022年2月12日(土)昼12時配信予定

 

ライター●鍋奉行

食玩や玩具を買い始めることで、人の心を取り戻したフリーライター。アニメ・特撮・フィギュアなどの記事を中心に、各方面で活動中。ロボ系玩具や可動フィギュアが好物で、食玩では特にミニプラシリーズに思い入れが強い。

 

(C)2001 テレビ朝日・東映
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