「私、勉強は嫌いなんです」と話すMAマンが書き上げた「教科書」で伝えたいこととは?『筆一本からはじめる アニメ塗りフィギュアの教科書』出版記念インタビュー!

2022年11月9日(水)より、KADOKAWAから『筆一本からはじめる アニメ塗りフィギュアの教科書』が発売となります。本書は、チャンネル登録者数25万人を超えるYouTuberであり、今一番勢いのあるフィギュアペインター・MAマンさんによる初の著書。立体物であるフィギュアをあえて二次元的に見せる技法・アニメ塗りのハウトゥを記した入門書となっています。

 

その発売を直前に控えた某日、電撃ホビーウェブはMAマンさんにインタビューを実施。アニメ塗りにチャレンジするも失敗した経験があり、本書の想定読者に近い目線を持つ筆者がお話を伺いました。「勉強は嫌いなんです」と話す彼女が書き上げた「教科書」で伝えたいこととは? インタビューのなかで垣間見えた、その“素顔”をお届けします。


 

──本日、初めて完成した本を手に取ったそうですね。率直な感想はいかがですか?

 

MAマン:いやぁ、時間はかかったけどやって良かったなと。感動ですね(目を細めながら)。

 

──このたびの書籍化は、1年ほど前にKADOKAWAからオファーをお送りした企画でした。日頃から動画配信をしているMAマンさんにとって、本という異なる媒体で改めて情報発信することについてはどう思いましたか?

 

MAマン:まず、やっぱり自分の何かが本になるっていうことは、1度は妄想したことがありました(笑)。ちょっと前に『SCULPTORS(スカルプターズ)』(玄光社刊)さんにリペイントした作品を載せてもらったことがあったんですけど、すごく感動して。1冊丸ごと自分の本ができるっていうのは、シンプルに嬉しかったです。昔からアート活動と言うか、作品作りをしてきた人間なので、こうして形に残せるということは感慨深いですね。

▲今回のインタビューは、都内某所にあるMAマンさんのアトリエにて実施。アクリルケースにはこれまでに手がけてきた作例がずらりと並ぶ。

 

──媒体が変わることで、情報の伝え方やそれに触れる層にも変化が生じると思います。その点についての不安や、考えたことはありますか?

 

MAマン:本になることで、私のことを知らない方にも、書店とかで見てもらえるチャンスにつながるのは嬉しいですね。本での発信自体に不安はありませんでしたが、今回は『アニメ塗りフィギュアの教科書』ということで、しっかりと言語化しないといけない点については意識しました。実は私、勉強は嫌いで(笑)。どちらかというと普段は感覚的に物事を進めるタイプなんですけど、ある程度の指標をしっかり作らないといけないというところに関しては、一緒に動画を作っているmasaさんとも話し合いながら決めました。

 

──ご自身を感覚派だと自称されましたが、拝読した内容はどの項目も論理的に記してあって、「まさにこういうことが知りたかった!」という仕上がりでした。初心者が知りたいことについては、どのように洗い出しを?

 

MAマン:色々あって今は解体しちゃったんですけど、昔オンラインサロンをやっていたことがありました。その時期にかなり時間をかけて考えて、ある程度は言語化していたんですね。その内容を元に、改めて考え直しました。しっかり考えていくと、やっぱり言葉にできる部分はたくさんあったんですね。筆のコントロールの仕方とかは私も通ってきた部分でもありますし、つまづきやすいところを予想しながら書かせていただきました。

 

──これまでご自身の活動を通して蓄積していたノウハウを、書籍化にあわせてブラッシュアップしたんですね。

 

MAマン:ただ私、油画とかを描いている時も「光がこう当たってるから、絶対にこうならなきゃいけない」とは考えていなくて。見たものを素直に吸収するという作業をしているんです。なので、You Tubeでの活動を始めたばかりの頃は、言葉にするのが難しかったんですよ。ある程度の大枠や指標とかはあると思いますけど、そもそも絶対的なルールはないんです。極端な話、ここ(本)に書いてあることと違う表現でも私はいいと思っていて。本当に何も分からなくて、何から手をつけたらいいかも分からないっていう人に向けて、あくまで「こういう風にしたら分かりやすいよ」ということをステップごとにまとめています。

 

──本書の内容について、個人的にすごく印象に残ったところがあります。序盤にハイライトの入れ方について丁寧に説明してくれているのですが、読み進めると後のQ&Aで「光源を増やしたいが、ハイライトと影が上手く入れられない」という質問があって。それに対してMAマンさんは「感覚的に決めても問題ない」というような回答をされているんですよね。それって創作の自由を縛らない、いい塩梅のスタンスだなって思ったんです。なんというか、MAマンさんのように第一線で活躍されている方にそう言ってもらえて、気が楽になったというか。

 

MAマン:「あまり決めすぎなくていいよ」ってところは、めちゃくちゃ推したいポイントです。私の周りにも、ガチガチに縛られた環境で美術をやっているうちに、筆を置いてしまった人もいました。楽しくやれなかったら、「何のためにやってるんだろう」って気持ちになっちゃうと思うんですよね。この本を手に取ってくれる方ってもともとフィギュアが好きな人が多いと思うんですけど、失敗した時に悲しい思いをするかもしれない。でも「大丈夫だよ」って言ってあげたいです。

▲光と影の入れ方が分かりやすい例としてMAマンさんが推す、本書にも掲載されているホロライブの湊あくあ&白上フブキ。明暗をしっかりと塗り分けることで、より“二次元感”が増す。

 

──具体的なテクニックやアドバイス等々は本書に盛り込まれていますが、心構えの面で初心者へ送りたいメッセージはありますか?

 

MAマン:一番は「とにかく一旦完成させること」ですね。ちょっとやってみて、でも難しくて、完成させる前に途中でやめちゃう方もいると思います。上手くできなくても、これで完成って言えるところまで持っていくことが本当に成長につながります。完成させることで「ここをもっとこうしたい」とか見えてくる部分があるんです。完成させないと、それがいつまでも分からないままで終わっちゃう。

 

──なるほど。

 

MAマン:あとは意外と、原作やアニメの資料を見ない方が多いイメージです。これはリペイントに限らなくて、それこそ絵画とか他のものづくりとか、できる方はすごく観察していますね。もちろん、そういった資料を見ずに表現したり、見ないことで生まれるものを狙った方法もあると思います。ただアニメ塗りに関しては、みんながそれぞれ目指してるイメージや、シーンといった“正解”があると思うんですよね。キャラクターの好きなところとか、こういう特徴があるよねってというところを、頭の中だけじゃなく観察して落とし込むことが大事です。それが自分の理想の表現に近づく方法かな。

▲MAマンさんが実際にフィギュアをリペイントしている作業机にも、たくさんの資料が用意されている。

 

──きっと本書を手に取った方のなかには、ここに記されているアニメ塗りの技法をガレージキットや、ロボットのプラモデルなどに応用しようと考える人がいると思います。

 

MAマン:ガレージキットはもちろん、私はザ・プラモデルという感じのものは塗ったことがないんですけど、何にでも応用はできると思います。塗るものがメカだと、また違った表現になるとは思いますね。

 

──というと?

 

MAマン:やること自体はあまり変わらないと思いますが、人によってはガンプラとか、機械的なものの方が論理的に落とし込みやすそうだな、と。面をひとつひとつ塗らなきゃいけないとか、メカならではの難しさは色々あると思います。キャラクターフィギュアと分かりやすく違うのは、表情ですね。フィギュアの場合はどれだけ丁寧に塗っても、表情が似せられないと「なんか微妙だな」ってなってしまうんです。顔をリペイントする時は、目のバランスだったり細さだったりに注意を払うことになるので、そこが一番のポイントになりそうです。

 

──MAマンさんはオリジナルブランド「0color.(ゼロカラー)」も展開されていますよね。新作の筆はかなりの時間をかけて商品開発をしたと聞きました。

 

MAマン:OEMではなく、工場の方とやりとりをして作ることができたので、毛質をはじめ色んなこだわりを詰めることができました。試作して実際に使ってみて、もっとこうした方がいいというのを何回かフィードバックして。私みたいに筆塗りに慣れている人も、慣れていない人も使いやすいであろうという、その間の使用感を狙いました。そこが一番こだわったポイントですね。

 

──その使用感は、具体的にはどういった要素に影響されるのでしょうか。

 

MAマン:毛の太さと、長さの関係ですね。細長くなるほど、塗る時にブレやすくなって扱いが難しいんです。ただ、細長い筆は上手く扱うことができれば塗りやすいと私は思っていて。私にとっても使いやすいけど、せっかく作る以上はみんなにとっても使いやすいものを目指したかったので、そのバランスを取るのに時間がかかりました。結構ギリギリのラインを攻めたので、「細いな」と感じる人もいると思いますがぜひ使ってみて欲しいです。

▲毛の長さの調整に特に時間をかけたという、MAマンさんオリジナルの筆「0color.brush」。

 

──こういったリペイントの道具に限らず、今後作ってみたい商品などはありますか?

 

MAマン:幅広く、色々なものを作ってみたいなと思っています。道具に関しても、「これが欲しい」と思ったものを作りたいですし、カバンにつけるオシャレなバッジとか、オリジナルのフィギュアとかも。デフォルメが効いたミニキャラみたいなフィギュアなら、みんな気軽に塗れていいなって思います。前にオリジナルのアパレルや、フィギュアを入れるバッグを販売したこともあったんですけど、「良かったよ」とか「次も楽しみにしてます」と言ってくれる方が多かったので、その声を受けてアパレル第2弾・第3弾と準備中です。

 

私、この活動を通して大切にしていることがあるんです。世間的には、フィギュア好きということに対してまだまだ“陰”なイメージを持ってる方がいるそうなんですけど、私が今まで関わってきたファンの方や視聴者さんたちは、みんなキラキラ楽しんでフィギュアを集めていました。なのでリペイントの道具はもちろん、身に着けるものもオシャレだったりカッコいいものを使ってモチベーションを上げて作品作りをして欲しいですし、それを私が作れたら嬉しいなと思っています。この活動を、みんなと一緒に楽しみたいんです。

 

──最後に、本書を手に取るか迷っている方に向けてメッセージをお願いします。

 

MAマン:ちょっとでも気になったのであれば、ぜひ一度手に取って、この世界を覗いて欲しいなと思います。実際にフィギュアのリペイントをすることにつながらなくても、この世界を知ってもらうことで、それがその人にとって新たな引き金になれるかもしれない。フィギュアでなくても、別のものを塗ってみようとつながっていく可能性もあるので、ひとつのきっかけになれたら嬉しいですね。

 


 

もともと美術的な活動をしており、美術大学で学び、美術教員免許を取得しているという経歴から、こうしてお話を聞くまでは「きっと厳格な理論のもと、アニメ塗りの方法を構築している方なんだろう」というイメージが少なからずありました。もちろん、これまでに学んでこられた理論や技法はその礎となっているのでしょうが、MAマンさん本人の口から飛び出した「感覚的に物事を進めるタイプなんです」という言葉によって、その予想は早々に(いい意味で)裏切られることとなります。

これは個人的な推測・感想の域を出ませんが、マンガやアニメ自体がそもそも写実的な表現を追求したものではないので、それを立体化したフィギュアをさらにリペイントするという行為はどうしても矛盾を避けられないものであり、MAマンさんが言うところの「見たものを素直に吸収する」という接し方が最適なのだろうと感じました。また「勉強は嫌いなんです」と話すMAマンさん初の著書が、「教科書」と銘打たれているギャップも面白かった。しかし創作を楽しむ気持ちを大事にしてくれるMAマンさんの姿は、間違いなく「先生」と呼ぶにふさわしいものでした。

そんなMAマンさんから直接リペイントの手ほどきを受けることができる「大人のフィギュア遠足」や、出版記念トークショーが11月19日(土)から20日(日)にかけて実施されます。カドカワストア内の販売プラットフォーム・ケツジツにて募集中のほか、電撃ホビーウェブからはMAマンさん直筆サイン入り本を3名様にプレゼント! サイン本ご希望の方は、下記の応募フォームよりお申し込みください!

※当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。

 

電撃ホビーウェブ「『筆一本からはじめる アニメ塗りフィギュアの教科書』MAマンさん直筆サイン入り本」プレゼント応募フォーム

  • 応募締切は、2022年11月23日(水・祝)23時59分までです。
  • 応募要項の詳細は「プレゼント応募フォーム」でご確認ください。

 

 

DATA

筆一本からはじめる アニメ塗りフィギュアの教科書

  • 著者:MAマン
  • 発行:KADOKAWA
  • 定価:2,310円(税込)
  • 発売日:2022年11月9日(水)
  • 判型:B5判
  • ページ数:128
  • ISBN:9784046057334

 

著者プロフィール

MAマン(エムエーマン)

フィギュアペインター兼YouTuber。フィギュアの魅力を発信するYouTube「MAマンch。」は、登録者数25万人(2022年11月時点)を超える人気チャンネル。“3D二次元彩色”という独自の塗装テクニックによって作られる、アニメのキャラが今にも動き出しそうな作品が国内外問わず大きな反響を呼んでいる。メーカーの商業彩色や各種イベントでのペイント実演、国内最大級のフィギュアの祭典「ワンフェス」公式レポーターなど幅広く活躍。美術教員免許、書道師範の資格も保有する。

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