鉄道ライター・若林健矢が行く!Nゲージ・首都圏レンタルレイアウト探訪記 ~第3景・東京都新宿区「Re-Color(リカラー)東京店本店」(短期集中連載・全3回予定)~
Nゲージ鉄道模型を専門に取材・執筆しているライター・若林健矢が、自分のNゲージとともにレンタルレイアウト店を取材し、その楽しさを発信する取材企画「Nゲージ・首都圏レンタルレイアウト探訪記」。今回は東京都新宿区の「Re-Color(リカラー)」東京店本店を訪問しました!
レンタルレイアウト店とは、時間貸しで、鉄道模型の大型レイアウトの路線を貸し出し、利用者自身が持ち込んだ列車を走行させて楽しむお店です。自宅ではなかなか広げられない長い編成の列車も、レンタルレイアウトならのびのび走らせることができます。
今回取材した「Re-Color」大レイアウトの中には、実在する駅や情景を多数取り入れ、細かく作り込まれています。そのため、自分の持ち込んだ列車が本当にその路線を走っているように感じられます。
お店のコンセプトとして、ユーザーを飽きさせないよう、かなり頻繁に情景を作り替えている点も「Re-Color」の大きな特徴です。一度訪れて、次に来た時は、前とは違う風景で模型運転を楽しめるかもしれません。
本記事では、筆者の取材時点(2025年2月)のレイアウトを詳しくご紹介しますが、このコンセプトにより今後も改修工事は行われることでしょう。そのため、読者の皆さんが記事をご覧になってお店を訪問された際には、記事内でご紹介したレイアウトがもう更新されている可能性が、他のレンタルレイアウト店よりも大であることをご了承ください。その点も「Re-Color」の魅力の一つなのです。
東京メトロ東西線で落合駅へ、郵便局前から徒歩3分
新宿区の「Re-Color」本店に最も近い鉄道駅は、東京メトロ東西線の落合駅。西船橋方面のホームから上がれるA4出口が便利です。ここから地上に出てすぐ目の前に落合郵便局があるので、郵便局に向かって左側に歩きましょう。関東バス「上落合一丁目」停留場を通っていれば道順通りです。
バス停からすぐに「上落合一丁目」交差点に差し掛かるので、セブン‐イレブン側の歩道に曲がります。
正面が紺色に塗られたNBEビルの4階に、今回取材する「Re-Color」東京店本店があります! ちなみに、このビルの3階にも「Re-Color」東京店はなれがあり、どちらを予約しても同じビルに向かえば大丈夫です。
脇道に入ったところのドアを開けると階段があるので4階へ。お店のドアを開けると、目の前にはこんな巨大レイアウト! 出入口側から見て、手前に機関区や緩いカーブの高架線、留置線も長く設けられています。高架の奥には田園風景や山など、自然の風景も多様に作り込まれているのがうかがえます。ここに来るまでも筆者は楽しみにしていましたが、一層ワクワクしてきました。
このNゲージレイアウトの路線のレンタルに加えて、3Dプリンターで作成したNゲージ用部品や席で飲める飲み物の販売、YouTubeチャンネルでの動画配信も行っています。飲み物を飲む際は、ジオラマ上にこぼさないように注意してください。
また、「Re-Color」では、Nゲージ車両のレンタルは行っていません。利用者は車両を持参することが必須となっています。Nゲージ車両を持っていない人には訪れにくいかもしれませんが、だからこそ、本企画で詳しく紹介したいと思い、取材しました。
2017年本店開業から大阪店や「はなれ」、そして韓国にも店舗を展開!
ここからは、Re-Color代表取締役社長の田沢秀一(たざわ・しゅういち)さんに、お店のいきさつやレイアウトについてうかがっていきましょう。「Re-Color」東京店本店は、2017年3月に開業。その後に大阪店(江坂)と、東京店はなれも順次オープンしました。
そのため、今回訪れた東京店本店が「Re-Color」最初の店舗ですが、田沢さんが同店を新宿区の落合に開いたのは、実は計画外の理由によるもの。「元々は尾久(荒川区)でやろうと考えていて、物件の契約まで行っていたのですが、先方の都合で破談になり、急遽探したのがここでした」と振り返ります。
新宿区内には「Re-Color」のほかにも、Nゲージに触れられるお店がホビーセンターカトーや新宿駅周辺の鉄道模型店など、点在しています。「Re-Color」が落合でオープンしたことは、一利用者から見れば近隣の鉄道模型店を巡る楽しみを広げてくれたのかもしれません。
「Re-Color」はユーザー層も幅広く、若い人から年配の人まで多くの人に親しまれています。取材日の筆者訪問時には、学生と思われる利用者も見かけましたし、筆者の退店直後には社会人グループの全線貸切もありました。人口規模としては関東圏の鉄道模型ファンが多いものの、訪れる人も北海道から九州まで、広範囲のファンがNゲージ運転に訪れます。さらに、海外からの来店も最近増えたそう。
ちなみに「Re-Color」は2025年2月末、韓国の始興市に新店舗を開業! 海外の鉄道模型ファンも、レンタルレイアウトを通じてもっと鉄道模型を楽しめることに期待したいです。
実際の鉄道風景をモチーフにした情景の数々に注目!
次はレイアウトのお話に移りましょう。「Re-Color」東京店本店のレンタルレイアウトは、8m×2.5mの寸法に8路線。1・2番線が新幹線対応の高架線、3~6番線は在来線です。7・8番線は、敦賀駅を取り入れた在来線ロングランコースです。駅のホームや建物などに組み込まれた電飾と、ところどころに設置された背景板が、情景をよりリアルに引き立てています。
お店の開業当初はジオラマ製作会社のディディエフがその製作を担当し、同社公式サイトにもその様子が紹介されています。しかし、現在の情景は当初から大きく変わりました。田沢さんによれば、開業当時、予算の都合でフルスペックなレイアウトが作れなかったとのこと。お店の開業後も少しずつ予算を貯め、田沢さん自身で情景を作り替えていった結果、今のレイアウトがあります。
田沢さんが時間をかけて改修したこのレイアウトの大きな魅力は、実際の駅・情景を多数モチーフに取り入れていること。路線の番号順に、1・2番線は東北新幹線の福島駅がモチーフになっています。両方とも、新幹線に対応した島式ホーム1面2線に、通過線が1線。新幹線や長編成の待避・通過待ちも再現できそうです。ただしスケールスピードは守りましょう。
3~6番線は、取材時、東京駅をモチーフにしていました。島式ホームに多くの列車がせわしなく行き交う東京駅ですが、こちらのレイアウトでは、少し離れた位置に留置線が設けられているので、列車を入れ替えながら、複数の編成を運転したり、並べて撮影したりなど楽しめます。
3・4番線では、高架ホームにも列車を入線させられます(両線同時レンタル時のみ)。実車では中央線快速が発着するホームですが、時々特急列車も見かけます。どんな列車を入線させるかはユーザー次第!
6番線では、本線に加えて機関区も楽しむことができ、その奥には小型車両専用の地鉄線も伸びています。機関車を多めに持って来れば、転車台での入れ換えや、機関庫への入出庫、そして客車や貨物の牽引なども一層楽しめそうだと見受けられました。
ただし、本記事公開時点で、3~6番線の東京駅や機関区としての供用は終了しています。新しい情景をとして、新潟の新津駅を再現する予定で、ホームページのカレンダーによると2025年4月1日まで工事を行っています。進行状況によっては作業終了日も変化する可能性がありますので、最新情報は「Re-Color」ホームページまたはSNSをご参照ください。
そして、敦賀駅のある7・8番線は、ロングランというだけあって、もっと多くの鉄道風景が取り入れられています! たとえば、開けた田園地帯に広がる大カーブ。これは、JR中央本線に実在する「長坂カーブ」(長坂~小淵沢間)がモチーフになっています。
奥の築堤上にあるピンク色のホームは何かと目を引きますね。これは、鳥取県内に実在する、智頭急行線の恋山形駅を再現。実物も本当にピンク色になっており、Nゲージサイズになってもかなり目立ちます。
緑色の鉄橋周辺は上越線、赤色の鉄橋周辺は中央西線(中央本線のJR東海区間)をイメージしているとのこと。どちらも山間部となる線区ですが、山・川の表現に違いが出ています。
各路線の線路は、ポイント周辺でKATO・TOMIXの道床付き線路を併用しつつ、可能な限りフレキシブルレールを使用しています。フレキシブルレールは自由に曲げることができ、道床付き線路よりゆるいカーブにもできるので、新幹線でも無理なく曲がれるレイアウトを作れます。
このような、実際の情景を鉄道模型に取り入れる際、田沢さんは主に、Googleマップや、YouTubeに多数投稿されている前面展望動画を参考にしているとのこと。ご自身で現地に行ける場合には、ロケハンも行って、情景製作に役立てているとのことでした。
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