蘇る『装甲巨神Zナイト』――マリンカイザーを作る<その2・工作編>

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モデラー●森 洋文(HIROFUMIX)/編集●髙村泰稔・電撃ホビー編集部

HMM「マリンカイザー」、インプレッションをお届けした前回に続き、連載第2回となる今回は工作編をお届けします。元のキットよりも「人体」に近付ける方向でプロポーションを変更、それに伴い各部に行った工作とその方法をご紹介します。

 

※これまでの製作の過程は、以下のバックナンバーをご覧ください。

 

HMM 「Z・A01 TYPE-V マリンカイザー」(2)

製作・文:森洋文(HIROFUMIX)

 

人型ロボットのプロポーションの撮り方には大きく2つ方向性があると思っています。

 

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▲こちらは無改造のマリンカイザーのプロポーションです。

 

ひとつは素直に人間を模した「人体に近づくことを目指したロボ体型」。もうひとつは人型ではあるけども関節の付き方や位置をずらすことで逆説的にメカとしての魅力を出す「あえて人体を外したロボ体型」。キットは後者の方向性で設計されているんですが、今回は僕の好みと解釈で「人体に近付ける」方向でプロポーションをいじってみました。

だってほら、装甲巨神って「生体兵器」でもあるので……。

 

▲再設計により人型に近付ける改造を施すことで、バンキングのような力強いシルエットとなりました。

▲より人型に近付けるプロポーション改造を施すことで、重厚なイメージはそのままに、より自然なかつ力強いシルエットとなりました。

 

●腕部1(肩~上腕)
肩の付け根にトゲトゲリングを配したデザインなので、ワキが広くなりがち。ワキの下が広いと今ひとつ力が入ってない印象になるので腕の付け根をなるべく 胴体に近付けました。

 

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▲肩関節パーツJ5を、ダボ穴の幅を残して切断。

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▲左はキットの状態。ここから肩関節内のポリキャップをパーツJ5の厚み分、削っています(写真右)。

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▲これらを組み合わせると……

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▲写真右のようになります。この工作で、J5の厚み分、肩幅を詰めることとなって、肩と胴体の密着度がアップ。ワキが締まったシルエットとなります。

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▲肩装甲は写真右のように幅を増しています。こうすることで、肩装甲の位置を下げた際に、上腕の回転と干渉することがなくなります。

 

この際、J5の下側もG10の軸が通る穴ギリギリまで切り詰めることで、肩アーマー自体の位置も下げ、締めたワキとのバランスを取ります。この時、上腕のロール可動と干渉しないように前後に3ミリ弱幅増ししました。それに合わせて肩アーマー側面の装甲も流用パーツを貼って大型化。100円ショップの洗濯バサミを切り取ったものを貼っています。ついでに肩装甲の内部もプラ板でモールドを作り、ディテールアップしています。

 

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▲肩装甲を幅増ししたことで、外側の装甲カバー(B3)パーツは使用できなくなります。そこで、100均で購入した洗濯バサミのグリップ部分を使用。

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▲肩装甲の内側はプラ板でそれらしくディテールを追加しています。

 

●腕部2(前腕~手首)
キットでは、上腕と前腕が離れ過ぎ(=ヒジ関節ブロックの露出が多い)ように感じられるので、前腕を削り、ヒジの関節を深く食い込ませるように取り付けました。当然それだけだと干渉するのでアーマーを外側に向かって3ミリずらしています。

 

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▲前腕とヒジ関節の接合部を削りこむことで、ヒジ関節を深く前腕内に食い込ませた。手首は単純な軸接続をコトブキヤHIP関節に換装。

 

ヒジに関節ブロックを追加。これにより、上腕と前腕の密度感が大幅にアップします。また、前腕部のアーマーをずらすことで干渉を避けています。

 

手首は、重い武器の重量に対応させながら可動範囲も広げたかったのでコトブキヤさんのHIP関節を追加しました。これで手首を内側に曲げた表情がつけられるので特に握り拳を使った時のポーズがカッコよくなります。
武器用の拳はそのまま組むと武器の柄が丸いので向きが定まらず、拳の中でぐるぐる滑ってしまいますので、指の裏側にミニ四駆の改造パーツとして売っているブレーキ用スポンジを貼って文字通りグリップさせています。

 

●胴体(首、胸、腰)
ボールジョイントで設計された首関節にありがちなんですが、ボールの受けが浅い位置にあるため、ボールの首の細い棒が丸見えになってしまっているので深い位置に作り直しました。首ブロックが頭の内側に向かってちゃんと繋がって見えるように意識します。

 

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▲首の取り付けが浅く見えないように、ボールジョイントの受け口をより奥に設け、部位の一体化を図っています。

 

胸部は、反り返らせた時に大きな隙間が空くのが気になったので、流用パーツを詰め込んでみました。

 

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普段は見えない部分ですが、こうしてパーツを組み込むことで密度感が生まれ、ポージングの幅が広がります。

 

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▲右半分が腰のパーツを幅詰めした状態(腰まわりのパイプパーツも合わせて長さを調整しています)。装甲を取り付ける、というよりも鎧を着こんでいる、というイメージを再現するための工作です。

 

またサイドスカートの付け根が腰から離れ過ぎて、バイキングの鎧と言うよりお相撲さんの化粧まわしみたいになってしまっているので、切り詰めて腰に密着するようにしました。また太モモ付根とのスキマが広いとスカスカして格好良くないので、ここにも流用パーツを貼りこんでいます。

 

●武器
シールド表側の6連装の武装は、オールドファンとしては光線系の兵器だと思っているので、フタ状のパーツをやめてレンズ風に変更。

 

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斧もシールドも各所のハードポイントに差し込むピンが、単純に棒が突き出している処理でリアルさが足りないと感じたので、ハイキューパーツさんのネオジム磁石を使ってジョイントを新造しました。

 

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▲武装の取り付けは、ジョイント用のピンを削除し磁石に変更。ジョイントを新造する必要はありますが、武装のシルエットや保持力が向上します。

 

軽い装備だと片方は金属板、自分の場合は例えば切れなくなったデザインナイフの刃を加工したものなんかを使っていたのですが、今回は斧もシールドも重いので武器側にもハードポイント側にも磁石を内蔵する構成にしています。

 

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▲右前腕はシールドをマウントできるようにしている。パーツに重量があるため、今回はネオジム磁石を両方に仕込んでいる。

 

シールド裏がスカスカしているので、こちらも100円ショップの洗濯バサミを加工し貼り込んでいます。洗濯バサミはデザインが豊富で、かつ1セットに沢山入った状態で買えるのでこういう放射状に同じパーツが複数欲しい時の流用元として重宝します。

 

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▲塗装してしまうと元からこういうディテールだったのかというぐらいに馴染む洗濯バサミ。こうして流用できるものを普段から探しておくといざという時に助かる、かも。

 

洗濯バサミをはじめとする日用品を流用パーツとして使う工作ですが、洗濯バサミにPP等の接着が困難な素材で作られている場合が多いため以前は敬遠していたのですが、ここ最近、それらの素材を接着可能にする瞬間接着材用のプライマーが登場したおかげで、一気に流用パーツの幅が広がりました。

 

同じく困難だったこれらの素材の塗装も、タミヤのナイロン/PP用プライマーや、ガイアノーツのマルチプライマー(筆塗できるのでサフ前に部分的に塗るときに便利)を使えば全く問題なし。ものすごく便利なので全国の流用パーツ好きモデラー方々は一見の価値あり!

 

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工作については以上となります。

次回は塗装編と、オマケとして重装バージョンや「Zナイト」のVer.1.5作例などなど『Zナイト』ファンには見逃せない作例をお届けします。

 

 

DATA

Z・A01 TYPE-V マリンカイザー

  • 1/100スケールプラスチックキット
  • 発売中
  • 価格:7,300円(税込)
  • 発売元:コトブキヤ

関連情報

コトブキヤ公式サイト

Z・A01 TYPE-V マリンカイザー商品ページ通販ページ

 

(C) TOMY

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