プラモデル製作時の便利なサポートツールを次々と発表する「プラモ向上委員会」より、塗料ビンをそのままセットしてツマミを回すだけで、自動で塗料の撹拌がおこなえるお役立ちアイテム「ボルテックスターラー ターボ」が登場! 本稿では、話題のこのアイテムを実際に手にとり、その使い心地をレビューしていきます!
▲調色スティックや鉄球を使っての塗料撹拌は大変! という方は必見なアイテムです!
ボルテックスターラー ターボ
▲さっそく「ボルテックスターラー ターボ」を開封しながら商品仕様を見ていきましょう。ボックスサイズはかなりコンパクトです。
▲ボックスの中身は「ボルテックスターラー ターボ」本体、USB Type-Cケーブル、USB電源ACアダプターといたってシンプル。これに加えて取扱説明書が付属します。
▲本体とUSBケーブル、アダプタをつなぎ、コンセントに差し込めば準備はOK! セッティングはこれだけです。
▲作動させる前に本体の各部を見ていきましょう。前面のツマミを回せばスイッチが作動します。ゲージは左から低速(青)、中速(黄)、高速(赤)というように分けられており、任意で撹拌スピードをコントロールすることができます。
▲上部に据えられているのが、塗料ビンをホールドするクリップ。専用ビンへの移し変えなどの必要はなく、塗料ビンそのままで使用できます。内側にはラバー材があしらわれており、しっかりとビンを固定できます。
▲実際に塗料ビンをセットするときには、写真のようにクリップをつまんで開閉します。塗料ビンをガッチリとホールドするため、クリップはかなり固めになっています。
▲こちらは裏面。吸盤がびっしりついています。作動時はかなり強い力が加わるため、この吸盤でしっかりと固定することがとても重要になってきます。必ずツルっとした平滑な面の上に本体を置き、吸盤をしっかりと貼りつけるようにしましょう。
▲「ボルテックスターラー ターボ」は塗料をかき混ぜるために激しく回転するので、キチンと吸盤が貼りついていないと本体が暴れてしまい、写真のように慌てて手で押さえる羽目にあいます。
▲レビューでは凹凸のある撮影ブースに吸盤が貼りつかなかったため、大理石の板を使用しました。吸盤がしっかりと貼りつく場所であれば、本体は暴れることなく(むしろ剥がすのが大変なくらい)使用することができます。
▲テストとして一度、塗料ビンなしで作動させてみましょう。本体に通電すると、正面の「PWR」マークが点灯します。
▲正面のツマミを回すと「ACT」が点灯し、撹拌がスタート。上部のクリップが激しく回転し、遠心力を使って塗料がかき回されます。なお、スタート後は、ツマミを「OFF」に戻すか、2分経過すると自動で撹拌が終了してストップします。
▲それでは実際に塗料をセットしてみましょう。写真のようにステージ(クリップの底面)に乗せて、クリップで両側から固定するわけですが、「ボルテックスターラー ターボ」は、さまざまな形状の塗料ビンをそのままセットすることができます。
▲まずはガイアカラーなどにみられる、一般的な小サイズの丸ビン。
▲上から見たところ。赤で記したように、内側ラバー材がビンをホールドするように気をつけましょう。
▲Mr.ウェザリングカラーやマークソフター、デカールのりなどに見られる角ビンもセット可能です。
▲この場合は角がクリップの根本にくるようにセットしましょう。
▲タミヤエナメルのような小さな角ビンの場合は、角とラバー材がフィットしているかを確認します。
▲また、一般的な模型用缶スプレーの撹拌も可能です。缶スプレーはしっかり撹拌しないと塗料本来の性能を発揮できない場合もあるので、これは助かりますね。
▲缶スプレーの場合は、クリップの先端と根本で固定するようにしましょう。
▲それではここからは、実際にどのくらい撹拌できるのかをテストしていきたいと思います。写真は「顔料と分離してしまったときの色合いがわかりやすい」でお馴染みのタミヤエナメルのコッパー。
▲クリップでホールドします。このとき、ビンのフタがしっかり閉まっているかを必ず確認しましょう。
▲粘度があるエナメル塗料は高速(赤)での撹拌が推奨されていたので、ツマミを赤いゲージまで回します。
▲撹拌スタート! 本体上部のクリップが激しく回転します。作動音としては、小型の模型用コンプレッサー程度を想像していただけると、イメージしやすいかと思います。
▲2分が経過すると、撹拌が自動で終了。自動で終了した際も、ツマミは「OFF」に戻すようにしましょう。
▲外から見た感じはしっかりと混ざっていますね!
▲フタを開けてみたところ。
▲ビンから撹拌し終わった塗料の上澄みを筆ですくいとり、スチレンボードに試し塗りしてみたところ。金属粒子がキチンと均一に混ざっているようです。
▲続いてはラッカー塗料を試してみましょう。こちらは顔料が沈殿したガンダムカラーのMSパープル。
▲撹拌スタート!
▲2分後、しっかりと撹拌することができました。撹拌前との色合いの違いがおわかりになるでしょうか。
▲上澄みを筆塗りしてもしっかりと発色するくらいに撹拌されています。
▲今度はラッカーのメタリック色を試してみましょう。メタリック色はしっかり均一に撹拌しないと性能を引き出せない塗料の代表格なので、キチンと混ざってほしいところです。
▲撹拌スタート! ラッカー塗料は中速推奨だったので、ツマミを黄ゲージにセットします。
▲撹拌後。見た感じはしっかりと混ざっていますね。
▲塗料の上澄みを筆塗りしてみました。しっかりと金属粒子が均一に混ざっているように見えますが、少し実験してみましょう。
▲写真は①撹拌後の塗料ビンの上澄み、②撹拌後の塗料ビンの底に溜まっていた塗料、③「ボルテックスターラー ターボ」で撹拌後、さらに調色スティックでかき混ぜたもの、それぞれを筆塗りしたものです。①~③で変化は見られないということは、しっかりと撹拌できているようですね。
▲メタリック系をもう一色試してみましょう。写真はガイアカラーのスターブライトゴールド。
▲撹拌スタート。
▲撹拌後。上から見てもわかるくらいに金属粒子がしっかりと混ざりあっています。
▲筆塗りしたところ。金属粒子が均一に撹拌されています。
▲さらにいろいろ試してみましょう。こちらは購入してから少し使用して、かなり時間が経った(5~6年くらい)タミヤアクリルのフラットホワイト。ガッツリと分離しております。
▲中速で撹拌後。見事に混ざってくれました!
▲白地に白で見えにくくて申し訳ないのですが、筆塗りしてもまったく問題ありません。
▲こちらは購入してからおそらく10年は経過していると思われるタミヤエナメルのライトグリーン。顔料が分離していることにくわえ、溶剤が揮発してかなり粘度が高くなってねっとりしています。
▲これは少々難物でしたが、少し溶剤をプラスして2分間×2セット撹拌したところ……。※連続で使用する場合は6回を限度として、少し時間をおいてから(約10分程度)再度使用するようにしましょう。
▲おお!しっかりとよみがえってくれました!
▲筆塗りも問題なしです!
▲大き目の角ビンの場合はどうでしょうか。写真はMr.ウェザリングカラー フィルタ・リキッドのフェイスグリーン。フィルタ・リキッドも、手動だと底に溜まった塗料がうまく撹拌できなかったりしますよね。
▲しっかり撹拌できました。体感として、フィルタ・リキッドやスミイレ塗料、エアブラシ用に希釈した塗料など、シャバシャバ系の塗料と「ボルテックスターラー ターボ」の相性は非常に良いと感じました。うまく底面に溜まった濃い部分を巻き上げてくれます。
▲続いては大き目のビンを試してみましょう。こちらはザブングルカラーのウォーカーブルー1。大容量のボトル(40~50mm)は遠心力が大きくなるため、低速で撹拌するようにして、高速で回さないようにしましょう。
▲撹拌前。
▲撹拌後。
▲筆塗りしてみたところ。しっかりと発色しています。
▲次はファレホを試してみましょう。写真は撹拌前。顔料が分離しています。ファレホなどクローズタイプのボトルは中にスティックを突っ込むこともできないので、手で振るのはちょっと大変ですよね。
▲「ボルテックスターラー ターボ」にセット。細身のファレホもクリップでホールドすることができました。
▲撹拌後。しっかりと混ざってくれました!
▲シタデルカラーのようなテーパーのついたボトルではどうでしょうか。
▲撹拌前の状態。
▲下面が側面のラバー材に当たるようにホールドすれば、テーパーのついたボトルもグリップは問題なくおこなえるようです。
▲撹拌後。
▲発色もバッチリです。
▲最後は缶スプレーを試してみましょう。写真はガンダムカラースプレーのMSレッド。缶スプレーは回すと中に入った鉄球がカラカラいうので、深夜の音量には気をつけましょう。
▲テストとして吹いてみたところ。バッチリ発色してくれました。
以上で「ボルテックスターラー ターボ」のレビューは終了です。非常に便利なツールで、塗料の撹拌が「ラクになる」のはもちろんなのですが、このアイテムの真価は「きちんと均一に撹拌されることで、塗料本来の性能が発揮できる」ことなのではないかなと感じました。さまざまな特殊塗料が増えてきた昨今、“撹拌の念押し”として、最後に使用するのもいいんじゃないかなと思います。2023年4月~5月に再販分が順次展開中とのことなので、これを機にぜひ手にとってみてくださいね!
DATA
ボルテックスターラー ターボ
- 価格:7,150円(税込)
- セット内容:ボルテックスターラー TURBO×1、USB Type-Cケーブル×1、USBアダプタ×1
- 商品サイズ:本体 約W85×H105×D85mm(突起部分のぞく)
- 発売中