仮面ライダー&戦隊シリーズの特撮プロップを再現する!ガシャポン「ハイプロポーションコレクション」開発者インタビュー!
インタビュー当日、机の上に並べられた「ハイプロポーションコレクション」シリーズのアイテム。際立つ存在感!
「ハイプロポーションコレクション」は、躍進目覚ましい500円ガシャポンシリーズの人気ラインのひとつ。仮面ライダーとスーパー戦隊の劇中に登場した武器のプロップを、できる限り精緻に、美しく再現したディスプレイモデルです。
現在発売中の「ハイプロポーションコレクション 仮面ライダー02」より、『仮面ライダーエグゼイド』のガシャコンソード。劇中に近いバランスに、ネームプレート付きの台座までが付属します。
飾るためのプロップをガシャポンで再現する、異色とも呼べるハイクオリティシリーズ。仮面ライダーとスーパー戦隊で展開しているこのシリーズについて、開発キーマンの仮面ライダー担当T島さんとスーパー戦隊担当M月さん、おふたりにお話を伺いました。シリーズコンセプトから開発の苦労、そして今後の展開まで、ここだけの話をお見逃しなく!
劇中でヒーローが持っているものと全く同じ形の商品を
――この「ハイプロポーションコレクション」はどのように生まれたのでしょう。
T島:特撮のコアファンのためのアイテムをガシャポンで作らなければならない、というのが発想のスタートです。ガシャポンという商品の性質上、コアファンやマニアの皆さんには、例えば『仮面ライダーゴースト』で「涅槃の際の拙僧と吾輩」のような、笑ってもらえる頭のひねり方、工夫してアイテムを展開していました。ガシャポンは「アイデア勝負!」という商品展開をしていたのです。
▲『仮面ライダーゴースト』の人気キャラクター、御成をフィーチャーした「涅槃の際の拙僧と吾輩」。秀逸なアイデアでスマッシュヒットとなりました。
T島:ただ、クオリティでマニアを唸らせるような商品もやっぱり必要だと思い、このシリーズが誕生しました。タイトルの「ハイプロポーションコレクション」という名前も、それはすごい悩みまして……。
M月:1カ月くらい悩み続けていました。上司にはダメ出しをされて(笑)。
T島:「いったい何が売りなの?」という言葉を探して、M月が「ハイプロポーションコレクション」という言葉にたどりつきました。これならコンセプトを一言で分かってもらえるんじゃないか、要はプロポーションが劇中同様なんですよ、という仕様と形に落ち着いたんです。
――特撮アイテムといってもフィギュアやロボといったメカなど多くの選択肢があります。そこから武器や変身アイテムなど、プロップを選ばれたのはなぜですか。
T島:ガシャポンでは、仮面ライダーやスーパー戦隊のなりきりアイテム(200円)をずっとリリースしています。でもなりきりアイテムは、安全基準などさまざまな事情で、劇中のものに比べてかなりデフォルメがかけられています。このデフォルメに対して、マニアの方はずっと我慢されているのではないかな、と。「あ、今年はこれくらいの塩梅か」と、商品のデフォルメを織り込んだうえで購入いただいている。そこで「劇中でヒーローが持っているものと全く同じ形の商品をリリースする――これはチャレンジすべきではないか?」と思い立ち、この企画が生まれました。ならば500円のガシャポンで作れる、一番クオリティの高いものを! ということでプロップが選ばれたのです。
――ガシャポンのなりきりアイテムから流れが続いているのですね。
T島:原点はなりきりアイテムにありますが、リアルプロップになった場合、使い方はなりきりのように振り回したりはしないだろうと考えました。単純に造形物として飾れる、見て楽しめるかどうかが重視されるのではと。企画の初期から、コンセプトはディスプレイアイテムと決まっていたんです。精巧なミニチュアを飾るように、特撮の武器を飾る。しっかり劇中通りのプロポーションで作れば、見ごたえのあるものになるのではないかと思いました。
加えて、買ってくださるお客様に納得感を提供したいというのもあります。「あ、劇中でこうなっているんだな」と見ていただく、発見していただくという楽しみ方です。資料的価値……といったら大袈裟ですけど、そこまで感じてもらえるようにしたい。「裏側ってこうなっていたんだ」とか、「ここのディテールってこうだったんだ」とか、そういったところまで見ていただけるようなアイテムです。
仮面ライダーは作品を横断して
スーパー戦隊はひとつの作品に寄り添って
――リリースアイテムはユーザーにとっても気になるところなのですが、ラインナップの選定はどうのように行われているのでしょうか。
T島:そこは仮面ライダーとスーパー戦隊で若干分けています。仮面ライダーに関しては放映中の作品をなるべく入れつつ、『仮面ライダークウガ』以降の平成ライダーを中心にラインナップしています。当然、マニアックな要求に応えたい! と思っていますので、例えば第3弾には『エターナル』といった、コアな層が唸るような……「これって商品化されてなかったよね」という、そういうフックになるアイテムも入れていっています。
M月:スーパー戦隊のほうは、ちょっと異なります。先ほどお話ししたスタート、「ハイターゲットのアイテムを作りたいよね」というのは同じです。でも、スーパー戦隊はハイターゲットを考えたとき、今でこそバンダイからも昔のスーパー戦隊のアイテムが出ていますが、企画立案時はほとんどなかったんです。そこで、私が世代ど真ん中だった『恐竜戦隊ジュウレンジャー』にチャレンジしてみたいという想いがありまして。第1弾に据えたい!と考えたのがスタートです。当時は本当に『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の商品がなく、単純にガシャポンで出したい、というところもあって変身アイテムが入っています。まずはここからだろうと。そこからハイターゲット仕様で考えたとき、やっぱりベルトよりは武器が嬉しいのかなと思いました。
もちろん第1弾なので、人気のスーパー戦隊を選定したのも大きな理由です。その後いろいろな事情があって、バンダイとしては2番手のジュウレンジャー商品としてリリースされました。その「守護獣メダルセット」はプレミアムバンダイで発売して、反響もすごくよくて。ここでいいスタートが切れたので、方向性もそのまま決まったという感じです。
T島:仮面ライダーはいろいろな作品を横断してラインナップを決めているのですが、スーパー戦隊はひとつの作品に寄り添ってアイテムを重ねてリリースしていきます。スーパー戦隊は「この作品、この年は見ていた!」という方が多いんですね。逆に仮面ライダーは、シリーズすべてを見ている、シリーズ全体のファンが多くいらっしゃるんです。なので、それぞれのファンの方たちに向けて、シリーズも展開のかたちを変えています。仮面ライダーは放映中の作品も取り扱っているので、若い方も入ってらっしゃいます。一方、スーパー戦隊は、視聴層を狙っているので必然的に年齢層は高くなっていますね。
M月:『恐竜戦隊ジュウレンジャー』では、20代後半から30代にかけてのお客様たちが多く買ってくださったので、次は『五星戦隊ダイレンジャー』かなと思い、白虎真剣の発売となりました。現在シンケンマルが予約受付中の『侍戦隊シンケンジャー』は急に最近の作品になりましたが、根強いファンが大変多い作品ですので、チャレンジも込めたセレクトです。(⇒「侍戦隊シンケンジャー シンケンマル High Proportion Collection Ex series」商品ページ)
第3弾以降は間隔を狭めて
展開していきます!
――クオリティと比例するように、アイテムリリースの間隔が長いシリーズという印象があります。やはりアイテムの選定や、資料選びなどは大変なのでしょうか。
T島:仮面ライダーとスーパー戦隊はアイテム選定だけでなく、展開の方法も分かれています。仮面ライダーは軸足をガシャポンにおいていますが、スーパー戦隊は軸足をプレミアムバンダイにおいて展開を始めています。スーパー戦隊のほうはお話ししたように、ひとつの作品に対してアイテムを充実させていくことになるので、その作品選定、吟味にはちょっと時間をかけています。なかなかこれが難しくて……。
M月:我々としても探り探り作っているというのも正直なところです。本当はもっと昔の、先ほどお話にも出た『ライブマン』とかもぜひやってみたいのですが、ポテンシャルが未知数でして……。
――『ライブマン』! 『ジュウレンジャー』などもそうですが、古い作品になると、資料集めとそこからの立体作成はかなり大変なように感じます……。
T島:いやもう……それこそ映像のコマ送りをしたり、昔の雑誌を集めて「この写真ならぎりぎり写っているかな……?」というようなショットをひっくり返して作っています。やはりコア層向けのアイテムとしてスタートしたので、出来に妥協はできません。そこも含めて、大きな声では言えないのですが、原型を作ったけれどやり直し――なんてことも発生しているんです。飾ってみたときに「うーん、こっちじゃないな」とか。でも、そういう試行錯誤は惜しみません。
M月:「やっぱりこれはやめたほうがよかったね」とか。ハイプロポーションでクオリティは高く作っていますが、買ってくださるコアファン、マニアな方を含めて、目が肥えている方もいらっしゃいます。そういった皆さまの反応も見ながら、できるところは改善しています。ですので、急いで出すよりはしっかりとしたものを作って、シリーズの継続を目指していきたいと考えています。
T島:とはいえシリーズ展開する以上、次弾のリリースが全然聞こえてこないとなってしまうと、これはよろしくない。それは重々我々も考えているので、お客様の関心が途切れないようなスパンで続けていかなければならないと思っています。
――シリーズとしてはこれからどうなるかという過渡期でもあるんですね。
T島:仮面ライダーに関しては、第1弾の発売時に放送していた『仮面ライダーゴースト』をラインナップした第1弾が好評をいただけたので、第2弾を展開するにあたって『仮面ライダーエグゼイド』の放映開始を待っていました。そのため、結果として第1弾と第2弾のインターバルがとても長くなってしまったので、第3弾以降は間隔を狭めて展開していきます。
「どの形態で飾るのがメインなのか?」を
まず決めています
――アイテムそのものについてお聞かせください。形状重視ではありながら、ギミックもしっかり搭載されている印象です。
T島:ギミックの検討についても明確なコンセプトがありまして、「どの形態で飾るのがメインなのか?」というのをまず決めています。例えば『仮面ライダーゴースト』のガンガンセイバーであれば、大剣のかたちで飾るのがメインです。これをメインにして変形ギミックは搭載するけれど、ガンモードに変形させたときは劇中よりすごく長い銃になっちゃったりする。でも、そこは割り切って、飾って一番美しいスタイルを最優先にしていますね。ここからさらに踏み込んで、そのほかのギミックをつけるという位置づけです。
T島:同様に『仮面ライダーカブト』のクナイガンでは、多用されていたクナイモードのバランスを一番劇中に近づけました。これにあわせてカバーパーツの形状を追いかけるプロセスです。3モードで一番優先順位が高いのはクナイモード、次がアックスモード、最後はガンモード。ひとつの商品の中でも形態の優先順位をつけて、コンセプトがブレないようにしています。
▲こちらはクナイガン。ガンモードで飾るのは、いってみれば鞘に納めた刀を飾るような状態になっています。
M月:現在予約受付中の『シンケンジャー』のシンケンマルは変形がないので、形状はもちろん劇中完全再現を目指しています。これにディスク6枚の付け替えができて、さらに回転ギミックまで生きています。
▲「侍戦隊シンケンジャー シンケンマル High Proportion Collection Ex series」。完成度だけでなく、遊び心を満たしてくれるのは嬉しいところ。
T島:マテリアルの再現にもこだわっています。『仮面ライダーキバ』のザンバットソードの頭身は、シールをクリアパーツで挟んで、刀身の神秘的な表情を再現しています。側面は軟質パーツで、エッジと安全性を同時に確保……と、もうこれだけでいろいろな素材を使っています。設定資料をみて、「ここはこの素材だな」というのを考えて、さらに商品の基準を満たすために試行錯誤していきます。形状もギミックも、最初に考えるのはまず「プロップを魅力的に作ろう」というところですね。
――白虎真剣の箱など、プレミアムバンダイのアイテムは本体以外のプロダクトも非常に存在感があります。
M月:当時のままということで……お客様にも好評いただけて嬉しかったですね。とにかく、懐かしい気持ちになってもらいたかったので。そこは『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のシリーズもそうですね、箱までしっかり再現しています。
▲白虎真剣。箱のデザインは玩具のプロダクトでも際立って大事な部分ですが、ここを込みで楽しめるのはプレミアムバンダイならではですね。
ガシャポンはチャレンジも受け止めてくれるので、
そういう意味でもやる意味がある
――今後の展開が気になるところですが、参戦ラインが増えることはありますか。
T島:いまは仮面ライダーとスーパー戦隊、この2シリーズの確立が先だと思っています。「これが出たんだったら、これも作ってほしい!」というような声がいただけるくらいまでシリーズを育てたうえであれば、いずれは横の展開もあるかもしれません。
今後は、ガシャポンとプレミアムバンダイの両輪で楽しんでいただけるようにアイテムをリリースしていきます。例えば、予約受付中の「W」セットのお届けにあわせて、「エターナル」のエターナルエッジが収録された第3弾が発売されます。W、エターナルと世界観を同じくする作品で合わせて飾る――そういう楽しみ方もしていただければと思います。当然、連動ばかりに目がいってラインナップの魅力がなくなるのは良くないので、うまい具合に組み立てます。
第3弾のラインナップは、「仮面ライダー電王」のデンガッシャーソードモード、「仮面ライダーOOO」のメダジャリバー3種、そして「仮面ライダーエターナル」のエターナルエッジになっています。番組ファンの非常に多い「電王」「OOO」に加えて、マニアックですが人気もあり、でも商品化の機会が少ないエターナル、というのはハイプロのコンセプトにしっかり合致しています。メダジャリバーにはメダル投入ギミックも搭載される予定です。
▲「HIGH PROPORTION COLLECTION EX 仮面ライダー01」(予約受付終了)。Wセット、Wのプリズムビッカーと、アクセルのエンジンブレードがセットになっています。
――スーパー戦隊の展開はどのようになっていくのでしょう。
M月:こちらはあくまでも予定ですが、2017年後半にガシャポンでのリリースを目標に企画を練っています。先にもお話が出ましたが、どの戦隊で商品化するのかとても悩んでおりまして……。個人的にはやはり『ライブマン』のような、よりレジェンドなスーパー戦隊に1回チャレンジしたい想いがあります。そういったレジェンドがガシャポンから復活してほしいという声もたくさんいただいているので、実現に向けて取り組んでいます。
ガシャポンというのはチャレンジも受け止めてくれる舞台なので、そういう意味でもバンダイの先陣を切ってやる意味があるのかなと。お客様からも、ここを皮切りに好きな戦隊のアイテムが展開して……という期待を持っていただけていると思います。
T島:プレミアムバンダイならもろもろ度外視で作れますが、店頭アイテムは常に考えています。やはり500円のガシャポンで今後も作っていきたいですね。
「ハイプロポーションコレクション」は、
500円アイテムの黎明期から進んでいたシリーズ。
――500円のガシャポンシリーズは、確かに最近存在感があります。
T島: 500円でガシャポンを買うってすごくハードルが高いと思います。でも、ようやくお客様に「500円のガシャポン」が浸透されてきたのかなと感じています。
M月:「アルティメットルミナス ウルトラマン」や「機動戦士ガンダム モビルスーツ アンサンブル」シリーズも非常に好調ですし、実際に回してくださったお客様が「これならいいぞ」と満足いただけているようです。
T島:500円のガシャポンシリーズは、買ってくださるお客様も、「玩具」として見ていただけています。「500円でこれなら安い」「これなら頑張っている」というご意見もいただいていて、従来のガシャポンよりワングレード高い商品として認識していただけています。とはいえ500円というのは我々製作陣にとってもプレッシャーで、見合うものを作らなければならないというのはひしひしと感じています。
――目の肥えたユーザーさんから「良いものは良い」と感想をいただけるのは嬉しいですね。
T島:もちろんさらに予想を上回るものを作らなければと常に思い、試行錯誤をしています。もともとガシャポンは数十円から始まり、100円、200円になって……何十年もかけて広げていった歴史があります。そして、ここ数年で500円のものを広げていけたかなという気はします。「ハイプロポーションコレクション」は、その500円アイテムが登場する黎明期から企画が進んでいたシリーズだったので、初期には混乱もありました。そういうのを経て、ようやく継続してリリースされる環境が完成しつつあるのです。
――最後に読者とユーザーの皆様にメッセージいただけますか。
T島: 500円のなかで納得感を出していくのがカギになると思っています。ガシャポン、プレミアムバンダイ、どちらも買ってくださったお客様が納得していただけるのがシリーズの最低要件なので、これを上回る価値を提供していきたいです。越えなければならないハードルは大きいですが、期待していてください!
M月:バンダイの中でもガシャポンのアイテムはチャレンジを続けていきますので、暖かい目で見守っていただければ幸いです。ぜひシリーズの今後にご注目ください! これからも頑張ります(笑)。
――本日はありがとうございました!
お話を伺いながら「ハイプロポーションコレクション」、その完成度へのこだわりがひしひしと伝わってきました。編集のオススメは本文でも言及のあった仮面ライダー02収録のザンバットソード。刀身をぜひ肉眼でみてほしいところです。
2017年はシリーズも精力的な展開が予定されているとのことなので、今後の情報にもぜひご期待ください!
DATA
High Proportion Collection 仮面ライダー02
- 彩色済みフィギュア1体セット
- 発売中
- 1カプセル500円
High Proportion Collection Ex 仮面ライダー01
- セット内容:プリズムビッカー、エンジンブレード
- プレミアムバンダイにて申し込み受付中/5月発送予定
- 3,996円(税込/送料・手数料別途)
侍戦隊シンケンジャー シンケンマル
High Proportion Collection Ex series
- セット内容:シンケンマル…1本、ディスク…6個、専用台座…1個
- プレミアムバンダイにて申し込み受付中/6月発送予定
- 3,240円(税込/送料・手数料別途)
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