素組みでガンプラ!フェネクス(ナラティブVer.)を缶スプレーで塗装する~金塗装・初級~【後編】
超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。
今回はフェネクスをより美しく仕上げるために、金色の塗装に挑戦してみましょう。
※バックナンバーもあわせてご覧ください。
金塗装というとまず下地色の話に。一般的には金の発色をよくするため、ツヤあり黒で下地を塗装することが推奨されています。以前「ガンダムマーカーエアブラシシステム」を紹介した際に、ガンダムマーカーは下地の色にあまり影響を受けないほど、隠蔽力の高い塗料だと説明しました。では金色の場合はどうなるか実験してみましょう。パーツの左半分は黒に塗装、右半分は成形色のままで、この上からガンダムカラーの「ガンダムレッドゴールド」を塗ってみましょう。
今回も「ガンダムマーカーエアブラシシステム」で吹き付け塗装を行いました。結果はご覧のとおりで、あまり差があるようには見えません。厳密には黒を塗装していない側は光を透過するので、光に当てると差はわかりますが、強制的にライトなどを当てなければ問題ないといえるでしょう。
なお、ひと口に“金”といっても、じつは何種類か存在。これは「ガンダムレッドゴールド」、「ガンダムゴールド」をそれぞれプラ板に塗ってみたものです。商品名が示すように「ガンダムレッドゴールド」は赤系の金、「ガンダムゴールド」は通常の金(実際は若干青系の金)です。
ちなみにMr.メタリックカラーGXでは「レッドゴールド」「ブルーゴールド」が発売されています。つまり赤金と青金です。真中はMr.カラー9番のポピュラーなゴールドで、それぞれに特徴があるのがわかります。作る模型によって「どの金が似合うのか?」を考えて選ぶようにしましょう。
今回の塗装は金を美しく発色させるために、缶スプレーを使用します。しかしMr.メタリックカラーGXは缶スプレーが発売されていません。金の塗料で缶スプレーが発売されているのは、先ほど紹介した9番の「ゴールド」のみ。金の色味を選択できないので、今回は“スプレーでの吹き付け塗装”を優先するために9番の「ゴールド」で塗装を行います。
缶スプレーで塗装するときはサーフェイサーを塗布するときと同じで、缶を1カ所に固定して塗装せず、左右に動かして吹き付けるようにしましょう。1回で塗装しようと思わず、2~3回吹き付けて発色させるようにしましょう。Mr.カラーの「ゴールド」や「シルバー」は隠蔽力が高く、缶スプレーのなかでは吹きやすく上手に塗りやすい色なので、初心者の人も金・銀の塗装からチャレンジするのがいいと思います。
9番「ゴールド」を吹いたままでも問題ありませんが、ここでもうひと味加えてみることにしましょう。9番の「ゴールド」はとても発色がよく一般的な色味をしているのですが、今回はもう少し“黄色味”が欲しいと考えました。赤系でも青系でもなく“黄系の金”がフェネクスに最も似合う金だと感じたからです。そこで今回用意したのはMr.クリアカラーGXの「クリアゴールド」です。
Mr.クリアカラーGXの「クリアゴールド」はビン入り塗料なので、これを吹き付けるための道具を紹介しましょう。これはGSIクレオスから発売されている「プロスプレー」といわれる入門者向けの簡易エアブラシです。ニードルレス・吸い上げ式のエアブラシで、取り扱いが簡単なのが特徴。写真の物は本体が金属製のタイプですが、プラスチック製の物は4,000円くらいから発売されているので「ガンダムマーカーエアブラシシステム」と価格的にはほぼ同じです。
本体にエアホースを取り付け、ホースの反対側をエアボンベに取り付けて使用します。つまりシステム構成も「ガンダムマーカーエアブラシシステム」とまったく同じです。もちろんコンプレッサーに取り付けて使用することも可能。
使用方法は付属の塗料ビンに塗料を入れ、専用薄め液で3倍ほどに希釈します。塗料ビンは別売りのスペアボトルも装着できますが、究極的にはMr.カラーの塗料をそのまま取り付けることも可能。
この「プロスプレー」を使用して「クリアゴールド」を9番「ゴールド」で塗装した上から吹き付けます。
「クリアゴールド」を1コートすることでピュアな金から、黄系の金に色味が変化します。加えて「クリアゴールド」はクリア塗料の溶媒に金粒子を混入したものなので、光沢感も増し、一石二鳥といえます。
先ほどのシールドパーツに「クリアゴールド」を吹いた状態。下地に吹いた黒の上に、うっすら「クリアゴールド」が乗っているのがわかると思います。通常色の上から吹いても効果は薄いですが、8番「ゴールド」の上から吹いた場合、色味と輝度が大きく変化します。
キットの一部は付属のホイルシールで塗り分けを再現するようになっています。肩の上に付くクリアブルーのパーツがそれです。
しかしこの金色は今回塗装した金とは色味が異なっています。そこでこのパーツも同様に塗装することにします。
このようなパーツの塗装となるとマスキング作業が必要となります。そこでおすすめのマスキング法を紹介。付属のホイルシールの不要部分である“ワク”部分を使用します。キットにぴったり合わせるために作られたシールなので、その“ワク”部分はマスキングに使用した場合もサイズはピッタリです。
マスキングを剥がすと写真のとおりです。本体と同じ色で塗装したので、肩パーツを取り付けてみると、ゴールド→クリアブルー→ゴールドの美しい流れが再現できます。
完成!
これで金塗装は終了です。“吹き付け塗装をした金”は重厚感があり、神々しく輝くので、成功したときの達成感はひとしおです。しかし今回のフェネクスに使用されている“成形色の金”や、コーティングキットの“メッキ調の金”も塗装とは違った魅力があります。加えて今回簡単に説明しましたが金にも色々な種類が存在し、赤金や青金など色味の差から、パール系塗料を使った金表現やキャンディ塗装での金表現も存在。さらにメタルカラーなど塗装後に磨くことで輝きを加える塗料などもあり、模型における金にはさまざまな表現方法が存在します。自分が製作するアイテムには「どんな金が似合うのか?」を考えてさまざまな色や塗装法から選択してください。
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