素組みでガンプラ!ほかのキットに付属したデカールの活用法【ジム編】

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超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。

 

今回は「MG ジム Ver.2.0」に、ほかのガンプラに付属するデカールを貼ってみましょう。

MGシリーズにはテトロンシールやガンダムデカールなど、専用のマーキング用マテリアルが付属。さらにMGやHGシリーズの多くは、キットの発売と同時に専用の水転写デカールが別売りされているので、それらを使えばミリタリーモデルのようなコーションマークやラインマーキングを施した完成品を作れます。しかしこれらのデカールは発売から時間が経過すると入手が困難になることも。そこで今回は、ほかのキットに付属しているデカールを使用して仕上げることに挑戦してみましょう。

※途中段階ではジムの前腕を前後逆に付け間違えたまま進行していますが、最終完成品では修正しています。ご了承ください。

 

これは第1次ガンプラブームのときに発売され一世を風靡した「リアルタイプ」シリーズのジム。キットには大判のデカールが付属しており、パッケージのようなアニメに登場したジムとは異なる、大河原氏のイラスト版に仕上げられます。現在でも不定期ですが再生産されており、デカールが付属しているにもかかわらず通常版キットと同じ価格なのでお得と言えるでしょう。

 

キットは通常版とは成形色が異なり新鮮な印象を受けます。スタイリングは近年のキットと比べるととても懐かしい印象を受けます。今回はこのキットのデカールを使用しますが、このプロポーションの違いがデカールの流用に大きく影響を及ぼします。なぜならキットに付属のデカールは、この旧キットに合わせて設計されているからです。

 

まずは基本的なデカールの貼り方から。貼る部分のデカールを切り出して水に浸け(できればぬるま湯が好ましい)、全体が濡れたら乾いた布に乗せ、デカールが台紙から剥離するのを待ちます。

 

1分ほどでデカールが台紙から剥離して動くようになるので、台紙ごとキットの貼りたい位置にピンセットで持っていきます。

 

親指でデカール表面を軽く押さえ、台紙をゆっくり引き抜いていきます。するとデカールのみがキットの表面に残りきれいに貼ることが可能。デカールの位置がずれた場合、指で優しく正しい位置に動かします。このあと綿棒などで押さえて余分な水分を吸い取ればOKです。

 

古いデカールなどは、デカール裏面の糊が劣化していてきれいに密着しない場合も。そのような場合は、市販のデカール糊を使用すると接着力を復活させられます。まずキットの貼り込みたい部分にデカール糊を少量塗りましょう。

 

その後、同じようにデカールを乗せて綿棒で水分とはみ出した糊を拭き取れば完了。これでしっかりとデカールを密着させられます。まだヒザ部分のデカールしか貼っていませんが、ジムはデザイン的に「リアルタイプ」シリーズのデカールがほぼそのまま使用できる大きさのようです。

 

今回は、模型店の片隅に残っていた比較的古いキットのデカールを使用しました。しかし、もっと古いキットの場合、付属のデカールの劣化が進んでいる場合があります。劣化したデカールは水に浸けてもなかなか剥がれなかったり、剥がれてもデカール自体がバラバラに破損してしまったりします。写真のようになってしまった経験をした人も多いでしょう。

 

破損を防ぎたいときは、マイクロスケールから発売されている「リキッドデカールフィルム」を使うといいでしょう。市販の筆で古いデカールの上に塗布します。それほど厚塗りする必要はありません。このまま数分乾かしましょう。

 

乾いたら、通常と同じく水に浸けてデカールが台紙から剥離するのを待ちます。するとデカール表面に薄い膜が形成され、デカールがバラバラになるのを防いでくれます。薄い透明の膜が見えると思いますが、2枚目の写真のデカールは2つのマークが膜によって1枚になっているのがわかります。この膜はニスと同じようなものなので、水に浸ける前にカットして使用すれば古いデカールでも十分に使用可能(ここでは見えやすいように膜はカットしていません)。

 

「リキッドデカールフィルム」とデカール糊を使って、すべてのデカールを貼り終えました。腰アーマーや腕・脚のラインマーキングは長さが異なりカットして短くしましたが、ほとんどのデカールがそのまま使えました。いにしえのリアルタイプ仕様のMGジムが姿を現しましたね。

 

デカールが十分乾燥したら、「つや消しクリアー」を吹いてデカールの保護層を作ります。同時にプラスチックとデカールのつやを統一することもできるので、好みに応じて「つや消し」か「半光沢」を選んでスプレーしましょう。

 

このあとウェザリングを施していきます。いつもならばエナメル、もしくは油彩系塗料でウォッシングするのですが、今回は趣向を変えて「Mr.ウェザリングパステル」を使って汚していきます。「Mr.ウェザリングパステル」はそのまま使うこともできますが、水性のうすめ液で溶いて使用することも可能。なお今回は「サンド」を選択します。

 

小皿に「Mr.ウェザリングパステル」を移し、適量のうすめ液を混ぜます。濃すぎると、「泥がこびりついた表現」になってしまうので、比較的薄めに溶くことにします。

 

これをキットの表面にウォッシングの要領で塗っていきます。デカールの上にも塗布し、マーキングも汚れているような効果を狙います。

 

次にアイシャドウを使い、キットのエッジを強調することに。使用するのはアイシャドウ用のブラシとチップです。アイシャドウは汚しに使うので、ラメが入っていない物を選びましょう。100円ショップなどで販売している物で十分です。

 

胸などの赤い部分はピンクを使い、腕・脚などの薄いブルーの箇所にはブラウン系を使うといいでしょう。これをキットのエッジに擦りつけて、ドライブラシを施したような効果を加えます。

 

これで概ね完成です。アイシャドウは完成後に触ると落ちてしまうので、再度「つや消しスプレー」を吹いて、アイシャドウを定着させましょう。スプレーを吹くと色味が一段淡くなるので、少々ケバめにアイシャドウを施しても問題ありません。

 

さて、次回はジオン系のMSにチャレンジしてみましょう。ジムに比べて複雑な三次曲面で構成されているので、「リアルタイプ」シリーズのデカールが上手くフィットするかが問題ですが、引き続きトライしてみます。

 

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(C)創通・サンライズ

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