ガンプラ作例【HG 1/144 ヘルムヴィーゲ・リンカー】をマイスター関田が力強いプロポーションとメタリック塗装で魅せる!!(その2)
重装甲機体然としたシルエットと巨大な武装、そしてグリムゲルデの改修機という設定から『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』2期の中でも高い人気を誇るヘルムヴィーゲ・リンカー。
先ごろ発売されたHG 1/144 ヘルムヴィーゲ・リンカーは、その独特すぎるスタイリングをバッチリと再現しており、同機体のアイデンティティでもあるヴァルキュリアバスターソードもド迫力な秀作キットです。
今回は、そんなHG 1/144 ヘルムヴィーゲ・リンカーを、マイスター関田が自身の持つ「知的なパワー系ボディガード」というイメージに近づけるべく改修。氏の得意とする重厚なメタリック塗装表現にもご注目ください。
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HG 1/144 ヘルムヴィーゲ・リンカー
製作:マイスター関田
どーも、マイスター関田です。
今回はHG 1/144ヘルムヴィーゲ・リンカー。マクギリスの右腕、石動・カミーチェが託された重装甲MSですね。プラモデルの試作段階でデザインを見た時点では、2本の角、マッシブな上半身、蹄のような足、とにかくデカイ武器といった要素はギリシャ神話に出てくるミノタウロスを思い起させ、パワー系のキャラクターを想像しました。
しかし、本編を観ると青とカーキイエローのカラーリング、冷静で腹に一物抱えた感じの石動というマッチング、というかギャップにより製作イメージが揺らぎかけましたが「頭の良いミノタウロス」「パワー系エリートボディーガード」というイメージで行くことにしました。キットを見てみると、設定画より幾分頭身が高くスマートなイメージにまとめてあり、立体として非常にカッコイイ。ここから自分のイメージに近づけるため、
- 脚部を獣脚っぽくアレンジ。
- 手首を大きくして、力強さを強調。
- 色調は鮮やかさを保ちつつド派手になる手前位でコントロール。
といった作業方針を定めました。
脚部の獣脚アレンジに関しては、ミノタウロスのイメージには欠かせないところですが、本編の映像で表情豊かな装甲形状の描かれ方を見て、イメージを具体的にすることができました。手首に関しては、設定を参考にグレイズ系列の大型手首(グレイズ・アインに使われたもの)を想定して、指はプラ材で新造することにしましたが、イメージ優先で少し大きめに作っています。「小顔に大きめの手首」はパワー重視のキャラクター性を表すには中々に有効ですね。
以下、具体的な工作内容に触れていきます。
頭部
設定にあるフェイス部のバイザーはキットでは再現されておらず、ドーム状のカメラアイがむき出しになっています。このままでもメカっぽくて良いのですが、せっかくの作例なのでバイザーを表現します。
ここでは、
- ヒートプレスなどで透明なバイザーパーツを作りカメラアイの前に取り付ける
- センサーパーツそのものをバイザーの形に整形し塗装で透明感を表現する
のいずれかで迷いましたが、今回は短時間でできる後者を選択。カメラアイパーツのドーム形状になっている部分を切り取ってプラ板を貼り、バイザーの形に削り出しています。
塗装は内側から「ボゥッ」と光っているように見せるため黒→白のコントラストの強いグラデーションを下地として塗っておきます。原色シアン、原色イエロー、クリアを混ぜて作ったクリアターコイズブルーを吹き付け、色調が確定したらクリアをしつこく重ねて奥行きを持たせると、かなりそれっぽくなります。また、角はシャープに削り込んでいます。
胸部~腰部
腹部のアクチュエーターはキットでは省略されたディテールとなっていますが、真ちゅうパイプと洋白線で伸縮する機構を再現。一応、胸ブロックの上下可動に連動するようにしました。
腰のリアアーマーはパーツの裏側が大きな空間となっていたため、空間をふさぎ、アーマーの厚みを増すという一挙両得を狙ってプラ板を貼り付けています。裏面には軽くディテールを入れています。
肩部~腕部
肩アーマーは、肩への接続に水平方向のロール軸を加えています。この工作により、アクションポーズの際に自然に決まる角度の選択肢が増えます。また、キットの状態よりも少しだけ肩アーマー位置が高くなるように軸の位置を調整していますが、これにより全体的なシルエットに力強さが加わります。高くしすぎると変なところから腕が生えているように見えるので、ほどほどのところでおさえましょう。
ほかには前腕がヒジ関節を挟み込むパーツ構成になっているので、いったん接着したあと、次の写真のような形に切り分けて塗装後に組み立てられるようにしました。
手首
キットにはヴァルキュリアバスターソードを効率よく保持するための大型手首が付いていますが、今回はさらに手首を大きく見せたかったので新造しています。当初は次元ビルドナックルズ(角指)をベースに加工する予定だったのですが、掌、甲の装甲パーツ、関節をキットから使い、指と掌の円盤状のモールドはプラ板プラ棒で作り起こしています。
指はブロックにわけてプラ棒で大量に作っておき、その都度、角度を着けて接着。一本の指になったところで、これまたプラ板で大量に作っておいた指の関節カバーを接着。出来上がった指をこのみの角度で掌に固定していく、という超非効率なやり方ですが、その場その場で指の曲がり具合を決めていけるのは武器を持たせる場合には有効だと思います。
フィギュアの原型師さんからもよく聞くのですが、手首の表情は作品の演出にすごく影響の大きな部分で、表情の演出がしにくいメカ物では作品の印象を大きく変えることができる要素となるようです。いかにもメカメカしい無表情な手も、気合を感じさせる力んだ指も、こだわりのポイントとして作り込むことで作り手のイメージや意図を前面に押し出すことができるというわけですね。今回も手首を新造することで自分のイメージにずいぶん近づけられたように思います。皆さんもお試しあれ!
脚部
獣脚っぽくするためにヒザの二重関節の上側を前方向に曲げ、下側をうしろ方向に曲げた形が基本姿勢になるよう加工していきます。
スネのパーツはヒザ下で一旦切断し、前方向に反るような形状を目指してプラ板のクサビを挟み込み固定。このままだと足首が常に上を向いてしまうので足首の上でもう一度切断し、同じ角度のクサビを反対方向から入れて足首の角度を元に戻します。スネアーマーも中間で一度切断し、同じようにクサビを挟んで反らせた形に再接着。表面をエポキシパテで均して曲面を整えます。
獣脚姿勢でのヒザブロックはヒザアーマーが下を向いた状態になるため、ここも基部でいったん切り離し、プラ板で角度を着けて再接着。このとき、プラ板を挟んでほかの装甲パーツと干渉しないように、ヒザアーマーが前に出るようにしています。
この一連の工作により、蹄のような足首のデザインも相まってミノタウロスっぽさが表現できたと思います。ヒザアーマーを外すとフトモモから足首までストンと落ちるようなストレートでスマートな設定画のデザインもいいのですが、抑揚のある作画調の脚部ラインも中々に魅力的です。ほかのポイントとしては、各部の肉抜き穴は装甲を着けたとき目立つところのみプラ板やエポキシパテで埋めています。
武器
ヘルムヴィーゲ・リンカーの代名詞ともいえるヴァルキュリアバスターソードは、単純なパーツ構成により、その大きさの割に軽くできていて様々なアクションポーズに対応できます。今回の作例では柄を握る手首を新造し、直接接着することでポーズをとらせたときの安定性を高めています。
このデザインや大きさからすると「切り裂く」のではなく「叩き割る」武器のようにも考えられるので、刃のエッジは鋭くするか迷うところでしたが、撮影時の見栄えを優先してプラ棒を貼り足してシャープに削り出しています。
工作はここまでとなります。最終回となる次回は、塗装について解説していきたいと思います!!
DATA
HG 1/144 ヘルムヴィーゲ・リンカー
- 発売中
- 価格:1,296円(税込)
- 発売元:バンダイホビー事業部
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