素組みでガンプラ!小型ビークルとフィギュアの製作法【後編】
超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。
今回は「U.C.ハードグラフ・ジオン公国軍 機動偵察セット」の付属のフィギュアを製作していきます。
※バックナンバーもあわせてご覧ください。
付属とは言うものの、ワッパの場合は人間が乗って初めて完成する小型ビークルなので、きちんと製作してワッパに命を吹き込みましょう。
付属のフィギュアは、ワッパを操縦する座り姿勢のパイロットと直立タイプの2体。このフィギュアは細かくパーツ分けがされているだけでなく、各パーツも色付き成形されているので、成形色を活かして仕上げていきましょう。
まずは頭部から下のパーツを組み上げ、フライトスーツにウォッシングを加えます。使用した色は、Mr.ウェザリングカラーの「グランドブラウン」。フィギュアのスジ彫りをくっきりさせると同時に、服のシワを強調する目的もあるので、この暗いコントラストの強い色でウォッシングするといいでしょう。
通常のウォッシングやスミ入れのように、はみ出した部分を溶剤を含ませた綿棒で拭き取ります。しかしメカと違って服の凸凹や陰影を強調するのが目的なので、メカに作業するときよりスミを残し気味に拭き取るとグッド。
次にワッパ本体のチッピングにも使用した、グレーグリーンに白を加えた色でドライブラシを施します。
先ほどのウォッシングは凹部の強調が主な目的ですが、このトーンを上げた色でのドライブラシは、凸部を強調するのが目的。フィギュアの腕や脚のシワの出っ張った部分を中心にドライブラシを施していきましょう。
その後、さらに2段階明度を上げた色でドライブラシを施します。メカにドライブラシをするよりも派手めに陰影をつけたほうが生物らしさが強調されるので、模型を塗装するというよりは絵を描くような気持ちで作業します。
フライトスーツの塗装が終わったら、次にパイロットの手もと部分を塗装。成形色がフレッシュなので気づきにくいですが、指先が開いたグローブをしています。そこで極細の面相筆を使用し、グローブ部分を丁寧に塗っていきましょう。
最後に顔面の塗装です。フィギュア製作が苦手な人のほとんどは、この顔の塗装が難しいと言います。しかしこのキットはフレッシュ成形のうえに顔の彫りも深いので、Mr.ウェザリングカラーの「ラストオレンジ」をウォッシングの要領で流していけばOK。基本的にはこれで終了です。
次に前後に分割されたヘルメットにウォッシングをします。設定的にも成形色もフライトスーツと同じ色なので、使用する色も同じMr.ウェザリングカラーの「グランドブラウン」。
本来はこのあと頭髪や目を塗装するのですが、ヘルメットパーツを取り付けてしまうとそれほど顔は目立ちません。ですので今回は、目の塗装は思い切って割愛してみましょう。実際にヘルメットを装着させるとまったく気にならないことが確認できると思います。
最後にワッパにパイロットを搭乗させて完成です。両脚はペダルに乗せ、左手は操縦桿をきちんと握らせることが重要。この位置関係がズレてしまうと、躍動感がなくなってしまいます。右手には機銃を握らせるのですが、こちらはある程度可動するので位置を調整して右手と接続・接着しましょう。
完成!
これで完成です。ジオン公国軍 機動偵察セットは、ミリタリーテイスト溢れるキット。極細・極小パートの取り付けとフィギュアの塗装さえきちんと行えば、とても雰囲気のいいワッパを簡単に手に入れられるキットです。
フィギュア塗装が不得手な人でも、優れた分割と色分け成形のお陰でリアルな1/35フィギュアを完成させられます。実際に顔面の塗装に使用したのは「ラストオレンジ」1滴のみ! 本来は眼球などの塗装も行うべきですが、眼の塗装を恐れるあまりフィギュアに手を出さないよりは、どんな形でも完成させた方が勝ちです。実際にこのサイズのフィギュアであれば、顔の彫りが強調されていれば問題ありません。
フィギュア塗装が苦手で二の足を踏んでいる人は、本キットの製作をチャレンジするのがオススメ。同シリーズの「ランバ・ラル独立遊撃隊セット」のフィギュアなどは、同じ方法で仕上げても見事なランバ・ラル隊を完成させられます。UCハードグラフのフィギュアが驚くべき仕上がりを見せるので、ぜひトライしてみてください。
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