鉄道ライター・若林健矢が独断と偏見で選ぶ!2024年下半期に発表・発売された“グッと来る”Nゲージ&鉄道ホビー商品10選!KATOのJR北海道「SL冬の湿原号」、TOMIXのJR九州「キハ47形」8000番台など
2024年もさまざまな鉄道模型製品が発表・発売されました。本稿では、2024年の夏休みに電撃ホビーウェブで公開された「“グッと来る”Nゲージ&鉄道ホビー10選」の2024年上半期版に続く企画として、2024年の下半期に発表もしくは発売された鉄道模型の中から、筆者(若林健矢)の印象に残った製品をピックアップ!
今回は鉄道模型だけでなく、それ以外の鉄道ホビー商品も2点含め、合計10点の鉄道模型・ホビー商品をご紹介します。上半期同様、なるべく幅広い範囲を取り上げられるよう心がけていますが、タイトルのとおり、筆者の好みによる偏りが生じている可能性が大です。あらかじめご了承の上、お楽しみください。
※メーカー在庫がない商品も一部含めてピックアップしています。
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ピックアップその1
KATO JR北海道「SL冬の湿原号」
まずはKATOの鉄道模型から見ていきましょう。2024年8月に開催された「第23回国際鉄道模型コンベンション」などで試作品が展示されていた「SL冬の湿原号」が、2024年11月28日にいよいよ出荷されました。「鉄道模型コンベンション」探訪レポートでも取り上げましたが、発売に際して改めてご紹介します。
実車は釧網本線釧路~標茶(しべちゃ)間で1~3月に運行している、JR北海道最後のSL列車。C11形171号機が専用の14系客車を牽引し、白銀の大地となった釧路湿原を力強く走っています。運が良ければ特別天然記念物のタンチョウを車窓に見られるかも!?
そんな「SL冬の湿原号」を牽引しているC11形171号機は、単品での販売となっています。2022年1月に全般検査から出場した後の形態で、煙突の回転式火の粉止め、運転台下の保護柵、北海道形のデッキ手すりなど、北海道のSL要素をしっかり再現しています。実車は復路(釧路行き)ではバック運転となるため、機体の前後どちらにもスノープロウが装備され、両方のヘッドライトが点灯します。ただし、前面の連結器が、デフォルトではダミーカプラーになっているので、バック運転を行う場合は付属の連結用カプラーに交換しましょう。
C11形171号機が牽引する客車・14系500番台は5両セットでの販売。14系客車はリニューアル工事を受けた2021年以降の形態となっています。さらに、このうちの1両は「スハシ44」という、旧型客車を2022年に改装した「カフェカー」となっており、屋根や側面の形が14系とは異なっています。観光列車として改造された車体・内装を各部再現するだけでなく、「スハシ44」を含む中間3両はだるまストーブも点灯! Nゲージの車内で本当に炎が灯っているようなギミックが組み込まれたことには、筆者も驚きました。
機関車単品と客車編成に加え、両者がセットになった特別企画品の6両セットも同時発売。そちらは特別なパッケージに封入されており、通常とは違う茶色のリレーラーも付属します。リレーラーの役割については、このあとのピックアップその2をご参照ください。
実車も人気の観光列車で、筆者ももちろん乗ってみたいですが、多くの人にとって道東は遠く、足を運べる機会はなかなかないのではないでしょうか。実車に乗れる機会がなくても、鉄道模型で手に取ればグッと身近に遊べるでしょう。このような、人気観光列車のNゲージ化、見た目の違う客車編成の珍しさ、室内でのLED点灯ギミックに惹かれてピックアップしました。
DATA
C11 171
- Nゲージ鉄道模型完成品
- 品番:2021-1
- 発売元:KATO
- 価格:14,300円(税込)
- 発売中(2024年11月28日出荷)
14系500番台「SL冬の湿原号」5両セット
- 品番:10-1957
- 発売元:KATO
- 価格:22,000円(税込)
- 発売中(2024年11月28日出荷)
<特別企画品>C11 171+14系500番台「SL冬の湿原号」6両セット
- 品番:10-1958
- 発売元:KATO
- 価格:36,300円(税込)
- 発売中(2024年11月28日出荷)
ピックアップその2
KATO どこでもリレーラー
鉄道模型を線路に乗せやすくするためのアイテムとして、リレーラーが存在します。スターターセットに付属する他、単品でも販売されており、模型車両を入線させるには欠かせない存在です。しかし、基本的に直線線路の上で使用するため、線形によっては使いづらいのがデメリット。それを解決できるかもしれない新たなリレーラー「どこでもリレーラー」が、2024年11月に登場しました!
「どこでもリレーラー」は、踏切板のようなリレーラー部品に持ち手を取り付けた構造をしており、両者は別パーツになっています。車両をレールに乗せる時、または走行中に列車が脱線した時に、列車を止めたままリレーラーを列車にくぐらせる、または置いたリレーラー上を列車に通過させて使います。すると、レールから外れた車輪がリレーラーに乗り、レールに復帰する仕組みです。難しいようなら、リレーラーを手で押さえたまま車両を軽く押しても良いでしょう。
従来のリレーラーは、直線線路の上で車両を1両ずつ入線させるもの。踏切板のような「リレーラー線路」もありますが、それも直線線路のため、設置できる位置に限りがあります。しかし、「どこでもリレーラー」は曲線線路の上に置いても使用でき、列車の連結を解かずに車輪を戻せるようになります。そのため、長編成や連接車両、床下がカバーで覆われて台車に触れにくい車両などにも使いやすいかも。使い終わった時は、パーツを分解してまとめておけば持ち運びも簡単!
ただし、線路の傾きや、左右に構造物がある状況、極端に半径の小さなカーブ上などでは扱いにくい場合もあります。また、床の低い路面電車では、リレーラー部分に干渉して通行できない場合があります。ご使用の際は、配線・情景・車両との相性にお気を付けください。
DATA
どこでもリレーラー
- Nゲージ用リレーラー
- 品番:24-002
- 発売元:KATO
- 価格:550円(税込)
- 発売中(2024年11月28日出荷)
ピックアップその3
TOMIX(トミーテック)東武鉄道「SL大樹」
次はTOMIX(トミーテック)を見ていきましょう。KATOが北海道のSL列車を模型化するなら、TOMIXは日光・鬼怒川のSL列車! 東武鉄道で2017年から運行中の「SL大樹」が、2024年12月20日(金)に発売されました。今回は、2020年に真岡鐵道からやってきたC11形325号機と、青色の14系客車が製品化されています。
国鉄時代に各地で活躍し、現在も一部地域で動態保存が続けられている蒸気機関車。その中でも、東武鉄道の個体には無線アンテナが増設されており、ATSを搭載した車掌車・ヨ8000形と一緒に活躍しています。C11形325号機も、タンクに無線アンテナが、後部端梁にジャンパ栓が追加されており、それを新規製作で再現。運転台窓は開いた状態となり、走りゆく機関車の窓から機関士が手を振ってくれる瞬間を思い出しそう。走行可能なカーブ半径はC243以上となっているので、運転は多少広いスペースでお楽しみください。
一方の14系客車は、ヨ8000形を含めた4両セットで販売され、2021年に12系客車を改造して誕生した展望車「オハテ12」が最大のポイント!車体は新規製作され、特徴的な展望デッキには専用プリズムを装着済み。室内灯を組み込めば展望デッキまで光が灯ります。「スハフ14」「オハフ15」には東武の無線アンテナを増設。客車3両に共通して床下がグレーになっているのも私鉄らしさを感じさせます。
そして、SLの後ろに連結させるヨ8000形も東武に来てさまざまな改造が加えられており、床下が新規製作、増設された蓄電池箱が別パーツで再現。増設ヘッドライトも光ります(非ハンドル側のみ)。
実はマイクロエースも2019年に発売したことのある「SL大樹」(C11形207号機牽引)ですが、当時まだなかった2機目の蒸気機関車(単品販売)と展望車を加えてTOMIXが製品化。新規製作部品の多さに加え、同公式サイト内「N情報室」でピックアップされていることからも、力の入れようがうかがえます。日光・鬼怒川エリアに乗り入れる車両も意外と多いので、運転・コレクションどちらも楽しめそうだと筆者は感じました。
DATA
東武鉄道 C11形蒸気機関車(325号機)
- Nゲージ鉄道模型完成品
- 品番:8618
- 発売元:トミーテック
- 価格:16,500円(税込)
- 発売中(2024年12月20日発売)
東武鉄道 14系・ヨ8000形(SL大樹・青色)セット
- Nゲージ鉄道模型完成品
- 品番:98563
- 発売元:トミーテック
- 価格:16,390円(税込)
- 発売中(2024年12月20日発売)
ピックアップその4
TOMIX(トミーテック)JR九州キハ47形
TOMIXからのもうひとつのピックアップは、2024年7月に発表され、2025年1月発売予定のJR九州キハ47形8000・9000番台です。JR九州に継承されたキハ47形0・1000番台のうち、機関更新の行われた車両が8000・9000番台となっています。以前は九州の非電化区間のあちこちで走っていた同車も、未更新車を中心に後継車両へ置き換えられており、現在は佐賀県・長崎県・宮崎県・鹿児島県内で見ることができます。機関更新により別形式となったキハ147形も含めれば、福岡県や熊本県でも見られます。
今回は、通常仕様・冷房強化車・鹿児島車両センターセット(特別企画品)の3種類が登場し、車両によってトイレ窓、屋根上水タンク、側面ルーバーの有無が作り分けられています。屋根からはベンチレーターが撤去されていてフラットな印象を受けるも、冷房強化車はそこにダクトや機器類が追加されていて、見た目に変化が付いています。鹿児島車両センターセットは車番が印刷済みですが、他の2種類は転写シートから番号を選びましょう。
1年前にもキハ47形の「ロマンシング佐賀」(佐賀県とスクウェアエニックス『サガ』シリーズのコラボイベント)ラッピング列車が製品化されました。それより前の2018年には、機関未更新の2両編成が九州色・アクアライナー色(香椎線で運行していた塗装)で発売しましたが、筆者の近所ではすぐに売り切れとなりました。当時の人気も考え、ピックアップさせていただきました。
一部実車が置き換えられたとはいえ、JR九州の非電化区間には欠かせないキハ47形。所属・設定にこだわらなければ、1本あるだけで他のどんな九州ディーゼルカーと並んでも似合うのではないかと思います。ご自身の模型鉄道に1編成いかがでしょうか。
DATA
JR キハ47-8000ディーゼルカー(九州色)セット
- Nゲージ鉄道模型完成品
- 品番:98153
- 発売元:トミーテック
- 価格:13,750円
- 2025年1月発売予定
JR キハ47-8000ディーゼルカー(九州色・冷房強化車)セット
- Nゲージ鉄道模型完成品
- 品番:98154
- 発売元:トミーテック
- 価格:13,970円
- 2025年1月発売予定
<特別企画品>JR キハ47-8000ディーゼルカー(九州色・鹿児島車両センター)セット
- Nゲージ鉄道模型完成品
- 品番:97962
- 発売元:トミーテック
- 価格:25,300円(税込)
- 2025年1月発売予定
ピックアップその5
トミーテック 鉄道コレクション 近畿日本鉄道18200系
トミーテックの別シリーズ「鉄道コレクション」も見ていきます。1つ目は、11月に発売された近鉄18200系です。実車は1966(昭和41)年に登場し、主に京都駅から伊勢志摩方面に向かう特急列車として活躍していました。30000系「ビスタカーIII」など、他の近鉄特急とも連結したこともあります。
最大の特徴は、18m級で幅の狭い車体を有していること。当時、近鉄京都線・橿原線の車両限界が他の路線に比べて小さかったため、他の近鉄特急よりも小さな車体となっています。また、そのためにパンタグラフ周辺が低屋根化されている点も特徴です。18m級車体の2両編成は、特急列車としては短いほうですが、「鉄道コレクション」としてはちょうど良い長さではないでしょうか。
前回はブラインドパッケージの第30弾で初登場し、今回はオープンパッケージでの製品化となります。動力化する際に指定されている「TM-06R」(18m級用A)は、C140までのミニカーブレールを通行できるので、省スペース運転にもおすすめ! トレーラー車の走行化は「TT-04R」(車輪径5.6mm・カプラーグレー)、パンタグラフはPG16などをご使用ください。このように、近鉄特急をコンパクトに楽しみやすい点が、筆者にはグッときました。
18200系だけでも十分に楽しめると思いますが、前回品や他形式など、さまざまな近鉄車両と一緒に並べたり、連結させたりしても個性が光るのではないでしょうか。さらに、10月には近鉄の事業者限定品として、「鉄道コレクション 近鉄680系(特急仕様)2両セット」も発売されました。現役当時の京都線・橿原線でともに活躍した両者の並びを、鉄道模型で再現するのも面白そうです。
DATA
近畿日本鉄道18200系 2両セット
- Nゲージ鉄道模型完成品
- 発売元:トミーテック
- 価格:6,600円(税込)
- 発売中(2024年11月23日発売)
ピックアップその6~10では
「鉄道コレクション」からもう1品と
マイクロエース、グリーンマックスなどの商品も!
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