『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』オーバーテクノロジーの塊!!超巨大宇宙戦艦SDF-1 マクロス艦!【趣味でプラモデル】

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作品製作・製作文●桜井信之/編集●電撃ホビー編集部

電撃ホビーウェブ編集部員&モデラーたちによる趣味で作ったプラモデルを思い出と共に語るコーナー「趣味でプラモデル」! ロボット、キャラクター、ミリタリー、カーモデルなどの様々なジャンルから自由気ままに紹介していきます!

 

第4回目は、前回から引き続き35周年を迎える『超時空要塞マクロス』の劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おばえてますか』にて登場する「SDF-1 マクロス艦・強攻型」と「VF-1S ストライク バトロイド バルキリー」をお届け! 劇場版のマクロス艦はTV版よりもディテールの密度が上がったほか、両腕がアームド1・2になっている(TV版ではゼントラーディ艦隊に両アームド艦が沈められたため、洋上艦プロメテウス、ダイダロスの2隻が代替として接舷している)のが大きな特徴です。作品タイトルにもなっている宇宙戦艦と劇中のラストが非常に印象深いストライクバルキリーを引き続き桜井信之氏に語っていただきます。

 

※バックナンバー

 


#4箱目 ハセガワ 1/4000 マクロス艦・強攻型/VF-1Sストライク バトロイド バルキリー

 

前回、35周年への想いを込めて『超時空要塞マクロス』からVF-1DガウォークとVF-1Sバトロイドを製作しましたが、今回はTVシリーズ終了の翌年に劇場公開された『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』からマクロス強攻型を製作。さらに、単品では寂しい感じがしたので、ストライクバルキリーもあわせて作ってみました。

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マイ・アルバム~マクロスシリーズの基盤~

日本中のアニメファンの注目を集めた『超時空要塞マクロス』は、当初第27話「愛は流れる」を持って終了する予定でしたが、作品人気の高さとプラモデルをはじめとする商品セールスが好調だったため、約1クール(9話)の番組延長が決まり、マクロスの地球帰還から2年後の話が語られることとなりました。マクロス・シティを中心に一度は地球人類との共存を目指したゼントラーディ人と地球人の内乱や、“昼メロ”的な要素がより強調された三角関係を描いた“延長編”は物議をかもしましたが、この9話で語られた人類の宇宙移民計画や、地球人・ゼントラーディ人・プロトカルチャーの関係性などは、その後のマクロスシリーズの基軸となったのも事実といえるでしょう。

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プライベート・タイム~リアルロボット黄金時代~

この間にもプラモデルのリリースは破竹の勢いで続き、登場メカのほとんどがイマイ・アリイの両社から1/72、1/100の両スケールで発売されていました。作品タイトルでもあるマクロス艦は要塞艦と強攻型がそれぞれ発売されましたが、敵側ゼントラーディ艦隊も1/20000(!)という驚きのスケールでブリタイ艦ほか、全4種類までがキット化されました。加えてニチモからはピタバンシリーズという小型のプラモデルが発売。低価格に設定されたシリーズですが、さすが老舗ニチモ! 非常に良くできたキットでプラモファンからは好意的に受け入れられることとなりました。

 

1983年に入ると番組後半の第24話「グッバイ・ガール」より登場したファストパックを装備したスーパーバルキリーがいち早くキット化されたほか、機首部分など一部差し替え式ではあるものの、ファイター→ガウォーク→バトロイドと三態変形するバルキリーを1/72をイマイ、1/100をアリイが発売しファンを驚かせました。ほかにもイマイから「歩くミンメイ人形」という劇中に登場したプロップ商品まで発売されるという加熱ぶりで、1983年の模型業界はダンバインやボトムズ、ガンダムのMSVなどと同時にキャラクターモデルが一世を風靡した時代だったのです。

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トランス・フォーメーション~模型業界変化の兆し~

1981年から始まるガンプラブームは模型業界にも革新を起こし、続々と製作されるリアルロボットアニメのプラモデルを各メーカーが次々と商品化するようになり、さらに模型誌の内容にも変化が現れます。それまでは脇役だったキャラクターモデルが少しずつ表紙や巻頭特集にシフトするようになり、1982~1983年辺りでは年間の半数の号をキャラクターモデルが表紙を飾ることとなりました。そして、その割合は徐々に増加して1984~1985年にはスケールモデルとキャラクターモデルが誌面を占める割合が完全に逆転します。

 

それと同時に模型店にも変化が現れ、それまで店の片隅にひっそりと置かれていたキャラクターモデルは、店の半分を占めるようになります。キャラクターモデルのパッケージは、華やかなデザインのものが主流なのに対し、マクロスプラモのパッケージはホワイトバックに高荷義之独自のタッチで描かれており、非常にシックで異彩を放っていました。

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ヤックデカルチャー~アニメ&メカファン大絶賛~

1984年に入ると、『超時空要塞マクロス』が劇場作品として制作中との情報がアニメ誌に掲載され、後日、作品タイトルが『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』であることが発表されます。後に劇場予告が公開されると、単なるテレビシリーズの総集編ではなく、テレビシリーズの設定を再構成した完全新作であることが判明します。今でいうところの“リメイク作品”にあたる『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』は、1984年7月21日に劇場公開され、84年当時、最高レベルの作画はマクロスファンだけではなく、多くのアニメファンに歓迎をもって受け入れられることなります。なおマクロスサーガの年表上では『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』は “ゼントラーディとの戦勝20周年を記念した映画作品”という位置付けになっています。

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ブロークン・ハート~マクロスモデラーあくなき戦い~

『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』公開当時、イマイ・アリイ両社は、マクロスの後番組である『超時空世紀オーガス』のプラモデルシリーズを立て続けにリリースしていたため、劇場公開に合わせた新製品はイマイが1/100バトロイドを再設計し発売したくらいでしたが、以前発売されたアリイ製1/100バトロイドがお世辞にもできがよいとはいえなかったため、このイマイの新製品は1/100バトロイドの決定版キットとなります。加えて本キットは『超時空要塞マクロス 愛・おぼえておますか』で新登場となった連装ビームカノンを装備したストライクバルキリー仕様であることも相まって、多くのモデラーがこのキットを購入していました。劇場公開当時、新たなキットのリリースは少なかったものの、新設定や劇場用に新たに配色されたスカル中隊各機のカラーリングなど、今一度モデラーが挑むべきアイテムが多数あり、マクロスモデラーの戦いはさらに続くこととなりました。

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強攻型~ちょっとの加工で迫力あるプロポーションに~

さて、今回製作したのはハセガワ1/4000マクロス艦・強攻型です。当初は要塞艦も作り、両形態を並べようと構想していたのですが、要塞艦に関して別のアイディアが浮かんだのでまたの機会にゆずりました。強攻型の改修は脚部に集中しています。何よりも設定画にもある下方からアオリで見上げた迫力あるプロポーションにしたかったので、脚の根本とヒザ(?)の角度を修正し“大股開きでS字ライン”が入るように改造しています。腕もさらに角度を付けたかったので、アームド1・2とマクロスの接続部分(ヒジ接続部分)の接合位置を変更しています。これはアームド1・2の単体展示用の船尾パーツを利用し、接続穴とポリキャップの位置を変更しました。この作業を行うことでヒジ関節をさらに曲げ、角度を付けられるようにしています。なお脚を有する強攻型とはいえ、やはり地面に設置させたくなかったので、撮影も考慮し背部から5ミリの真鍮線にて30センチほど浮かせて展示しています。

 

塗装に関しては1/4000というスケールを考えると、クッキリスミ入れ&ウエザリングではスケール感がブチ壊しなので、薄ズミでのスミ入れや、エアコンフィルターのマスキングによるテクスチャーを吹いてスケール感が壊れないようにしてあります。

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ボドルザーを撃破したラストシーン

要塞艦の製作をパスした代わりに、再びVF-1Sを製作しました。前回VF-1Sを製作した際、比較用に素組みしたVF-1Aが写っていますが、これを利用してストライクバルキリーの製作です。前回の写真をご覧いただければお分かりかと思いますが、本来はA型の頭部でスーパーバルキリー“スカル11”を作る予定だったのですが、マクロス強攻型が完成し真チュウ線で浮かせた瞬間、両翼を広げマイクロミサイルポッドを4基装着した姿、そして何よりラストシューティング(笑)ポーズで製作したくなってしまいました。そこで急遽A型→S型・スーパーバルキリー→ストライクバルキリーに変更し製作です。ちなみに両翼はバトロイドに付属する物では展開するには短すぎるので、ファイターの主翼を移植しています。これは前回ガウォークをミキシングした際の余ったパーツを使用。やはり流用などで使用したキットはなるべく残さず食べてあげないと……(笑)。

 

改造ポイントはほぼ前回と同じですが、両腕でライフルを持たせるため、肩に前後のスイング機構を増設してあります。ホワイトの色味に関しては、前回はライトグレー寄りの白だったのに対して、今回は特色316番を使い、前回とは真逆のアイボリー側にシフトしています。

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それは時空を超えたラブソング

その後『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』は劇場公開時には間に合わなかった、〈天使の絵具〉が流れるエンディング映像が新たに作画されました。その映像は現在発売されているビデオグラムで観ることができます。さらに『超時空要塞マクロス Flash Back 2012』ではメガロード発進までの物語とミンメイ・ラストコンサートの映像が、セガサターンゲーム『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』には本編では描かれなかった南アタリア島を発進するマクロス。その護衛に発艦するスカル小隊とゼントラーディの攻撃で撃沈する空母プロメテウスのショッキングなシーンが描かれ、本編を補完する映像が各メディアで観ることができます。

 

1992年に『超時空要塞マクロスII-LOVERS・AGAIN‐』が発表され、1994年にはオリジナルスタッフが参加し、正当な続編『マクロスプラス』『マクロス7』が製作されます。さらに『超時空要塞マクロス』の前史として統合戦争を舞台にした『マクロス・ゼロ』、2008年にはシリーズ25周年として『マクロスF』、2016年には『マクロスΔ』が製作され、新たな世代のファンを獲得することに成功。ほかにもゲームパチンコ、スピンオフ企画なども展開され、マクロスは現在、アニメ史に残る人気コンテンツとなっています。ではまた。

 

次回も80年代アニメより、“あの可変メカ”をご紹介予定! 乞うご期待!!

 

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