素組みでガンプラ!MG 1/100 MS-06R-2 ギャビー・ハザード専用ザクⅡ~マスターグレードの製作法~前編
超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。
ここでは、プレミアムバンダイ限定商品の「MG 1/100 MS-06R-2 ギャビー・ハザード専用ザクII」を使って成形色を活かした仕上げ方法について紹介したいと思います。
MGシリーズには内部フレームが内蔵されているため、可動による装甲のスライドギミックなど、よりリアルに再現されているのが特徴です。
工作方法については「MGフリーダムガンダムVer2.0~マスターグレードの製作法」の記事をご覧ください。
ここでは成形色を活かして、フレームの色味にアクセントを付けていきます。使用するのは油彩塗料の「バーントアンバー」と、溶き油としてライター(ジッポ)オイル。
ライターオイルはエナメル溶剤と比べて揮発が圧倒的に早く、プラスチックを浸かす前に塗料が乾きます。そのため可動部が多いフレームの塗装に使用すると、パーツが割れてしまう危険性が低くなるのですが、関節などの可動部分はパーツ単位でバラバラに塗装した方が、より安全に塗装できます。
ライターオイルでかなり薄めに溶いた油彩塗料でウォッシングをしていきます。揮発が早いのでムラにならないよう、手早く塗料を塗布していきましょう。
06R系の特徴でもあるバックパックはバーニア周辺を含め、完成後も表面に露出する部分が多いので、塗り忘れに注意してください。また、MGの手首は指先まで可動するタイプが多いので、ウォッシングによるパーツの割れには注意をはらって作業を進めるようにしましょう。
ウォッシングは肩、ヒジ、股関節、ヒザ、関節、足首、など、完成後も表面に露出する部分を中心に色を付けていきます。装甲で隠れてしまう部分にはウォッシングを施していません。
今回はバーントアンバーを使用してウォッシングを行いましたが、使う色は機体色やフレームのグレーに合わせて自由に選んでください。
フレームのウォッシングが終わったら、外部装甲を塗装していきます。
まず、全体にツヤ消しクリアーを吹くのですが、MGは複雑な可動ができる仕様となっているため、パーツごとに台紙に固定してスプレーすると良いでしょう。今回は大きめの段ボールに両面テープで各パーツを固定してツヤ消しクリアーを吹き付けています。
ツヤ消しクリアーが乾燥したらフレームと同じようにウォッシングを施していきます。ツヤ消しクリアーを吹いたことで表面がザラ付いているので、塗料の定着が良く、ツヤ消しの塗装膜に染み込んでいくのがわかります。
ギャビー・ハザード専用ザクは茶系を多く用いた機体なので、ウォッシングにはバーントアンバーではなく、もっと暗いダークブラウンを使い茶系の濃淡を強調していきます。
次にエッジを中心にシャドーを入れて、パーツに陰影を付けていきます。使用するのは、100円均一ショップ等で購入できるアイシャドウです。“ラメ”の入っていないタイプのアイシャドウを選びましょう。
こげ茶や黒に近い色を専用のチップを使い、パーツのエッジに擦りつけるように乗せていきます。エッジ付近やパーツの外周部分にグラデーションが付くようアイシャドウを付けていくのがコツです。失敗しても水で落とせるのであせらず作業しましょう。
アイシャドウは水で落とせるだけでなく、手で触っただけでも色落ちしてしまいます。作業が完了したら再びツヤ消しクリアーを吹いて、色が落ちないようにアイシャドウを定着させておきましょう。
次にチッピングを行います。今回は同じ油彩塗料のランプブラックを使用。塗料をスポンジに取り、“塗装ハゲ”が起こりそうなエッジやコーナー部分にチッピングを施します。
茶と黒で構成されている機体色なので、より黒い色を使って、ウェザリング効果を高めています。
細部のチッピングにはアイシャドウ用のチップを使うと、細かなポイントまで作業できます。
段差のほとんどない面へのチッピングにはマスキングテープを併用して作業すると良いでしょう。
マスキングを行い、チッピングをしたい部分だけ露出させたうえでスポンジでタッチしていくと、高低差のないモールドが浮き上がって“別パーツ感”も強調されます。
マスターグレードのようにパーツ単位で各作業を進めると、最終的に組み上げた際、各パーツのウェザリングやグラデーションのニュアンスがアンバランスになることが多々あります。その際は組み上げ後に再度、調整のためのウェザリングを行い、ブロック単位で統一感を持たせることが大切です。
今回は基本的なウォッシングとウェザリングを紹介しました。HGシリーズとはスケールが異なるので、ウェザリングのニュアンスもスケールに適した繊細さが必要です。付属のパイロットフィギュアの大きさを参考にするとスケール感が実感できると思うので、1/100らしいウェザリングを意識して作業をすると良いでしょう。
次回は付属のデカールについて紹介したいと思います。
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