食玩「スーパーミニプラ 戦闘メカ ザブングル」を製作!ミニプラの素性を最大限に活かしながら徹底改修に挑む!【前篇】
2016年6月下旬に発売し、実際に手にとって楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。この夏要注目の食玩プラキット「スーパーミニプラ 戦闘メカ ザブングル」! ここでは、この入魂のキットを、電撃ホビーウェブでもおなじみ、モデラー古木誠人氏が、ウォーカーマシン形態に絞り、全身にわたって手を入れています。
前編となる今回は、その製作工程を、貴重な途中写真で細部にわたってチェック。ディテールアップや面だし、細かな調整のヒントになれば幸いです。
今回の工作に当たっては、“可能な限り素材の味を活かす”ことを目的に古木氏が工作。
「ひょっとしたら、イチから作ってしまったほうが……」というようなシーンでも、“あえて”“こだわりをもって”、丁寧な改造を施しています。その結果、人間らしい柔らかさ、作画のしなやかさを目的に作られた体型にくどすぎずあっさりし過ぎない、ディテールアップと体型の変化が加わってなかなかに豊潤な味わいに仕上がりました。
ではさっそく、フォトと古木氏のコメントで、その様子を追いかけていきましょう!
今回のお題:“ザブングル”を人型形態にこだわって
シビリアンの開発した最新ウォーカーマシン、ザブングル。惑星ゾラという世界観の中でも、ほかのウォーカーマシンと一線を画す、いわば主役ならではの異形と呼ぶべきこのマシーン。今回は、変形を捨てることでより凛々しく、シャープなザブングルを目指してスクラッチ!
まずは組んだ状態での前後画像。凛々しい、きりりとした雰囲気となりました。
古木:ザブングル(ウォーカーマシン形態)をキッチリ仕上げる方向で製作しました。各部位、アートナイフや各種タガネでスジ彫りを施し、プラ材などでディテールも追加し、情報量を増しています。やや多めとなる表面のヒケは、パテでは大変そうだったので、シアノンで埋めながら、各部のエッジを立てる工作をしています。
頭部
頭部は後ハメ加工と、精度を出したことでスケール感がぐっと増しています。
古木:頭部はモールドがあまい箇所を彫り直し、ヘルメットと一体化しているマスクを塗装しやすいように別パーツ化しています。
頭部の襟周りにも、控えめながらディテールが追加されています。ザブングルの世界観と、スーパーミニプラのシンプルな造形を最大限活かすために、古木氏が頭を捻った、“塩梅”にぜひ注目です。
胴体
可変構造を廃し、さらに人型を突き詰めるという決断を下したため、胴体部分は軸位置の微妙な変化でいっそうザブングルのメカらしさが際立っています。
古木:塗装後、肩関節を後ハメできるように、内側の装甲パーツの両脇をカット。背中側のパーツに接着させています。少し怒り肩になるように、肩関節が収まる脇上部にプラ材をかませ約1.5ミリ上げ、肩の位置を調整しています。背面ブングル・スキッパーのコックピット部両サイドのインテークを一度開孔し、プラ材で作り直しました。
ブングル・スキッパーのコックピット周辺は、「シルエットは崩さず、密度を増す」という、これもスーパーミニプラそのもののニュアンスを大切にした工作。インテーク周辺の密度感はさすがで、改造の効果は抜群です。
古木:腰周りの隙間が気になったので、腹部と腰部の間に1ミリ厚のプラ板を貼り付けて延長しました。また、腰側の受け部分には0.75ミリ厚のプラ板をベースに、市販パーツやプラパイプなどでデコレーションしたパーツを作り、それを仕込んで、可動を損なわないよう、隙間を調整しています。
腰部に入るスペーサーはかなりそれらしい、自動車のフレーバーを残したデザイン(もちろん古木氏によるもの!)です。
腕部
古木:上腕部はパーツの挟み込みが多い部位なので、肩、前腕を後ハメ加工やパーツ分割の変更をして対応しました。肩アーマーの内側のピンを肩パーツ側(黒く塗っている箇所)で削り込んで、後ハメ加工としています。
古木:下腕部の内側のパーツはカフス部のラインで一度カットして外側のパーツに接着。パーツ分割を変更し、パーツの合わせめをパネルライン風に見立てています。
脚部
古木:腕部同様に挟み込みが多いので、塗装作業時、マスキング作業の軽減するため、パーツの合わせ目位置の変更や段落ち加工して、パネルライン風にみたてています。ヒザ部、赤いパーツの背面の合わせめを段落ち加工、フクラハギ部の合わせめを外側に寄せて変更しています。
古木:内部フレームの足首のボールジョイント受け上部で、1.5ミリプラ材で延長しています。これに合わせて外装の下部もプラ材を貼り付けて延長しています。
赤いパーツ内側には、複合装甲を思わせるプラ版のパッチワークが光る見せどころです!
タイヤ
古木:腕、腰部のタイヤ接続軸を一部カットして、後ハメ加工を施しています。
ザブングルというメカにとって、象徴であり重要なパーツである“タイヤ”。タイヤカバー周辺の密度をあげることで、タイヤの質感がよりらしくなるという工作がポイント。
武器
古木:3連バズーカと4連ハンドキャノンの一体化している砲身を、ごっそりエバーグリーンのプラパイプに替えています。3連は直径4ミリ、4連は直径3.2ミリのものを使用しています。
もっとも苦労したというライフルは、形状が見事に残る労作。キットを活かすため腐心したあとが、サンドイッチされた本体から伝わってきます。旧キットを使うアイデアもあったものの、“あえて”食玩での完全再現にこだわった部分!
古木:ライフルは薄いので、プラ材で全体的に約1.5ミリ幅増ししています。スコープなど、部分的にプラ棒や市販パーツで作り直している箇所もあります。
また、手首はしっかりトリガーに指がかかったものも別途用意。こちらは平手と握り拳と、これまたキットを活かしたレシピです。
さて、あとは微調整と塗装を残すのみとなりました! 次回は、塗装済みの完成版をお届けします。
DATA
スーパーミニプラ 戦闘メカ ザブングル
- PS(ポリスチレン)製組み立てプラキット/ガム(ソーダ味)付属
- 組立キット一式(全4種):ブングル・スキッパー、ブングル・ローバー、トラッド11タイプ+オプションセットA、ギャロップタイプ+オプションセットB
- 全高:125ミリ(ザブングルWM時)、55ミリ(トラッド11タイプ/ギャロップタイプ)
- 価格:各850円(税抜)
- 発売中
- 発売元:バンダイキャンディ事業部
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