鉄道ライター・若林健矢が独断と偏見で選ぶ!2024年下半期に発表・発売された“グッと来る”Nゲージ&鉄道ホビー商品10選!KATOのJR北海道「SL冬の湿原号」、TOMIXのJR九州「キハ47形」8000番台など

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前ページでのピックアップその1~5に続きこのページでは、2024年の下半期に発表もしくは発売された鉄道ホビー商品の中から、筆者(若林健矢)の印象に残った製品その6~10をご紹介していきます!


ピックアップその6
トミーテック 鉄道コレクション 養老鉄道7700系

元近鉄車両が活躍する中で2019年より運行開始した元東急車両、7700系も「鉄道コレクション」で2024年9月に商品化が発表され、2025年2月発売予定となっています。これもおすすめしたいアイテムです。

実車は東急電鉄から養老鉄道に順次譲渡され、内装を中心にリニューアルが行われた上で運行を開始しました。3両編成・2両編成ともに3本ずつ活躍しています。座席のモケットが黄緑色に変更されたほか、3両編成の中間車両の一部座席が、東急時代にはなかった転換クロスシートに交換されています。

東急7700系は元々、1962(昭和37)年より製造されていた7000系を1987~1991年に改造した車両です。その時に制御装置がVVVFインバータ制御に換装されました。初期車の製造から数えると現時点で62年も経っているのに、活躍の場を変えて今も現役。しかもVVVFインバータ制御により特徴的な走行音を発するのが驚きです。

▲ 登場時は7000系だったが、7700系に改造されVVVFインバータ制御に(写真は前回製品)。


2025年2月に「鉄道コレクション」で発売予定の編成は、前面貫通扉が黒色でその左右に赤いラインが配された、いわゆる「歌舞伎塗装」のTQ14編成(3両編成)と、オリジナルに近い配色で緑の濃淡のラインがあしらわれたTQ05編成(2両編成)の2種類。動力化は「TM-06R」、トレーラー車には「TT-03R」(車輪径5.6mm・カプラー黒)、パンタグラフは「PT7169-A」が推奨されています。

前回は2020年5月、「緑歌舞伎」のTQ12編成と、東急時代ほぼそのままの外観を保ったTQ03編成が発売され、譲渡後の姿がしっかり再現されました。しかし、筆者の近所ではすぐに完売となりました。なお、前回品では中間車両の座席パーツもオールロングシート(おそらく部品共用と思われる)となっていましたが、動力ユニットを組み込めば気になりません。

▲ 前回発売された、3両編成で「緑歌舞伎」のTQ12編成。
▲ 2両編成になるとこんな感じだろうか。


7000系としての登場が50年以上も前なのに、7700系への改造、養老鉄道への譲渡を経て未だ現役な同車は、シングルアームパンタ化やスカート取り付けなど、譲渡されて変わった部分が各所に見られます。それでも、東急時代の面影も色濃く残る面白い車両です。関東・関西どちらの鉄道ファンにもおすすめ!

養老鉄道7700系 TQ14編成3両セットC
養老鉄道7700系 TQ05編成2両セットA


DATA

養老鉄道7700系 TQ14編成3両セットC

  • Nゲージ鉄道模型完成品
  • 発売元:トミーテック
  • 価格:9,900円(税込)
  • 2025年2月発売予定

養老鉄道7700系 TQ05編成2両セットA

  • Nゲージ鉄道模型完成品
  • 発売元:トミーテック
  • 価格:6,600円(税込)
  • 2025年2月発売予定



ピックアップその7
マイクロエース「East-i」

次はマイクロエースの車両を見ていきます。上半期にもご紹介した通り、最近の同社は、過去に好評だった車両の仕様違いや、純粋な再生産が多く見受けられます。そのため、前回品の発売当時に買い逃してしまった人にとっては大きなチャンス!

そんな中、本稿では、2024年12月4日にメーカーから出荷されたE926系「East-i」(イーストアイ)に注目したいです。同車はいわば、「新幹線のお医者さん」のJR東日本バージョン。「Intelligent(知能)」「Integrated(統合された)」「Inspection(検査)」の頭文字「I」と「East(東)」で「East-i」と呼ばれています。

山形・秋田新幹線のE3系をベースに2001年に導入され、現在もJR東日本の新幹線検測作業で活躍しています。ベースが「ミニ新幹線」なので在来線区間(福島~新庄間・盛岡~秋田間)にも入線でき、周波数の50Hz・60Hz切り替え、抑速ブレーキの切り替え装置も搭載しているので北陸新幹線にも入れます。実車も北陸新幹線金沢~敦賀間の延伸開業前に試験走行を行っていましたよね。Nゲージとしてはマイクロエースが過去に発売し、多くの要望があったとのことで再生産が実現!

先頭車両はヘッドライトテールライトに加え、ライトのすぐ下に設置されている前方画像収録装置、屋根上に搭載されている架線離隔測定装置も点灯します。動力はパンタグラフのある「E926-4」に組み込まれており、パンタグラフ横のサーチライトも点灯可能。珍しい存在である実車を鉄道模型で楽しめるだけでなく、総合検測車としてのギミックも再現されていることにファン心をくすぐられます。レイアウト上での存在感も抜群!

掲載の都合上、名前のみの紹介となりますが、京阪電車8000系「プレミアムカー」や、JR九州キハ72系「ゆふいんの森」、JR四国8000系「しおかぜ」「いしづち」などが、今後再生産される予定となっています。以前の発売時に手が届かなかった車両があったら、毎月の新製品発表にもぜひご注目ください。


DATA

E926系 新幹線電気軌道試験車・East-I 6両セット

  • 品番:A8470
  • 発売元:マイクロエース
  • 価格:25,300円(税込)
  • 発売中(2024年12月4日出荷)



ピックアップその8
グリーンマックス 213系5000番台

鉄道模型の最後に、グリーンマックスの製品をピックアップ。「第23回国際鉄道模型コンベンション」探訪レポートでも触れた213系5000番台が、2024年11月に発売されました。

211系をベースに1989(平成元)年に製造された213系5000番台。今回発売された2次車は1990年以降に製造されたグループとなっており、冷房内にスピーカーが設置されたり、側面の方向幕が拡大されたりしているのが主な特徴です。当初は東海道本線・関西本線で運行していましたが、2011年に飯田線に転属し、119系を置き換えました。また、この時にトイレ設置と乗降ドアの半自動化も行われました。

▲ グリーンマックスの213系5000番台が2024年11月に発売(第23回鉄道模型コンベンションにて筆者撮影)。


動力付きの基本セットは「クモハ213-5013」「クハ212-5013」の2両編成、動力なしの増結セットは「クモハ213-5014」「クハ212-5014」の車番が印刷済み。どちらも号車札受けが撤去される2020年頃までの形態となっています。他社からもJR東海の213系が発売されたことは何度かありましたが、グリーンマックスからも発売されました。

実は、グリーンマックスはKATOより先に211系5000番台を製品化していた経験があり、213系とは前面がほぼ共通しています。既存の前面を活かしつつ、他社からあまり出たことのない飯田線仕様を再現し、2両編成から楽しめるところに魅力を感じました。運用次第では中央本線まで乗り入れることもあるので、飯田線の新旧車両だけでなく、E353系「あずさ」などとも並べてみたいですね。


JR213系5000番台(2次車・飯田線) 基本2両編成セット(動力付き)


DATA

JR213系5000番台(2次車・飯田線) 基本2両編成セット(動力付き)

  • Nゲージ鉄道模型完成品
  • 品番:31933
  • 発売元:グリーンマックス
  • 価格:18,260円(税込)
  • 発売中(2024年11月19日出荷)

JR213系5000番台(2次車・飯田線) 増結2両編成セット(動力なし)

  • Nゲージ鉄道模型完成品
  • 品番:31934
  • 発売元:グリーンマックス
  • 価格:15,290円(税込)
  • 発売中(2024年11月19日出荷)



ピックアップその9
プラレール リアルクラス トワイライトエクスプレス

ここからはちょっと趣向を変えて、Nゲージ以外の鉄道ホビーにも目を向けてみます。まずはタカラトミーから展開中の「プラレール リアルクラス」。鉄道好きの子どもたちが誰しも一度は触れたことがあるであろうプラレールで、飾る楽しみ・走らせる楽しみを両立させたシリーズです。今までのプラレール以上にリアルな造形・塗装に加え、窓やライトにはクリアパーツも取り入れており、大人も楽しめるハイクオリティで好評を博しています。とはいえ「プラレール」は「プラレール」。動力車に単3形乾電池(別売)を組み込めば自走できます。

今回ご紹介したいのは、2024年11月23日に発売された「トワイライトエクスプレス」。日本海に沿って大阪~札幌間を結んだ寝台特急で、1989年から2015年まで、26年間活躍を続けました。一般的に「ブルートレイン」といえば、青い車体の客車が使用されることが多かったですが、「トワイライトエクスプレス」では緑色の客車が使用され、サロンカーや展望スイートなどの豪華設備を有していました。現在、この名前はJR西日本の豪華クルーズトレイン「TWILIGHT EXPRESS瑞風」に引き継がれています。

通常のプラレールは3両編成ですが、「プラレール リアルクラス」は4両編成。「トワイライトエクスプレス」に関しては、牽引機「EF81-103」と客車「オハネフ25-500」「オハ25-550」「スロネフ25-500」の編成になっています。4両全て違う外観なのに、どれも的確に再現されているのがすごい!しかも客車は内装まで作り込まれています。EF81形のパンタグラフと抵抗器カバーは、ディスプレイ向けのハイタイプと走行向けのロータイプが付属し、必要に応じて交換できます。その他、ヘッドマークシール、客室はしごと「リアル直線レール」も付属します。

大人も楽しめるハイクオリティに仕上げつつ、プラレールらしさも残っている、そんな「プラレール リアルクラス」で2024年にはついに寝台特急が登場! 「トワイライトエクスプレス」のほか、2024年7月には「あさかぜ」が発売されました。さらに、第1弾として昨年6月に登場した185系(緑ストライプ)の「踊り子」と、小田急ロマンスカー・NSE(3100形)が本稿公開時点で再販されています。ですので、シリーズの今後がより楽しみになりました。


DATA

プラレール リアルクラス トワイライトエクスプレス

  • 鉄道玩具(プラレール)
  • 商品番号:4904810941750
  • 発売元:タカラトミー
  • 価格:7,700円(税込)
  • 発売中(2024年11月23日発売)



ピックアップその10
ポポンデッタ moku TRAIN 江ノ電300形

最後は大人向けホビーから一転して、子ども向け鉄道おもちゃ「moku TRAIN」(モクトレイン)にも目を向けてみましょう。各店舗にNゲージのレンタルレイアウトを備えつつ、新品・中古品両方を取り扱うポポンデッタは、自社ブランドのNゲージ鉄道模型も展開しています。それと並行して、子ども向けの木製鉄道おもちゃ「moku TRAIN」も手掛けています。

「moku TRAIN」は、日本の鉄道をモチーフにした木製玩具で、国際的な安全基準も満たしています。Nゲージやプラレールのような動力はないので、子どもたちに手押しで遊んでもらうおもちゃになっています。また、レールは世界標準規格(一部例外あり)となっているので、物置で長年眠っていた木のレールが再び日の目を見るかもしれません。

その中で、本稿公開時点で新発売となっている江ノ電300形が、筆者の目に留まりました。登場から現時点で64年経ち、パンタグラフ交換やライト移設、冷房設置などの改造を受けて今なお現役の305・355号車がかわいくデフォルメされて木のおもちゃになりました。実車も鉄道ファンのみならず多くの人々に親しまれており、他の江ノ電車両とは異なり、床が板張りになっているのも特徴です。ちなみに、「moku TRAIN」以外にもさまざまなグッズのモチーフになっており、筆者も300形のグッズを日常利用しています。

「moku TRAIN」のラインナップを見てみると、子どもたちに人気の通勤電車や新幹線・特急列車が中心となっており、第一線で活躍している列車たちがかわいくデフォルメされています。そうした新型車両の多いラインナップに江ノ電、現在の同社最古参な300形ということもあって、より一層強い存在感を筆者は感じました。

なお、「moku TRAIN」は3両編成で販売されていますが、江ノ電300形は2両編成。残りの1両は、沿線の風景をイメージした車両が付属します。小さな子どもたちにぜひ楽しんでもらいたい江ノ電の「moku TRAIN」ですが、大人も飾ってみたくなるかもしれません。


Moku TRAIN 江ノ電300形


DATA

Moku TRAIN 江ノ電300形

  • 鉄道玩具(木製)
  • 発売元:ポポンデッタ
  • 価格:2,398円(税込)
  • 発売中(2024年12月4日発売)



以上、2024年後半に発売・発表された鉄道模型・鉄道ホビーの中から、筆者の好みに刺さった商品を10種類ご紹介しました。今回は「プラレール リアルクラス」や「moku TRAIN」のように、Nゲージ以外の鉄道グッズにも目を向けてみましたが、いかがだったでしょうか。繰り返しで恐縮ですが、筆者が独断と偏見で選んだため、皆様の思っていたものが入っていなかった場合は何卒ご容赦ください。

2025年発売予定のNゲージについても各社から多数発表されています。筆者もそれを見て、ほしい車両や、やってみたいことをいろいろ検討している最中です。2025年も引き続き、鉄道模型を楽しんでいきましょう!

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