女子高生×スパイがテーマの『プリンセス・プリンシパル』、そのスチームパンクな世界観を支えるメカニカルデザインの裏側とは?

更新日:2017年8月31日 15:08

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現在、好評放送中のテレビアニメ『プリンセス・プリンシパル』。東西に分断された19世紀末のロンドンを舞台に、主人公・アンジェを始めとした女子高校生スパイたちが織り成すハードな物語と、それを圧倒的なクオリティで描き出す映像美が人気となっている作品です。スタッフにも豪華なメンバーが揃い、毎週アニメファンを唸らせています。

 

 

女子高校生×スパイが大枠となっている本作ですが、その世界観にはもうひとつ、“スチームパンク”という大きなテーマが存在しています。アンジェたちの使用する車や銃、ケイバーライトを使用した空中戦艦など、劇中に登場する乗り物やアイテムを生み出したのは、メカニカルデザインとしてクレジットされている片貝文洋さん。『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ 』や『コードギアス 亡国のアキト』、『スペース☆ダンディ』『ID-0』など、数々の人気作品でメカデザインなどを手がけてきたことで知られています。このたび、そんな片貝さんに本作におけるメカニカルデザインについてお話を伺うことができました! 本稿では、その一部始終をお届けします。

 

 

――本日はよろしくお願いします。まずは、片貝さんがご担当されているメカニカルデザインというポジションについてご紹介いただけますでしょうか。

 

片貝文洋さん(以下、片貝):本作に限って申し上げますと、主人公たちのチームが使う大道具や小道具の中で、登場頻度の高いものをデザインするという仕事です。具体的には自動車ですとか銃、あるいはCボールというほぼ毎回出てくるようなものを準備しました。広い意味でのメカニカルデザインというのは、実はメカだけをデザインする訳ではなくて、実質的にはアニメの場面に出てくるものはなんでも発注される立場ですね。

 

 

――なんでもですか?

 

片貝さん:なんでもというのは、先ほど申し上げたような大道具・小道具はもちろん、背景のコンセプトデザインやゲストキャラの衣装、モブのキャラクターなど、メインのキャラクター以外をほぼ網羅し得る仕事です。もうひとつ加えて、アニメの新企画を作る時のブレーンとして会議に参加するという業務もあります。新番組や新企画の立ち上げに関わることはよくあります。

 

 

――映像化にあたって、世界観をどう落とし込むかというところを担当されたのですね。片貝さんが本作に参加したのはいつ頃からになりますか?

 

片貝さん:最初にお話をいただいたのが2016年の3月で、実際に作業を始めたのが6月くらい。だいぶ遅い方ですね。

 

――3月から6月にかけてはどんなことをされていましたか?

 

片貝さん:2016年は、(バンダイビジュアルプロデューサーの)湯川さんが手がけておられた『ID-0』という作品にかかりっきりになっていまして。そちらの作業がある程度終わるまで待っていただきました。その時のスケッチを湯川さんがご覧になって、手伝いに来て欲しいと声をかけてくださったんです。

 

――6月からの発注内容や、作業について教えていただけますか?

 

片貝さん:(コンセプトアートの)六七質さんや、(設定協力の)速水螺旋人さんのスケッチが既にありましたので、それらを踏まえた上で主人公たちが使う道具を整備して欲しいという話でした。車については橘監督から、1910年代の“ベテランカー”と言われている車を下敷きにしてガッチリ固めて欲しいという要望がありました。

 

 

――Twitterでもおっしゃっていましたね。

 

 

片貝さん:ナレーションで本作は19世紀末と言ってますが、車のデザインに関しては20世紀に両足突っ込んでいますね。自動車はこの年代の印象でまとめたいという監督の強い意向がありましたので、それに則ってデザインをおこしています。

 

――そのような監督の意向にはどんな理由があるのでしょうか?

 

片貝さん:ひとつは監督のご趣味です。もうひとつは、この年代の車をしっかり動かしたアニメって今までにそう例がないので、今回で挑戦するという意味だったと思います。

 

――そうなのですね。なんだか意外に思えます。

 

片貝さん:あまりないと思います。車のデザインで19世紀末というと、『名探偵ホームズ』の世界なんです。ホームズが乗っているベンツみたいな、屋根がなくてハンドルは棒だけという。もう少し機械然とした方に寄せていきたくて、それがスチームパンクというキーワードにも適うという判断はあったかも知れません。

 

 

片貝さん:これがアンジェたちの乗る車です。こちらは特に下敷きにしたモデルがある訳ではなくて、完全オリジナルでデザインしました。他に登場する車は、1910年代頃に実在したデザインを化かして作ってあります。その場合でも、あえて1車種に2つのモデルを混ぜています。

 

――本作に登場させるにあたり、何か共通で盛り込まれているようなものがあるのでしょうか?

 

片貝さん:本作に限らず、スチームパンクの特徴のひとつにタービンの存在があります。監督には私から“スチームタービンパンク”という言葉を強く推しまして、乗り物にターボチャージャーをつけているんです。蒸気機関でターボがついているというのは、すごく馬鹿っぽくてよかろうと(笑)。その結果何が変わるかというと、音なんですよ。

 

 

――音ですか。

 

片貝さん:蒸気自動車というのはSLが道路を走っているようなものですから、シュッシュッポッポという音がするんです。実際に走っているところの資料を色々と見たのですが、湯気が車体の周りに出るくらいで、意外と静かで迫力がありませんでした。それで、もう少し賑やかしたいなと。

 

――アニメとしての演出面からアプローチしたということですね。

 

片貝さん:タービン付きの機械なら、ちょっと見え方も変わるだろうと。加速する時にタービンが回ってボイラーに空気を送り込んでいるので、その際に金属の羽根車がキーンと鳴る。

 

――第1話のカーチェイスシーンは非常にスピード感があって、グッと視聴者を引き込んだ場面だったと思います。てっきり、あれほどのスピードが蒸気自動車では出せないのでタービンをつけたのかと思っていました。

 

片貝さん:実際には(スピードは)出るんですよ。蒸気自動車も年代に幅があるのですが、1920年代くらいに作られたものならガソリン車と遜色ないくらいのスピードが出せます。ただ、仮にガソリン車だとしてもあの時代の技術では足周りが保たないでしょうね。

 

――動力ではなく、足周りの強度の問題ということでしょうか?

 

片貝さん:全体の強度ですね。4話でアンジェたちが、この車でロンドンの街中をめちゃくちゃに走り回るシーンがあるのですが、実際にやったら車体が粉々に砕けるだろうなってところも、アニメ的に盛って作っています。緻密に考えているところと、わざとガバガバに見えるように盛ってあるところは強いメリハリをつけています。

 

 

――そのメリハリのバランスをコントロールしているのは橘監督ですか?

 

片貝さん:そうですね。例えば、当初は加速するたびにボンネットに4つ並んでいる弁が1個ずつ押し込まれるというギミックを考えていたんですけども、ずっとガシャガシャ動いていた方が良かろうというご意向で1話冒頭のシーンの動きになりました。その辺の監督の判断というのは、すごく繊細だと思います。

 

――そのほかに、車をデザインする上で生まれたアイデアなどはありますか?

 

片貝さん:ほぼ最初に提出したスケッチでは、スパイ活動をする時だけアルミのカバーを車体に被せて、全く違う見た目になるという化かし方も考えていました。こちらは監督の構想からするとデザインが新しすぎるということで、早期になくなったんです。

 

――デザインに関してはかなり試行錯誤を重ねていらっしゃると感じます。乗り物のデザインで完成までに一番時間がかかったのは、この車でしょうか?

 

片貝さん:やりとりが多かったのはこの車ですが、実作業で一番時間がかかったのは空中戦艦でしたね。こちらもシルエットが固まるまでかなり色んなモデルを試しています。

 

 

19世紀末のイギリスらしい堂々とした感じを出した

 

――本作に登場する空中戦艦には何かモデルがありますか?

 

片貝さん:シルエット面でモデルにしたものはありません。3話のシナリオが既に完成していたので、その都合で必要な設備と、ケイバーライトっていうものをあの頃のイギリス海軍の軍備で扱うとしたら……という、あまり絵面ではない部分から導き出したものでして。既存の軍艦とか飛行船とか、そういったものは極力参照しないように意識して描きました。

 

 

片貝さん:空中戦艦というのはスチームパンクにおいてよくあるモチーフですけども、その分先行するデザインも多くて。「そのままの軍艦に羽根をつけて飛ばして一丁上がり!」では先行者の後を追っているだけで非常に面白くない。作中ではアルビオン軍だけが空中戦艦を持っているという設定になっていますから、飛行船を圧倒できて、戦力爆撃ができるとするとどういう形になるかということを考えてああいうシルエットになりました。

 

――そうして完成したのが、第3話の舞台となるグロスターなのですね。

 

片貝さん:敵の飛行船に大穴をあける衝角に、主砲は8インチ(直径20.3センチ)砲が8門固定されています。どうして横に向けられないかというと、横に向けて撃つと反動で進路が変わってしまうからです。それから爆弾を落とす扉があって、脚本段階でアンジェたちは艦尾から入って艦首側に移動していくという流れが決まっていましたので、アンジェたちが活動できるステージも作ると。

 

 

――主砲のインチなどは史実に基づいてる訳ですね。

 

片貝さん:そうですね。空中戦艦って、もうちょっと砕いて言うと船の頑丈さでありながら飛行機の速度で飛ぶ機械な訳ですよ。となると、多分材質はこんな感じで、各部の頑丈さはコレくらいで……ということも考えて、ああいう結果になっています。

 

――空中戦艦のデザインに一番時間がかかったとのことですが、思い入れの深い箇所などはありますか?

 

片貝さん:ケイバーライト機関と、艦艇にぶら下がっている小型艇ですね。ここに4隻つけてあります。ケイバーライトの役割は、あくまで重力を遮断するところまでですので、実際の推進力はプロペラという受け持ちにしています。

 

 

――なるほど、グロスターに汲み込まれていた水は、プロペラを動かす蒸気機関のためのものだったんですね。生活用水にしては量が多いなと思っていました。

 

片貝さん:水タンクにアンジェとベアトリスが落っこちると脚本にありましたので、どういう風にすれば一番自然に見えるか、というところは考えました。本当は蒸気機関用の給水でも、チューブが女の子2人通れるほど太い必要はないんですけど、作劇上そんなにおかしく見えることもないだろうと。

 

 

――脚本に、より説得力が生まれるようデザインしているということですね。逆に、そういったメカニカルデザインの構造上などから片貝さんがストーリーに関して進言したようなことはありますか?

 

片貝さん:今作に限ってはないですね。私が参加した時点でシリーズの構成はほぼ完全に固まっていました。そういうネタ出しは(リサーチャーの)白土さんや速水さんがガッツリやられた後でした。先ほどご紹介したタービンつきの蒸気機関ですとか、あるいは銃器の選定などビジュアル面で多少貢献できたかなとは思っています。

 

――ここまではデザインの機能性についてお話を聞かせていただきましたが、19世紀末のロンドンらしさを表現するために盛り込んだビジュアル的な要素はあるのでしょうか?

 

片貝さん:19世紀末というのは、イギリスに一番力があった時期ですよね。なので、堂々とした感じは出そうかなと思いました。

 

――と、言いますと?

 

片貝さん:例えば実在の軍艦でも、お金のある海軍とお金のない海軍の主力艦では大きさや性能に差がありますし、そういうのは艦の見た目、艦容にすぐ出てしまうんです。ですので、「アルビオン王国は世界の覇者である」ということを表現するために、とにかくリソースに限りなく色んなものをつぎ込んで、最強のものを作りました。貧乏臭く見えないようにしたということですね。

 

――情報量の多さが“堂々とした”感じに見えるということですね。

 

片貝さん:最終的にはそこにつながりますね。線が多いですし、部品の構成も結構面倒臭いことになっています。現場にはご負担をおかけしているので、そこは反省点ですね……。

 

――そのほかの乗り物といえば、第5話には機関車が登場しました。

 

片貝さん:こちらも蒸気タービン機関車です。クランクで車輪を回さずに、タービンで直接回している形です。これは1920年くらいから30年代にかけて、アメリカ・ヨーロッパに実在した機関車を元に化かしています。19世紀末という設定からはかなりはみ出していますが、そこは「パンク」を優先しました。

 

 

 

テレビアニメ初登場の自動回転拳銃を提案した

 

――一方、アンジェたちの使う銃で言うと、“ロンドン感”はどのように表現されていますか?

 

片貝さん:銃器の選定はやっぱり、当時のイギリスにあったもの、あるいはイギリスで手に入るものというのはかなり考えました。その上で、アンジェが使う銃はおそらくテレビアニメでは初登場と思われるウェブリー=フォスベリーの自動回転拳銃を提案いたしました。

 

 

――実在する銃なのに、アニメに登場するのは珍しいものなんですね。

 

片貝さん:もともと速水さんのスケッチで、ブローバックリボルバーの図があったんです。そのまま使うことも考えましたが、実在した銃にそういう機構のものがあるから、そちらを出してみようということになりました。

 

――そのウェブリー=フォスベリーの自動回転拳銃にはどういった特徴があるのですか?

 

片貝さん:回転式拳銃は、撃つ前に撃鉄を起こす必要があります。もしくはダブルアクションという、引き金を引くと撃鉄が起こるタイプもあるのですが、引き金がめちゃくちゃ重いんです。フォスベリーの回転式拳銃は撃鉄を起こす動作を自動化するという考え方で、銃の上半分を後ろにスライドさせることで撃鉄を上げる。その際にシリンダーを弾1発分回転させるために、弾倉には溝がついています。これに銃の下半分についている爪が噛み合うと、スライドさせた時にシリンダーが回る訳ですね。これはその後100年近く似たものが出てこなかったすごく珍しい仕組みで、シリンダーに刻まれたギザギザの溝が大きなキャラクターラインになっている銃です。

 

――お話を聞いていると、これほど強い特徴のある銃が今まで日の目を見なかったというのがますます不思議に思えます。

 

片貝さん:この年代で同じ中折式の銃としては、一般的なモデルのものがあったんですよ。例えば『ラピュタ』でムスカ大佐が使っている拳銃のモデルですね。あちらの方が頑丈でしっかりしているんです。ウェブリー=フォスベリーの銃は私の頭の中にある“アニメに出したい銃リスト”で長い間筆頭でしたので、今回作品に出演させられて嬉しいです。

 

――ついに出番が来たという訳ですね。銃に関しては、オリジナルデザインのものはありますか?

 

片貝さん:オリジナルのものは2種類ありまして、ひとつはドロシーの散弾銃。これは黒星さんのキャラスケッチの段階で、ドロシーの衣装に散弾銃のホルスターがあったので、それに合わせて作ってくれと言われたものでした。機関部の構成案を何種類かお渡しして、最終的にはこの回転式に落ち着きました。

 

 

――当時、こういうタイプの散弾銃はなかったということなんですね。

 

片貝さん:そうですね、散弾銃ではなかったと思います。最初は1発撃つたびにレバーを前に倒すという、レバーアクションのものをと思っていました。『ターミネーター2』でアーノルド・シュワルツェネッガーがバイクに乗りながら使った銃と同じモデルです。ただ、これをドロシーの衣装と組み合わせると床屋さんのハサミに見えてしまって(笑)。

 

――そこをクリアするために、リボルバーになったという訳ですね。もうひとつのオリジナルだという銃はどんなものですか?

 

片貝さん:時々出てくる携帯式ガトリングガンです。速水さんによるスケッチだと、この大きさで手回しをするタイプでした。もう少し無茶してみようと思い、機関部をゼンマイにしてあります。ゼンマイネジをギリギリギリと回して、引き金を引くとゼンマイがほどけて銃身が回転すると。ちょっと冷静に考えてみると、ゼンマイの力でこんな大きな機関部が回るとは考えづらいのですが、そこがスチームパンクということで。

 

 

――あのガトリングガン、動力はゼンマイだったのですね。

 

片貝さん:スチームパンクという言葉はなんでもかんでも蒸気でやるという意味ではなくて、18世紀から19世紀末の、機械文明の印象を無茶に膨らませた世界という意味で捉えています。「スチーム」と「パンク」という言葉のうち、この作品では「パンク」の方を強めに考えています。

 

 

情念で動くアンジェは『ニキータ』に似ている

 

――片貝さんはこれまでに、スパイがテーマになっている映画やアニメなどで印象に残っている作品はありますか?

 

片貝さん:スパイというと、ちょっとどうかなという難しい部分はあるんですけど、リュック・ベッソンの『ニキータ』はすごく印象が強かったですね。スパイには情報を盗む、あるいは色んなものを仕掛けるとか、それこそ暗殺まで多岐に渡りますが、ニキータはスパイというよりは政府の破壊工作員という体ですよね。ニキータの行動が、実はちょっとアンジェっぽいかなと思うことが最近あります。スパイが動くのは金か名誉か冒険のためとよく言われるのですが、アンジェはこのどれにも動かされていない。彼女は情念で動いていますよね。

 

――プリンセスに会うためにスパイになるほどですからね。

 

片貝さん:友達のために何もかもを売るという、スパイの風上にもおけないようなことするじゃないですか。2重スパイどころの話じゃない訳ですよ(笑)。ただ、その情で動くスパイというのが、実はこの『プリンセス・プリンシパル』の非常に大きな軸だと思うんです。任務のためには仲間を背中から撃つこともあるというイメージとは裏腹に、すごく情に厚いんですよあのチーム。

 

――第1話のラストからも分かりますよね。

 

片貝さん:こんなに情に棹さして大丈夫なのかと。「いつかこの子破滅するんじゃないか」っていうハラハラ感があります。

 

――そういう部分がニキータに似ていると思われた訳ですね。

 

片貝さん:ニキータも結局、仮初めの恋人だったはずの彼氏にほだされて、スパイから足洗ってしまうじゃないですか。逃げちゃって。

 

――いわゆる「スパイもの」ってジャンルとしては確立されている印象があって、視聴者がスパイに対して期待するものをある程度守りつつ、その中で新しいものを作るというのはとても難しそうです。

 

片貝さん:スパイものの作品は打ち合わせの会議でもたくさん調べたのですが、基本的にはそちら側へ行かないようにしようと考えて描いています。送り手側としては安心感の一歩先に行って、ちょっと見たことのない感じというのを提供する必要があると思っています。つまり“見てきたような嘘をつく”ようにしたいといつも考えています。

 

――なるほど。

 

片貝さん:本作のスパイ要素は大河内さんや速水さん、白土さんの領分になると思うのですが、最近はスパイの実録手記というのが多いですよね。フィクションの作品もそれに合わせてアップデートされていくので、昔ながらのスパイものより時代設定は古いんですけれど、やっていることは新しいという方向にいっているんじゃないかと思っています。スパイは嘘をつく生き物とドロシーが言いましたけど、なんで嘘をつくのかというと、人の心の隙につけ入るためですよね。例えばモサド(※)の実技試験は、「今から向かいのバルコニーにいるおじさんと一緒にワイングラスを掲げてこい。制限時間は6分」と。

※イスラエルの対外情報機関のことで、「世界で最も効率的な対テロ組織」であると言われている。

 

――すごいですね……。

 

片貝さん:本物はそういうことを実際にやる訳ですし、そんな情報が簡単に手に入る時代になってしまうと、送り手として色々考えざるを得ないなとは思います。

 

――最後に、本作で片貝さんがお気に入りのシーンと、メカデザインの見どころを教えてください。

 

片貝さん:お気に入りのシーンは、2話のラストから3話のアバンまでですね。アンジェとプリンセスが2人で話しているところで、あのやりとりがアンジェの物語としての象徴的なシーンになっていると思います。クールなふりをしてものすごく情熱の激しい子だなというのが分かりますし、コントロールさえあざむく肝っ玉の太さもある。あの2人が抱えている深い情念が垣間見えるシーンで、非常に印象強いです。

 

――それでは、メカデザインの見どころをお願いします。

 

片貝さん:やっぱりグロスターとアンジェチームの車はかなり時間をかけてデザインしましたので、これが活躍するシーンというのはすごく好きですね。自動車の疾走感を表現しているアニメというのは、最近あまり見かけないので、特に力を入れている部分だと思います。あとはスチームタービンの音ですよね。蒸気自動車なのにタービンの音がするというトンチキさは気に入っているところです。

 

――本日はありがとうございました!

 

 

DATA

プリンセス・プリンシパル

キャスト

  • アンジェ:今村彩夏/プリンセス:関根明良/ドロシー:大地葉/ベアトリス:影山灯/ちせ:古木のぞみ/L(エル):菅生隆之/7(セブン):沢城みゆき/大佐:山崎たくみ/ノルマンディー公:土師孝也/ガゼル:飯田友子

 

スタッフ

  • 監督:橘正紀/シリーズ構成・脚本:大河内一楼/キャラクター原案:黒星紅白/キャラクターデザイン・総作画監督:秋谷有紀恵/総作画監督:西尾公伯/コンセプトアート:六七質/メカニカルデザイン:片貝文洋/リサーチャー:白土晴一/設定協力:速水螺旋人/プロップデザイン:あきづきりょう/音楽:梶浦由記/音響監督:岩浪美和/美術監督:杉浦美穂/美術監修:池信孝/美術設定:大原盛仁、谷内優穂/色彩設計:津守裕子/HOA(Head of 3D Animation):トライスラッシュ/グラフィックアート:荒木宏文/撮影監督:若林優(T2 studio)/編集:定松剛(サテライト)/アニメーション制作:Studio 3Hz・アクタス

 

放送情報

  • TOKYO MX:7月9日より 毎週日曜日 23時00分~
  • KBS京都:7月9日より 毎週日曜日 23時30分~
  • サンテレビ:7月9日より 毎週日曜日 25時00分~
  • BS11:7月11日より 毎週火曜日 24時30分~
  • AT-X:7月14日より 毎週金曜日 20時00分~/※リピート放送 毎週月曜日 12時00分~&毎週水曜日 28時00分~

 

 

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