素組みでガンプラ!合わせ目の処理方法 後編
超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。
前回、合わせ目の“V字形状”でのスジ彫り化と、「タガネ」を使った“溝状”のスジ彫り化の方法を紹介しました。後編となる今回はさらに一歩踏み込んだ工作法について説明したいと思います。
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前編で紹介した0.4ミリ「タガネ」を使った“溝状”のスジ彫り化は、パーツの片側にのみ段差を彫り込んでいるため、厳密にいえばスジ彫りの位置は、中心より0.4ミリほど片側に寄っています。これを中心にスジ彫りを入れるには、写真のように、両方のパーツに0.2ミリずつ段差を彫込むという方法があります。
片側パーツに彫り込むのは0.2ミリなので、非常に細い段差を彫り込むパーツを合わせたときに0.2+0.2ミリで、合計0.4ミリにする方法です。このようにすることでスジ彫りはブロックの中心部に入れることができますが、副産物としてスジ彫りの底面部に合わせ目が出てしまいます。しかし0.4ミリの溝の底面の合わせ目はほとんど目視できませんし、スミ入れなどを施せばさらに目立たなくなります。この工作法は状況に応じて使い分けると良いでしょう。
合わせ目をスジ彫り処理するのは便利な工作法ですが、全ての合わせ目を単純にスジ彫り化しただけではワンパターンで、むしろ「ここに合わせ目が存在した」と逆に目立たせてしまう結果にもなりかねません。それを避けるためにも合わせ目処理に変化を付けることも大切です。そこで、先ほど段差を作った頭部側面の合わせ目に、1ミリの「タガネ」を使って幾何学的なモールドを彫り込んでみます。これにより、スジ彫りが単調だと感じさせる要因を減らすことができます。
加えて、この胸部・頭部ブロックのパーツの合わせ目は、頭部との境目付近でクランク状に曲がっているため、このラインを全てスジ彫り処理をしてしまうと、不自然なラインができてしまいます。そこでひと工夫加えてみることにします。
このクランク部分を利用して、ハシゴ状のスジ彫りモールドを彫り込んでみましょう。まずは肩部分のアールに合わせて1.5ミリプラ板を切り出し、ガイドを作ります。プラ板の上にパーツをのせて、鉛筆やマジックで肩のカーブを書きうつし、切り取ればガイドは完成です。
作ったガイドを肩パーツに当てて、「タガネ」でスジ彫りを彫り込みます。1.5ミリの厚いプラ板を使用しているので、パーツの合わせ目から1.5ミリの高さに、並行のスジ彫りを引くことができます。使用するガイドの厚みを変化させることで、パーツの縁から任意の高さで、並行なスジ彫りを引けます。
先ほど引いたスジ彫りに対し直角に、デザインナイフなどで細かなスジ彫りを入れてハシゴ状の線を彫っていきます。等間隔になるよう、慎重に彫っていきましょう。
完成写真はコチラ
ハンブラビは構造上、合わせ目が表面に露出してしまう部分も出てきてしまいますが、むしろこの合わせ目を逆手に取って、ディテールを追加しても面白いでしょう。幾何学的なモールドやハシゴ状のスジ彫りは場所を限定した、あくまでも“例”として入れたモールドですが、スネの合わせ目などの目立つ部分には、むしろ派手なディテールを彫ることで、合わせ目処理とオリジナリティを同時に加えることも可能です。キットに存在する合わせ目と、全体のデザインを考慮して、合わせ目を様々な“モールド”に変化させてみてください。
次回はモビルスーツを離れて、人型以外のガンプラを作ってみたいと思います。ご期待ください。
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