フレームロボはこう作れ! プロモデラーフクダカズヤが超次元変形フレームロボを劇的に遊ぶ!(前編 塗装/ドレスアップしてみる)
バンダイから登場した「超次元変形フレームロボ」シリーズは、ランナーのない1枚のパーツ群を切り離し、ロボットや武器、アニマルなどの形態に変形する製品です。
ランナー状態(1枚のつなぎ合わされたパーツ群)を「フレームフォーム」、ロボ状態を「ロボフォーム」、他のフレームロボのための武器となる「ウェポンフォーム」、動物状態の「アニマルフォーム」などに次々と変形することができます。
フレームロボの各形態
3月発売予定の第3弾ラインナップのうちの1つ「ロンウォンフレーム」を使って各形態を紹介します。
また、各フレームロボを自由に組み合わせた形態のフレームロボを作ることもできます。ちなみに、複数合体したフレームロボは「キメラフォーム」と呼びます。
価格も500円(税抜)と手頃なので、コレクションはもちろん、複数購入して独自のキメラフォームを探求するのも面白いでしょう。
なお、プラモデル初心者のためのハウトゥ動画連載「電ホビプラモチャレンジ!」第1回『フレームロボ』【前編】でもフレームロボを詳解していますので、ぜひご覧ください!
このフレームロボの楽しみ方を探るべく、プロモデラーのフクダカズヤがラインナップ第1弾の「ガイアフレーム」を製作!……に留まらず、なんとオリジナルのキメラフォームも想像力全開で製作しました! プラスチックモデルとは材質の違うこのフレームロボを、どのように作るのか? フクダカズヤの製作工程をご覧ください。
超次元変形フレームロボ 01ガイアフレーム
超次元変形フレームロボ。各種を自由に組み合わせられますので、ブロックトイのような一面も持っていますね。3月発売の第3弾ではアニマルフォームへの変形、さらには合体機構までもがプラスされ、さらに遊びの範囲を広げまくってくれちゃう予感で……わくわくが止まりませぬですなー!(フクダ暴走中)
さて今回は第1弾の3体の中からガイアフレームにスポットを当ててのご紹介です。買ってくればすぐに作れるフレームロボですが、ここはフクダ流で作ってみました。
フレームロボに使われているポリプロピレン(以下PP)という素材は、食器や自動車の内装部品など割れにくい性質と柔軟性を活かし幅広い分野で使用されています。本製品もその特性を活かしたつくりになっているようですが、PPはそのままではパテ盛りや塗装といったプラス方向の追加工には不向きなことでも有名です。またヤスリによる切削加工もあまり適していません。
模型製作で使用する溶剤への耐性はあるので、模型用塗料でPPが溶けてしまうようなことはありません。バインダーやプライマーの下地処理を行うことで塗装は可能になります。ですが今作では完成後にもガシガシ遊びまくりたい。可動部、特に帯状になっている蛇腹部の塗膜剥離や破損が予想されるので、
- 全体を下地処理
- 部分塗装
- ウォッシング&スミ入れ
- 異素材によるディテールアップ
の方法でエアブラシを使わずに成型色を活かした簡単フィニッシュ塗装+ネイル用マテリアルなどを使用した”ぷちディテールアップ版”で製作してみました。
前述のとおり素材の性質を踏まえ、パテやプラ板による改造、パーティングライン(金型の継目)の処理などは行っておりませんので、材料や道具さえ揃えればどなたでもチャレンジできると思いますよ。
実際の製作
まずパーツを中性洗剤、古歯ブラシなどを使って念入りに洗い表面に付いている油分を取り除きます。ランナー状態ならば1枚で済みますから楽チンです。
よく洗ったら水分をとって、風通しのよい場所で十分乾かします。
前述した通りPPはそのままでは塗装できません。というか出来なくはないのですが簡単に剥がれてしまいます。そこで剥がれやすいPPと塗料をつなぎとめ密着させる効果を持つ下地剤を塗る必要があります。
下地剤といっても複数存在しますが、今回はガイアノーツの「ガイアマルチプライマー」を使用。筆でサササーっと薄く塗ります。薄く塗るのがポイントで、溜まってしまうと乾かないこともあるようですので筆でよく伸ばし、全体を薄くコーティングするようなイメージで表裏、両面に塗ります。
ちなみに先に行った洗浄が不十分だとプライマーが乾きません。ボクはこれで一度失敗していますので、チャレンジしてみようと思っている方は同じミスのないようご注意ください。
プライマーが乾いたら(多少ペタペタ感が残る場合があります)部分塗装を行います。ボクはいつも使い慣れているという理由でラッカー塗料を使用しましたがそれ以外の塗料でももちろん大丈夫です。
ソーラーパネル風のモールド部にはGSIクレオスの「青竹色」を筆塗り。はみ出てしまったら乾燥後にデザインナイフでカリカリと削ってしまえばOKです。厳密にいえばプライマーまで削ってしまう事になりますが、少量程度ならばまったく問題ありません。
パッケージのCGイラストを見ると両肩のパーツにも青竹色の部分があります。ここを筆塗りするのは難易度が高いです。
そこで今回は3Mの「ダイノックフィルム」というものを使用します。本来は建築や家具などに使用する素材です。“フィルム”という名称にはなっていますが、裏面には粘着剤がついており、シールと同じ使い方ができます。適当な大きさに切り、GSIクレオスの青竹色を筆塗りしておきます。
顔のシルバーの塗装はGSIクレオスの「GXラフシルバー」を使用。顔以外にも関節部分にもアクセントとしてシルバー塗装を行ってみました。
シルバーが乾いたらGSIクレオスの「Mr.ウェザリングカラー[グランドブラウン]」でウォッシング塗装とスミ入れを同時に行います。ウォッシング塗装で成型色の光沢と彩度を落とせるので玩具っぽさが消え、モールドには自然と塗料が入っていくので一石二鳥です。
パーツの明暗をちょっとだけ意識して塗りましたが、冒頭で書いたように帯状の蛇腹部は溶剤が染み込みすぎると破損につながる可能性があるため(他の部分よりも肉厚が薄く、動く部分のため)あまり塗っていません。1~2回ササっと塗って終わりにしています。作業が終了したら、また十分乾かします。
全体の塗装作業が終了したら、先に用意しておいたダイノックフィルムを貼ってみます。
まずマスキングテープを貼り、形状が解るようにシャープペンなどでケガキ線を入れ、それを”型紙”とします。(写真は剥がした後です)
その型紙でダイノックフィルム切りとり、貼ります。
ガイアフレームのコアとなる地球は、さすがに塗装での再現は難しいのでキットに付属するシールを貼ります。なかなかコツを要するシールですが、中心にシールを配置し胴まわりをメインに軽く貼っていき、そのあと首まわりの方(腰の方)へと順に貼っていくと失敗は少ないと思います。最後に綿棒などを使って全体を押さえ込んでいきます。地球の模様が複雑ですので多少シワが入っていてもそれほど気にならないと思います。
またドライヤーなどの温風を当てるとシールが若干柔らかくなりますのでキレイになじみます。ご使用の際は火の元確認や火傷などに十分ご注意ください。
パーツを切り離し、組み立て開始!
いよいよパーツを切り離し、組み立てます。
畳んだり曲げたりするパーツはドライヤーで温風を当てると柔らかくなり、白化や破損を防ぎながらキレイに曲げる事ができます。
写真ではドライヤーを机に置いて作業していますが、振動によるドライヤーの落下、それに伴う火傷、また慌てて塗料皿をひっくり返したり…と広範囲な被害が起こりかねませんので、取り扱いや火の元には十分注意しましょう。
どんどん形になっていくことで全体像が見えてきます。シルバーの部分がもうちょっと欲しいなぁ……と思い塗装を追加することにしました。また挿し色も追加することにしたので、その部分にも下塗りとしてシルバーを塗っておきます。
挿し色はGSIクレオスの「蛍光オレンジ」を使用してみました。
金属風な輝きとは別に魔石のようなワンポイントがあるとカッコイイかな? と思い、ネイル用のクリスタル素材を追加してみました。接着には瞬間接着剤を使用。またハセガワのミラーフィニッシュ「ジュラルミンフィニッシュ」を使用してシルバーのラインを追加。輝き具合やキレイなラインなど、塗装では表現しきれない場合はそれに合った素材を選ぶことで完成後の見栄えが違うと思います。
最後に陰影表現に芯ホルダーを使ってランダムに線を書き入れます。
これによって、光が当たると光沢を発し、影になるとカーボンの黒が見えるので極端な陰影表現ができます。ちょっとインチキな表現方法ですが、このくらいのサイズでは”それっぽく見える”を優先して製作してもいいと思います。
次回はついにロボフォームの組立に入ります! そしてフクダカズヤの想像力が炸裂! フレームロボのさらなる楽しみ方を紹介します!
(c)BANDAI