素組みでガンプラ!フィルタリングを応用した色味の変更【後編】
超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。
今回はチャレンジ企画も兼ねて、どこまでフィルタリングの技法で色味の変化ができるかを試してみましょう。
※バックナンバーもあわせてご覧ください。
模型でも紙でも色の変化がもっともわかるのは白色です。「HGUC ザク」には「シン・マツナガ専用ザクII」という、ほぼ全体が白の機体が存在するので、こちらを使ってこの技法の可能性を試します。
「シン・マツナガ専用ザクII」はボディの一部がグレーで成形されています。「Mr.ホワイトサーフェイサー1000」を吹き、このパーツを白に。
同じよう胸のコクピットハッチのパーツはヒザやソールと同じグレーにするため、「Mr.サーフェイサー1500」を吹いて先ほどとは逆にグレーにします。
たった2カ所色を変えただけでも印象が変わりますね。この作業が終わったらつや消しスプレーを吹いて下準備完了。
エナメル系塗料ではなく、色数が豊富な油彩塗料を使って塗っていきます。Mr.ウェザリングカラーは厳密にはエナメル系よりも、油彩系塗料に近い成分なので、使い勝手は変わりません。油彩塗料のホワイト・グリーン・イエロー、これに小量のブラックを加えて、一般的なザクグリーンを作ります。使用した溶剤はペトロールです。
コシの柔らかい平筆を使って手早く塗っていきましょう。薄めた油彩塗料が、つや消しの表面に滲み込みグリーンに染まっていきます。
明るくポップな色のため筆にホコリが付着しているととても目立つので、筆を拭ったり筆先を整えるのにティッシュペーパーは使用しないほうがいいでしょう。ペーパータオルやキッチンペーパーのようなケバ立ちのない紙を使用することをおすすめします。
油彩塗料がつや消しの表面に滲んでいくさまを解かりやすくするために、面相筆で塗料を軽く置いてみます。つや消しスプレーを吹くことでパーツ表面がザラザラになるので、その表面に塗料が染み込んでいきます。茶系で実験した写真のほうがわかりやすいのではないでしょうか。
●成功例
●失敗例
パーツ表面の塗装膜に滲む(染み込む)ので、筆を止めたり筆をゆっくり動かすと、色の付き方にムラが生じてしまいます。
筆に含ませた塗料が多すぎると、パーツのコーナー部分に余分な塗料が溜まってしまいます。茶や黒などのウェザリングに使用する色だったら、これも“味”になるのですが、今回使用するグリーンはあくまでも基本色なので、とても不自然な仕上がりになってしまいます。
また完全に乾燥する前にパーツを触ると、指が触れた部分(特にコーナー・エッジ部)の塗料が簡単にはがれてしまいます。十分乾燥させてからパーツに触れるようにしましょう。
●1回塗り
●2回塗り
完全乾燥後であれば重ね塗りすることも可能。基本塗装+ウェザリング塗装はもちろん、同じ色を塗り重ねることで色の濃さを調整することもできます。部分的に塗り重ねればグラデーション効果を加えることもできるでしょう。
脚・腕・頭部とライトグリーンのパーツを塗り終えた状態。感覚的には塗るというよりも染めるという感覚に近いかもしれません。
ボディのダークグリーンの箇所は、Mr.ウェザリングカラーの「フェイスグリーン」と「ステインブラウン」を混ぜて作ったダークグリーンを塗ります。
まずはライトグリーン・ダークグリーンの2色が塗り終わりました。きちんと通常版のザクカラーに仕上げることができましたね。乾燥時間は別ですが、塗装の作業時間は全部で30分以内です。筆で全体を塗装しカラーリング変更するよりも、圧倒的に簡単で早く仕上げられました。
「06R」のバックパックは、今回のカラーリングの場合腕や脚と同じライトグリーンになっています。この複雑な形状のバックパックをフィルタリングで色変更するには均一に塗るのが難しいと判断し、またバックパックがヘビーな色味のほうが好みという個人的な趣味もあり、「グランドブラウン」でウォッシングするにとどめました。
軟質樹脂の動力パイプも全体につや消しスプレーを吹き、「グランドブラウン」でウォッシング。ダークブルーの成形色もウォッシングすることで青味が消え、グリーンの機体にも合う色味になります。
色味の変更が終わりグリーンの油彩塗料が完全に乾燥したら、茶系のエナメル塗料で軽くウェザリングを施します。鮮やかなグリーンの機体はこのままでは華やかすぎるので、茶系のウェザリングを入れることで重厚感と深みを加えます。このあとデカールを貼って、再度つや消しスプレーでつやを統一すれば完成です。
「シン・マツナガ専用ザクII」と通常カラーのザクは、ともに脚部の裏側、右肩・スカート前面のモールドが同じ形状の「06R-1A」タイプなので、色を変更するだけでこのように仕上がります。
完成!
フィルタリングの技法を応用して成形色を変更してみましたが。いかがだったでしょうか? さすがに白から緑への色変更は、実験と検証を兼ねたかなり大胆な色変更でしたが、丁寧に筆で色変えを行うよりは気楽で短時間に仕上げられます。「ザクハーフキャノン」や「ザクIIC型/C-5型」のような同系色への色変更、色味の調整の場合、フルペイントをするよりも手軽に雰囲気を変更できます。
実は、今回は4体を塗っていますが、別の「マインレイヤー」も同時進行で製作したので、実際は6体のザクを一気に仕上げています。作業自体の手軽さと、気楽さがなせるワザでしょう。塗るというより染めるに近い技法ですが、一度試してみてはいかがでしょうか? ではまた。
⇒素組みでガンプラ! ~組み立ての基本から簡易塗装まで! おすすめプラモデルをきれいに作るコツ~(目次) へ
関連情報
- バンダイホビーサイト
- HG 機動戦士ガンダム THE ORIGIN ザクII C型/C-5型 1/144スケール 色分け済みプラモデル
- HG 機動戦士ガンダム THE ORIGIN ザク・ハーフキャノン 1/144スケール 色分け済みプラモデル
- HGUC 1/144 MS-06R-1A シン・マツナガ専用ザクII (MSV)
関連記事
(C)創通・サンライズ