1/12 キャプテン・ファズマをプロからアマまで言いたい放題!【プラスチックキット クロスレビュー】(第5回)
「電撃ホビーウェブ プラスチックキット クロスレビュー」は、新発売のプラスチックキットを、プロモデラーのみならず、さまざまな立場の人がレビューするコーナーです。
今回は、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』に登場するキャプテン・ファズマの1/12スケールプラスチックキットをレビューします。
●今回のレビューキット
1/12 キャプテン・ファズマ 発売中 価格:4,320円(税込)
全身銀色のキャプテン・ファズマを、メッキ仕上げで再現した1/12スケールのキットです。ファズマ専用ブラスターのほか、付属する6種類の手首パーツによってポージングの幅が広がります。さらにその特徴であるマント(クローク)は成形品と布製のものが付属。表現したいポーズによって使い分けることが可能です。専用ディスプレイベースは他のスター・ウォーズシリーズのキットと接続可能なので、ファースト・オーダー ストームトルーパーのキットと組み合わせて飾るのも楽しそうです。
このキットを、レビュアーはどのように評価したのか? 早速ご覧いただきましょう!
レビュアー紹介/★はレビュアーがこれまで当コーナーでレビューを書いた回数
プロモデラー田村和久:「見る角度で光の反射が変わり、見ていて飽きないアイテム」(レビュー回数:★★★★★)
「クロークがこのキットの一番悩ましいところかも」(レビュー回数:★★★★★)
「ブラックでウォッシングしたら絶対カッコいいと思う」(レビュー回数:★★★★★)
“高校生のハイレベルモデラー” 六笠詩音 15歳(高校1年生)
「銀メッキとブラックという単純な組み合わせだが、とてもかっこよく色分けも綺麗」(レビュー回数:★★★★★)
“中学生のハイレベルモデラー” 畑めい 12歳(中学1年生)
「足首を作っていてファズマの女性らしさを感じました」(レビュー回数:★★★★★)
■レビュアー01
プロモデラー田村和久
「キャプテン・ファズマって誰?」っていうところからスタートした今回のレビュー。まだエピソードVII(『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』)見てないんですよね。気になるシーンは何度も見たいので、私はいつもブルーレイディスク待ちです。ネタバレに触れないように、スター・ウォーズの公式ページからキャラクターを確認しつつ、組み立てを開始しました。
銀色にメッキされたパーツは、多くがアンダーゲート方式。メッキパーツは修復が困難なので、失敗しないように意識を集中してランナーから切り離します。ニッパーでゲートを残してカット。そして、デザインナイフでゲートだけを切り取り。休憩を入れながら、丁寧に作業して組み上げます。
頭部は馴染みのあるストームトルーパー顔ですね。本物をそのまま小さくしたかのような再現度で、見事な造形です。バイザーがスモーククリアー素材なのも、こだわりを感じます。こういった部分は、作っていて楽しくなるポイント。
円柱に近い形状の指先も、しっかり再現されていて感心します。
完成すると全身がメッキパーツで覆われ、存在感はかなりのもの。見る角度で光の反射が変わり、見ていて飽きないアイテムです。
電撃ホビーマガジンにて、ガンプラを中心に、スクラッチをはじめとした数々の作例を発表してきたプロモデラー。
近況:小学生の頃、蛍光灯でライトセーバーごっこをしていて、真っ二つに割ってしまった事を思い出しました。
レビュアー02
“ガンプラ世代の素組み派” 宮原徹 44歳(IT企業経営)
キットを最初に見た時、とにかく銀メッキのパーツが眩しいぐらいです。さらに黒い成型クローク(マント)パーツの大きいこと。銀と黒、この2色しかないのがなんとも威圧的です。
実際の組み立てですが、銀メッキのパーツの表面を損なわないよう、アンダーゲートが多用されています。前回から導入したアルティメットニッパーが大活躍してくれましたが、逆に言えばこれがなかったら相当苦労したと思われます。きちんとしたニッパーを用意して臨むべきでしょう。さらにアンダーゲートの処理をきちんとしないとパーツの合わせ目が開いてしまうので、デザインナイフなどで綺麗に削り落とす必要がありますが、銀メッキが反射してしまってゲート跡が分かりにくい! 指先の感覚を頼りに合わせ目を綺麗に削っていく過程が楽しいと思えてしまうような、マニア向けのキットだなと感じました。
出来上がりは、銀のアーマーが光り輝いてなかなかカッコイイです。これだけ光っていると、ゲート跡も気にならないメリットがあります。関節部分の黒も良いアクセントになっています。可動部分も非常に可動範囲が広く、ブラスターもしっかりと構えることができます。ただし、足先が小さいのと、重心がかなり上にあるので、そのまま立たせるのには少し無理があります。
ベースが用意されていますが、立ちポーズ以外にはあまり使えません。アクションポーズをとらせるのであれば、アクションベース2は必須ですね。対応の固定穴が腰の裏にあります。ただし、成型クロークだと干渉してしまうところが難点です。
そのクロークですが、成型と布の2種類があります。布の方が自然な感じはしますが、不織布を使っているため光が透けてしまうのが残念なところ。あと、布クロークを着けると首関節のジョイント部分が詰まってしまって、頭の上下方向への可動が制限されるのもマイナスです。かといって成型クロークを付けるとアクションベース2が使えなくなり、かつ成型クローク自身の重みとのバランスで自然な姿勢をつけるのが難しくなってしまいます。どちらも一長一短、クロークがこのキットの一番悩ましいところかもしれません。
全体として銀メッキパーツを贅沢に使い、パッと見にはプラモデルとは思えない仕上がりになっています。『スター・ウォーズ/フォーズの覚醒』の雰囲気を味わうには、かなり良いキットでしょう。クロークが少し惜しい部分ですね。
プラモ歴と作り込み度:ガンプラブーム世代。ただし、あまりプラモ作りは得意ではない。PGやクリアバージョンなど、組み立てるだけでいいものを作って部屋に飾っている。
■レビュアー04
“バリバリ改造塗装派” 佐藤朋樹 33歳(フリーライター)
まずは申し訳ありません。「今回のお題はファズマだよ」と伝えられても、「大リーグボール1号を破ったヤツですか?」と聞き返す程度のスター・ウォーズ知識しかない私でございます。
まあ、それは置いておいて、1/12キャプテン・ファズマです。バンダイSWキットのビークル系はいくつか組んだのですが、フィギュアは今回がはじめて。シリーズの出来の良さを伝え聞いてはいたのですが、なるほど組んでみると噂に違わぬ完成度です。
少ないパーツ数で合わせ目もほとんど目立たず、かつ誰でも簡単に組める。肩の引き出し式関節なんて、ガンプラの技術が踏襲されている感じがしてとてもいいですね。
特にプロポーションは、キットにはない“中身の骨格”をキチンと想像させてくれる仕上がりで、“実際にアクターがスーツを着たらこうなる”であろうシルエットを完璧に拾っています。可動フィギュアでここまでリアルに“人型”してるって、実はけっこう画期的なのでは? メッキパーツの色も実によく、メタルヒーロー大好き少年だった私としては、なんだか下腹部にグッとくるものがありますね。
また、布製のマントだけでなく、成形品も付属しているのが嬉しいところです。個人的にフィギュアに布パーツを付けると、そこだけスケール感が変わってしまうという思いがあるので、これはポイント高いです。
気になった点をあえて挙げるならば、腕部や脚部などに数か所ゲート跡が出てしまうところでしょうか。せっかくアンダーゲート方式が採用されているので、ここは徹底してほしかったと思います。あとは握り拳の造形が、ちょっとだけ寂しいかな?
さてさていろいろいってしまいましたが、素晴らしいキットであることは間違いありません。私なりに遊び方を考えるなら、ウォッシングをして陰影をつけてやることでしょうか。このメッキ色にブラックでウォッシングしたら絶対カッコいいと思うんですよね。あ! ただエナメルはパーツが割れることがあるんで、自己責任で(笑)!
プラモ歴・作り込み度:バリバリ改造塗装派。最近は一周回って筆塗り大好き。たまーに電撃ホビーマガジン、ガンダムホビーライフで作例を作ってました。ガンプラの新製品紹介ページも担当。
近況:あらためて組んだMGステイメンがカッコよすぎて「発売から少し時間の経過したMGを作る」ブームがきてます(笑)。
■レビュアー05
“高校生のハイレベルモデラー” 六笠詩音 15歳(高校1年生)
今回のキャプテン・ファズマは色が2色しかなく、目のクリアブラックを除く外装の銀メッキと内部関節のブラックという単純な組み合わせだが、とてもかっこよく色分けも綺麗だ。
少し残念なのが、関節のハメコミが弱いところだ。膝は二重関節だがある程度まで曲げると足が取れてしまうところが少し残念だった。
ディスプレイ用にして、ポーズをつけて飾っておく分には、全然問題ないと思う。全体的に見てもかっこいいしとても満足している。前回までは、ガンダムのレビューだったが、今回スター・ウォーズのレビューで、とても気分転換になり面白かった。
プラモ歴・作り込み度:改造をしてエアブラシで塗装して、汚しまで。
六笠詩音さんの受賞歴:GBWC2012、2013ファイナリスト
■レビュアー06
“中学生のハイレベルモデラー” 畑めい 12歳(中学1年生)
スター・ウォーズが大好きです! はじめて作ったのは2年前で、1/48のX-Wingでした。それからバンダイのすっごいプラモデルがたくさん出て、新作映画も公開されてスター・ウォーズファンとしてはホクホクしています♪
さて、今回のレビューはキャプテン・ファズマです! これまでガンプラオンリーのレビューだったので意外でしたが、もともと大ファンなので嬉しくサクサクと組んでしまいました。映画での活躍はイマイチでガッカリしてたんですけど、ガッカリした原因はやっぱりファズマがあまりにかっこよくて活躍してほしいと願っていたからだと思います。
わたしはビークルやドロイドしか作ったことがなく、初めて人型のプラモデルを作ったのですが……組んでてすっごく楽しかったです。同じ人型なのでガンプラと重なる部分はあるんですけど、1/12スケールということもあってディテールがすごくリアルで精密です。すごく説得力があります。完成して眺めてみると「ああ、やっぱりファズマって素敵」って思えるはずです。
すごーく細かいところなんですけど、足首を作っていてファズマの女性らしさを感じました。足を作っただけで「ああ、これは女の人なんだ」ってわかります。それくらい素晴らしい造形だと思います。
マントはプラ製のものと、布製の2種類が用意されています。プラ製だとポーズをとって遊んでいるうちにメッキに傷が付きそうなので布製のものが用意されていてありがたかったです。
銀色のメッキなので、そのままで劇中のファズマを再現できますし、ちょっと汚すことでよりリアルになると思います。でも、わたしはせっかくの「銀」メッキなので塗装して遊ぶのもアリなんじゃないかなぁって思いました。銀メッキの上にクリアーのオレンジを塗って「百式ファズマ」とかも面白そうです♪
わたしは今回、ファズマがキャプテンに出世する前の「エリート・ファズマ」を妄想設定して作ってみました。
「ガンプラは自由だ」とはよく言われますけど、そもそも模型は自由に楽しむものだと思うのでスター・ウォーズのプラモデルも自分なりに自由に楽しむのもイイのではないでしょうか??
プラモ歴・作り込み度:プラモ歴は5年半ほど。ウェザリングが一番好きですが、最近はプロポーション変更やディテールの追加も。
近況:小学校を卒業しました!中学では勉強とプラモを両立!……できるかな?(笑)
畑めいさんの受賞歴:2012年ガンプラ王小学生部門1位、2015年ガンプラ王小学生部門1位、GBWCジュニア部門日本大会5連覇(2011~2015)、GBWC2014世界大会ジュニア部門2位、GBWC2015世界大会ジュニア部門2位
以上でレビューは終了です。パチ組をするだけで、銀メッキならではの贅沢な質感を味わえるこのキット、ぜひ作ってみてください!
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