素組みでガンプラ!EXモデルの製作(基礎編)【前編】
超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。
ここでは「EXモデル 1/1700・ムサイ級軽巡洋艦」を使用して、EXモデルの基本的な楽しみ方を紹介します。EXモデルの製作経験がない人でも簡単に楽しめるよう、 “基本塗装は行わず、成形色を活かした製作”を行いますので、未経験の方もぜひご参考ください。
EXモデルは、通常のHGやMGシリーズでは商品化できないマイナーなアイテム(“人型”ではない戦車・戦闘機・艦船等)を立体化しているシリーズです。ガレージキットより安価で、さらに金型を使用した〈インジェクションキット〉。プラモデルとしての組みやすさが魅力のシリーズです。
EXモデル ムサイのランナーは2枚でパーツ数はそれほど多くありません。ダークグレーのランナーの他に、透明パーツの小さなランナーと、選択式のエッチングパーツが入っています。
特徴的なのはそのディテールです。通常のガンプラと比べると、細かく繊細なモールドがパーツ全体に施されています。特にムサイは細いスジ彫りと凹モールドが特徴で、組み立てるだけで重量感のある宇宙巡洋艦に仕上げることができます。
キットにはステンレス製のエッチングパーツが付属していて、艦橋横と船体中央のアンテナ部分をこのエッチングパーツに交換することで、さらにシャープなディテールを施せます。
せっかく細かなディテールが施されたEXモデルなので、付属のエッチングパーツを使用してみましょう。
エッチングパーツはステンレス製のため、このままでは模型用塗料の食いつきが悪く、完成後に塗装がはがれやすくなってしまいます。そのため塗装前に金属用下地塗料〈Mr.メタルプライマー改〉を塗布しましょう。ランナー状態のまま、15センチほどの距離からスプレーすればOKです。乾燥後裏面にも吹き付けるのを忘れないようにしましょう。
〈Mr.メタルプライマー改〉はスプレー式以外にも、ビン入りタイプも発売されています。ビン入りの〈Mr.メタルプライマー改〉は筆で塗ります。サラサラした液体なので筆ムラもほとんどでません。〈Mr.メタルプライマー改〉を塗布し、乾燥後に塗装を行えば、塗料の食いつきが良くなり、塗料の剥がれにくくなります。
どちらのタイプの〈Mr.メタルプライマー改〉も効果は同じなので、好みで選択してください。
エッチングパーツをランナーから切り離すには、硬い台の上に置き、デザインナイフなどで押し切ります。表面に弾力性のあるカッティングマットなどの上では、エッチングが曲がってしまうので、必ず硬い台の上でカットしましょう。
各模型メーカーから〈エッチング用はさみ〉が発売されています。こちらを使い切り離しても良いでしょう。一般のはさみを使用すると、エッチングの材質(ステンレス・真ちゅうなど)に刃が負けてしまい、刃こぼれを起こすので、専用のはさみを使用してください。
エッチングパーツを切り離した際、ゲート跡が残ってしまう場合があります。その場合はヤスリで削り取れば問題ありません。目の細かい金属ヤスリや、当て木をした紙ヤスリでゲート跡を削りましょう。
エッチングパーツは瞬間接着剤で接着します。中粘度で強力に接着できるものを使いましょう。エポキシ系接着剤でもいいのですが、使いやすさとプラパーツとの接着を考えると瞬間接着剤がオススメです。
写真のようなトラス構造の“ヌケ”を表現する場合、プラスチックでは材質的に破損しやすいので金属製のエッチングパーツが有効であるとわかると思います。
エッチングパーツの取り付けが終わったら、最大の特徴であるディテールを強調していきましょう。幸いにもムサイは全体がダークグリーン1色なので、基本塗装をしなくても問題ありません。
まずはスジ彫りや凹ディテールを強調するためにスミ入れをします。今回は〈Mr.ウエザリングカラー・グランドブラウン〉を使ってスジ彫りに塗料を流していきます。幾何学模様のようなスジ彫りが彫刻されているので、スミが流れていく様子は爽快で、とても楽しみながら作業を進めることができます。
はみ出し部分の拭き取り作業は、通常のように専用溶剤で拭き取っても良いのですが、基本塗装をしていないので、“削り取る”という方法も有効です。その際に便利なのが「コンパウンド」です。細目・極細などのコンパウンドを綿棒に付け、はみ出し部分を擦っていくと、はみ出した部分がみるみる消えていきます。
また、ラプロスなどの研磨用クロスを使用しても良いでしょう。写真は〈Mr.ラプロス・2400/4000番〉です。溶剤で拭き取るとスジ彫りやディテール内のスミも取れてしまうことがありますが、コンパウンドやラプロスを使用するとそのようなことにはなりません。
良くいわれていますが、エナメル塗料や油彩塗料を使ったスミ入れは、パーツを割ってしまう可能性があります。この現象はパーツのハメ込みでテンションがかかっている部分で発生します。そのため、写真のようにある程度バラバラの状態でスミ入れをすれば、パーツの割れを防げます。
スミ入れが完了した状態です。キット表面に施された彫刻がスミ入れをしたことで強調されているのがわかります。このままで完成としても良いのですが、次回はさらに重量感を加える塗装を行っていきたいと思います。
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(C)創通・サンライズ
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