「電撃スパロボ!」 第41回目となる今回から、コトブキヤのS.R.G-S第19弾のキット「ビルドビルガー 高機動型」を徹底攻略! 2007年発売された本キットをモデラー/原型師のKuWa(FRAME OUT MODEL)によるステップバイステップで解説してきます。第1回目となる今回は改造ポイントを洗い出すプロポーションの検討・変更作業からお届けしていきます。
▲「ビルトビルガー 高機動型」。1/144スケールプラスチックモデル、価格:3,200円(税抜)。※現在店頭在庫のみ。
1/144 ビルトビルガー① プロポーション変更
製作・文:KuWa(FRAMEOUT MODELS)
電撃ホビーWEBとしては初めまして。”フレームアウトモデルズ”KuWaです。
『スパロボ』シリーズはよくゲームもやっていましたが、PSなど次世代ゲーム機(当時)発売、スパロボにカトキハジメ氏デザインのメカが参戦、さらにはそれがコトブキヤがプラモデルとして発売! と盛り上がりも大きく、当時はワクワクが止まらなかった思い出があります。
ビルトビルガーはそのシリーズ初期(2004年)に”重装型”を発売していましたが、のちの2007年にこの”高機動型”を発売、キット的には全く互換性がない新規キットとして出て驚いた覚えがあります。
とはいえもう10年近く前なんですね。そんなビルトビルガーを今の目線で料理してみたいと思います。
▲キットを素組みしたところ。10年近く前のキットだが古さは感じさせない。とはいえ、設定画と見比べると印象の異なる部分もある。
まずは全体像を見るため「ビルトビルガー 高機動型」を素組みしてみました。10年近く前のキットながら、スタイルは意外と今風の小顔足長体型でスマート、可動範囲も広くよく出来ています。
ただ今回は設定画のイメージに近づけようと思うので、設定画と見比べながらプロポーションを似せつつ各部をブラッシュアップする方向で製作していくことにしました。まずは本体のプロポーション変更について見てみましょう。
▲ビルトビルガー(高機動型)線画設定。
①プロポーション確認
▲設定との比較や好みとの違いを探ったり、全体像を確認しながら改修点を検討するには写真を撮ると良い。設定画とサイズを合わせて見比べたり、いっそのこと重ねあわせたりしてみると違いが分かりやすい。
模型を製作する際、まずは組んだキットの写真を撮ってみることからはじめます。
設定との比較や好みとの違いを探ったり、全体像を確認しながら改修点を検討するには写真を撮って見比べるのが便利。その際、設定画とサイズを合わせて並べたり、重ねあわせたりしてみるとよいでしょう。そしてコレをプリントアウトして手書きで直接修正指示を入れてみました。ざっと方向性が見えてきたところで、気になるところから直していきます。
②頭部の工作
▲マスクが少し細いのとヘルメットが小さいようなので、ヘルメットを大きくする方向で修正。
▲まずはハイパーカットソーで、いわゆるチョンマゲにあたる部分を切り離す。
▲その後、上部の丸い部分を切り取った。この部分を大きくすることで頭部を大型化する。
▲後頭部にプラ板をはさみ後ろに向けて幅を広げ、上部もポリエステルパテで大きくなるよう修正。かなりボリュームが増えた。
▲マスクも細く感じたので、中央から切断、間に0.3mmプラ板を挟んで幅を増している。
▲改造後。ヘルメットのボリュームが出てきました。バランスを見たいので、一旦ここまでで様子を見てみます。
③腕部
▲肩幅が広く感じたので、肩を胸に密着させるよう、付け根のブロックを切り落とした。
▲手首は少し大きめに感じたので、自作の小さめの手首に交換した。サイズ的にはコトブキヤのノーマルハンドAやMSハンド3相当。
④胸部・腰部の工作
▲素組み状態。設定画と較べると胸上部の平坦さや胸の角度が浅く、鎖骨が奥寄りなのが気になる。合わせてエリや鎖骨ダクトも奥にあるので、すこし前に出して立体感を強調することに。腰アーマー類も設定画に近づけるべく修正したいところ。
▲胸部上面のディテールを作り直す際に使用したのはウェーブ「U・バーニアユニット」5mmの凹みを埋めて使用。
ポリエステルパテは、自分はロックのクイックパテを使用。キメが細かいうえ加工しやすくも硬化後のエッジがダレにくい印象で、長く愛用しています。
▲ポリパテ練り/パテ盛り付け写真自分の場合、ポリエステルパテはタミヤの調色スティックで練って、デザインナイフの刃先で盛りつけています。
▲固まったら任意の高さまで削り込んで、ボディに合わせました。傾斜のついた円盤が必要なときに重宝しています。自分は主にWAVEのヤスリスティックソフトの80、240、400番で荒削り~サフ前の軽い仕上げまでをしています。
▲黄色いエリはその前の白いパーツの内側を削って前に移動。鎖骨のダクトも取り付け部の突起の後ろ側を削って、前寄りに。矢印部分は③の改造で肩を密着させると、胸を張るように肩を後ろに曲げにくくなるので、後方を斜めに削って回避している。
▲胸上面の形状と角度を変えたかったので前方は少しパテで盛り上げ、グレーのディテール部分は市販パーツで作り直した。胸部中央の白いパーツも上面を削って高さを抑え、スソの部分をプラ板で大型化。奥寄りだった鎖骨の前端部も1mmプラ板を貼り足すことで前進させた。
▲コクピットハッチの赤いパーツは下側をポリエステルパテで膨らませてボリュームアップ。腹部中央のパーツにプラ板を貼って下に延長、見かけ上の胴の長さを伸ばした。
▲フロントスカート。基部パーツ(ブルー)を大型化しつつ、本体(グレー)は外側を少し斜めにカットして小型化。また突起ディテールも削りとって作り直している。黄色いパーツののディテールラインを変更した。
▲右が加工前、左が加工後。
▲サイドスカートは、下側のエッジを立ててくっきりした形状にするためポリエステルパテで修正。その際、ガイドとして裏側にプラ板を仮止めし、その上に盛りつけたい範囲をマーカーで記入してからポリエステルパテを盛りつけている。なお、2つのダクトも彫り込んで深く彫り込んでいる。
▲修正前。
▲修正後。上の修正前の写真と比較するとかなりイメージが変わっているのがわかる。
⑤バランス確認
パーツを組み上げて、ここまでの作業を確認していきましょう。
▲今回の修正作業後のプロポーション。最初の素組みの写真および設定画と比較してみて欲しい。
一旦組み上げてみてここまでの工作が上手くいっているか、次はどうするかを再検討します。こうして見ると頭部と胴体の改造でかなり雰囲気が変わってきました。一方でフロントスカート外側を切り詰めたことでモモの付け位置が外寄りで少しガニ股気味に見えてきたのと、まだ後頭部のボリューム感が気になります。
次回は脚部と特徴的なバックパックの工作を進めつつ、もう少しバランスを修正してみましょう。
というわけで、コトブキヤ「ビルトビルガー」作例第1回目をお送りしました。設定画と立体を比べて改修ポイントを見つけて行く方法など、『スパロボ』のみならず他のキットにも適用可能なテクニック盛りだくさんの製作記事となっていますので、今後もお楽しみに!
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DATA
ビルトビルガー高機動型
1/144スケールプラスチックモデル
全高:約150ミリ
価格:3,200円(税抜)
発売中
発売元:コトブキヤ
※現在店頭在庫のみ
関連情報
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コトブキヤ
コトブキヤ「ビルトビルガー」商品ページ
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